昼間の六分街は、いつもと変わらない喧騒に包まれていた。
通りを行き交う人々の声、店先から流れる音楽、遠くで鳴る車のクラクション……そのどれもが見慣れた日常の風景であり、Random Playの店内にも外の穏やかな空気がそのまま流れ込んできていた。
穏やかな雰囲気の中で、店長のアキラはカウンターの内側で端末を操作し、妹のリンは奥の作業スペースで小物を整理している。
そんな静かな時間は、店の扉が勢いよく開かれたことで終わった。
「───いた!」
聞き慣れた声。
次の瞬間、ピンク髪の女性……邪兎屋社長、ニコ・デマラが店内へ飛び込んでくる。
肩で息をしながら周囲を見回し、アキラの姿を見つけるなり、一直線にカウンターまでやってきた。
「アキラ!リン!大変よ!」
「やぁ、こんにちは、ニコ」
「挨拶してる場合じゃないってば!」
ニコはカウンターに両手をつき、身を乗り出す。
「緊急事態! 今すぐあんたたちの力を貸して!」
奥からリンが顔を出した。
「また何かやらかしたの?」
「またって何よ!」
「だって、ニコがそんな勢いで飛び込んでくるときって、大体ろくなことになってないじゃん」
「今回は本当に違うの!」
「ホントに?前も同じようなこと聞いたけど?」
「細かいことは置いとく!」
ニコは頭を抱え、それから大きく息を吐くと、兄妹をカウンターの奥の秘密の部屋へと押し込んだ。
「……で、話なんだけど。最近の、ホロウストームって呼ばれてるやつ、知ってる?」
アキラの手が端末の上で止まる。
「移動性空間錯乱のことかい?」
「そう、それ!」
ニコは指を鳴らした。
「ここ最近、いくつかのホロウで変な空間変動が起きてるでしょ?キャロットがいきなり使い物にならなくなくなったり、予想より速く空間構造が変わったり、裂目が“別親”の共生ホロウに繋がってたり……」
「インターノットでも話題になってたね」
「そうなのよ。で、そのホロウストームについて、高額で情報収集の依頼が出たの」
ニコは腰に手を当てると、今度は少し真面目な顔になった。
「ただ、今回のは普通の情報集めじゃないわ。依頼人が欲しがってるのは、実際にホロウストームに接近して、今どうなってるのかを確認した情報」
「つまり、実地調査か」
「そういうこと。で、近付けば近付けるだけ良いんだけど、ホロウストームの近くは行くも帰るもとっても困難……」
ニコはそこで一拍置く。
「だから………今回ばかりは、パエトーンの力を借りたいって訳よ!」
アキラは端末を閉じた。
「けれどニコ、ホロウストームの空間錯乱強度とそれに連動するエーテル活性、濃度の乱高下による危険性はかなり高い…と聞いているけど」
「でしょ?」
ニコは待ってましたと言わんばかりにアキラを指差した。
「だから、あんたたちの出番ってわけ!超有能プロキシ『パエトーン』の!」
リンが作業台から離れ、二人のところまで歩いてくる。
「報酬は?」
「ちゃんと出るわよ。というか、ホロウストームの生データなんてあんたたちでしか手が出せない代物、調査協会もTOPSも言い値で買う筈よ」
「ふーん。じゃあ、お兄ちゃん」
「うん、そうだね──」
アキラは少し考え、端末に表示された情報を確認する。
ニコは二人を見比べ、それから大きく息を吐いた。
「とにかく、話は決まりね」
「まだ引き受けるとは言ってないけど」
「え?」
ニコの顔が固まる。
「……アキラ?」
「条件を確認してからだよ」
「そ、そんなぁ!」
ニコは脱力してソファに突っ伏した。
「ここまで話しておいて!?」
「僕たちにも都合があるからね」
「分かったわよ!取り分は……そうね、こっちが7で、あんたたちが3でどう?」
「そうだね、ニコ」
「……何よ」
「今溜まってるツケの額、教えてあげようか?」
「分かった!分かったわよ!ちゃんと5:5でいいから!」
「よし、交渉成立だ」
リンが吹き出した。
「お兄ちゃん、どうせなら8:2まで吹っ掛けてもよかったんじゃない?ツケの支払い込みで」
「うるさい!」
ニコは顔を上げると、悔しそうに頬を膨らませた。
「……いいわ!まとまったお金が入ったらちゃんとツケも全部返す!だから、その代わり──」
そこで一度言葉を切り、ニコは改めて二人を見る。
「この仕事、ちゃんとあたしたちに協力して」
その声にはいつもの軽さが無く、アキラとリンも、それを聞き逃さなかった。
「勿論だ」
アキラが頷く。
「プロキシとして、仕事はきっちりこなすよ」
「よし!」
ニコが勢いよく立ち上がる。
「そうと決まれば、善は急げ! さっそく準備するわよ!」
「ニコ、ホロウに入る前にちゃんと装備確認してね」
「分かってるって!……あ。あと、これはちょっとしたことなんだけど、最近、黒い羽のカラスのシリオンの女の子とか見かけてない?」
「……いいや、見てないな。リンの方はどうだい?」
「うーん、心当たりは無いなぁ……友達?」
「まぁ、そんな感じよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・
「なんでこうなるのよーーーーーっ!!!」
ニコの絶叫が、崩れかけた高層建築の谷間を駆け抜けた。
返事の代わりに、銃声が響く。
ビリーが両手のリボルバーを振り抜き、左右から迫っていたエーテリアスの頭部をほとんど同時に撃ち抜いた。
砕けたエーテルの粒子が舞う間にも、アンビーがその隙間を滑り抜け、電磁ナタを一閃。
斬撃が走り、黒い異形の身体が崩れ落ちる。
「二体倒したぜ!」
「こっちは三体」
「連携はバッチリだな、アンビー!」
しかし、二人が倒したのはほんの一部に過ぎなかった。
崩れた道路の向こう、建物の陰、割れた高架の上、そのさらに奥から、次々とエーテリアスが姿を現している。
数えることさえ馬鹿らしくなるほどの群れだった。
その中央には、簡素な端末設備が一台だけぽつんと立っている。
データポスト。
ホロウ内部に設置されている設備の一つで、周辺の空間情報やエーテル濃度、空間変動などを取得するための観測拠点だ。
そして、その前でイアスが小さな身体を忙しなく動かしていた。
「リン、そっちはどう?」
Random Playの奥では、リンがH.D.D.を通してイアスと同期しており、その隣でアキラがモニターを睨みながらキーボードを叩いている。
「今、データポストに接続中!お兄ちゃん、補正お願い!」
「分かった」
アキラが睨んでいる複数の画面に表示されているのは、イアスから送られてくる映像と、データポストから取得したホロウの空間構造情報のキャッシュ、それにリアルタイムで書き換わっていく構造に追随するための計算式。
「また空間変動か」
「えっ、何々?」
「ちょっと待ってくれ……」
アキラは手元の情報を確認しながら、キャロットのデータを修正していく。
「リン、北に2メートル動いてくれ。データポスト付近だと、今はそこが最も安定している」
「分かった!」
データポストに接続できるギリギリの距離の中で、イアスが走り出す。
その直後、横合いからエーテリアスが飛び出した。
「プロキシ先生、左!」
アンビーの声に反応し、イアスが急停止する。
次の瞬間、その目の前を巨大な腕が薙ぎ払い、空気が震える。
「任せな!」
すかさずビリーが割り込むと二挺の銃が火を噴き、エーテリアスの腕と頭を撃ち砕く。
そのまま身体を捻り、別方向から迫っていた個体へ銃弾を叩き込む。
「ありがと!助かった!」
リン=イアスは返事をするように耳を動かすと、再びデータポストへ向かって走っていく。
アンビーはその背後を守りながら、迫ってきた別の個体をナタで受け流した。
「ビリー、右」
「見えてるぜ!」
銃声と斬撃音が響き、砕けたエーテリアスが地面へ落ちる。
しかし、倒したそばから別の個体が姿を現してくる。
「ちょっと……さすがに数が多すぎない?」
「こりゃ異常だぜ!」
「しかも、まだ増えてる」
アンビーが淡々と周囲を見回すと、遠くからさらに無数の影がこちらへ向かっている様子が窺えた。
「ホロウストームの近くってのはどこもこんななのか?!」
ビリーが叫びながら、迫ってきた大型個体の顔面へ銃弾を叩き込む。
大型個体が仰け反ったところへアンビーが踏み込み、一閃。
少し間を置いて、その巨体が崩れ落ちる。
「このままじゃジリ貧、何か策が無いと」
「そりゃそうだけどよ…具体的にどうすりゃいいんだ!」
そんな二人のやり取りを聞きながら、ニコは頭を抱えた。
「ちょっと待って! あたしたち、ホロウストームの情報を取りに来たのよね!?」
「そのはずだぜ、親分!」
「ならこっそりデータを取ってさっさと退散すれば良いだけなのに、なんでこんな大群と戦ってるのよ!」
「それを俺に聞かれても困るぜ!」
「分かってるわよ!」
ニコは叫びながらアタッシュケースを構える。
すかさずこちらへ向かってくるエーテリアスを撃ち抜き、さらに二発、三発と続けてエーテル弾を叩き込んだ。
「もう!データ一つ取るだけでこの騒ぎ!?いくら高リスクだっても程があるでしょ!」
その時、通信機からリンの声が飛んできた。
「ニコ、聞こえる?」
「聞こえてるわよ!」
「もう少しでデータを全部抜き出せるよ!」
「分かったわ!なるべく急いで!」
ニコの目の前を、エーテリアスの爪が横切った。
咄嗟に身体を引き、アタッシュケースそのもので殴り付ける……が、倒した個体の背後から、さらに二体のエーテリアスが。
「もうっ!」
ニコが叫ぶと、アンビーが素早く一体を斬り、ビリーがもう一体を撃ち抜く。
それでも、エーテリアスの軍勢が途切れる気配は無い…………まるで、データポストそのものが、何か巨大な餌を撒き散らしているかのようだった。
そして、その中心でイアスが最後のデータを取得する。
「お兄ちゃん!主要データの確保完了!」
アキラは画面を確認すると即座に周辺地図を開き、キャロットデータのリアルタイム修正を始める
だが、そこで手が止まった。
「……これは、予想以上だ」
「どうしたの、お兄ちゃん?」
「幾つか計算しておいた脱出路の全てが塞がった」
「は?ちょっと、それって……」
ニコの声が通信越しに響くが、アキラは努めて冷静に空間の再計算を開始する。
さっきまで存在していたはずの脱出ルートが容易く別の空間へ繋がり、その向こう側には巨大なエーテリアスの群れ。
「……ニコ、再計算に2分程かかる。リンの方に暫定逃走経路を送ったから、時間を稼いでくれ!」
「うそでしょ……あぁもう!仕方ないわね!行くわよ皆!」
ニコの号令がかかると、アンビーとビリーが敵をいなしつつ合流を図る。
その時、アキラが画面を見つめたまま、静かに息を詰まらせた。
「まずいな…“暴風域”だ」
その言葉を待っていたかのように、遠くの建物が軋んだ。
崩壊した街並みの向こう側で、空間そのものがゆっくりと歪み始める。
そして、その奥から───これまでとは明らかに違う何かの気配が、こちらへ近づいてきていた。
遠くで何かが震えた…………最初は、雷鳴に似ていた。
だが次の瞬間、地平線の向こうから巨大な爆炎が立ち上がり、崩れた建物の隙間から赤黒い光が空を照らした。
轟音が遅れて届く。
「……何よ、今の」
ニコが振り返る。
ビリーも銃を下げずに、爆発のあった方向を見た。
「すげぇ花火だ!ニコの親分、もしかして防衛軍の航空隊に知り合いがいるのか!」
「いないわよ!」
通信越しに、アキラの声が割り込んだ。
「ニコ、急いでその場から離れてくれ」
「アキラ?」
「今の爆発が、ホロウストームの中心核だ」
その言葉に、ニコの表情から冗談めいた色が消える。
「中心核って……まさか、こっちに来てるの?!」
「どうやらそのようだ。しかも、かなり速い」
アキラは端末に映るデータを睨みつけていた。
観測したばかりの情報が、凄まじい勢いで書き換わっている。
空間座標そのものの移動……巨大な異常領域それ自体が、こちらへ押し寄せてきている。
「リン、ニコ達を先導してくれ」
「分かってる!みんな着いてきて!」
イアス───リンが駆け出し、小さな身体が瓦礫の間をすり抜ける。
「次の角を右!」
「了解」
アンビーが即座に進路を変え、角の奥を警戒しながら飛び込む。
「こっちから敵だ!」
ビリーが側面に出て、二挺拳銃を連射。
瓦礫の隅から飛び出してきたエーテリアスが次々と倒れ、砕け散ったエーテル粒子が視界を埋める。
「道は開けたぜ!」
「まだ来るわ」
アンビーが短く告げると、その直後に左右の建物からエーテリアスが飛び出してきた。
「多いわね!ホントにこっちで合ってんの!?」
ニコの叫び。
各々が一斉に攻撃を繰り出し、目の前の群れを押し返す。
だが、その数は減るどころか更に増えている気がしていた。
そして─────地面が揺れた。
「……?」
ニコが足を止める。
次の瞬間、近くの建物が大きく震えた。
壁面のガラスが一斉に砕け、瓦礫が雨のように落ちてくる。
さらにその奥から、巨大な影が姿を現した。
大型のエーテリアスと比較しても尚大きな異形。
人間の身体を遥かに逸脱した巨体が、瓦礫を踏み潰しながらこちらへ向かってくる。
「……おいおい、何だありゃ」
ビリーの声から、いつもの軽さが消えた。
アンビーもナタを構えたまま、しばらく沈黙する。
────デッドエンドブッチャー。
その巨体が一歩進むたびに、地面が震えた。
誰かが何かを言うより先に、三人が一斉に攻撃を開始した。
銃弾が降り注ぐ中、アンビーが懐へ潜り込み、斬撃を叩き込む。
しかし……効いている様子は無い。
デッドエンドブッチャーの巨体はわずかに揺れるだけで、動きは止まらない。
「……あー」
ビリーが撃ちながら呟いた。
「コイツは、火力が足りなくないか?」
「私もそう思う」
アンビーが即答すると同時に、デッドエンドブッチャーが腕を振り上げる。
「────逃げるわよ!」
ニコが叫び、三人が一斉に走り出す。
「──よし、リン。再計算が終わった、今送る」
その時、アキラの声が通信に響いた。
「今、キャロットを更新した。あと200秒程度なら保つ筈だ」
「分かった!」
リンがイアスを先頭に走らせ、その後を邪兎屋の面々が追う。
時折ビリーが振り返りざまに銃を撃ち、迫ってくるエーテリアスを撃ち落としていく。
「リン、次は!?」
「真っ直ぐ!その先の角を左!」
イアスが瓦礫を飛び越える。
リンの視界には、アキラがリアルタイムで書き換えていくキャロットの地図が重なっている。
進める道、閉ざされた道、突然現れた裂け目、空間変動によってランダムに繋がる空間。
そのすべてが数秒単位で変化していた。
「待って、前の裂け目はダメ!」
リンが叫ぶ。
「右の建物を抜けて!」
「了解」
すかさずアンビーが率先して建物内に突入し、内部を掃討していく。
その直後、背後から轟音………デッドエンドブッチャーが、崩れた道路のアスファルトを踏み砕きながら追ってきている音だ。
その距離は、少しずつ縮まっていた。
「ちょっと、あれ速くな──!?」
ニコの叫び声に被せるように、さらに遠くで複数の大爆発が起きる。
間を置かない連続した轟音が響き、衝撃波が崩れた街並みを揺らしていく。
「さっきから一体何なのよこれ!?」
「分からない。中心核の移動に合わせて、繰り返し爆発現象が発生している」
「じゃあ、このままじゃアイツにやられるか、爆発で吹っ飛ばされるかのどっちかってコト!?」
「大丈夫だ、出口は近い」
画面上に、一つのルートが浮かび上がった。
「リン!前方の建物内に裂け目がある。そこを抜ければ外だ」
「おっけー!みんな、こっちこっちー!」
崩れたビルの間を抜け、その先に見えたのは、宙に浮かぶ空間そのものの裂け目。
「あれが出口ね!」
「ニコ、急いで」
アンビーが後ろを振り返ると、すぐそこまでデッドエンドブッチャーが迫っていた。
「みんな早く!」
全員が裂け目へ一直線に向かう。
だが………………
頭上から、一際大きな炸裂音が木霊した。
リンが顔を上げる。
「……え?」
巨大なビルが、ゆっくりと傾いていた。
「マズい!店長!!」
次の瞬間、建物が崩れた。
轟音……大量の瓦礫が雪崩のように落下し、裂け目のあった場所を丸ごと呑み込んでいく。
「そんなぁぁぁっ!?」
ニコの絶叫が響く。
イアスはビリーに抱えられ、落下してくる瓦礫から辛うじて逃れた。
その背後では、アンビーも足を止めていた。
誰も、何も言わずにゆっくりと振り返る。
土煙の向こう、巨大な影が立っている。
遂に獲物を追い詰めたデッドエンドブッチャーが、逃げ道を失った一行を見下ろし、ゆっくりと腕を振り上げた。
「……うそでしょ」
ビリーが銃を構え、アンビーもナタを握り直す。
勝つ見込みは無いが、逃げる場所はない。
そのまま無慈悲にもデッドエンドブッチャーの腕が振り下ろされ─────その瞬間だった。
空気を直接殴り付けるような砲声、巨体が大きく揺れる。
思わぬ事態に目を見開くニコ。
「……え?」
…………デッドエンドブッチャーの身体に、いくつもの大穴が開いていた。
それは一つに留まらない……二つ、三つ、四つ……砲声の鳴る度に、直径が1メートルに届くかという程の孔が、デッドエンドブッチャーを貫いていた。
なんの小細工も無い、力任せに貫いたかのような異様に大きな破壊痕。
何が起きたのか理解する暇もない。
デッドエンドブッチャーの巨体が、ゆっくりと前へ傾き、次には地面を揺らしながら倒れた。
一瞬の静寂。
舞い上がった粉塵の向こう側から、何かが見える。
崩れたビル……その瓦礫の山の頂上。
一人の少女が立っていた。
白く長い髪、頭には獣の耳……シリオン。
少女の小さな身体には不釣り合いなほど巨大な銃器を、両手に二挺構えている。
砲口からは、もうもうと白煙が上がっていた。
「…………」
ニコが言葉を失い、ビリーとアンビーも動けない。
イアスの視界を通してその少女を見ていたリンとアキラも、しばらく何も言えなかった。
少女は静かに、霧散していくデッドエンドブッチャーを見下ろしている。
それからゆっくり顔を上げると、こちらを見た。
その視線に、敵意は感じられない。
アキラが、ようやく口を開いた。
「……あの子は……一体………」
『………………』
勿論、答えは帰ってこない。
その代わりに少女は、瓦礫の山から一歩踏み出した。
次の瞬間、彼女の小さな身体が跳ね上がる。
背中から噴き出した推進炎が夜の空気を震わせ、少女はまるで重力を無視したように宙へ舞い上がった。
白い髪と尾が風に流れ、手にした巨大な銃器がその身体の動きに合わせて風を切る。
「……え?」
ニコが見上げる。
少女は一度だけ空中で姿勢を変えると、そのまま一行の目の前へ着地した。
足元の瓦礫が跳ね、薄い粉塵が周囲へ広がる。
ニコ達は反射的に身構えた。
ビリーが銃を構え、アンビーがナタの柄を強く握る。
敵なのか、それとも味方なのか。
そもそも、あれだけの巨体を一撃で倒した存在が、なぜ自分たちの前に飛んできたのか。
何も分からない。
ただ、その少女──白狐の耳を持つシリオンの少女は、こちらを攻撃することなく、じっと一行を見ていた。
「……」
ニコがアタッシュケースを構えたまま、恐る恐る口を開く。
「あ、あんた……一体───」
少女も何かを言おうとした。
しかしその前に、その視線がどこでもない周囲へ移る。
ほんの少しだけ、眉が動いた。
「……あ」
少女が呟く。
その声に敵意や警戒は無く、ただ何の気なしに気付いたことを伝えるような、妙に平坦な響き。
「……敵、来てる」
「え?」
素早く周辺に視線を回す。
崩れた街並みの奥で、相も変わらず瓦礫の陰から多数のエーテリアスが姿を現していた。
そして、その数は着実に増え続けている。
まるで、先ほどの巨大な戦闘音に引き寄せられるように。
「……先ずは、邪魔者を殲滅しよう」
少女は巨大な銃器を持ち直し……その言葉を最後に、再び砲口がエーテリアスの群れへ向けられた。
戦闘チュートリアル
【キャラ紹介】ホロ
ホロは、(✧)で特殊スキル:兵科切替を発動し、素早くブレイク値を蓄積させることに長けた兵科:レンジャーと、大量のダメージを与えることに長けた兵科:フェンサーを切り替えられる。
強化特殊スキルとして発動した場合、消費したエネルギーの分だけ「誤爆防止」ゲージを蓄積させる。
敵にダメージを与える毎に「誤爆防止」ゲージが蓄積していき、「誤爆防止」を所持している時に✊長押しで強力な通常攻撃を行える。
「誤爆防止」を所持している時に他のエージェントの攻撃が敵に命中すると追加攻撃:
「誤爆防止」が一定以上の時に終結スキルを発動すると、通常の終結スキル:
レンジャーの時はセミオートライフルとかんしゃく玉(拡散グレネード)を投げながら時々ロケットランチャー撃って、フェンサーの時は電刃刀とハンマー振り回しながら時々ガトリングガンとブラッドストーム(クラスター弾頭ミサイル)撃つ感じです。
連携とかクイック支援の時はガトリングガンばら蒔いてます。
編成時はうっかり峰打ちしないよう気を遣ってLV10以下帯の武装ばっかり使ってるのです。
フィオニー……フィーヒヒヒ!フィオニー……