いじめられっ子にとりついたのは、異世界帰りの経済ヤクザ。理想の未来はヒラ公務員だったのに、裏社会での成り上がりが止まらない―蝉原勇吾は怖すぎる― 作:閃幽零
11話 フィクサーへの道。
(相手が好んでいる人格を演じるのも、交渉においては必須の技能なんだよ)
こころの中で、いつも通りの口調でそうつぶやいてから、
蝉原は、より力強く、そして、はっきりと、
「本物の極道は、摂理と品位を、重んじる。誇りのためなら、肉体の欠損すら、いとわない。……あえて例に出させていただきますが……『気室先生』も、あなたも、同じ政治家ですが、その胸にひめた信念の質量は、まったく異なるでしょう? それと、同じことですよ。業種が同じだからといって、一緒くたにされるのは我慢ならないはず」
気室の父は、裏工作が得意なだけの、ただの政治屋。
対して、目の前の山本は――本物の、政治家。
同じ肩書きでも、その中身はまるで違う。
それを、蝉原は指摘した。
「山本先生」
蝉原は、ふと、声のトーンを落とした。
「もし、俺が、先生の摂理に反する行動を、とった際は……」
そう言って、蝉原は、懐からナイフを取り出すと。
――ダン、と。
畳に敷かれた、膳の脇。
テーブルに、そのナイフを突き立てた。
「これで、俺の心臓を、貫いていただきたい」
「……」
山本の、片眉が上がる。
「そこらのヤクザは、ケジメに、小指をかけますが」
蝉原は、まっすぐに、山本の目を見て、
「……私は、命を、かけます」
室内に沈黙が落ちた。
山本は、しばらく蝉原をジっと見つめていた。
その若い顔に宿った覚悟の色を。
「……なるほど」
やがて、山本は、低くそう呟いた。
「確かに……ただのゴミではないようだ……目と心に芯がある。このレベルの男に会ったのは初めてかもしれない」
「先生。あなたの秘書が、私に暗殺者を仕向けたことは、水に流します。あと、このことで、藤堂秘書を、叱らないでもらいたい。……あなたのために、決死の覚悟で働く人間を、処分すべきじゃない」
「……悪くないぞ、蝉原。人心掌握の肝が理解できているな。それで高校生か……末恐ろしい」
「恐れ入ります」
山本は、一度、静かに息を吐いた。
そして、
「あれは、秘書の暴走ではない。私が、指示した」
その言葉に、
蝉原は、
「いけません、先生」
静かに、首を横に振る。
「本当だろうと、嘘だろうと。……先生の口から、そんなことを、言ってはいけない」
「貴様は、気骨を見せた」
山本は、揺るがない声で、
「ならば、私も、見せるべきだろう」
「……美しい覚悟です、先生」
★
そこから、二人は、踏み込んだ内容を話し始めた。
「海外の反社連中は、この日本を、食い物にしている」
山本は、苦々しげに、
「品格と、礼儀を重んじる、我が国の素養を、『脆弱さ』と、はき違えて、好き放題だ。……絶対に、許さん」
「同感です、先生」
「……ただ『合わせているだけ』ではないな」
山本が、鋭く、蝉原を見る。
「流石です、先生」
蝉原は、微笑んで、
「私は、品格を、重んじておりますので。……まっとうな旅行者に文句はありませんが……我が国を穢そうとする、摂理に反した反社会的勢力は絶対に許しません。もちろん、国内の反社もそれは同様」
「……いい目だ。素晴らしい殺意。私も何人か極道を知っているが……それほどの目は見たことがない……」
「恐悦至極に存じます」
「……一つ、聞きたい」
「なんでしょう」
山本は、しばらく、間を置いてから、
大事な問いを、口にした。
「――総理になる気は、あるか」
その言葉の重さ。
この国の最高権力の座を指し示す、その重い問いに。
蝉原は、一拍を置いて、静かに答えた。
「私は、フィクサーが性にあっておりますゆえ」
そこで、僕は蝉原に尋ねた。
(蝉原……君って、愛国者だったの?)
(この国がどうなろうと知ったこっちゃない)
(……だろうね)
(ただ、一応、現状における俺の拠点はこの国だ。この国で土台を作っている俺の邪魔をするなら容赦なく排除する)
【自己鑑定結果】
名前:蝉原勇吾
種族:人間(ヤクザ)
レベル:3
HP:55/55
MP:19/19
筋力:12
耐久:17
敏捷:19
魔力:16
知性:D(A)
悪意:D(S)
根性:C(SS)
IT:E(A)
商才:F(A)
戦力:E(極SS)
心理:E(A)
話術:D(A)
人望:C(B)
謀略:F(極SS)
悪運:超SS(C)
称号:『元いじめられっ子』『宇宙一のヤクザ』
魔法:『自己鑑定』『カンファレンスコール』
『霊体回収』『拳気ランク2』
『闇気ランク1』
スペシャル:『皇気』
『威圧覇気』『火事場のバカ気迫』
『ピンチに鬼強い』『ド根性極道』
『色男』