「怪獣を召喚した!?」
μ地球には本来そこに生きる怪獣は確認されていない。稀に外星人が外星から持ち込んだ怪獣が暴れる事件は発生するが、拡声器型デバイスの角醒器オメガホーン・レプリカで怪獣を召喚するというのは初めての事案だ。
「とにかくなんとかしないと。コスモギャバリオン!」
大型宇宙戦艦、コスモギャバリオンに搭乗したヒロユキはギャバンイージスへと蒸着しようとジョーネッツエモルギアをギャバリオントリガーにセットしたが、反応がなかった。
「え?なんで?」
ヒロユキはもう1度ギャバリオントリガーにジョーネッツエモルギアをセットし直すが、やはり反応がない。
今現在、高次元の存在である最高議長によりギャバンシステムが停止させられている事をヒロユキは知る由もない。
「蒸着出来ない?何かしら妨害かトラブルが起きているのか。仕方ない」
何かしらトラブルが起きていると考えたヒロユキはそれでもデマーガの対処のためにコスモギャバリオンで応戦する。
「上層部!コスモギャバリオン、強襲モード認可を求めます!」
『認可する。即時変形開始』
コスモギャバリオンの変形許可は認可され、ヒロユキはロボモードである強襲モードに変形させる。
【ジマンゲーダー】【GC-R】
【アクティベート】
コスモギャバリオンGC-R。ジマンゲーダーGC-Rを頭部ユニットとして人型変形したコスモギャバリオンの形態の1つだ。高出力エネルギーを収束させる砲門のEMOバスターを左腕に装備していて、必殺技のコスモエモーショナルバーストはネガエモルギーによる特殊空間、通称『魔空空間』を消し去る程の威力がある。
「早くあの怪獣を倒して町の被害を最小限にしないと!」
ギルスになっていた女性を渡さなければデマーガが町を破壊し尽くすと言わんばかりに暴れるデマーガ。それを阻止すべくコスモギャバリオンGC-Rは急降下からのドロップキックでデマーガをダウンさせる。
「デマーガ!ぶっ放せ!」
マグマ星人ヨーガンの指示でデマーガは背中から火炎弾を連続で放つ。
「させない!」
EMOバスターから放ったエネルギー弾で火炎弾を撃ち落としたコスモギャバリオンGC-R。するとデマーガは口から熱線を放ちコスモギャバリオンGC-Rに追撃をしてくる。
「コスモエモーショナルバースト!」
必殺技で熱線を相殺しようとしたヒロユキだったが、EMOバスターからはコスモエモーショナルバーストは放たれなかった。
「そ、そんな!?」
デマーガの熱線が直撃したコスモギャバリオンGC-Rは右腕が吹き飛んでしまう程のダメージを受け、操縦席のヒロユキも生身だったために命に関わりそうな程の大怪我をしてしまった。
「ギャバンに蒸着出来てないとコスモエモーショナルバーストが使えないのか・・」
薄れゆく意識の中、ヒロユキのもとにジョーネッツエモルギアではないものが近づいてくる。
『お前を死なせはしない!』
タイガエゴルギアだ。タイガエゴルギアから放たれた光はヒロユキと1つとなると、その傷を癒す。
「へっへっ!銀河連邦警察の奴、動けなくなりやがった」
一方でマグマ星人ヨーガンは動かなくなったコスモギャバリオンGC-Rを見ながら高笑いをする。
「さぁ、邪魔者もいなくなりましたしギルスを回収しましょう」
「そうだったな。おら、大人しく捕まりやがれ」
「嫌!離して!」
ギルスになってしまっていた女性を捕まえたマグマ星人ヨーガンは自分達の宇宙船に連れて行こうとしていた矢先、魔法陣が浮かび上がると、そこからDr.アビスが現れた。
「なんだお前は?」
「私はDr.アビス。マグマ星人ヨーガン。君を我が軍門にスカウトしにきた」
「スカウトだぁ?俺様に目をつけるとはお目が高いと言いたいところだが、俺様は商売でワルをやってんだ。だがお前は違うだろ?ニオイで分かるぜ。お前は俺様よりタチが悪い!」
Dr.アビスを自分よりもタチの悪い悪党だと断言したマグマ星人ヨーガンはデマーガに攻撃を指示する。
「デマーガ!そいつを踏み潰せ!」
「仕方ない。スカウト前の面談をしておこう」
溜め息をついたDr.アビスはマントの内側から拡声器型デバイスの角醒器を取り出す。
「それは角醒器!?ですが色が緑。まさか超古代の本物ですか!?」
「残念ながらこれは限りなく性能を本物に近づけただけの模倣品だ。とはいえ私専用にカスタマイズした代物、さらに我が憧れの御方の名をつけ、オメガホーン・ドゥームと呼ぶことにしている」
オメガホーン・ドゥームにDr.アビスは1つのエゴルギアをセットする。
「覚醒しろ!最恐獣!ヘルベロス!」
Dr.アビスによる大きな声が響くと、大地を割るようにしては赤い鎧に覆われた悪鬼のような怪獣、最恐獣ヘルベロスが出てきた。
「ヘルベロスよ。蹂躙しろ」
ヘルベロスはDr.アビスの指示を受けるとデマーガに鋭い刃が付いている尻尾であるブレードテイルを振るう。その尻尾に刻まれ、貫かれたデマーガは体組織の溶けた鉄を辺りに散りばめる。
「これでチェックメイトだ」
デマーガからブレードテイルを引き抜いたヘルベロスは肘の刃ヘルエッジを振り抜き、半月状の光刃ヘルスラッシュを飛ばしてデマーガを切り裂いた。
「そんな!デマーガ!?」
ヘルベロスによってデマーガが倒されてしまったマグマ星人ヨーガン。彼の角醒器にセットされていたエゴルギアは弾けるように砕けてしまうと、マグマ星人ヨーガンはDr.アビスに右手の魔法陣を向けられる。
「さぁ我が軍門に下るか?」
歴然たる力の差を見せつけられたが、マグマ星人ヨーガンはそれを拒んだ。
「断る!俺様はマグマ星人。ワルにもワルのプライドがあるんだ!」
「そうか。ならば消え去れ」
ヘルベロスの火炎にマグマ星人ヨーガンとマーキンド星人はその身を焼かれそうになった瞬間、太陽のような激しい光とともにその巨人が姿を現した。
真っ白な空間。精神世界やインナースペースとも呼ばれる空間。ヒロユキは目の前に浮かぶタイガエゴルギアと向き合っていた。
『ヒロユキ。これから俺はお前で、お前は俺だ』
「え?えっ!?き、君は?たしか僕はさっき大怪我をして」
『その怪我なら俺が治した』
タイガエゴルギアはインナースペース外、現実でヘルベロスが今にも町とともにマグマ星人ヨーガンの命を奪おうとしている光景をヒロユキに見せる。
『アイツは悪人だ。それでも助けるか?』
「助ける!」
その迷いない答えにタイガエゴルギアは満足そうに反応する。
『俺はタイガ。ウルトラマンタイガ。ヒロユキ、お前の心に強い光を感じた。俺の光とお前の光であの怪獣を倒そう。お前の力が必要なんだ』
「よく分からないけど、君と一緒ならあの怪獣を倒せるんだね」
『あぁ、俺とお前のバディなら!』
「バディ。うん。なら一緒にいこう」
『俺をその銃にセットするんだ。そうすればお前の光で俺が解放される』
【タイガ!】【チャージ!】
「バディ、ゴー!!」
【タイガ!】【アクティベート】
ヒロユキがギャバリオントリガーを空に掲げてトリガーを引くと、ヒロユキは光に包まれてウルトラマンタイガへと変身を遂げた。
「タァァッ!!」
タイガは変身が完了するとほぼ同時に空中で身体を捻らせ回転し、父譲りの回転キックであるスワローキックをヘルベロスへと叩き込む。
「あれはまさか、ウルトラマンか」
「まさかこの地球に現われるとは」
マグマ星人とマーキンド星人はタイガを見上げて、その登場に驚いた反応をしているとDr.アビスも少し驚いたように反応する。
「よもや人間に宿る光と一体化してエゴルギアとなっている身体を再び光に戻すとは。面白いものを見せてくれる」
予想外の行動で再びウルトラマンとしての光に戻ったタイガを見て記録を取り出すDr.アビス。それに気づかないままタイガはヘルベロスに追撃の連続パンチを浴びせていた。
「ダダダダダッ!」
ヘルベロスもただ一方的にやられているわけではなく、ブレードテイルを振るい反撃してくる。その攻撃を後ろに飛び下がる事で回避したタイガに背中のトゲから矢のような光弾の雨を放つヘルエッジサンダーで追撃を仕掛けてきた。
「スワローバレット!」
ヘルエッジサンダーに対してタイガは腕を十字にクロスさせて連続で光弾を放つスワローバレットで応戦。すべてを撃ち落とすとそこにヘルベロスは火球を放つ。
「ハァァ!」
右手のチョップで火球を両断したタイガは胸のカラータイマーが点滅を始めた。ウルトラマンは地球上では三分間しか活動できない。その活動限界が迫ってきたのだ。
「ストリウム!ブラスター!!」
腕をT字に構えて必殺光線のストリウムブラスターを放ち、ヘルベロスに命中する。その威力に耐えられなかったヘルベロスは爆発すると、その撃破を確認したタイガは空へと飛び去っていった。
『どうだヒロユキ!これが俺の力だ!』
光の巨人から元の姿に戻ったヒロユキに半透明かつ人間サイズのタイガが自慢げに語りかける。
「さっきまで僕が君になっていたんだよね?なんか実感がないな。というかエモルギアみたいなそれからホログラムみたいに君が出てるけど」
『ヒロユキの光、エゴで封印の力に穴が空いたんだらうな。この状態だと普通の人間には見えないし、俺の声も聞こえないから安心しろよ』
「そうなんだ。というか封印って?」
『まぁそれは後で説明する。それよりギルスだっけ?超能力を使う人間の方はいいのか?』
「そうだった!」
マグマ星人ヨーガンに攫われそうな女性警察官のもとに急いで戻ったヒロユキ。するとそこには気を失って倒れているマグマ星人ヨーガンとマーキンド星人。そして尻もちをつくようにへたれ込んでいる女性警察官がいた。
「よかった。無事だったんだね」
「は、はいッス。あの後、怪しい緑ローブに鉄仮面の人が怪獣を召喚して、この外星人達が召喚した怪獣を倒してたんですけど、巨人がその怪獣を倒したり色々あって・・・結果的に私達は見逃してもらえたって感じです」
女性に興味を示さなかったDr.アビスはどうやらタイガとヘルベロスの戦闘後に去っていったようで、女性は事なきを得たようだ。
「そういえば自己紹介がまだだったね。僕は工藤ヒロユキ。銀河連邦警察、生活安全課所属。これでも宇宙刑事ギャバンイージスなんだ」
警察手帳型デバイスを提示したヒロユキに対して、女性は驚きながら敬礼をする。
「宇宙刑事ギャバン!?まさかギャバンに助けてもらえたなんて!?って失礼したッス。私は芦川イチカ。長野県警G3部隊所属の警部補です」
G3部隊。対外星人用装備として全国配備されている第3世代型強化外骨格および強化外筋システム【GENERATION-3】を装着し特殊権限で実力を行使できる特殊部隊だ。イチカも長野県警でG3部隊として治安を守っていたのだが・・・。
「とはいえ治安維持部隊の人間がギルスに覚醒しちゃって、人々を危険に晒したとなると、流石にG3部隊にはいられないッスけどね」
本人の意思とは関係ないとはいえギルスとなって民間人を危険に晒した。この事実は変わらないと気にするイチカは上層部がどう判断するにしてもG3部隊にはいられないと考えていた。
「なんなら僕から口添えをしようか?」
「いえ、結構です」
生活安全課とはいえ宇宙刑事ギャバンであるヒロユキが口添えをすればG3部隊に残れる可能性があったのだが、イチカは首を横に振り遠慮した。
「工藤さんに助けられて、新しい目標ができました。G3部隊はその目標を目指すために除籍します」
「新しい目標?」
「はい!銀河連邦警察の捜査官を目指します!」
地球の警察から銀河連邦警察を目指すというのはよくある話ではあるが、簡単な話ではない。一般人が宇宙飛行士を目指すようなものだ。大抵の人は無理な話と笑ってしまうが、ヒロユキはその目標を笑わなかった。
「あの、難しい話だって笑ってもいいんスよ?」
「笑わないさ。それが君の目標。君のエゴなんだろ。ならその目標に向かって頑張ってみよう。合否は別として、うちの部署の本部長に掛け合って推薦状なら書いてもらうよ」
「いいんですか?」
「G3部隊にいたとなると戦闘面の心配はなさそうだしね」
戦闘面のテストはきっとクリア出来ると信じて疑わないヒロユキ。そんな自分を信じてくれるヒロユキの期待に応えるべく、イチカは深々と頭を下げる。
「ありがとうございます!これから頑張って、絶対に銀河連邦警察になります!」
工藤ヒロユキと芦川イチカ。これは半年後に相棒となる2人の出会いの話。
次回 平凡『ドラマチック』