昴と鈴木   作:ペンギン太郎

2 / 4
 昴と彗星の二次小説を書きました。
 峠の弾丸から数年後の作品で、どこまで続くかは未定ですが、是非ご覧ください。


ACT.1 秋名の幽霊

 群馬県渋川市

 

 

 「池谷ー!!えらいことだぞ」

 

 

 群馬県渋川市にあるガソリンスタンドに、1台の車が入ってきては、スタンドの経営者である池谷浩一郎と店員の武内樹に話しかける。

 

 

 「なんだ健二?また何か情報を仕入れてきたのか?」

 

 

 池谷が健二と呼ぶこの男は、池谷達と古い付き合いの仲である元走り屋で。この日スタンドに寄った健二は自分が入手したある情報を池谷達に教えるのだった。

 

 

 「近頃、秋名の峠が…やばいことになってるらしいぞ」

 

 「やばいって、何がだよ?」

 

 「これだよ…コレ。出るんだと」

 

 「幽霊ですかあ!?まさか秋名のユーレイ!!」

 

 

 健二は幽霊を思わせるようなポーズをして、池谷達に話すと、イツキがそれを見ておばけが出るのではないかと驚く。

 

 

 「それはまだ…拓海やタケルがまだ有名(メジャー)になる前…。夜中に現実離れした勢いで、秋名を下る車がいるって噂になって…。誰も追いつけないから、秋名に幽霊が出るって噂になったんだ。一番はじめに言ったの高橋啓介らしんだけど」

 

 「正体不明の車でも…。出たって話か?」

 

 「そんなんじゃなくてさ…。本当に幽霊が出るらしいんだ。俺もはじめは半信半疑だったけど、ネットで検索掛けてみたら、たくさん出てきた上目撃した人間も一人や二人じゃないんだそうだ」

 

 「ホントですよ所長。今調べてみましたらかなり話題になってるみたいです」

 

 

 イツキが試しにスマホで検索すると、その話題についてチラホラと出ており。情報が本当だと知る。

 

 

 「それ(・・)のせいで事故した奴もいるらしくてさ、なんでも四足歩行で走る痩せこけた婆さんが…物凄いスピードで追いかけてくるらしいんだよ」

 

 

 ぞおお

 

 

 池谷とイツキは幽霊が追いかけてくる話に背筋が凍ったか、ブルブルと身体を震わせた。

 

 

 「勘弁してほしいっすー!!真っ暗な山の中でそんなの見たら、誰だって事故ってしまいますよ」

 

 「おいおいお前ら信じるのか?そんな与太話…。俺ら3人共、昔はどんだけ秋名を走り回ったと思ってるんだ」

 

 

 池谷が昔を思い出せと言わんばかりに、イツキ達に強気で言い放つ。

 

 

 「幽霊なんて一度も見たことないし。元走り屋が夜の峠にビビってどーすんだ。バカバカしい…」

 

 「で、ですよね…所長」

 

 「大体、頭のハゲたいい年した親父が幽霊怖いなんて言ってたら、笑われちまうだろ!!」

 

 「(いや…ハゲはお前だけだし…)」

 

 

 健二が強気でいる池谷に突っ込んでいくも、そこから今後のことを二人に警告する。

 

 

 「悪いことは言わないから、特に池谷、しばらくお前は秋名に近づくな」

 

 

 

 

 

 秋名山山頂付近

 

 

 渋川市から少し離れたところにそびえる秋名山の山頂付近にて、一人の壮年の男が乗ってきたWRX(VAB)の横に立ち、タバコを一服する。

 

 

 ふーっ

 

 

 タバコを吸って煙を吐く男の近くに、どこからやってきた青のBRZ(ZD8)が男のWRXを見かけると、車をWRXの前に停め。その光景はスバル車同士が並べられてるように位置するのだった。

 

 

 「……」

 

 

 BRZから降りてきたのは、長い長髪にへそ出しルックをしてジーパンを履く一人の女の子だった。

 女の子は、壮年男性の横に立って男が一服する姿を見て、何を思ったか。車からあるものを出しては、壮年男性と同じタバコをすってるしぐさをする。

 

 

 「!?」

 

 「なんちゃって。ポッキーでした」

 

 「(なんなん?このおねーちゃん。構ってオーラ出してくるなァ)」

 

 

 不覚にも、女の子がタバコを吸ってると勘違いした男はリアクションしてしまうも、女の子はニシシと笑いながら言い。男性は仕方なしに女の子に声を掛ける。

 

 

 「いい車だな…。お嬢さん」

 

 「おじさんこそ…いい車じゃないですかあ…私達、スバリストですねー♡えへへ…」

 

 「俺は別にスバルが好きって、わけじゃないんだ…。雪国で暮らしてると冬は四駆じゃないと不便からこいつに乗ってるだけだ。四駆作らせたら…この会社が世界イチなんだよ…」

 

 

 群馬では、四駆がないと厳しいからと男はいい。女の子の乗ってきたBRZを見ていきながらこう話す。

 

 

 「そこいくと、そっちはリア駆動だ。女だてらに豪気なことだなー」

 

 

 

 男は女の子が後輪駆動のBRZに乗っていることに、強気だなと返していくが。女の子はチッチッと指を振る。

 

 

 「雪でもFRなのが…、こだわりの美学なの…。冬でも生足で、ミニスカ履くのと同じスピリッツなの。群馬のJKはどんなにカラッ風が冷たくて太ももにさぶいぼ(・・・・)できてもタイツ履いたら負けなんだ」

 

 「(何と戦ってるのかさっぱりわからない…)」

 

 

 女の子は自分の美学を語っていくも、男性は女の子の言う事に理解できないのだった。

 

 

 「じゃまた秋名で会おーね、おじさん♡ そーだ。夜は、秋名に来たらダメだからね。走り屋を襲う幽霊が出るんだよ」

 

 「へーえ。俺は年寄りだから夜は寝てるよ。お嬢さんこそ気を付けなよ」

 

 「私は大丈夫、腕に自信あるから。高速ばばあ、なんて返り討ちにしてやる!!」

 

 

 夜の秋名山には近づかないよう女の子は注意すると、男は夜は走らないと言って無茶しないよう言い。

 そっから女の子は、車に乗り込むと、秋名に現れる幽霊はやっつけてやるかのように強気に返していくのだった。

 

 

 「あたし、昴。おじさんは?」

 

 「文太だ…」

 

 

 女の子こと昴は文太に別れを告げるや、車を発進させて秋名山を去っていく。

 

 

 「(いい音だ…。ターボは付いてねーけど、色々やってあるな)」

 

 

 文太はBRZのエキゾーストを聞いて、その性能について呟き。昴がただの走り屋でないことを悟った。

 

 

 

 

 

 渋川市 某整備工場

 

 

 渋川市の一角に位置する自動車工場に一台の黄色い車が入ってくると、工場の入り口で休憩する男性に呼びかける。

 

 

 「おじさーん」

 

 「ん?よぉ真由。今日も遊びに来たか…」

 

 

 男性が呼びかけるのは、自身の姪にあたる女の子で、名前は鈴木真由(すずきまゆ)といい。

 真由は愛車のスイスポ(ZC33S)に乗って叔父の斎藤丈瑠が営む整備工場に来たのだ。

 

 

 「おじさん。このスイスポに乗って1年近く経ったんだし、新しい車に乗り換えていいでしょう。早く新しいの頂戴♪」

 

 「かぁ〜相変わらず無茶苦茶言うなぁ真由は…。その件に関してだけど、まだ他の車を乗せるわけにいかないから、もうしばらくの間はスイスポで我慢することだ」

 

 「えぇ~!!どうして…?あたし、おじさんに今乗ってるスイスポを渡されてから、ずっと乗り続けてきたのに…どうしてダメなの?」

 

 「あのね…いくら、君がカートをやっていたとはいえ、公道を走るのに、経験が足りないからに決まってるじゃないか。僕がいいと言うまで、そのスイスポに乗っては腕を磨くこと、わかった?」

 

 「はぁ〜い…」

 

 

 タケルの言うことに納得いかなかったか、真由はやる気のない返事を返す。すると、工場の事務所から、一人の女性が出てきてくると、親しそうに真由に呼びかける。

 

 

 「いらっしゃい、真由ちゃん。今日はどんな用件で来たの

?」

 

 「あ、結衣さん。ちょっと聞いてくださいよ…。おじさんったら、あたしが車を買ってとお願いしてるのに、ダメだって言うのですよ…」

 

 「あらあら、相変わらずタケルはそういったところは頑固ね…。ま、それに関しては、タケルの言う通りだと、私は思うわ」

 

 「えぇ~…。結衣さんまでおじさんの味方なの?」

 

 「そりゃあそうだろ…。君は軽々しく車を買ってと言ってるけど、車を買うことはかなり気使わないといけないんだ。真由が乗ってるそのスイスポも、僕が中古で状態のいい奴を見つけて走れるようにメンテをしたんだ。それに気付けないようじゃ、新しい車をやるわけにはいかないよ」

 

 「……」

 

 

 真由はタケルに説教されたのが効いたか、口を閉じては押し黙ってしまうも。それを見た結衣がタケルに近付く。

 

 

 「タケル…。ちょっと、言い過ぎじゃないの?」

 

 「いや、これくらい言わないと真由は分かりはしないよ。実際、車のメンテは僕に任せっきりで。自分で手入れができないようじゃ、一人前のドライバーになれないしね」

 

 「それは、そうかもしれないけど…」

 

 「……」

 

 

 タケルが真由の為とはいえ、キツく言った事に結衣は反論していくが。タケルの言う事には何一つ間違いがなかったので、結衣は何も言い返すことができなかった。

 

 

 「真由ちゃん…。タケルはあなたの為を思って、言ったから、そう拗ねないで…。きっと、腕が良くなればタケルは認めてくれると思うから、それまでの辛抱よ」

 

 

 結衣は真由に走りのテクを磨くよう慰めていくと、真由はあることを閃いたか、二人に向かって言い放つ。

 

 

 「…あたし、決めたわ」

 

 「ん?決めたって何を決めたの?」

 

 「今日の夜から、おじさんがよく通ってるキャバクラでバイトして、お金を稼ぐわ!!そうすれば、乗りたい車を買えるし、おじさんも文句を言わないよね」

 

 

 ズコッ

 

 

 「それいう問題じゃないだろうが!!」

 

 

 真由がキャバ嬢になるとトンデモ発言をし、タケルが突っ込んでいくも。真由はその気になる一方だ。

 

 

 「タケル…」

 

 「ん?どうしたんだ結衣…。なんか、顔が笑ってないんだけど…」

 

 

 結衣は不気味な笑みを浮かべ、タケルの肩を掴みながらこう語る。

 

 

 「キャバクラってどういうこと?まさか、私に内緒で変なことしてないよね?」

 

 「ご、誤解だよ…!?僕は決して、そんな如何わしいことはしてないし、第一、浮気なんて一度もしたことが…」

 

 「でも、前に武内さん達とキャバクラへ行って、好みの女性を聞かれた時、おじさんはMFGエンジェルスの佐藤真美が好きだって、武内さんが言ってたわよ。…特に、椅子から立ち上がってハミケツを出す瞬間がたまらないって…」

 

 

 「!!…イツキィイイイー!!」

 

 

 キャバクラで喋っていた内容をバラされたタケルは、この場にいないイツキに向かい大声で叫ぶも。こってり結衣に絞られては、お小遣いを減額される罰を受けるのであった。

 

 

 

 

 

 渋川市 ガソリンスタンド

 

 

 「すみません、ちょっと聞いていいですか。秋名山って、この道真っすぐでいいのかな?」

 

 「ほぼ一本道ですよ。温泉街抜けた先です。こんな時間から秋名へ?」

 

 

 スタンドでは、ガソリンを入れに来た客から秋名山への道を聞かれたイツキがそれに応じると、何故秋名山に行こうとするか、理由を聞くのだった。

 

 

 「やあ…なんか今、幽霊騒ぎで盛り上がってるじゃないですか。ちょっとした肝試しで…、動画でも回してみよーかと思って」

 

 

 客は幽霊騒動を利用して動画配信するとイツキに話していい、道を聞き終えては車に乗って、スタンドを出る。

 

 

 「聞きましたー所長。随分噂が広まってるっす」

 

 「うーん…」

 

 「どう思います?気にならないっすか?」

 

 「気になるけどな…」

 

 

 池谷が幽霊騒動について気にしてるように言っていくと、イツキはスタンドの端に停めてある池谷の車をひと目見てあるお願いをするのである。

 

 

 「結婚して子供生まれてから、もう何年も夜の秋名なんて行ってないんだけど…。所長は、偶に夜の秋名を走ったりしてるんですよね…。助手席乗せて欲しいです、所長のRZ-34。ため息が出るほどカッコいいし」

 

 「参ったなぁ…。ちょっくら、様子を見に行くか…」

 

 

 池谷は、愛車のフェアレディZ(RZ-34)を褒められてその気になったか、帽子を外しハゲ頭を撫でながら今夜秋名山に行くと決め。イツキに行けるかどうか確認をとる。

 

 

 「でもお前、夜中に抜け出して嫁さん怒らないんか?」

 

 「所長と(やま)行くって言えば、気にしないっす…。夜遊びするほど小遣いないのあいつが一番わかってますから」

 

 「そうだったな…。この間タケルを誘って皆でキャバクラ行って金を使い果たしたんだし、大丈夫だな」

 

 「それなら、タケルも誘ってみるのはどうです?あいつなら、夜は空いてるかもしれないっすよ」

 

 「いいね。あいつ今…何に乗ってるか知ってるか?」

 

 「タケルは今、カローラに乗ってると言ってましたよ。何でも買った後で嫁さんに叱られたと」

 

 「ん?カローラで怒られるとか、どういうことだ?普通のファミリーカーなのに」

 

 「ですよねー。まさか中身がとんでもない車だったとか…ないっすよね?」

 

 

 タケルがカローラに乗り換えては結衣に怒られたと聞いて疑問に思う池谷だが、その理由は後に判明するのだった。




 評価・感想をお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。