「角醒憑依しろ!シビルジャッジメンター!ギャラクトロン!」
Dr.アビスが角醒憑依で力を宿した怪獣の名はギャラクトロン。白き機械仕掛けのドラゴンのようなロボット怪獣で優れた科学力と魔法を併せ持っている。それを憑依させたDr.アビスは右手を平手にするとビームの刃が生成された。
「イチカ。民間人の避難をお願い」
「了解しました」
【ジョーネッツ!】【チャージ!】
「蒸着」
【ジョーネッツ!】【アクティベート】
「宇宙刑事ギャバンイージス。あなたをエゴルギア密売の容疑で逮捕します」
「銀河連邦警察。いずれはお前達も我が軍門に加えよう。だがその前に力による屈服をさせねばならない。故に『ギャバン』を相手にするのは良きデモンストレーションになる」
銀河連邦警察すらも自分の支配下に置くという強いエゴを持つDr.アビスに対してギャバンイージスは静かに闘志を燃やしつつギャバリオンブレードを構える。しかしDr.アビスの圧倒的威圧感に迂闊に斬りこめば負けると判断したギャバンイージスは中々踏み込めずにいた。
「どうした?来ないのか?ならばこちらから攻めよう」
魔法陣にビームの刃を展開している右手を入れたDr.アビス。するとギャバンイージスの真正面にいきなり魔法陣が展開され、そこからビームの刃が迫ってきた。
「部分的なテレポートか!」
ギャバリオンブレードで咄嗟にビームの刃を受け流したギャバンイージス。しかしビームの刃の出力はギャバリオンブレードを形成するギャバリオン粒子を上回っていたようで、ギャバリオンブレードの刃が欠けてしまっていた。
「ギャバリオンセイバー!」
ギャバリオンブレードを解除してギャバリオンセイバーに持ち替えたギャバンイージスは十字の斬撃をアビスへと飛ばすも、Dr.アビスは魔法陣のバリアでそれを防ぐ。
「1つエゴルギアを所有する相手と対峙した際のアドバイスをしておこう。エゴルギアは使用者のエゴの強さでその強さが変動する。エゴが弱ければ大した力は発揮されず、逆にエゴが強ければ強いほど、エゴルギアに宿る怪獣の力もより強力なものとなる」
「・・・なるほど。それほどまでにあなたのエゴは強いということですね」
「理解が早くて助かるよ」
Dr.アビスのエゴは銀河連邦警察をも取り込む地球の王となること。あまりにも大きなエゴを持っているからこそ、ギャラクトロンのエゴルギアの力もより強力なものになっていると理解したギャバンイージスはこのままでは勝てないと考える。
「策を練ろうとしているな。力の差を理解してなお諦めない精神。実に素晴らしい。私が地球の王となった後の世でもその精神を失わずにいて欲しいものだ」
「まるであなたが王になる未来で僕があなたの下に付いているみたいな言い回しですね」
「いずれそうなる」
自信とエゴに満ちたDr.アビス。そこに執事服の中性的な顔立ちの部下がやってくる。
「我が王、お楽しみのところ申し訳ございません。会談のお時間をお伝えに参りました」
「む。もうそんな時間か。楽しい時間というのは過ぎ去るのが早いな」
戦いの場にやってきた執事服の部下に会談の時間を告げられたDr.アビスは戦いの手を止める。
「すまないなギャバンイージス。かの国との会談が控えているので今日はここまでだ」
角醒憑依を解除したDr.アビスはギャバンイージスに背を向けてこの場を去っていこうとしたのでギャバンイージスはそれを追い掛けようとするも部下に阻まれる。
「ギャバンの足止めはこの赤眼(せきがん)のバトラーにお任せを」
「ウム。任せよう」
赤眼のバトラーにギャバンイージスの足止めを任せたDr.アビスは魔法による飛行で飛び去っていく。
「待て!」
「貴方の足止めはワタクシ、赤眼のバトラーが努めさせていただきます」
角醒器を手にしたバトラーはエゴルギアをそれにセットしてエゴを叫ぶ。
「角醒憑依せよ。奇獣ガンQ!」
巨大な一ツ目が特徴の怪獣、奇獣ガンQを憑依させたバトラーはその左手にリボルバーガンを握ると、その銃口をギャバンイージスに向ける。そしてガンQの力を宿した弾丸でギャバンイージスを攻撃してきたので、ギャバンイージスはギャバリオンセイバーで弾丸を切り裂こうとしたが、弾丸は一撃でギャバリオンブレードを砕いてしまった。
「え?なんで?」
「ガンQは不条理を体現する怪獣。今回は分かりやすく、アンチギャバリオン粒子を再現させていただきました」
「アンチギャバリオン粒子。たぶんその名前の通りギャバリオン粒子の対になる物質なんだろうね」
「理解がお早い。ならば相性の良し悪しはご理解いただけたはず」
「理解はしたさ。だけど犯罪者であるあなた達を見過ごす理由にはならない」
どんな武装もギャバリオン粒子で構成されている都合上『ギャバン』である限り相性問題は覆すことは難しい。武装も装備しても弾丸1発で砕かれ、コンバットスーツもギャバリオン粒子で構成されているため、一発で当たった部分の装甲は砕かれるだろう。ギャバンイージスはそれを理解しているうえでドリル型武装のギャバリオンドリルを手に構える。
「まぁ、無手で挑むよりはマシではありますが、賢い選択ではないですね。まだレーザー攻撃を放てるギャバリオンレーザーや武装で唯一ギャバリオン粒子以外の物質も交えて構成されているギャバリオントリガーといった中距離武装を用いた戦いに持ち込むべきでは?」
「いや、これでいいのさ!」
ギャバンイージスは地面をドリルで掘って土の塊を飛ばす。
「確かにそれならばアンチギャバリオン粒子では打ち消せはしません。しかしガンQはアンチギャバリオン粒子がメインではないのです」
赤い眼を開眼したバトラーに『見られた』土の塊は巨大な目に吸い込まれるように消失する。不条理そのものとも言えるガンQ、その本来の能力は不条理なのだ。
「そんなズルい能力じゃ・・・ギャバリオンレーザーのレーザー攻撃も吸い込んでいたんじゃないの?」
『ヒロユキ。こうなったら接近戦だ!レーザー光線も通用しないし弾丸で武装が破壊されるなら、武装を壊されないよう懐に飛び込むしかない』
接近戦で戦うしかないと判断したタイガに同意したギャバンイージスは手足のバーニアを噴射させた勢いで加速してギャバリオンドリルで特攻する。
その瞬間、イチカの脳内にヴィジョンが浮かんできた。それは超能力による未来予知でギャバンイージスがガンQの力で亜空間に吸い込まれてしまうイメージだった。
「待ってください!」
咄嗟にギルスとなったイチカは触手でギャバンイージスを掴んで引き戻す。
「今、相手の能力で吸い込まれてしまうイメージが見えました。このまま特攻しても負けるだけです」
「ならどうすれば?」
考えるギャバンイージスに対しギルスは提案する。
「私が戦います。超能力も不条理の力。あの力に通用するはずです」
「・・・分かった。任せるよ」
ギャバンイージスはギルスに戦いを任せる。
「お待たせしました。ここからは私がお相手します」
「ほう。ギルスとなっても自我を失わない強き魂。アギトに目覚めかけているのかもしれませんね」
アギト。それは超能力に覚醒した人が魂を研ぎ澄ませることで目覚めるひとつの完成された姿だ。バトラーから見て今のイチカは限りなくそれに近い領域にいるようだ。
構えるギルスは触手をクローへと変質させてまずは銃を破壊しようと突撃する。
「あなた方が警察である以上、武器を狙うのは想定内。ですがガンQの力は武器ではなく憑依先の私にあるのです」
赤眼に睨まれたギルスはまるで金縛りにあったかのように動けなくなる。
「う、動けないッ」
「ギャバンは我が王の未来にも必要なので足止めだけでしたが、ギルスは選ばれし者ではないので、ここで排除しても支障はないでしょう」
ギルスにトドメを刺そうとするバトラーだったが、焦る素振りを見せないギルスの腹部にはベルト型の変身器官であるオルタリングが出現していた。
「もっと。もっとだ。魂を研ぎ澄ませ。目覚めるんだ。力に」
自分に呼びかけて、超能力をより研ぎ澄ませたギルスは光輝くと、その姿をより洗礼された戦士へと変える。
アギトだ。
「たぁっ!」
アギトとなったイチカはその超能力でガンQの金縛りを打ち消す。するとこれはマズイと判断したバトラーは距離を取り直しつつもアギトを銃撃する。
「・・・っ」
その銃撃を完全に見切ったアギトは難なくそれを躱すとバトラーは先ほど吸い込んだ土の塊をアギトへと飛ばしてきた。
「ハァッ!」
手刀で土の塊を両断したアギトは跳び上がり一気にバトラーとの距離を詰める。そして渾身の右拳でバトラーの銃を殴り砕いた。
「やった!」
『アイツ、中々やるじゃないか!』
角醒器から弾き出されたエゴルギアをアギトはキャッチすると、バトラーは負けを認めて座り込む。
「よもや足止めのつもりが。とんだ失態ですね」
「あなたを逮捕します」
アギトがバトラーを逮捕しようとした矢先、その背後の空間に突如として裂け目ができた。
「おいバトラー。帰んぞ」
裂け目のなかにいる赤い戦士に頷いたバトラーは空間の裂け目に入るとそれはギャバンイージス達が追い掛けようとする間もなく閉じてしまう。
「はぁ〜〜」
張り詰めた空気を解くように深い深呼吸をしたアギトはその変身を解除してイチカの姿に戻る。それに合わせてヒロユキも蒸着を解除した。
「まさか昨日の今日でアギトになるだなんてね」
ヒロユキはイチカを賞賛するとイチカはVサインでニッコリと笑って返す。
「自分でも驚きッスよ。でもこの力を上手く使えるようになれればきっとヒロユキ先輩の力になれるはずです」
「期待してるよ」
ヒロユキとイチカは今回の事件の報告のため、銀河連邦警察地球支部へと向かう。
それから何日かしてα地球ではギャバンインフィニティこと弩城怜慈が突如として失踪するという事件が発生。様々な次元のギャバン達に激震が走る事となる。もちろんそれはヒロユキも同様で。
「まさか怜慈さんが行方不明になるなんて」
ギャバリオントリガーが宇宙を漂っていたことから怜慈は敵に捕まったやら、敗北したなどと負の憶測もあったが諦めない者達は怜慈の生存の可能性を捨てなかった。
それから約半年後。
「本日付けで銀河連邦警察地球支部、生活安全課所属となりました芦川イチカです!よろしくお願いします!」
宣言通りイチカは銀河連邦警察、ヒロユキの後輩となった。
「ヒロユキ、後輩ちゃんの教育はよろしくね」
上司であるカナに頼まれたヒロユキはイチカの教育係となり、事実上の相棒となった。
「そんでもって2人にはさっそく、次元を超えた出張任務よ!」
一方その頃、α次元の地球。ギャバンインフィニティこと弩城怜慈が行方不明となっているこの地球ではエモルギア犯罪事案を多次元から出張してきたギャバン達が協力しあい対応していた。
「ハァッ!」
二刀流で戦う銀のギャバン。ギャバンブシドー。
「エイっ!」
状況に応じて最善の武装を使用する金のギャバン。ギャバンルミナス。
今現在はこの2人がα次元地球のエモルギア犯罪事案のため出張していた。
「かくなる上は、先生!お願いします!」
エモンズが2人のギャバンに倒れても諦めないネガエモルギアを所持して暴れていた男はチームが雇っていた用心棒を呼び出す。
「俺は宇宙帝王となるバド星人ドンド!」
角醒器で名乗りを上げたバド星人ドンドはエゴルギアを取り出す。
「エモルギアじゃない?」
一目でエモルギアとは異なるものだと見抜いたギャバンルミナス。そんな事など気にもしないでバド星人ドンドはエゴルギアを角醒器にセットする。
「角醒しろ!」
「フンッ!」
何かをする前にとギャバンブシドーはギャバリオンブレードを振り下ろして角醒器を破壊すると、角醒器から飛び出たエゴルギアをギャバンルミナスがキャッチする。
「そんなぁ~」
活躍の間もなく敗北したバド星人ドンドは自身を雇っていた者達と共にあっさりとお縄となってしまうと2人のギャバンはエモルギアとは異なるアイテムに視線を向ける。
「不可解極まりないこれはいったい?」
「戻ってアギさんと解析してみましょう」
『・・・むぅ。無断だがやむを得まい。同行させて貰おう』
2人のギャバンの戦いの一部始終を見ていたエゴルギア。ウルトラマンタイタスが入っているエゴルギアはどうしたものかと言った様子でα次元の銀河連邦警察地球支部へと向かうコスモギャバリオンに乗り込むのだった。
次回 共闘『ギャバン』