Sword Art Online Brave Spirits 作:暁司令官
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罪人よ·····罪人の群れよ
暗いニューヨークの摩天楼·····息を荒げながら走る娼婦の女がいた···
主は嘆き悲しんでおられます
女娼婦を咎めるかのように顔を隠した神父の男が暗闇を舞う異形と共に追い詰めていた…
「愛さなければよかった·····」と
神父に連れ添っていた異形が女娼婦に鉤爪を立てて傷を負わせた…
そうして流した黒い涙の中から···私たちは来ました
追い詰められた女娼婦が後ずさるが、異形の者たちが周囲を囲み近ずいてゆく…
悔い改めながら死に絶えなさい·····愛されなかった人々よ·····
神父の言葉を皮切りに異形の者たちがに女娼婦襲いかかり、女娼婦は無惨に····
だがその瞬間、娼婦に噛み付いた異形の頭が瞬時にして切り倒された。
『⁉︎』
「キギィ!」「ギギィ‼︎」
異形は娼婦から離れる。
視線の先には2人の男女が立っていた。
娼婦の方に女性が駆け寄り容体を確認して男…いや少年の方に話しかける。
「血は出てるみたいだけど、大丈夫よ」
「ありがとう。その人を安全な所に」
赤髪の少女は娼婦を抱えてその場を離れ、2人を追おうとする異形の前に少年は一振りの剣を構える。
「悪いがここは、通行止めだ」
『ギェェェ‼︎』
襲い掛かろうとする異形達だったがそれが最大の命取りとなるとは思わなかった。
青年の剣から紫の光が迸ると共に少年は彼らの間をすり抜ける。
「フゥ…」
彼が剣を下ろすと異形達はバラバラになりその場に血の池を作りながら生き絶えた。
「見事なものです。よもや人間如きが我々に歯向かうとは…」
物陰に潜む神父の男を前に少年は剣の刃先を向ける。
「お前は何者だ?一体何を企んでる‼︎」
「知ってどうする?どのみちお前達はあのお方の贄となるのだ」
「贄…?」
神父はそう呟くと摩天楼の闇に吸い込まれるようにしてその場から消えていった。
「待て‼︎」
少年はそれを追う事はできずただその場に立ち尽くすしかできなかった。
剣を背中の鞘に収めて一息つくと先程の赤髪の少女が戻ってきた。
「逃げられちゃったね」
「あぁ…でも人は助けられたから今回はよしとしよう。あの人は?」
「近くのお巡りさん預けてきたわ。それより早く行きましょう」
「あぁ」
2人は手元にメニューウィンドウのようなものを出してそこをタッチする。
すると足元から光が頭のほうにかけて迸ると、それまでファンタジー的な見た目の服装だったそれが一瞬にして現代風の服装に変わり、少女の髪色も赤から薄い茶色へと変わった。
二人は足早に路地から離れ、走ってきたパトカー風のランボルギーニに素早く乗り込む。
そして少し離れたビルの屋上から一部始終を見ていた二人組の男がいた。
「見たか?今の」
茶髪のハネ毛にソフト帽を被った若い男が座って本を読むもう一人の男に話しかける。
「摩天楼で暴れる蝙蝠の怪物……それを追う二人の男女……そして黒幕となる謎の神父…ゾクゾクするねぇ」
ニューヨーク
国連ビル FBI分室
国連ビルの一室に設けられたFBI本部のとある一室に捜査官達が集まり、暗い部屋に映し出されたプロジェクターを凝視していた。
「これまでの謎の失血死事件だが、共通点として12人の遺体全てから体液の九割がなくなっている」
「うへぇ……まるでミイラじゃないか」
「そして今回13人目の被害者になりかけた娼婦、アリン・デイソン。彼女は被疑者に他の被害者たちと同じよう襲われていたが運良く助けられ、近くを巡回していた警察官に保護された」
「体液が多少なくなっていたが命には別状はなく、現在は病院で治療を受けつつ詳しい事情聴取を行っている」
「それと最近増えてるハーレムの失踪事件。時期的に見ても関連があるんじゃないか?」
「関連ったって…どんな?」
「そこでだ今回入手したこいつなんだが……」
「「!」」
捜査官達はスクリーンに映し出された一枚の写真に思わず目を見開いた。
ニューヨークの市街地の上を飛ぶ黒い怪鳥のようなものが映し出されていた。
「なんですかコレ…鳥?」
「明るいこの街ならカラスだって飛んでますよ」
ただ一人それを見て全く別の反応を示す人物がいた。
「プップハハハハハ翼長四メートルの鳥ね……今回の連続殺人も失踪事件もその怪人が絡んでるって線じゃないスか?」
「怪人だぁ⁉︎」
「おい…お前は!」
閉じられていたブラインドが開くと外光が差し込みその男を照らし出した。
「滝 和也」
「ちっス」
滝 和也
かつてSHOCKER及びGELSHOCKERの2つの組織と戦い
壊滅させたと言われるその男だが、他の捜査官達からは白々しい目で見られている窓際族の一人だった。
「キサマは部外者のハズだ出ていけ」
「ハイハイスイマセンねドーモ」
滝は椅子から立ち上がると部長に質問を投げる。
「ねぇ
「フン……ここは経済の中心だぞ、パニックを避ける為だ」
「タハ12人もミイラになってりゃ十分でしょ。ホームレスだって噂してますよ。なんで警戒発令しないんです?お得意の隠蔽体質?それとも……この国の誰かさんが承知の上でやらせている……とか?」
「おい!滅多な事を言うな‼︎」
彼の物言いが頭に来た部長は彼の胸ぐらを掴み上げるがすぐに離した。
「お前に話す事は何もない」
「いいんですかね?そんな手回しの悪い事やってて……この国に
滝は外したサングラスを掛け直し上着を取るとそそくさと部屋を後にした。
「なんちて。失礼しゃあしたぁ」
「マスクド・ライダー…?」
「フン…またか」
「なんですか一体?」
捜査官達の疑問に部長が答える。
「ヤツの作り話だよ。無償で戦う仮面の戦士……そんな酔狂なヤツがいるもんか…」
見返りを求めず、ただ救うために戦う戦士…そんな絵物語の男なんているわけが無い。それが当たり前の反応だった。
「部長、実はそれに関連してか分かりませんが幾つか気になる事が」
「なに?」
ある捜査官の発言に部長は耳を傾ける。
「被害者のアレン・デニソンと彼女を保護した警官から気になる証言があったんです」
発言に興味を示した他の捜査官達も続々と集まってくる。
「被害者は襲われた直後、二人組の男女に助けられたと言うんです。顔はよく見えなかったそうですが、両者とも10代後半くらいで女性の方は赤い髪でノンスリーブのメイド服のような格好をしていたと」
「コレは彼女を保護した警官とも特徴が一致しています。男性の方に関しては分からないようですが話し方からして東洋人…日本人らしいと」
「日本人だと…?」
捜査官達もまさかの内容にざわつくが話は続く。
「また、現場で発見された複数の遺体ですが死因は刃物による切断。それもナイフなどではなく剣などのような長い物で斬られたような跡がありました」
「おいおい剣のような物で斬られただと?」
「また女性を目撃した警官の方も女性の腰に二つの剣のようなものがぶら下がっていたと証言しています」
「なるほど…それでその男女は?」
「いずれも行方は分かりません。警官達も被害者を病院へと送り届けるので手一杯だったらしく追跡できていないと…」
(剣で切断……10代の日本人…?)
部屋から出たフリをして聞き耳を立てていた滝は会話の内容に我慢を感じながらビル内の食堂に向かった。
「タキィ!!お前また捜査から外されたってぇ!?」
滝に開口一番にそう言って怒鳴り声を出したのは、同僚であり人生の先輩でもあるホプキンスと言う窓際族だった。
「相変わらず地獄耳だな、ホプキンス」
「しょーがねぇだろ?俺は嫌われてんだから」
「タキさん口が悪いから」
そう笑って言ったのは食堂の給仕係りをしているブリジット女史であった。
「ごっそさんブリジット!んじゃキラワレ者はキラワレ者らしくチカン退治でもしてくらぁ」
「それって自分の事でしょ‼︎」
直前に彼女の尻を触ってボコボコにされた滝はチップを払って食堂を後にした。
「あーあホプキンスさんならともかく、窓際族みたいになっちゃって…」
「ともかくは余計にじゃい!にしても…確かにアイツは変わっちまった…」
ホプキンスは昔を懐かしむように過去の滝を思い浮かべる。
「昔はもった正義感が…喧嘩を売ってるような男だったのによぉ…」
「タキさんがぁ?ウソォ」
「ヤツは昔捜査官としての腕を買われてインターポールに出向していた事があるんだ」
「ホント?」
「世界的に猛威を振るった狂信的カルト集団の正体を探る為にな」
「IRA?人民寺院やブランチデビディアンみたいな?」
「なんだったか……確かSHOCKER…GEL・SHOCKER…だったかな?ほとんどXファイルみたいな話だ。とにかくタキは一人で壊滅させたらしいんだが……」
そこまで言うとホプキンスは腕を組んでため息混じりに話を続けた。
「アイツは自分の手柄じゃねぇってこだわってるがな…」
「マスクド……なんとでしょ?」
「ま…とにかく知りすぎたって事だ。アイツは信じて戦った結果牙を抜かれちまった…ヒドイ話だ」
国連ビルを出て滝が向かったのは人気の少ないハーレムの一角だった。
そこではホームレス達が集まって一人の黒人少年の歌に聞き入っていた。
少年がひとしきり歌い終えると集まっていたホームレス達から拍手と歓声が上がる。
「ありがとう…!スパイクこれでまた生きる勇気が湧いてくるよ!」
「まーた大げさなんだよ!」
「流石だな。マイケル・ジャクソン」
「「タキー‼︎」」
ハーレムに住む少年スパイクと仲間達の元へ来て路上ライブを聞き、投げ銭を入れて子供達と戯れた。
「いい歌だったぜ、スパイク」
「私を追い越すのも夢じゃないわね」
「ん?」
声がした方に滝が顔を向けた先には、中性的な顔立ちの少年と薄い茶髪の少女が立っていた。
「まだまだだよ!ニジカのねーちゃんみたいにはなれねーって」
「スパイク、コイツらは?」
「カズトのにーちゃんとニジカのねーちゃんだよ。最近ハーレムにやって来たタキさんと同じ日本人だよ」
「ほー」
昼間盗み聞きした内容がふと頭をよぎるが滝は一旦それを振り払う。
「滝和也だ。FBIの捜査官をやってるモンだ」
「俺は桐ヶ谷和人です」
「私、枳殻虹架っていいます」
「和人に虹架か……ヨロシク」
二人の整った身なりに疑問を感じた滝はスパイクに耳打ちして素性を聞いた。
「なぁスパイク、あの二人っていつから居た?」
「さぁ。この近くにやって来たペトレスク神父って人ごやって来た頃だったかな?」
「ほーん…」
話を聞いた滝は二人を少し怪しげな視線で見ていた。
どう見ても学生と言うべき年齢の男女二人が、アメリカはニューヨークのど真ん中で、それもハーレムにいるのはいささか妙な話だ。
「あそうそう、そういえばもう一人別の日本人も居たよ」
「別の?」
「うん。確か2000の技を持つ男……とか言ってたっけ?えーと名前は……」
「五代雄介…だろ?」
「あ!そうそう流石カズトにーちゃん!」
和人の指摘にスパイクは頭を掻きながらそうだという風に言った。
「どんなヤツだったんだ?」
「確か仕事が……"冒険家"……とか言ってました。名刺もありますよ」
「へ?」
滝は虹架の出して見せた名刺を見た。
名刺には中央にデカデカと【五代雄介】と書かれ、左側にはサムズアップしたマスコットキャラと小さな文字で『夢を追う男』と、右側には『2000!の技を持つ男』と書かれているだけであって電話番号などはない。
「なんなんだコイツは……でコイツは今どこ?」
「昨日行ってしまいましたよ。何も人を探すとかなんとかで……」
「ふぅん……まぁよくある事だ」
ペトレクス神父が赴任して来た廃墟の協会・・・この場所には神父が食事に誘ったホームレス達がいた。
しかし彼等は苦しみながらのたうち回っていて、その近くに静かに立っていたペトレクス神父は害虫を見る様な冷たい目で見ていた。
「ひ…ひ…ひもじぃよぉ…なん…とかしてくれよ、神父さぁん…」
そう言って神父に助けを乞うホームレス達の顔を痩せこけ、見る見る姿が変わりつつある。
「ひもじい・・・そうでしょう?生まれ変わるには沢山のカロリーが必要になりますからね・・・今宵は月の下で外食でもどうです?神の恵みのパンを頬張りながら・・・紅い・・・ワインを・・・」
ペトレクス神父はそう言いながら目を黒く変色させ、ホームレス達を嘲笑っていた。
「!」
教会の扉が開く音がし、入口に目を向けたそこに昼に出会ったFBI捜査官の滝和也がいた。
「おや、タキさん……でしたね。何か?」
「神父さん…一人かい?」
「えぇミナサン食事を済ませたら帰ってしまわれました」
「なぁ神父さん。最近は市長が変わって治安も良くなったっていう
「……」
「教会ってのは人がわんさか集まるだろ?あんた…何か知らねえかな…」
「う〜〜〜ん申し訳ないありませんねぇ。そのようなウワサは何も……ねぇ」
「そうか…ジャマしたな。また来るぜ懺悔でもしにな」
「ハイ、いつでも」
用が済んで帰る滝を見送る神父の立つ教会の中から蝙蝠のような鳴き声が静かに響き、天井には無数の不気味な影がぶら下がっていた。
スクラップ置き場の廃車の上に寝転んでいた和人…キリトは夕暮れの星空を見ながら今日に至るまでの経緯を思い出していた。
(あれは……確かにみんなで都内を回ってた時だったな)
アンダーワールドを舞台に起きた事件からしばらく経った年末の時期だった。
現実世界へとやって来たユージオやアリス、ドロシー達UWの仲間達に現実世界の東京をみんなで観光していた最中の出来事だった。
日比谷公園で一息ついていた時、突然音もなく上空に銀色の巨大な髑髏が浮かんでいた。
その髑髏が口を開いたかと思うと吸い込まれる感覚に見舞われ、自身を含めた仲間達もそれに飲み込まれようとしていた。
騒ぎを聞きつけたダガーン達勇者ロボが駆け付けるも彼らもそれに巻き込まれ、そこで意識を失った。
次に目を覚ました時にはここに居た。
幸いレインとダガーンが側にいて介抱してくれたと分かったがレインから聞いた情報にキリトは言葉を失った。
自分達以外のメンバーが何処に行ったのかも分からない上ここは日本ではなくアメリカはニューヨークの近郊、それも持っている携帯電話は殆どの連絡先との通話や通信ができない状況だった。
そこから彼女と手分けして情報を集めて色々な事が分かった。
この時代は自分達の生きていた時代からやや遡った時代である事、だがそれ以上に衝撃的だったのはアスナの両親が経営していたレクトの前身となる企業は愚かその結城家の家系やあの茅場晶彦の家系すら存在しない事だった。
「アスナ……ユイ……みんな……」
これからどうすればいいのかと考える日々の中で怪物に襲われていたニュースをたまたま耳にした二人は独自に調べてその事件を追っていた。
それがつい先日襲われていた女性を発見してなんとか助ける事ができた。ただ肝心の黒幕が分からずじまいで先行きは不透明だった。
「キリト君!」
息を切らしながら走って来たレインを見てキリトは身体を起こした。
「どうした。何かあったのか?」
「エミリオくんが…あの怪物に襲われて病院に!」
「な…なんだって⁉︎」
]
「ナゼ殺さなかったのです?スパイク」
ペトレスク神父は見下すように足元で踠く異形に視線を送った。
その意義は蝙蝠のように翼と腕が一体になり、口から牙が生えていたがその肌、その髪は確かにスパイクの面影が残っていた。
「ガ……アグ……」
「もうよろしい。貴方はそのまま
以前の優しい笑顔などまるで嘘のように神父の顔は冷酷さを帯びていた。
まるで全ての人間を見下すかのような視線でスパイクを見ていた。
「さぁてミナサン。外には細く美しい三日月が下がっています。罪人を串刺しにしたくなる様なね」
彼の背後に潜んでいた大量の吸血鬼達が外の世界へと羽ばたこうとしたその時だった。
突然教会の窓を一台のバイクがぶち破って中へと入って来た。
「晩餐の前に無粋な方だ……どなたです?」
ペトレスクが聞いたその人物は黒いスーツに黒のマフラー、そして頭には骸骨のマークが入ったヘルメットを被った彼は
「仮面……ライダー」
そう名乗った。
それにペトレスクは一瞬反応し、スパイクは身体を起こして彼の方を向いた。
「ギ…ギギギギ‼︎」
仮面ライダーと名乗る侵入者を敵と認識した吸血鬼達は一斉に襲い掛かるが侵入者の隠し持っていたショットガンの一撃に一体が倒れると他の吸血鬼達はそれに群がり喰らい始める。
その隙に侵入者はショットガンからショットシェルの付いた改造メリケンサックへと持ち替えて飛びかかって来た別の一体にそれをお見舞いした。
「ライダーーーッパァーーーンチ‼︎」
シェルの火薬が炸裂して一体の頭が吹き飛び、そこからさらに前面へと飛び掛かると電極の仕込まれたブーツから蹴りを喰らわせる。
「ライダーーーッキィーーック‼︎」
スタンガンの比ではないほどの電気を喰らった吸血鬼は一瞬で黒焦げになって地面に落下した。
そこからさらに襲い掛かる吸血鬼の群れに彼は果敢に挑んでいく。
「カメンライダー…か嫌な名前だ……私の愛した彼らを壊した男の名もそうでした」
「!」
「誰もが罵った私の力を………彼らだけが愛してくださったのにぃぃぃぃぃ」
「貴様!ショッカーの…」
彼が言い終える前に一瞬にして侵入者のヘルメットが綺麗に真っ二つにされると同時に正体があらわになった。
その正体は以前その教会にやって来た滝和也だった。
「ダ…ギ…ザン‼︎ヴ……ヴァ"ァ"…」
「スパイク!おい逃げたって何も…‼︎」
「どこを見ているのです?」
逃げ出したスパイクに気を取られた滝は一瞬の隙をつかれてペトレスクからの攻撃を右足に受けてしまう。
(み……見えな……⁉︎)
困惑する滝の事などお構いなしにペトレスクは攻撃を続ける。
「しかしね……今新しいパトロンが私を愛してくれている」
「ご…ぶふ…ッ‼︎」
度重なる攻撃を前に滝は切り刻まれて一方的に嬲られていく。
「カメンライダー…だって…?どこが?クククあんな小さき者も救えずに…」
「クッ…」
ペトレスクは滝を掴み上げたまま本来の姿であろう巨大な蝙蝠の怪物へと変貌を遂げる。
「オマエガカメンライダー?コノオオウソツキのニセモノメガ…ヒ…ヒヒギヒヒヒヒヒヒ‼︎」
「ク……ソォ……」
観念した滝に超音波を浴びせてトドメを刺そうとしたそのときだった。
「させるかぁぁぁ‼︎」
叫び声と共に滝を掴んでいたペトレスクの腕が斬り落とされ赤い血飛沫が舞う。
「ギャァァァァァァ⁉︎」
落下しそうになった滝をすんでのところで誰かがキャッチする。
「滝さん‼︎」
「間に合ってよかった〜!」
「和人に…虹架…⁉︎」
彼を助けたのはキリトとレインだった。
しかし前に会った時とは違い二人の服装は大分違う上、手には剣が握られていた。
「やっぱりアンタだったんだな…神父さん。スパイクは何処だ⁉︎」
「グ…グフフフ……アイツナラドコカニトビサッタ……ソレヨリソノヨウナチッポケナボウキレデタタカウツモリカ?」
「棒切れかどうかは、試してみれば分かるわよ」
「ヤツラヲ…コロセェェェェ‼︎」
蝙蝠怪人の命令に吸血鬼の群れが襲い掛かる。
しかし二人はこういった状況には慣れているのか一切取り乱さず一体一体を確実に捌いていく。
「す……すげぇ……」
「ハァァ‼︎」
「ヤァッ‼︎」
首を、腕を、胴を斬り裂く度に血が辺りに飛び散り死体が一つまた一つと増えていく。
しかし良くも悪くも二人は生身の人間、数で押されてはキリがない。
「クソ…どれだけいるんだよ……⁉︎」
「おそらくは……ハーレムにいるホームレス達を攫って改造してるんだ…」
「それじゃああとどれだけいるかも分からないんですか⁉︎」
「ギヒヒヒヒ…ワカッタカ?ショセンフタリフエタテイドデハカテンノダヨ…!」
「二人…ねぇ…それはどうかな?」
「「⁉︎」」
いつのまにか教会の柱の影に人影があるのに気がついたら蝙蝠怪人はそこに向けて超音波を放って攻撃するが、直前に人影は柱から飛び出してキリト達と吸血鬼達の間に立っていた。
「ったく危ねぇコトしやがるじゃねぇか?おやっさんからもらった大事な帽子を危うく燃やすところだったぜ」
青年は帽子に付いた埃を叩きながらそれを被り直す。
「それより…幾らホームレスとはいえそいつらだってこの街で生きてんだ。それを卑下するような奴は放ってはおけねえな」
青年は懐から赤い装置のようなものを取り出すとそれを腰に当てる。
すると装置からバックルが巻きつきそれがベルトへと変わる。
「ナ…二⁉︎」
「ベ……ベルト…?」
「滝さん…だったか?俺はアンタの知ってるダチみたいなヤツじゃあないが、俺たちなりの
「⁉︎」
「今なんて…⁈」
「カメンライダー…ダト?キサマモマタニセモノカ?」
「偽物かどうかはお前が試してみな。行くぜ、フィリップ」
ベルトを通じてニューヨークの一角にあるホテルの部屋から同じベルトを通じた青年がそれに応える。
「あぁ翔太郎」
青年…フィリップはポケットから緑色の"C"のマークが入ったUSBメモリのようなものを取り出し、下部にある小さなスイッチを押す。
『CYCLONE』
教会にいるもう一人…翔太郎も同じ形状の黒紫の"J"のマークのある装置を取り出してボタンを押す。
『JOKER』
「「変身」」
フィリップがメモリを右側のスロットに入れるとそれが翔太郎のベルトのスロットに転送される。
彼がそれを再度押し込み、自身の持っていたもう一つのメモリを左側のスロットに差し込むと鼓動のような待機音が鳴り響く。最後にそれを両手でスロット部分を左右に展開する。
『CYCLONE!JOKER‼︎』
ベルトから二つの頭文字が浮かび上がると粒子のようなものが翔太郎の身体に貼り付きだんだんとソレを形作った。右側は緑のスーツに左は黒紫のスーツでそれを分け隔てるように中央に銀色の線が入り、首からはマフラーが揺れていた。
「キ…キサマハ……キサマハイッタイ…⁉︎」
「へ…変身した…」
「滝さん…アレは……⁉︎」
「あれは…」
「仮面ライダー
計らずも驚嘆の顔を浮かべる三人の前で彼は名乗り左手を蝙蝠怪人に向かって突き出した。
「さぁ、お前の罪を数えろ!」
「ツミヲオカシテイルノハキサマタチダァァ‼︎カメンライダァァァァァァァァァァ‼︎」
「うおっと‼︎」
蝙蝠怪人による翼の攻撃をジャンプで躱すと今度はWの方がヤツの顎に強烈な回し蹴りを浴びせる。
「うぉら‼︎」
「グッ⁉︎」
怯んだ蝙蝠怪人に代わって今度は吸血鬼の群れが出てくるがそれも軽く遇らうように倒していく。
「レイン」
「えぇ…私達も!」
態勢を立て直した二人も戦列に参加して徐々に吸血鬼達を減らしていく。
「キサマタチノアイテヲシテイルヒマナイトイウノニ……‼︎」
蝙蝠怪人は吸血鬼達ごと始末しようと口を開いて超音波を発射しようとする。
「危な…!」
滝が危険を知らせようとしたとき、教会の扉が勢いよく開いて二台のマシンが中に入ってくる。
マシンの響かせる爆音に逆光のせいで誰か分からず一同は釘付けになるが、滝にはその内の一人が誰かすぐに分かった。
「マサカ……コンナトコロデェェェ‼︎」
「すまん……滝、遅くなった」
「ばっか……ヤロォ……」
かつて彼と肩を並べて戦った原点にして頂点、そして始まりの戦士
本郷猛
そしてその傍らにいたもう一人が誰か分かったWは彼に言葉を放つ。
『真打ちの登場…みたいだね』
「ったく…もう少し早く来てくれてもいいんじゃないすか?五代さんよ」
「ごめんごめん。でも間に合った事だし!」
飄々とした性格とは裏腹に、その身体には超古代の力を秘めている新たなる戦士
五代雄介
本郷猛は左手を腰の〝タイフーン〟に当て、右腕を左斜め上に掲げた。
その右腕を右斜めに弧を描くように移動させ、右手を勢いよく引くと同時に左腕を斜め右へと突き出してあのワードを発した。
「ライダー…変身‼︎」
五代雄介も腹部に手を添えるようなポーズをとると"アークル"が浮かび上がる。
アークルの上部に左手を重ね、右手を突き出す。
そして左手と右腕をゆっくりと移動させ、彼もその一言を発した。
「変身ッ‼︎」
タイフーンの発した強烈な風によって本郷は姿を変え、また五代もアークルによって肉体が変化した。
仮面ライダー1号 仮面ライダークウガ
始まりの漢と始まりの戦士、二つの伝説が今並び立っていた。
(な……なんて気迫だ…)
一部始終を見ていたキリトは特に本郷から発せられるオーラを身に染みて感じていた。
(この人は強い……間違いなく…俺よりも……!)
「敵は多いな滝…いや大した事はないか……五代君と彼……そこの二人がいれば」
辺りを軽く一瞥した本郷はWとキリトとレインの姿を認識しつつ傷だらけで座り込んで自分を見ていた滝に近づいて肩に手を置いた。
「……今夜はここにいる俺達全員で…仮面ライダーだからな」
「シャラクサイワァァァァァァ‼︎」
「させない‼︎うぉりゃあああ‼︎」
我に帰った蝙蝠怪人の攻撃が二人に当たりそうになるもクウガがパンチで翼を弾き飛ばして軌道を逸らした。
「キィィィ‼︎」
視線を戻すとそこに1号の姿は無く蝙蝠怪人は慌てて周囲を見回す。
「ヤツメ…ドコ……二…⁉︎」
「よそ見してる暇あるのかな?蝙蝠の化け物さんよ」
Wが指差す方向に蝙蝠怪人は目を向けて初めて気付いた。
1号は一瞬の間に天井に貼り付きタイミングを見計らっていたのだ。
「ヒ……ヒィィィ‼︎」
慌てて逃げようとするがそれを逃すほど1号は甘くはない、天井を蹴って跳躍して必殺の一撃を見舞う。
「ライダアアアキィーック‼︎」
ライダーキックが炸裂した左腕はいとも容易く引きちぎれ、蝙蝠怪人の絶叫が響く。
「ヒギャアアアアアアア‼︎」
蝙蝠怪人は不利と悟り滝が破った窓から逃走、それを追うように吸血鬼達も続々と教会から飛び出していく。
「マズいぜ…コイツらもうイッちまってる‼︎外に出たら見境なく人を襲うぜ‼︎本ご…」
1号はその瞬間にはもうサイクロンに跨って教会を出ようとし、他のクウガとWやキリト達もいつのまにかいなくなっており、その場に滝だけがポツンと取り残されていた。
「……そうだよ忘れてたぜ…あいつは人よか遅れてくる上人よか先に行っちまう様なヤツだった……イテテ」
滝は傷ついた身体を無理矢理バイクに乗せると後を追う様に教会を出て行った。
「チキショー‼︎どいつもこいつも待ちやがれーーー‼︎」
同じ頃 ニューヨーク市街地
「おい、あれ」
「え?」
何気なくすぎるはずのニューヨークの夜はこの日は違った。男が指差した先にいた空飛ぶ群れは街行く人々を襲い始めた。
「吸血鬼がこんなに⁉︎」
「ギャアアアアなんでえええ‼︎」
「逃げろぉぉ‼︎」
街は一瞬にして混乱に包まれた。
しかしその混乱の中を進むマシンが爆音を響かせながら車道を掻き分けるように走っていく。
「ヒュウ!コイツは中々だぜ!」
『翔太郎、ここは…』
「あぁ、言われなくても分かってるぜ!」
Wは青と黄色の別のメモリを取り出す。
『LUNA』『TRIGGER』
メモリをダブルドライバーにセットして『ルナトリガー』にフォームチェンジしたWはトリガーマグナムからエネルギー弾を絶え間なく撃ち出す。
撃ち出されたエネルギー弾は軌道を変えて的確に吸血鬼達だけに当たっていく。
「本郷さん、ここは俺達が引き受けます。あなたは奴を!」
「分かった。頼むぞ‼︎」
1号と別れたクウガとWはニューヨークに散った吸血鬼達を相手取る。
『翔太郎、来るみたいだ』
「オーケー。この街の
五代も道路に警官が落とした拳銃を拾って緑のペガサスフォームに変身する。
道路のど真ん中に停車した二人はペガサスボウガンとトリガーメモリを装填したトリガーマグナムを構える。
『TRIGGER!MAXIMUM DRIVE!』
『「トリガーペガサスフルバースト‼︎」』
二人のライダーから放たれた光弾は封印の力を帯びて摩天楼を飛びまわる吸血鬼達を一体残らず散りへと変えた。
そんな光景を間近の国連ビルから見る者かま居た。
「ちょっと…ホプキンスさん!あれ……‼︎」
「あれが……タキの言っていた……」
「ウソ……」
二人のライダーがニューヨーク市街地で戦っている一方でもう一方も決着がつこうとしていた。
「グ……ゴブ……カエラネバ……アノ………オカタノモトへ」
蝙蝠怪人は1号から受けた傷を抑えながらなんとか飛んでいた。しかしその飛行は何処かアンバランスであり、その原因はクウガが逸らす際に放ったパンチに込められた封印の力によって右の羽に異常をきたしていたからだ。
「!」
振り返るとブルックリン橋の中央歩道を滝がバイクで追いかけて来ていた。
「タキ…!フン…ムダナコトヲ……ツバサモモタナイウジムシメガ…!」
「逃すかぁぁぁぁ‼︎」
滝は負けじと橋のケーブルの上を走り怪人と目の合う高さにまで上がってきた。
「へっ!どーだバーカ‼︎」
「チ……コノシニゾコナイガァァァァ‼︎」
怪人は滝には向かって超音波を照射する。
もう少して当たるかに見えたその瞬間、滝の目の前を黒い物体が遮り超音波を相殺した。
「ナニ⁉︎」
「ナイスだ‼︎ダガーン‼︎」
声のする方に顔を向けるとキリトとレイン、そしてその背後に何処かヒロイックなロボットが立っていた。
「今だ‼︎奴をやれ‼︎」
「何処のどなたかしらねぇが感謝するぜ‼︎」
ロボット…ダガーンの言葉を受けた滝はワイヤーから飛び移り蝙蝠怪人にバイクごとのしかかる。
「ギ…ェェェェ‼︎」
「どーでぇ‼︎四百キロだ‼︎堕ちやがれ‼︎」
「キ…サマァァァァ‼︎」
引き剥がそうと踠く蝙蝠怪人の元へ彼が爆音を響かせながらやってくるのが滝には見えた。
「滝‼︎行くぞ‼︎」
「おぉ本郷‼︎来い‼︎」
1号はそのまま脚力にものを言わせてサイクロンからジャンプすると身体を上下反転させる。
「ヒ……ヒヒヒヒ!イイキニナルナニンゲン……」
「電光ぉー‼︎」
「キサマラハ……カミニミハナサレタ‼︎カワイソウニナァ…ヒャハヒャハ…」
「ライダーーーキィーーック‼︎」
「シヌ!シヌ!シニタエル!ヒトリモノコラナイィィィ‼︎」
バァカ……俺たちがいるかぎり
もう 一人も死なすかよ‼︎
「なぁ……滝」
「………」
「まだ遅れてきた事怒ってるのか…?」
「"ってるのか?"じゃねーよ」(マジムカつくぜコイツ…)
事件が収束してから一週間前後、滝は重症を負っていたとはいえ松葉杖がいるくらいには回復しており、同じく吸血鬼から回復したスパイクが出場するアマチュアナイトの会場にやってきていた。
「お前よ」
「ん?」
「今までどこで何やってたんだよ」
滝の素朴な疑問に本郷は当然のように答える。
「俺は…何処に行ったって相変わらずさ」
「ケ…まぁそんなところだろうぜ」
「流石は"始まりの仮面ライダー"…その貫禄はこちらの世界でも変わらずのようだね」
二人の会話に入ってきたのは左翔太郎とフィリップだった。
「それにしても驚いたぜ本郷、まさかお前や一文字以外にも仮面ライダーがいたなんてよ」
「いや…それなんだが……」
「ホラ、タキさん‼︎もう出番きちゃうよ‼︎」
「お…そうか」
ブリジットがスパイクの出番を知らせにやってきた事で会話はそこで中断される。
「よぉスパイクの事は礼を言っとくぜ。お前がワクチンを持ってきてくれなかったら今頃は……」
「あぁギリギリで進行を抑えられたよ」
「ただそれもあるが…」
「私も手伝ったのよ!」
本郷の足元からスパイクと大して歳の変わらない少女がドヤ顔で言ってくる。
「コラ七色!」
「いいじゃない!別にー!ワクチンを作るのもタケシさんだけの力でもできなくはないけど、量産するのは私の協力があってよ!」
「まぁまぁ…すいません本郷さん」
「ふふ…なに構わんさ和人君。確かに七色君が居なかったら短時間であれほどの完成度に仕上げるのは難しいかったよ」
本郷の傍でやり取りしていた少女…七色・アルシャービンことセブン。
彼女もキリトやレインと同じ経緯を経てこの世界にやってきた所を本郷に保護されていた。
「それを加味しても、あの子の死に物狂いで人間でいようとした…その想いが大きい。人の心にはそういう力もある」
「本当に不思議です。スパイクさんは確かに一歩手遅れになったら取り返しのつかない状況でしたが、あれ以上症状が進行する様子がなかったのは本当にそんな力が…"心"にあるからなんでしょうか…パパ?」
そう言ってキリトを見上げる本郷に保護されていたもう一人の少女…ユイの頭を撫でながらキリトは語りかける。
「さぁ……どうなんだろうな……俺にもよくは分からないな…」
「難しいね……だが人の心というのは"これだ"と言って定義する事は未だにできていないからな……たがそういった不思議な力があるのかもしれない……そう覚えておくといい」
「はい!ありがとうございます」
そんな光景を見ながら滝は頭を掻きむしる。
「全く…これじゃあ本郷、お前がまるで引率の教師みたいだぜ?」
「言ってくれ」
そう言いながら本郷は再びサイクロンに跨りエンジンを駆ける。
「おい…もう行くのか?」
「あぁ…なぁ滝」
「あ?」
「また…戦いが始まるかもしれん」
「………ぽいな」
蝙蝠怪人の断末魔から新たな戦いが起こる事を予感した本郷と滝、二人は覚悟を新たにしようとしていた。
「その時は……頼む」
「……人類の自由と平和ってヤツか?ちっしゃあねぇ手伝ってやらぁ」
「ありがとう…それと和人君」
「はい?」
「不本意ではあるが、君たちも手伝ってはくれないか…?」
「おいおい本郷…」
「分かってるよ滝…彼らのような若い子を戦いに巻き込みたくはない……たが俺の本能というか……何かがそうしろと言ってくるんだ」
「はぁ………?」
「俺たちは構いませんよ。本郷さん、どんな世界であっても俺たちは……戦います」
「……すまない…そして……ありがとう」
本郷の走り出したサイクロンをキリト達を乗せたダガーンが走り出し、五代の乗るビートチェイサー2000と翔太郎とフィリップを乗せたハードボイルダーもその場を離れていく。
「なんだかよく分からねぇが……また忙しくなりそうだな…」
新たな戦いの予感を感じつつ去っていく
コラム
勇者ロボ
追々描こうかと思いましたがここで敢えて言及すると、ダガーンや今後登場するゴルドランやバーンガーン達はTVやブレサガ本編とは異なるSAO世界の宇宙や地球に存在した《並行同位体》であり、本編の彼らでありません。