「東方二次創作」レミフラのお姉ちゃんは幻想郷に帰って来たんだって   作:ゆっくり那由多豊苑

4 / 7
ルミノアはレミリア達と庭園で散歩をして、束の間の平和を楽しむ事になった。


4話:異変の前触れ

 

 紅魔館へルミノアが帰ってきてから、一週間。

 

 館には以前よりも笑顔が増えていた。

 

 レミリアは書類仕事を終えると、真っ先にルミノアの部屋へ向かう。

 

「お姉ちゃーん!」

 

 コンコン、と扉を叩く。

 

「入るわよー」

 

 部屋の中では、ルミノアが静かに本を読んでいた。

 

「……どうした」

 

「暇!」

 

「……そう」

 

「その『そう』じゃないの!」

 

 レミリアはベッドへ飛び込み、ごろごろと転がる。

 

「お姉ちゃん、構って!」

 

 ルミノアは読んでいた本を閉じると、小さく息を吐いた。

 

「……五分だけ」

 

「やった!」

 

 そこへフランドールも勢いよく部屋へ飛び込んでくる。

 

「お姉ちゃん、お散歩しよう!」

 

「……いいよ」

 

 三人は紅魔館の庭へ出ることにした。

 

 庭園には色とりどりの花が咲いている。

 

「綺麗ねぇ」

 

 レミリアが花壇を眺める。

 

 フランは蝶を追いかけながら笑っていた。

 

「待ってー!」

 

 その様子を見つめるルミノアの表情は、どこか穏やかだった。

 

(……この時間が、続けばいい)

 

 しかし──。

 

 ピシッ。

 

 突然、耳に小さな音が届く。

 

 ルミノアだけが反応した。

 

「……」

 

 空を見上げる。

 

 何もない青空。

 

 だが、彼女には見えていた。

 

 空間に細い亀裂が一本だけ走っている。

 

「……おかしい」

 

 その声にレミリアが振り返る。

 

「どうしたの?」

 

 ルミノアは何も答えず、右手を空へ向ける。

 

 空間を司る能力が静かに発動する。

 

「閉じて」

 

 亀裂へ魔力が流れ込む。

 

 しかし。

 

 パキッ。

 

 亀裂は閉じるどころか、少しだけ広がった。

 

「……!」

 

 ルミノアの瞳が鋭くなる。

 

(私の能力で……閉じない?)

 

 それは初めてのことだった。

 

 その日の夜。

 

 ルミノアは一人で紅魔館の屋上に立っていた。

 

 夜風が髪を揺らす。

 

「……誰」

 

 その時。

 

 後ろから聞き慣れた声がした。

 

「眠れないの?」

 

 振り返ると、そこには隠岐奈が立っていた。

 

「……隠岐奈」

 

「やっぱり気付いたかい」

 

 ルミノアは静かに頷く。

 

「空間が壊れてる」

 

「……少しずつ」

 

 隠岐奈は真剣な表情になる。

 

「幻想郷の結界が弱っている」

 

「原因はまだ分からない」

 

「だが、このまま放置すれば……」

 

「幻想郷そのものが裂ける」

 

 その言葉にルミノアは黙り込む。

 

「……私が直す」

 

「そう言うと思ったよ」

 

 隠岐奈は苦笑する。

 

「でも一人で抱え込むな」

 

「レミリアもフランドールも、お前の家族なんだ」

 

 ルミノアは少しだけ目を伏せた。

 

「……巻き込みたくない」

 

「それでも、家族は力になりたいと思うものさ」

 

 その言葉は、ルミノアの胸に静かに響いた。

 

 翌朝。

 

 朝食の席。

 

「お姉ちゃん!」

 

 フランがパンを頬張りながら話しかける。

 

「今日も遊ぼ!」

 

「……」

 

 返事がない。

 

 レミリアが心配そうに覗き込む。

 

「お姉ちゃん?」

 

 ルミノアはようやく顔を上げた。

 

「……ごめん」

 

「少し考え事」

 

「珍しいわね」

 

 レミリアはじっと姉の表情を見る。

 

 長い付き合いだからこそ分かる。

 

 何かを隠している。

 

「ねぇ」

 

「何かあった?」

 

 ルミノアは少しだけ迷ったあと、小さく首を横に振る。

 

「……まだ」

 

「言えない」

 

 レミリアはそれ以上聞かなかった。

 

「分かった」

 

「話したくなったら聞くわ」

 

「一人で無理だけはしないで」

 

 その優しい言葉に、ルミノアはほんの少し微笑む。

 

「……ありがとう」

 

 その様子を窓の外から、一羽の黒い鴉が見つめていた。

 

 赤く光る瞳。

 

 鴉は低く鳴くと、空へ舞い上がる。

 

 そして幻想郷の外れにある朽ち果てた神殿へ降り立った。

 

 玉座に座る黒いローブの人物へ向かって、鴉は頭を下げる。

 

「ククク……」

 

「ついに見つけた」

 

「空間を司る吸血鬼……ルミノア・スカーレット」

 

「計画を始める時が来た」

 

 神殿の奥から、不気味な笑い声が静かに響き渡るのだった。

 

 ──第五話へ続く。




不穏な空気が漂うが、果たしてルミノアは家族を守れるのか今後にご期待する
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。