私立鎮守府学校~プレイ体験創作記~   作:ニセイモっと

3 / 3
私立鎮守府学校003限目

 

003、海防艦の朝の日課~前編~

 

食堂では、炊飯器とは比べものにならない大きな釜から、白い湯気が立ち始めていた。

夜中に用意されていた三合のご飯ではない。

これから起きてくる艦娘たちのための、朝食の準備である。

そこへ、ぱたぱたと小さな足音が近づいてきた。

 

占守「おはようございますっしゅ」

提督「おはよう。まだご飯炊いてる最中だから、もう少し待っててね」

大東「ダイジョーブ! 飯がなくても出撃できるさ!」

提督「ご飯は食べようね 」

 

即答だった。

大東なら本当にそのまま出撃しかねない。

提督としては、そこだけは譲れないらしい。

 

日振「提督。今日の朝ご飯はなんですか?」

提督「目玉焼きとほうれん草の炒め物だよ。醤油をかけてご飯と食べると美味しいよ 」

松輪「わ、美味しそうです」

 

まだ出来上がってもいない朝食を想像したのか、松輪の表情が少し明るくなる。

 

占守「提督、何か手伝うしゅ?」

提督「じゃあ、ほうれん草を持って来てもらえるかな?」

占守「分かりましたっしゅ!」

 

元気よく返事をして、占守が食材を取りに向かう。

午前五時。

つい先ほどまで秋雲と提督しかいなかった静かな鎮守府に、少しずつ一日の音が戻り始めていた。

 

提督「さ、出来上がったよ。取りにおいで 」

 

炊き上がったばかりのご飯。

焼きたての目玉焼き。

そして占守に持ってきてもらったほうれん草を、さっと炒めたもの。

それぞれの皿に盛り付けて、提督が声をかける。

 

占守「待ってましたっしゅ!」

大東「よーし、朝飯だ!」

日振「大東、ちゃんと並ばないと駄目だよ」

大東「分かってるって!」

松輪「いい匂い……」

 

つい先ほどまで静かだった食堂が、四人の声で一気に賑やかになる。

順番に朝食を受け取っていく海防艦たちを、提督は穏やかに見守っていた。

 

提督「醤油はそこにあるから、好きなだけかけていいよ。ただしかけすぎないようにね 」

占守「了解っしゅ!」

大東「いただきます!」

日振「いただきます」

松輪「いただきます……!」

 

午前五時を過ぎた鎮守府。

夜番の時間は終わり、今度は朝一番に動き出す艦娘たちの一日が始まっていた。

 

海防艦達「ごちそうさま!」

元気な声が食堂に響く。

食器を片付けた四人を前に、提督は今日の予定を確認する。

提督「じゃあ、今日の海域はいつもの鎮守府近海だね。高速船が近くの港まで運んでくれるから、そこから出発して対象海域に向かってね」

海防艦達「はーい!」

朝食を終えた四人は準備を整え、鎮守府を出発した。

 

高速船船長「艦娘ちゃん達、今日はここが中継点だよ。海域巡回が終わったら戻っておいで」

占守「行ってくるっしゅ!」

大東「深海棲艦達には負けないぜ!」

日振「いつもありがとうございます」

松輪「ありがとうです」

船長「これが俺っちの仕事だかんね。深海棲艦海域外を高速で安全に送り届ける! 艦娘ちゃん達の燃料節約だね!」

日振「とても助かってます」

 

高速船は、艦娘たちを戦場まで直接運ぶ船ではない。

深海棲艦の活動海域を避けながら、安全な航路を高速で移動し、目的の海域に近い港まで送り届ける。

そこから先は艦娘たちの仕事だ。

自分たちだけで鎮守府から海域まで移動することもできる。

しかし、それでは戦う前から燃料を使ってしまう。

戦うための燃料は、戦う場所まで取っておく。

そのための高速船だった。

 

占守「みんな、いくっしゅよ!」

大東「おー!」

 

日振と松輪も二人に続く。

港を離れ、四人は海へ出る。

朝の海を進む小さな背中を、高速船の船長は見送った。

 

船長「気をつけて行ってきなー!」

 

今日もまた、鎮守府近海の巡回が始まった。

 

海防艦たちが向かう鎮守府近海。

その一角では、三隻の深海棲艦が待機していた。

 

潜水カ級A「今日は海防艦か。戦闘不能になったら運ぶのよろしく」

潜水カ級B「それ私に言う? 条件同じなんだけど?」

潜水ヨ級elite「海防艦相手だと多分全員撃沈だから、仲良く自力で戻ろうな?」

潜水カ級A「はーい」

 

あまり緊張感はない。

もっとも、彼女たちにとっての撃沈とは、あくまでその戦闘を続けられなくなること。

動ける程度まで回復すれば、自分たちで深海へ帰ればいい。

 

そして――。

 

占守「敵艦発見っしゅ!」

潜水カ級A「げ!? 来るの早いよ!?」

 

見つかった。

 

大東「先制爆雷攻撃だ!」

潜水カ級A「ぎゃああ!」

 

海中へ爆雷が叩き込まれる。

潜水カ級Aが反撃する間もなく、戦闘は終わった。

 

占守「次の海域に行くしゅ!」

大東「おー!」

 

海防艦たちはそのまま先へ進んでいく。

あとに残されたカ級Aが、ぼろぼろになった装備を見下ろした。

 

潜水カ級A「先制ズルいよ。とりあえず深海に帰ろ」

 

そう呟いて、深海へと帰っていった。

 

しばらくして――D海域。

 

占守「敵艦発見っしゅ!」

潜水カ級B「A君を突破したようだな」

潜水カ級C「だがあいつはカ級の中でも最弱……」

潜水ヨ級elite「遊んでないで攻撃しろ」

潜水カ級B「はーい」

日振「先制爆雷!」

潜水カ級C「うわああ!」

松輪「同じく!」

潜水カ級B「ですよねぇ!」

占守「占守も先制爆雷っしゅ!」

潜水ヨ級elite「知ってた」

 

次々と爆雷が海中へ落ちてくる。

雷撃を放つ暇すらない。

そして、あっという間に――。

占守「次の海域に行くしゅ!」

四人の海防艦は何事もなかったかのように次の海域へ向かっていった。

 

潜水カ級B「あーもう、装甲がボロボロだよ」

潜水カ級C「帰ったらまた支給してもらわないとね」

潜水ヨ級elite「先制雷撃すらさせてもらえないの理不尽だわあ」

 

三隻は、遠ざかっていく海防艦たちを見送る。

今日の巡回も、海防艦側にとっては順調そのもの。

深海側にとっては――。

朝から散々だった。

 




朝の出撃任務で、戦闘勝利1回の消化でまずは1-5を回ります。
D海域というのは、1-5のDマスのことですね。
現実だとAマスはカ級eliteが多いですが、今回は構成1のカ級1艦のみです。
Dマスは構成5のヨ級elite1艦とカ級2艦編成です。
それにしても、先制対潜って深海棲艦達からしたら溜まったもんじゃないですよね(笑)


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。