「東方二次創作」レミフラのお姉ちゃんは幻想郷に帰って来たんだって 作:ゆっくり那由多豊苑
特に異変も起こらず、幻想郷はいつも通りの平和な日々を過ごしていた。
そんなある朝――。
「……暇」
ルミノアは窓辺に座り、外を眺めていた。
本を読むでもなく、何かをするでもない。
ただぼんやりと庭を見ている。
そこへ──。
「お姉ちゃーん!」
バタン!
勢いよく扉が開いた。
「……」
ルミノアが振り返る。
そこにはレミリアとフランドールが立っていた。
「今日は三人で遊ぼう!」
「……何するの?」
「それを今から考える!」
「……考えてない」
「うっ」
レミリアが固まる。
フランが笑った。
「お姉ちゃん、鋭い!」
「……いつものこと」
「じゃあ、お散歩!」
フランが提案する。
「紅魔館の外まで行こうよ!」
ルミノアは少し考えた。
「……いいよ」
「やった!」
レミリアも嬉しそうに笑う。
「じゃあ、出発!」
◆
三人は紅魔館を出て、ゆっくりと森の方へ歩いていた。
ルミノアは真ん中。
右にレミリア。
左にフランドール。
二人とも姉の腕に抱きついている。
「……歩きにくい」
「いいじゃない」
「お姉ちゃんと一緒なんだから!」
「……まあ、いいけど」
結局、ルミノアは二人を振りほどかなかった。
しばらく歩いていると、フランが何かを見つけた。
「あっ!」
「どうしたの?」
「見て!」
そこには小さな花畑が広がっていた。
色とりどりの花が風に揺れている。
「綺麗……」
レミリアが目を輝かせる。
ルミノアも花畑を眺めた。
「……綺麗」
「お姉ちゃんもそう思う?」
「うん」
フランは嬉しそうに花を眺める。
「これ、紅魔館に持って帰りたい!」
「じゃあ少しだけ摘みましょうか」
レミリアがしゃがみ込む。
ルミノアはその様子を見ながら言った。
「……根っこは残して」
「分かってるわよ」
三人で花を少しだけ摘む。
そして──。
「お姉ちゃん、これ!」
フランが花を一輪、ルミノアに差し出した。
「……私に?」
「うん!」
ルミノアは少し驚いた。
「……ありがとう」
受け取った花を髪に添える。
フランが目を輝かせる。
「似合う!」
レミリアも頷く。
「うん。可愛いわ」
「……可愛い?」
「可愛い」
「……」
ルミノアは少しだけ顔を逸らした。
「……恥ずかしい」
「お姉ちゃん照れてる!」
「……うるさい」
そう言いながらも、花は外さなかった。
◆
その後、三人は湖の近くまでやって来た。
「ここで休憩しましょう」
レミリアが持ってきた敷物を広げる。
咲夜が用意してくれたサンドイッチや紅茶も並べられた。
「いただきます!」
フランが嬉しそうに食べ始める。
ルミノアもサンドイッチを一つ手に取る。
「……美味しい」
「でしょ?」
レミリアが得意そうに胸を張る。
「咲夜が作ったんだけどね」
「……レミリアが作ったみたいに言わない」
「バレた?」
フランが笑う。
食事を終えると、三人は湖を眺めながら横になる。
風が優しく吹く。
鳥の声。
木々のざわめき。
幻想郷らしい穏やかな時間だった。
レミリアがぽつりと言う。
「……こういうの、いいわね」
「……うん」
フランも頷く。
「ずっとこうだったらいいのに」
ルミノアは二人を見る。
そして静かに言った。
「……大丈夫」
「私がいるから」
レミリアとフランが顔を見合わせる。
「……お姉ちゃん」
ルミノアは二人の頭を撫でる。
「……三人でいよう」
「うん!」
「もちろん!」
二人は嬉しそうに笑った。
◆
夕方。
紅魔館へ戻る途中。
レミリアはルミノアの手を握り、フランは反対側の手を握っていた。
「……」
ルミノアは二人を見下ろす。
「どうしたの?」
「別に」
「お姉ちゃん、嬉しそう」
「……そう見える?」
「見える!」
ルミノアは少しだけ笑った。
「……なら、そうなんだと思う」
三人の影が夕日に長く伸びていく。
今日も幻想郷に異変はない。
大きな戦いもない。
ただ姉妹で過ごす、何気ない一日。
それだけで──
ルミノアにとっては、十分に幸せな時間だった。
平和な時間は長くは続かない、けれどそれを噛みしめるルミノアであった。