「東方二次創作」レミフラのお姉ちゃんは幻想郷に帰って来たんだって 作:ゆっくり那由多豊苑
ねぇ…書かなくて良い?
幻想郷の外れ。
朽ち果てた神殿。
差し込む月明かりすら届かない薄暗い空間で、黒いローブを纏った人物は静かに立ち上がった。
その顔は深くフードに隠れ、表情は見えない。
「長かった……」
低く、冷たい声が神殿に響く。
「五百年」
「ようやく、"空間の継承者"が幻想郷へ戻ってきた」
黒い鴉が肩へ止まる。
「監視は続けろ」
「抵抗するなら……排除しろ」
鴉は一声鳴き、闇へ飛び去った。
一方、その頃。
紅魔館では朝食が終わり、レミリアとフランがルミノアの部屋へ遊びに来ていた。
「お姉ちゃん!」
「今日はチェスしよ!」
レミリアがチェス盤を持ってくる。
ルミノアは本を閉じる。
「……いい」
「やった!」
三人で向かい合い、駒を並べる。
レミリアは得意げに笑う。
「私、結構強いのよ!」
フランは首を傾げる。
「ルール分かんない!」
「私が教えるわ」
対局が始まる。
数分後──
「……チェック」
「えっ」
「また?」
さらに数分。
「……チェックメイト」
レミリアは盤面を見つめたまま固まった。
「負けた……」
「三分で」
フランが大笑いする。
「お姉ちゃん強すぎ!」
ルミノアは少しだけ肩をすくめた。
「……昔」
「パチュリーと」
「よくやった」
「なるほど……」
レミリアは悔しそうに頬を膨らませる。
「今度は絶対勝つ!」
その時だった。
コンコン。
咲夜が部屋へ入る。
「ルミノアお嬢様」
「お客様がお見えです」
「……誰」
「八雲紫様です」
ルミノアは無言で立ち上がった。
「……断る」
「ですよね」
咲夜も予想していたように苦笑する。
しかし。
「待って」
レミリアがルミノアの袖を掴む。
「話だけでも聞いてあげたら?」
ルミノアは少し考えた。
「……五分」
応接室。
紫は優雅に紅茶を飲んでいた。
「来たわね」
ルミノアは扉の前に立ったまま動かない。
「……何」
「用件だけ」
紫は微笑む。
「相変わらずね」
「結界が壊れ始めているのは知っているでしょう?」
「……知ってる」
「そして、それを狙う者も動いている」
ルミノアの目が細くなる。
「……誰」
「まだ分からない」
「でも相手は、あなたの能力を知っている」
「だから気を付けなさい」
ルミノアは静かに答えた。
「……忠告だけなら」
「帰って」
紫はため息をついた。
「本当に嫌われてるわね」
「当然」
その言葉に、レミリアは思わず苦笑する。
「お姉ちゃん、容赦ない……」
紫は席を立つと、最後に振り返った。
「一つだけ」
「今回は敵ではないわ」
ルミノアは何も答えなかった。
紫はスキマへ消えていく。
部屋には静寂だけが残った。
その日の夕方。
紅魔館の庭園。
フランは花に水をあげていた。
「これで元気になるかな?」
レミリアも隣で手伝っている。
その光景を、ルミノアは少し離れた場所から見守っていた。
穏やかな時間。
しかし、その平穏は突然破られる。
ビシッ!!
空間が大きくひび割れた。
今までとは比べものにならないほど巨大な亀裂が、紅魔館の真上へ現れる。
「なっ……!」
レミリアが驚いて空を見上げる。
フランも羽を広げる。
「何これ!」
ルミノアは二人の前へ立った。
「……下がって」
その瞬間。
亀裂の中から、黒い影がゆっくりと降りてくる。
全身を黒い外套で包み、顔は仮面で隠されている。
「見つけた」
低い声が響く。
「空間を司る吸血鬼……ルミノア・スカーレット」
ルミノアは一歩前へ出る。
「……誰」
黒衣の人物はゆっくりと右手を上げた。
「お前を迎えに来た」
「我らの王が待っている」
「断る」
即答だった。
「……私は」
「家族といる」
その一言に、レミリアとフランは目を見開く。
黒衣の人物は小さく笑う。
「ならば──」
「力づくで連れていく」
瞬間。
黒い魔力が紅魔館全体を覆い尽くした。
ルミノアの深紅の瞳が鋭く光る。
「……姉として」
「妹達には」
「指一本」
「触れさせない」
空間が震え、ルミノアの周囲に無数の空間の裂け目が展開される。
紅魔館を守るための戦いが、ついに幕を開けた。
──第六話へ続く。
ルミノア達の前に現れた謎の黒衣を纏った人物は一体!?