今回の暴力事件、Dクラスは結局須藤の無罪を主張する事になった。櫛田と平田がクラスメイトを丸め込み、証拠探しや目撃者探しに舵を切った。あとなんかクラス内の俺へのヘイトが上がった。なんか悪い事したかよ。先に殴った方が悪いって小学生でも知ってるが?まあそんな事はどうでもいい。今大事なのは...
「ぐへへ、今日もいいおっぱいだねぇ」
「ちょっ、やぁ...んんっ♡」
目の前でセクハラされてる佐倉がその目撃者だってこと。揉まれすぎて感じてるし。なんでも自撮りする為に特別棟に行った際にCクラスの連中と須藤が言い合いをしているのが聞こえたそう。怖くて隠れて覗いていたが、しばらくして須藤が手をあげてしまったという。...これ無罪主張出来ないな。証言したら停学待ったなしじゃん。
「で?そんな重要そうな事をなんで俺達に?平田や櫛田に言えば良かったのに」
「えっ、と、それわぁ...」
「とりあえず愛衣、ストップだ。話も出来ない」
「はーい」
「ふぅ、はぁ...私、どうしたらいいか分からなくて。あの2人が悪い人じゃないってわかってるんです。でも、やっぱり怖くて...」
まあ確かに、何故あの時にそこにいたのか説明もしないといけないだろう。そうなると佐倉が雫である事もバレる可能性もある。学校側は知っているだろうけど、学生側にバレると更に面倒なことにもなりかねない。ただのアイドルならまだしもグラビアアイドルだからなぁ...変な目で見る奴も出てくるだろう。例のストーカーのように。
「別にさ、黙ってればいいじゃん。無理に関わる必要も無いと思うな」
「だな。どうするかは結局自分で決める事だし、嫌ならあいつらに勝手にやらせとけばいい。実際俺はそのつもりだし」
「でも...私のせいでクラスポイントに影響が出たら...」
「そもそも悪いのは手を出した須藤だ。佐倉が責任を感じることじゃない。...ただ、今の佐倉にはどうするか決める勇気がないんだろうな。だからじっくり考えて答えを出すといい」
きっと佐倉の望んだ答えを俺達は示す事は出来ない。でも、自分で悩んで導き出した選択が彼女にとって正しいと思える答えになる。どんな結果になろうとも。
結局、佐倉が答えを出す前に目撃者とバレてしまった。というか最初からバレていたらしい。最初に目撃者がいないか聞かれた時に佐倉だけ下を向いていた事を発見し、あたりをつけていたらしい。
「なんか、魔女みたいな女だな、堀北って。怖いわ」
「ああ、それでいて自分は間違っていないと思い込んでるあたりも恐ろしい」
前回早退したあとの事はほとんど綾小路に聞いた。面倒くさそうにしていたが要点を抑えてくれたので案外分かりやすかった。これからも困ったら綾小路に聞こう。
「それより放っておいていいのか?佐倉のこと」
「どうしたいかは彼女自身が決める事だ。嫌がってる彼女を無理に関わらせるつもりはないな」
「だが残念な事に、他の連中はそうは思っていないようだ。どうにかして表舞台に引っ張りだそうとしている」
「本人の意思は無視して、か。流石というかなんというか、いかにも不良品って感じだな。人の気持ちを考えないあたり」
だからこそ、櫛田のようなコミュニケーションや学力に問題ない人間も底辺クラスに配属されたんだろうか。
佐倉が櫛田から逃げ回って、事故が起きた。教室の扉付近で2人がぶつかってしまい、佐倉が手に持っていたカメラを落としてしまい、そのまま沈黙してしまった。修理をする為に家電屋に行く事になってしまったので、訳を知ってる俺と愛衣、それと男1人は寂しいので綾小路も誘って5人で休日に行く事になった。その代わり交換条件として、Bクラスのある人物と会って欲しいと言われた。その人物は...
「Bクラスのリーダー、一之瀬帆波。彼女と会わせてどうしたいんだよ」
「詳しくは本人から聞いた方がいいだろ」
と言われ連れて来られたのは体育館裏。どうやらここには監視カメラは無いようだ。そんな場所に女子生徒が1人きりで突っ立っていた。
「あっ、綾小路君。...そっちの2人は?」
「名前くらいは聞いた事無いか?あの火神兄妹だ」
「初めまして、兄の火神黎。こっちが妹の愛衣だ」
「初めまして。一之瀬帆波です...ってどうしてこの2人が居るのかな?」
「俺1人じゃ不安だったんでな、こういうのに詳しそうな2人を連れてきた」
聞けばこれから数分後に一之瀬は告白されるらしい。相手は同じBクラスの生徒。しかも女子。まあ外見だけでも随分な美少女だし、制服の上からでもわかるくらいのスタイルの良さ。男はもちろんだが、同性でも人気はありそうだ。で、その女子を傷つけないように振りたいというのが一之瀬のお願いだと。
「それで綾小路に彼氏役をやらせようという訳か」
「多分それ、1番やっちゃダメなヤツだよ。今まで男の影が無かったのに実は彼氏いますなんて言われたら『なんで隠してたの』って言われるよ。そうなったら普通に振るよりその子を傷つけると思う」
「そんな...じゃあどうすれば...」
「...告白ってね、最初から玉砕覚悟だと思うよ。上手くいく確証なんて無い。失敗して凹むかもしれない。怖い。...それでもなけなしの勇気を振り絞って気持ちを言葉にするの。告白される側はその気持ちに誠実に向き合わなきゃいけない。...だから、嘘偽りない本心で応えればいいんだよ。変に考えないで''はい''か''いいえ''でいいんだよ」
流石、数多に男に告白されていた愛衣だ、告白について語らせたら説得力がある。...そういえば愛衣って告白全部振ったけど、好きな人がいるとか聞いた事ないな。
「本心...うん、なんとなくわかった、かも?」
「後は自分の心に従って。一之瀬さんなら彼氏役もいらないと思うよ」
「うん...ありがとう、火神さん」
どうやら一之瀬も吹っ切れたようだ。
「大丈夫そうだな。なら俺達は戻るぞ」
「うん、ごめんね。変なことお願いしちゃって」
「別に気にしていない」
「じゃあ私たちは行くね。頑張れ、一之瀬さん」
...俺、要らなかったな。いいけど...
もうすぐ相手の子が来るって事で少し遠回りして体育館裏から出てくる。多分今頃告白した女子は泣いてるんだろうな。まあ俺としては珍しいものが見れた訳で。
「珍しいな。愛衣があんなに語るなんて」
「そーかな?告白は男も女も勇気がいるんだよ。受ける側はその勇気に報いなきゃいけないって思うんだ。その心構えを教えただけだよ」
「まるで告白され慣れているような言い方だな」
「まー毎週告白されてたからねー」
「それは...すごい、んだろうな。俺は告白なんてした事もされた事もないからよく分からないが」
「まあどんな結果にせよ、そっちの要望は聞いたんだ。今度はこっちの要望を聞いて貰うぞ、綾小路」
「...ああ、佐倉のカメラ修理に付き合うだったか。俺要るか?」
「まあ聞きな」
佐倉に降り掛かっている災難について語り出す。
火神兄妹は審議に出ないので描写は殆どカットです。次回は対ストーカーになるはず...