仮面ライダーギーツ・ZERO 〜ACEを継ぐ者〜 作:名も無きホロウエージェント
〜ヤヌス区某所 廃工場〜
六分街を離れて数時間後、エースはヤヌス区の何処かにある廃工場の中に居た。エースは自身の目の前に古いドラム缶を数十本並べ、練習の準備をしていた。
エース
「よし、始めるか。」
『DESIRE DRIVER』
準備を終えるとエースはデザイアドライバーを装着。更にドライバーの中央に赤い狐が刻印された白い丸型アイテム、《仮面ライダーギーツコアID》をセットする。
『ENTRY…』
ウィーン、ガチャン!
コアIDをセットして直ぐ、エースはドライバーから出現した黒いスーツに身を包み、メットとマフラーを装着。エースは仮面ライダーギーツ《エントリーフォーム》に変身した。
ギーツ
「先ずはコイツだ。」
ギーツはピンク色のハンマー型スイッチが付いた小型バックル《ハンマーレイズバックル》を取り出しドライバーの右側にセット。上からハンマー型スイッチを押しバックルと起動した。
『ARMED HAMMER』
起動して直ぐギーツの右側に「HAMMER」の文字とハンマーのマークが出現。文字とマークはピンク色の短柄ハンマー武器《レイズハンマー》となってギーツの右手に装備。更にギーツの右肩と右胸にアーマーが出現し、胸アーマーにピンク色のハンマーのマークが出現。ギーツはエントリーフォームから《アームドハンマー》に変身した。
ギーツ
「何だかちゃっちぃなぁ…まぁいい、ハンマーだけに試し打ちだ!」
『READY…FIGHT!』
ギーツはボヤきながらもレイズハンマーを構え、目の前のドラム缶に勢い良く叩き付けた。
バコーン!
すると、叩き付けられたドラム缶は物凄い音をたてて大きく凹んでしまった。
ギーツ
「…見かけによらず凄いな、コレ。」
と、思わず言葉を失ったギーツ。今度は水色の蛇口型スイッチが付いた小型バックル《ウォーターレイズバックル》を取り出しドライバーの右側にセット。蛇口型スイッチを回しバックルを起動した。
『ARMED WATER』
起動して直ぐギーツの右側に「WATER」の文字と蛇口のマークが出現。文字とマークは水色の水鉄砲武器《レイズウォーター》となってギーツの右手に装備。胸アーマーのマークが水色の蛇口に変わり、ギーツは《アームドウォーター》に変身した。
ギーツ
「なるほど、水鉄砲か。威力は如何なほどか?」
『READY…FIGHT!』
ギーツはレイズウォーターを構え、ドラム缶に向けて放水する。が…
バシャッ!チョロチョロチョロ…
水が勢い良く出たのは一瞬のみで、その後はチョロチョロと出てくるだけだった。
ギーツ
「あれ?水圧が全然足らないぞ?」
ギーツは試しに蛇口型スイッチをもう一度回し、必殺技を発動してみる事にした。
『WATER STRIKE!』
ドバアアアァァァッ!!
すると、先程とは比べ物にならない程の大量の水がレイズウォーターから放たれた。ギーツは慌ててドライバーからバックルを引き抜き、アームドウォーターを解除してエントリーフォームに戻り強制的に水を止めたが、既に辺り一面は水浸しとなり倒れて流されたドラム缶が散乱していた。
ギーツ
「威力が極端過ぎるだろお前…」
ウォーターレイズバックルに対してツッコミを入れるギーツ。その後ドラム缶を片付け、今度は黄緑色の弓型スイッチが付いた小型バックル《アローレイズバックル》を取り出しドライバーの右側にセットしようとしたその時…
《CAUTION!CAUTION!》
突然、スパイダーフォンから警告を知らせる音声コールが響いた。
ギーツ
「警告?いったい何があった?」
ギーツはスパイダーフォンを手に取ると、画面にはアキラとリンが居る工房の現在の様子が映されていた。だが、工房では何やらトラブルが起きている様だった。
ギーツ
「ビデオ屋の工房のライブ映像?まさか、パソコンのライブカメラをハッキングしたのか?…っていうか、アキラ達は何をしてるんだ?」
ギーツはドラム缶の上で腰を下ろし、工房内の様子を伺うことにした。
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〜Random Play店内 工房〜
一方、エースに見られている事に気付いていないアキラとリンは、エラーを吐いたH.D.Dシステムの緊急調整を行なっていた。だが、色々試してみもののパソコンの画面にはエラーの表記が出たままだった。
リン
「ダメだぁ、一通りやってみたけど全然繋がらないよぉ…」
アキラ
「妙だな?本来H.D.Dの技術は、ホロウの活性に左右されないのに。いや、今はニコ達の方が気掛かりだ。H.D.D以外にホロウ内部と通信する手段は無いし、いくらエーテル適応体質と言えど長くホロウに居続けるのは危険だ…」
リン
「こうなったら…残る手段は1つ!再起動!」
リンは電源ボタンを長押しし、強制終了による再起動を試みようとした。だが、強制終了した筈なのにパソコンの画面には未だエラー表記が出ていた。
リン
「あれ?強制終了したのに、何で画面は点いたままなの?」
アキラ
「まさか、原因は外からか?」
『フッフッフ…』
突然、画面から自分達とは違う誰かの声が聞こえてきたと思うと、エラー表記がヘッドホンをした幽霊らしきアイコンに姿を変えた。
???
『何だ、伝説のプロキシといってもこの程度か?永遠に気づかないと思っていたぞ、パエトーン。』
アキラとリンは一瞬驚いたが、直ぐに落ち着きを取り戻した。
アキラ
「お前は誰だ?何のつもりでこんな…」
???
『貴様らに質問をする権利は無い。いいか、よぉく聞け?見ての通り、このシステムは既に私が掌握した。私の要求は至って簡単、金庫の暗証番号をこっちに寄越すんだ。』
アキラは黙り込み、その横でリンがシステムの主導権を取り戻そうとキーボードを操作するが…
???
『おい、こっそりやれば見つからないとでも思ったか?』
どうやら二人の行動は相手に見えている様だ。
???
『悪足掻きは止せ。こちらの堪忍袋の尾が切れる前に、金庫の暗証番号を寄越すんだ。』
リン
「金庫の暗証番号?生憎だけど、何の事か全然分からないなぁ?」
???
『フンッ、往生際が悪いとはこの事か…ならば事の重大さを再認識させるまでの事。現在私の支配下にあるこの設備は、貴様らにとって非常に大事なモノらしいな?』
アキラ
「ちょっと待て、まさか!?」
???
『そのまさかだ。私がその気になれば、貴様らが護るモノなど一瞬にして無意味な0と1に分解されるのだよ?』
画面の向こうの人物がそう告げた途端、工房のパソコンが突然フォーマット処理を開始した。
リン
「そんな!αデータステーションが…」
???
『これで分かっただろう?そいつの運命は私の手の内にあると言う事だ。今回処分するのは一部だけにしておこう。貴様らの顧客は敵に回してはいけない存在を敵に回し、手を出してはいけない物に手を出した…貴様らが「シルバーヘッド」のメモリディスクから、金庫の暗証番号を入手している事も知っている。よく考えて答えた方が良いぞ?』
リン
「コイツ…!」
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〜ヤヌス区某所 廃工場〜
その頃、アキラ達とハッカーのやり取りを見聞きしていたギーツは…
ギーツ
「まさかビデオ屋がハッキングを受けたのか!?しかもH.D.Dシステムを人質に…だが、この様子だとハッカーもアキラ達も、俺がさっきのやり取りを見聞きしてる事には気付いてない。今のところ自由に動けるのは俺だけって事か…」
ギーツは中継画面を閉じ、スパイダーフォンにニコの電話番号を入力。
ギーツ
「コイツならホロウの中と通話出来るかも知れない。試してみるか…!」
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〜クリティホロウ内 某所〜
その頃、ホロウ内の邪兎屋一行は大量のエーテリアスと交戦していた。
ニコ
「ちょっとプロキシ!この道で大丈夫なの!?」
ニコは戦いながらイアスに声をかけるが、イアスは応答せずただただ歩くだけだった。
ビリー
「店長、いったいどうしたんだ?ずっと黙って歩くばっかで、戦闘を回避する気も無さそうだけどよ…」
アンビー
「もしかして、ニコが着手金を支払う前に値切ったりしたから怒ってる?」
ニコ
「んな訳無いでしょ!?でも、ホロウに入った時から全然ガイドしてる様には見えない…まさか、外でトラブル?」
プルルルル…プルルルル…
突然、ニコのスマホが鳴り出した。
ニコ
「えっ、こんな時に電話?」
ニコはスマホを取り出し、恐る恐る電話に出た。
ニコ
「もしもし?」
ギーツ
『ニコ、聞こえるか!?』
電話に出ると、ガーガーとノイズが混じったギーツの声が聞こえてきた。
ニコ
「その声、まさかエース!?」
ギーツ
『マジかよ、ホントにホロウの中と繋がったのか!?』
ニコ
「ホロウの中とって、あんた何処から掛けてるのよ?」
ギーツ
『そんな事より、今そっちはどんな状況だ?イアスはどうなってる?』
ニコ
「アタシ達は今、全力でエーテリアスの相手をしてるとこ。プロキシは、プロキシのボンプはどういう訳かずっとだんまり決め込んで歩いてる。」
ギーツ
『やっぱりな…ニコ、これから俺の言う事をよく聞け。あと、あまり驚くなよ?』
ニコ
「わ、分かったわ…」
ギーツ
『今ビデオ屋は何者かのハッキングを受けて、H.D.Dシステムを人質に取られちまったんだ。そのせいで、アキラはイアスと繋がる事が出来なくなった。』
ニコ
「ハッキングを受けたですって!?じゃあ、今プロキシのボンプを動かしてるのって…?」
ギーツ
『ビデオ屋を襲ったハッカーで間違い無いだろう。どうやらハッカーの目的は、アキラ達が持っている例の金庫の暗証番号らしい。オマケにビデオ屋での行動はハッカーに筒抜けで、アキラ達は下手に動けないで居る。だが、偶然にも俺はハッキングを受けるより前に野暮用でビデオ屋を離れてたから、俺の存在はハッカーに知られてない筈だ。ニコ、俺も今からクリティホロウに向かうが、この電話の事は絶対に誰にも言うな。相手はお前達のホロウでの行動も把握してる可能性が極めて高い。万が一この電話の事がバレたら…』
ニコ
「分かった、外の事は知らないふりしてやり過ごしてみるわ。あと、助けに来てくれるなら出来るだけ早くお願い。こっちはもう安全活動時間を3回も過ぎてるから、これ以上の長居は危険なの。」
ギーツ
『OK、全速力でそっちに行くからな。待ってろよ!』
プツッ…
一通り話し終えるとエースは電話を切り、ニコはスマホをポケットに仕舞い、イアスを追いかけた。
ニコ
(頼むわよ、エース!)
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〜ヤヌス区某所 廃工場〜
一方、ギーツは電話を切って直ぐデザイアドライバーの右側にブーストレイズバックルをセット。
『SET…』
セットして直ぐギーツの右側に「BOOST」の赤いロゴが現れ、そしてグリップを捻りバックルを展開。
『BOOST』
ウィーン!ガチャン!
ロゴは左右の前腕にマフラーがある赤い上半身アーマーに姿を変えエースと合体。ギーツはエントリーフォームからブーストフォームに姿を変えた。
『BOOSTRIKER』
更に赤いオートバイ《ブーストライカー》を召喚。
ギーツ
「待ってろよ、ニコ、ビリー、アンビー!」
『READY…FIGHT!』
ギーツはブーストライカーに乗り込み、全速力で廃工場を後にしクリティホロウに向かって走り出した。
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〜クリティホロウ内 某所〜
クリティホロウの邪兎屋一行は、絶えず現れるエーテリアスの群から逃れるため物陰に隠れていた。
アンビー
「エーテリアスの群は、まだ直ぐそこに居る。」
ビリー
「まるで、家賃を取り立てに来た大家さんみたいだ…」
ニコ
「プロキシ、早く正気に戻りなさい!でないと永遠に借金を回収出来なくなるわよ!?」
アンビーとビリーが慎重に外の様子を確認。ニコはエースの指示通りハッカーに悟られない様、外で起きてる事を知らないふりをしてイアスに呼び掛けていた。すると…
アンビー
「静かに、何か来るわ。」
アンビーが何かの接近に気付いた。
ビリー
「新手の化け物か?」
アンビーとビリーが物陰から慎重に外を見ると、青い戦闘服に身を包んだ武装集団が居た。
アンビー
「エーテリアスじゃない。アレはホロウ調査チームよ。」
ビリー
「調査チーム?なら超ラッキーじゃねぇか!?調査協会の連中ならきっと、キャロットを持ってる筈だ。助けを求めれば、一緒にホロウから出られるかもしんねぇぞ?」
ニコ
「バカ言ってんじゃないわよ!アイツらは治安局の仲間でしょ?アタシ達はホロウレイダーなんだから、仮に一緒にここから出ても最後は逮捕されちゃうわ。」
ビリー
「確かに俺達だけならそうだが、コイツも一緒なら…な?」
ビリーはイアスを指差した。
ビリー
「覚えてるか?治安局の政策で、プロキシを突き出せば手柄として減刑してもらえるってヤツ。」
アンビー
「今の状況から考えると、ビリーの提案は実現出来る可能性が高いわ。プロキシ先生の身柄と引き換えに私達の安全を取るか、引き続きここを彷徨いながらボンプが治るのを待つか。」
ビリー
「ニコの親分、別に無理強いはしない。親分がどんな選択をしようと、俺達は従うぜ?」
ニコはイアスを見て考えた。ビリーとアンビーの言う通り、自分達の安全を優先するのであればイアスを調査協会に引き渡すのは決して悪い判断ではない。だが、二人と違って彼女はアキラ達が外で戦っている事、エースが自分達の所へ向かっている事を知っている。今この状況で自分達の安全を優先する事は、彼らに対する裏切りにも等しいであろう。
ニコ
(プロキシが外で一生懸命頑張ってるってのに、プロキシの身柄を治安局に売ってアタシらだけ逃げるなんて、そんな裏切り行為が許される訳無いじゃない…!大丈夫、時期にエースが助けに来てくれるわ。もう少しの辛抱よ!)
ニコはイアスを抱き抱え、調査チームに気付かれない様その場から静かに移動した。ビリーとアンビーも同様にニコの後に続いた。