「東方二次創作」レミフラのお姉ちゃんは幻想郷に帰って来たんだって   作:ゆっくり那由多豊苑

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7話:王の名

 

 黒衣の人物が去ってから三日。

 

 紅魔館には再び静かな日常が戻っていた。

 

 しかし、その空気はどこか張り詰めている。

 

 ルミノアは毎朝、紅魔館の屋上から幻想郷全体を見渡していた。

 

「……異常なし」

 

 そう呟くものの、その表情は晴れない。

 

 レミリアはそんな姉の様子を見て、心配そうに声を掛けた。

 

「お姉ちゃん」

 

「少し休んだら?」

 

 ルミノアは首を横に振る。

 

「……大丈夫」

 

「心配しないで」

 

「でも……」

 

 レミリアは何か言おうとしたが、それ以上は口にしなかった。

 

 その日の午後。

 

 博麗神社には幻想郷の主な者たちが集まっていた。

 

 霊夢、魔理沙、咲夜、パチュリー、美鈴、そして八雲紫と隠岐奈。

 

 もちろん、ルミノア、レミリア、フランもいる。

 

 霊夢が口を開いた。

 

「で、何が起きてるの?」

 

 紫は珍しく真剣な表情だった。

 

「結論から言うわ」

 

「幻想郷の外側に存在する世界から侵入者が現れている」

 

 魔理沙が腕を組む。

 

「外の世界じゃないのか?」

 

「ええ」

 

「もっと外」

 

「幻想郷とも外の世界とも違う……『狭間の世界』」

 

 その言葉に、ルミノアだけが反応した。

 

「……狭間」

 

 隠岐奈が頷く。

 

「知っているようだね」

 

 ルミノアは少し考え、小さく話し始めた。

 

「……昔」

 

「旅をしていた」

 

「幻想郷の外」

 

「世界と世界の間」

 

 皆が静かに耳を傾ける。

 

「そこで」

 

「一人の男を見た」

 

「空間を……食べる能力」

 

 その場の空気が凍りつく。

 

「食べる?」

 

 霊夢が聞き返す。

 

 ルミノアは頷く。

 

「空間を壊して」

 

「力に変える」

 

「私より危険」

 

 紫が静かに目を閉じた。

 

「やっぱり……」

 

「知っているのね」

 

「名前は」

 

 ルミノアは目を伏せる。

 

「……ゼルヴァ」

 

 その名を口にした瞬間。

 

 ドォォォン!! 

 

 博麗神社の外で大爆発が起きた。

 

「!」

 

 全員が外へ飛び出す。

 

 空には巨大な黒い裂け目。

 

 その中央から、一人の男がゆっくり降り立った。

 

 身長は二メートルを超え、漆黒のマントを纏っている。

 

 銀色の長髪。

 

 赤黒い瞳。

 

 そして、右腕には空間そのものが渦を巻いていた。

 

 男は静かに笑う。

 

「久しいな」

 

「ルミノア」

 

 ルミノアの瞳が揺れる。

 

「……ゼルヴァ」

 

 レミリアが驚く。

 

「この人が……」

 

 ゼルヴァはゆっくり歩き出す。

 

「五百年」

 

「逃げ続けたな」

 

 ルミノアは一歩も動かない。

 

「……逃げたんじゃない」

 

「離れただけ」

 

「同じことだ」

 

 ゼルヴァは笑みを浮かべる。

 

「お前は私の後継者になるべき存在だった」

 

「その空間を司る力」

 

「私が完成させてやる」

 

「断る」

 

 即答だった。

 

「私は」

 

「私の力は」

 

「誰の物でもない」

 

「そして」

 

 ルミノアは少しだけ後ろを見る。

 

 そこにはレミリアとフランがいた。

 

 不安そうに、それでも姉を信じて見つめている。

 

 ルミノアは静かに前を向く。

 

「私は」

 

「この子達の姉」

 

「だから」

 

「帰る場所を守る」

 

 ゼルヴァは少しだけ笑みを消した。

 

「家族か」

 

「くだらない」

 

 その一言に。

 

 レミリアの目つきが変わる。

 

「くだらないですって?」

 

 フランも翼を広げる。

 

「お姉ちゃんを悲しませる人は嫌い!」

 

 魔理沙は八卦炉を構えた。

 

「私たちもいるぜ」

 

 霊夢も御札を構える。

 

「幻想郷で好き勝手させない」

 

 咲夜はナイフを構え、美鈴は拳を握り締める。

 

 パチュリーの周囲には七色の魔法陣が展開される。

 

 紫と隠岐奈も静かに前へ出た。

 

 ゼルヴァは周囲を見回し、小さく笑う。

 

「なるほど」

 

「全員で来るか」

 

「面白い」

 

 その瞬間。

 

 ルミノアの肩へ、レミリアがそっと手を置いた。

 

「お姉ちゃん」

 

「今度は一人じゃない」

 

 反対側にはフラン。

 

「私たちも一緒!」

 

 ルミノアは二人を見て、小さく微笑んだ。

 

「……うん」

 

「ありがとう」

 

 その笑顔は、紅魔館へ帰ってきてから一番優しく、温かなものだった。

 

 そして──。

 

 幻想郷最強クラスの者たちと、空間を喰らう王・ゼルヴァ。

 

 決戦の火蓋が、ついに切って落とされようとしていた。

 

 ──8話へ続く。




空間を喰らう王・ゼルヴァとの決戦の火蓋が切られようとしていた
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