「東方二次創作」レミフラのお姉ちゃんは幻想郷に帰って来たんだって 作:ゆっくり那由多豊苑
久し振りの家族との団欒を楽しむ事になった。
夕暮れに染まる幻想郷。
博麗神社を後にしたルミノアは、両隣を歩くレミリアとフランドールに腕を引かれながら紅魔館へ向かっていた。
「お姉ちゃん! この五百年以上、どこで何してたの?」
レミリアが待ちきれない様子で尋ねる。
ルミノアは少しだけ考え、小さく口を開いた。
「……旅」
「それだけ?」
「……うん」
「短っ!」
レミリアは頬を膨らませる。
フランはクスクスと笑いながら言った。
「お姉ちゃんらしい!」
「でも帰ってきてくれて嬉しい!」
ルミノアはフランの頭を優しく撫でる。
「……ただいま」
「おかえり!」
フランは満面の笑みで抱きついた。
その光景を見たレミリアも我慢できず、もう一度ルミノアの腕へ抱きつく。
「今日は離さないわ!」
「……好きにして」
「やった!」
普段は威厳ある紅魔館の主も、この時だけは年相応の妹のような笑顔を浮かべていた。
やがて三人は紅魔館へ到着する。
重厚な門の前には、門番の紅美鈴が立っていた。
「あれ……?」
「レミリア様とフラン様の隣にいる方は……」
美鈴は目を見開いた。
「えっ……ま、まさか!」
レミリアは得意そうに笑う。
「そうよ!」
「私達のお姉ちゃん、ルミノアよ!」
美鈴は慌てて姿勢を正した。
「お、お帰りなさいませ!」
ルミノアは軽く頷くだけだった。
「……ただいま」
その一言だけで、美鈴は少し涙ぐむ。
「本当に帰ってきたんですね……」
館の中へ入ると、騒ぎを聞きつけた十六夜咲夜が姿を現した。
銀色の髪を揺らしながら深々と頭を下げる。
「ルミノアお嬢様」
「お帰りなさいませ」
ルミノアは静かに咲夜を見る。
「……咲夜」
「変わらない」
咲夜は微笑む。
「ありがとうございます」
その時だった。
奥から小悪魔が飛んでくる。
「パチュリー様ー! 本当でした! 本当に帰ってきてます!」
図書館から勢いよく現れたパチュリーは、本を抱えたまま立ち止まった。
「……久しぶりね」
「ルミノア」
ルミノアも静かに頷く。
「……久しぶり」
パチュリーは少しだけ笑った。
「あなたが帰ってくるなんて思わなかったわ」
「私も」
「……帰るつもりは」
「最初は無かった」
その言葉に、館の空気が少し静かになる。
レミリアがルミノアの服を掴んだ。
「……もう行かない?」
ルミノアは妹を見る。
少しだけ目を細める。
「……行かない」
「しばらくは」
「ほんと!?」
「……うん」
レミリアは嬉しそうに笑った。
「約束よ!」
「……約束」
夜。
紅魔館の大食堂では珍しく全員が集まっていた。
咲夜が腕によりをかけた料理が並び、美鈴は嬉しそうに食べ、小悪魔はせっせと運び、パチュリーは紅茶を飲んでいる。
その中央にはルミノア。
レミリアは隣から離れず、フランは反対側に座っている。
「今日はお姉ちゃんの歓迎会!」
レミリアが高らかに宣言する。
「乾杯!」
「乾杯!」
皆がグラスを掲げる。
ルミノアも静かに持ち上げる。
「……乾杯」
食事が始まると、レミリアとフランは代わる代わる話しかけてくる。
「お姉ちゃん、この料理美味しいでしょ!」
「フランね、この前こんなことがあったんだよ!」
「お姉ちゃん、お姉ちゃん!」
ルミノアは一つ一つに短く答えながらも、二人の話を最後まで聞いていた。
その姿を見た咲夜が小さく笑う。
「本当に妹想いですね」
パチュリーも本を閉じる。
「相変わらずのシスコンね」
ルミノアは少しだけ視線を逸らした。
「……否定しない」
その瞬間、レミリアとフランが吹き出した。
「やっぱり!」
「お姉ちゃんかわいい!」
ルミノアは無表情のまま、小さく咳払いをする。
「……笑いすぎ」
「だって、お姉ちゃん照れてる!」
「……照れてない」
しかし耳だけがほんのり赤くなっていた。
それを見た一同はさらに笑い声を上げる。
賑やかな笑い声が紅魔館中に響く。
そんな穏やかな時間を、ルミノアは静かに眺めていた。
(……帰ってきて、よかった)
普段は感情を表に出さない彼女の口元に、誰にも気付かれないほど小さな笑みが浮かぶ。
しかしその頃──。
紅魔館から遠く離れた山の上。
一人の人物が、空間の歪みを見つめながら静かに呟いた。
「……ついに帰ってきたか、ルミノア」
その瞳には、ただならぬ決意が宿っていた。
紅魔館での再会の裏で、新たな出来事が静かに動き始めようとしていた。
その影に潜む者は今の段階では知らない。
だが、後に明らかになるでしょう。