「600ドル?」
マユルは思わず素の声で聞き返した。
ガラクタ市場の北、Eゲートの大型貨物エレベーターのそば。「リグオフ」は大物のスクラップ部品を手広く扱う店だ。シャオの折りたたみ机には載りきらない代物、たとえば前回のボムランチャーや、今日の採掘ドリルのようなものは、こういう間口の広い店に持ち込むしかない。
ヘッドマウントディスプレイを被った店主はマユルが出した資料を一瞥すると、気の毒そうに肩をすくめた。
「状態は文句なしだ。完動品。だがな、事故船から出てきた中古のロックドリル単品なんざ、ケレスじゃ誰も欲しがらねえ。」
しゃべりながら、HMDの前で何やら指を動かしている。「外」で整備ドローンを操縦しているのだろう。
「一世代前のモデルだろ? ちょうど同型機を壊した採掘屋がフラッと現れるのを、半年でも一年でも待つことになる。倉庫で寝かす間の場所代もウチ持ちだ。在庫リスク込みなら、600が精一杯だよ。」
「……そっか。時間を取らせたね。」
目算「6,000ドルは下らない」と踏んだ品が、一桁低い査定になってしまった。
だがおそらく、この店主の言い分は正しい。中古採掘ドリルというのは売り手も買い手も少ない「薄商い」。たまたま需給が噛み合わなければいつまでも値が付かない。店主はその「待ち時間」のコストを見越して買い叩いているだけだ。しょうがない。そして残念ながら、マユルには自力で買い手を見つけて相対取引するような営業力などない。
手札が悪い。
こういうとき、選べる手は二つ。安値で手放して降りるか、もう一枚引きにいくか。
ドミトリーのある下層階。トイレの先の角を曲がって、地下の网吧《WAN-bar》「ソンガナガラム」に潜り込む。
個室ブースの並ぶネットカフェで、太い専用回線でIPNCに繋がり、人の気配がないことを確認する。込み入った調べ物や、人目をはばかる相談には、こっちの方が向いている。
ブースに収まってブラックティーのボタンを押し、マユルはプルメリアを呼び出した。
「ドリル単品だと売れない。でも捨てるには惜しい。さあどうしよう。」
『旧式とはいえ一世代前ですし、パーツ取りに回すという手もありますよ。』AR視界の隅でインクのしずくが揺れた。『大型モーターは常にニーズがありますし、ドリルは素材のモリブデン鋼自体重宝されます。解体すれば、もっと流動性のある商品にできるでしょう。』
「……流動性、ね。」
プルメリアが言うのは、そこまでだ。このバディAIはシンギュラリティ社の市販品をマユル仕様へ調整したもので、あくまで合法な範囲の発想しかできない。
だが、マユルはもっと「自由」な頭を持っている。
これまでマユルは宇宙船のパーツを引っ剥がして売っていたが、一番儲かるのは「宇宙船そのもの」を売買することだ。
車のシートやハンドルなんかを中古で買いたがる人はそうそういないが、中古車なら売れる。あと、中古のカーナビも売れる。
中古パーツを活かせるのは畢竟《ひっきょう》業者だけであり、その分査定額も低くなる。多種多様なパーツを正しく鑑定するにも技術と知識が必要だ。
だが、宇宙船の形にしてしまえば、動かせばスペック表が出るのだから誰でも取引できる。最終消費者が買い手になり得る。「すぐに使える」ことには価値がある。
今回だって、「ドリル」単品に流動性がなくても「中古採掘船」には流動性がある。ちゃんと動く採掘船を組み立てて市場に乗せてしまえば、まとめて現金に化けるだろう。
ただし、合法にリノベーションしようとすれば、パーツ代だけで利益が消し飛ぶ。割に合わせるには、どうしても「裏」の調達が要る。
ゴールファミリーの下働きをしていた頃に、嫌というほど見てきた手口がある。
ガワが無事なスクラップを合法に取得して「ベース」にして、よそのスクラップから「違法サルベージ」で抜いたパーツを「移植」して、いかにも合法・完動の中古船に仕立てて売り抜くというものだ。
やり口は理解している。だが、完全に違法でありリスクが大きい。
…これは賭けだ。ブラックジャックでいう「ヒット」。降りずに、手札へもう一枚を重ねて引く。
当たれば大きい。だが引きすぎてバーストすれば、つまり手が21を超えてしまえば、全部パア。この場合のバーストとは、エンフォーサーに首根っこを掴まれることだ。
マユルはプルメリアのアプリをそっと閉じた。シンギュラリティ社はRSD社とあまり仲が良くないとはいえ、「犯罪計画」をバカ正直に話してログに残すのもバカらしい。
計画は、マユルの頭の中だけにあれば良い。
リスクがあるなら、リスクをできるだけ抑えれば良い。
バディAI無しでRSDのサルベージ権マーケットを開き、条件で絞り込む。「採掘船」「船体とハッチが無事」「ケレスから遠い」。
ヒットしたのは、海賊に襲われて放棄された「コバルトローズ」号。サルベージ権、16,400ドル。
先日の射殺事件の件のバウンティに、これまでコツコツ貯めた分を足して、22,000ドルちょい。この船を買って諸経費と中古コンソール代まで見込めば、口座はほぼ底をつく。当たらなければ破産の、完全な博打である。
作業にどれだけかかるかは、やってみないとわからない。早ければ20時間、こじれれば90時間。睡眠を除いて、それくらいの幅を見ておく。
そこで、推進剤の水を多めに、固定用の長尺ワイヤーを12本、それに小型の携帯トイレと、排泄物を瞬時に固める「トイレ砂」を買っておく。
なお、「トイレ砂」には裏の用途がある。万一どこかで身体を傷つけて血を流したら、あの粉で固めて回収するのだ。無重力でばら撒いた血の玉は、放っておけば立派なDNA証拠になる。裏の仕事をするなら、自分の落とし物くらい自分で拾えなくてはいけない。
採掘船スクラップ「コバルトローズ」号は、ケレスから距離15,000kmの宙域を漂っていた。
買った採掘船に取り付いて、外観を検《あらた》める。やはり、コンソールもバッテリーも空気ポンプもスラスターもきれいに抜き取られていた。船として価値のある臓器は、ほぼ持ち去られている。残っているのはガワとかさばる部品だけ。
船体には大きな四角い穴が空いているが他に大きな傷はなく、ハッチのロックも生きていて、何より船尾の採掘コンテナは無傷だった。掘った鉱石をぎっしり詰める、コンベア付きの頑丈なハコ。デカいがその分値が張る品で、サルベージ権が高額だったのもコレが残っていたのが理由だ。
マユルにとって理想的なガワだ。抜かれた臓器は、こちらで「移植」してやればいい。
剥ぎ方を見れば、下手人の見当はつく。これは火星系の海賊だろう。
連中のやり口は荒っぽい。ドローンポッドや、戦闘用のフィジカル・アバターを叩きつけ、壁ごと切り裂いて押し入る。ポッドのDelta-Vは獲物の宇宙船よりずっと高いから、見つかった時点で逃げ場はない。問答無用で横付けされ、積荷や乗員の持ち物、高価な部品を抜かれ、ガワだけ残される。この船のように。
そういえば今更ながら、ヤネズの船を焼いた連中は本当に海賊だったのだろうか?海賊がEMPを使うなんて聞いたことがない。一番の金目であるコンソールごと黒焦げにしてしまうのだから、本末転倒もいいところだ。……最初から、「奪う」気がなかった?
マユルは合法に買ったこの採掘船を、ヨンコイチで曳いてケレス周回軌道へ"落とす"コースに乗せる。12本のワイヤーで多点固定するのは、重心の外れた一点曳きだと、曳いた拍子に回転モーメントが生まれるからだ。船体が壊れてしまわないように、ゆっくり加速度をかける。慣性の法則は誰にでも平等で、いったん速度を与えてしまえば、あとは放っておいてもケレスへ向かって落ちていく。
次は、パーツ集めだ。
まだ目標まで距離があるうちに、マユルは近くのアステロイドの陰にいったん船を寄せ、岩塊を盾にしながらヨンコイチのトランスポンダーを切った。「
ここからは、RSDの監視衛星に動きを記録させない。とはいえヨンコイチにステルス性能は無いので、レーダー反射や光学観測で見つかったらお手上げである。
「部品取り」に使うスクラップはあらかじめ目星を付けてある。例によって、他のサルベージャーが狙わないような遠くて小さい、高価な部品がなさそうなやつだ。
監視衛星の位置を常にコンソールに表示しながら、アステロイドの影で減速の噴射。最後は慣性だけでヤングァン号Bに近づく。
そうして、へし折れ引きちぎられたような形をした箱からスラスターモジュールを切り出し、残った推進剤タンクを引っこ抜いた。
問題は帰路だ。言うまでもなく、無灯火状態でピアッツィ・ベースに近づけば即御用となる。かといって、ヤングァン号Bの近くでトランスポンダーを点けたら違法サルベージがバレバレだし、スラスターを噴くと観測されやすい。
ではどうするか?マユルは自分の腰に巻いたワイヤーをギュッと握りしめると、ヨンコイチとヤングァン号Bの間に入って、EVASのパワーアシストを入れて両足で思いっきり壁を蹴飛ばした。これでなんと、両者の間に秒間2mの速度が付いた。「床」の位置にあったヤングァン号Bがぐんぐんと離れていくのを見ながら、マユルはヨンコイチのハッチに戻って、抜けた空気を補うべくシリンダーから酸素と窒素を吐き出させた。かさばるEVASを脱いで水を飲み、「これだけ!ソイチキングリーンカリー」のレーションをかじると、なんだかんだ30分超の時間が経っている。ヤングァン号Bはまだ目視可能だが、距離は4km離せた。ここからスラスターを噴かせれば、多少は見つかりにくくなるだろう。
宇宙船のカーボン壁は、存外軽い。というより、軽い素材だからカーボンが使われている。ヤングァン号Bの場合は既に真っ二つだし、さらにスラスターも推進剤も外してあるから、質量は250kgちょい程度のハズだ。マユル6人分だから、EVASのモーターだけで動かせる。
ちなみに、ヨンコイチの壁材も同じものだ。こんな薄くて軽い壁で、真空の宇宙と0.9気圧の空気とを隔てているというのは、冷静に考えるとかなり怖い話だ。
ピアッツィ・ベースで空気を交換し、慣性航法で仮眠を取ってから。次の獲物はスクラップ2163F08A、S級連絡艇「セレーネ号」。4ヶ月前のアステロイド衝突事故で、操縦席ごと前部をもがれたまま、低速で漂流していた一隻だ。
サルベージ市場でのパーツの序列は、質量・容積比の価格で決まる。コンソール、武装系、バッテリー、ポッド類、気体類、スラスター、ポンプ、シート等の什器の順で狙うのと相場が決まっている。海賊もサルベージャーも、まず狙うのはコンソール。海賊はこれに加えて積荷と搭乗員の持ち物も狙う。マユルとて普段は、コンソールを最優先で狙う。
ただし今回は違法サルベージ。海賊とは違って正規ルートの中古船に載せようというのだから、シリアルナンバーだのブラックボックスだのが残ったコンソールを扱うわけにはいかない。盗む側の真のコストはお金ではなく「足が付くこと」だ。だから、序列の二位から順に「残っていそう」なサルベージを探した。監視衛星の目が薄い遠方で、目立ちにくい小型船。その中で、状態が良いフネを頂く。
特に狙うのが、バッテリーが残っているサルベージだ。バッテリーは無事ならコンソールに次ぐ高値の部品だから、生きているものは海賊もサルベージャーも真っ先に剥がしていく。そこで、前部や上部のコンソールが吹き飛んだ衝突スクラップを探した。中~後部に搭載されたバッテリーは、衝撃さえやり過ごしていれば無傷で残っている公算が高い。
例によって近くのアステロイドの裏に身を隠して無灯火へ。しばらく観測。監視衛星のスケジュールの穴を突き、視界に入っていない数十分を狙ってセレーネ号にそろりと取り付く。
引きちぎられた断面からそのまま中へ入る。後部のメインバッテリーは型番LF-S-3700A。衝撃吸収のカーボンマウントが効いていて、見たところ無傷の完動品。わざわざセルを組み直す手間もない。
空気ポンプも標準規格。ケレス経済圏ならどの船にもそのまま付く。
そしてもう一つ。マユルは壁面のパネルを次々と剥がし、内張りの裏を走る配線群を根本から引き抜いていった。長く、太く、絶縁の良い、銅芯の電力ケーブルだ。サルベージ権8,400ドルのセレーネ号は、宝の山だった。
ピアッツィ・ベースに戻って空気を入れ替え、ついでにジャンクヤードで中古コンソールを物色する。SMS社"ナビコム"NC-7。Sサイズ汎用船舶向けの中堅クラスで、お値段は9,200ドル。値切ろうとしてもピクリとも動かなかった。地球製のAPUはケレスでは貴重品なのだ。ともあれ、コンソールだけは合法ルートで仕入れた。コバルトローズで「唯一」足りなかったパーツということになろう。
ヨンコイチのコンソールからコバルトローズ号をターゲットに入れて、軌道計算ウィンドウを開く。
コバルトローズ号は現在、ケレス周回軌道侵入予定点まで残り86時間。スラスターも何もない裸の船体は、慣性のままケレスへ「落ち」続けている。マユルが噴射でコース修正を間に合わせなければ、ケレスの重力井戸に突っ込んでいってしまう。放っておいたら、ピアッツィ・ベースの対空砲で「お星さま」になりかねない。
ランデブー成立は残り80時間の時点。コバルトローズに横付けしてドッキングし、回収したパーツとケーブル、コンソール一式を、空っぽの操縦室に運び込んだ。
ここからの作業は、ほぼすべてが電気工事である。
このままコンソールを載せてケーブルを繋いでも動かない。バッテリーから操縦席へ走るはずだったメインバスは、海賊によってぶった切られてしまっている。幸い船体の残りの部分の電気系統はそのまま残っているので、ここに採掘ドリル、スラスターモジュール、空気ポンプ、その他「電気を食う」機材をすべて繋ぎ直す。
四角い穴を塞ぐようにカーボン壁を溶接したら、その船内側のパネルを外して、セレーネ号から抜いてきた銅芯ケーブルを壁面に沿って通していく。切れてしまった古い線を抜き、新しい線を通し、要所に分電盤代わりの端子台を打ち付ける。圧着端子をかしめ、熱収縮チューブで絶縁し、絶縁抵抗計で導通と漏電をチェック。簡易のヒューズボックスも組む。
EVASのパワーアシスト付きの太い指は、こういう細かい作業には向かない。が、マユルは事前に「外科手術モード」用のマイクロマニピュレータをアタッチしてきた。これでなら、指先サイズの圧着工具やドライバーが扱える。ヘルメットの拡張表示には、プルメリアに描かせた「汎用採掘船の標準配線リファレンス」を貼り付けてある。
スラスターはモジュールごと挿入し、ネジ止めした上で硬化樹脂を注入する。空気ポンプの方は規格通り、ケーブルを繋いでマウントするだけだ。
バッテリーも「ポン付け」。S型のバッテリースロットにS-3、ピッタリ。
最大の難関はドリルの結線だった。船底マウントに固定し、コントロールラインと電源ラインを別ルートで取り回し、ノイズ対策のフェライトコアを噛ませて、最後に冷却ラインまで通す。
閉め切った気密室で長時間ぶっ通しに働くと、二酸化炭素がじわじわ溜まる。あくびが止まらなくなったら、汚れた空気を捨て、シリンダーから入れ直す。残時間ウィンドウの数字を睨みながら、ピアッツィ・ベースとのコミュニケーションウィンドウに時折目を向ける。
携帯トイレは、期待以上の発明品だった。「トイレ砂」が水分を瞬時に固めてくれるおかげで、無重力でも惨事が起きない。これを思いついた誰かに、マユルは心から感謝した。
ピアッツィ・ベースのイエローゾーンまで残り3時間の時点で、最後の継ぎ目が緑に変わった。マユルはバッテリーの主電源を入れ、NC-7のインジケーターが順に点灯していくのを見守る。
ブートシーケンス、正常。各種診断、オールグリーン。
ツギハギの「コバルトローズ号」が、れっきとした完動の中古採掘船として「起動」した。
タイマー残り2時間21分。マユルは新調したスラスターに点火指令を送る。淡い青の噴射が、計算通りの方向と推力で吹き出した。
噴射を止める頃には、コバルトローズ号の速度はケレスの重力と釣り合い、安定した周回軌道に乗っていた。
ヨンコイチでピアッツィ・ベースに戻ってきたマユルは、プルメリアのアプリを立ち上げてこう言った。
「いやあ、ずいぶんラッキーだったよ。コバルトローズ号は、コンソールとドリル以外は完品だったんだ。」
プルメリアはこう応える。
『52時間ぶりですね、マスター。』
「そりゃあそうさ。ピアッツィに引き返してタワー・デポットでコンソールを仕入れて、接続作業までやって。2往復もするハメになったんだから。」
『それはお疲れ様でした。今後のためにも、オペレーション・ログなど見せていただければ?』
「いやぁ、ただの往還航行だからねー。やめとくよ。」
『左様ですか。……マスターがご契約のシンギュラリティ・レンタル・インテリジェンスサービスはアドバンスド・プランですから、利用規約で情報プライバシーが強力に守られています。今後はぜひ、ご一考を。』
「……まあ、インフラが整ったらねー。」
プルメリアと話がついたので、いよいよ出品の準備にかかった。
再度ヨンコイチで飛び立つと、完成した採掘船を隅々まで3Dスキャンし、全系統のテストログを添付する。説明文はプルメリアに書かせた。完動の採掘ドリル一式付き、船体・ハッチ・採掘コンテナ良好。嘘は一文字もない。来歴を書いていないだけで。
現物を見たい買い手のための「内見」も受け付ける。ただし冷やかし除けに、手数料は300ドル。
インプラネット上の中古船オークションに、72時間・即決価格20万ドルで出品した。
入札は、思いのほか伸びた。
木星圏のテラフォーミング景気で、掘れる船はどこでも欲しがられているらしい。即決の20万には届かなかったが、3日後のクロージングまで、札は競り上がり続けた。
落札額、15万6千ドル。
マユルはしばらく、その数字を眺めていた。
手札が悪いと見るや、降りずにもう一枚引きにいって、引き当てた。あのまま降りていれば600ドル。引きすぎて21を超えていれば、鉱山送りか、もっと悪いことになっていた。
即決の20万、つまりブラックジャックには一歩届かなかったけれど、20で上がれば御の字だ。欲を出して次の一枚に手を伸ばさないのが、長く卓に着く秘訣である。
「……ギャンブルにハマる人の気持ちが、わかったような気がするよ。」
紅茶のおかわりのボタンを押しながら、マユルはひとりごちた。
『おめでとうございます、マスター。』プルメリアがAR視界の隅で、ちょこんとお辞儀をする。『勝ち逃げは、賭け事でいちばん難しい技術だそうですよ。』
「わかってるって。」
マユルは笑って、湯気の立つカップに口をつけた。
口の端が、どうにも下がらない。過去最高の、ホクホク顔だった。
Claude君にSF考証を任せると良い感じです Sonnetだとわりとダメですが、Opus5.0だと良い提案を出してくれます