早いものでもう4月も終わりに差し掛かっていた。Dクラスは相変わらず学級崩壊と言っていい有様だった。このクラスにいる殆どが、来月も10万ポイント貰えると思ってると笑えてくる。結局俺たち兄妹は、貰えるポイントは変動する、最悪貰えない可能性もあるという結論に落ち着いた。しかも個人単位では無く、クラス単位で査定されると予想される。全校生徒が480人いるとしたら、個人より纏めて測った方が手間はかからないと思ったからだ。
先生方はそんな惨状に何も言わず、無表情を貫いていた。
「静かにしろ。今日はちょっとだけ真面目に授業を受けて貰うぞ」
「どういう意味っすか、佐枝ちゃんセンセー」
昭和の時代だったら間違いなく殴られるくらいに舐めてるとしか考えられないあだ名で呼ばれるようになってしまった。
「月末に近いからな、今から小テストを行う。後ろに配ってくれ」
極めて事務的に、茶柱先生は一番前の生徒たちにプリントを配っていく。前の生徒から受け取り確認すると、主要五科目の問題が載った、如何にもな小テストだった。
「えぇ〜聞いてないよ〜。ずる〜い!」
「今回の小テストはあくまでも今後の参考用だ。成績表には一切反映されることはない。だから安心して取り組め。ああでも...カンニングだけはするなよ? その場合は問答無用で退学処分とするからな。まあ、そんなバカな行為をする生徒が居るとは思ってないが」
たとえ参考用であっても成績には多少は反映されるはず。定期テストだけで成績を付けるのだろうか?あと罰則重すぎないか。
テストの内容は中学で学んだ範囲が中心に作られている。マトモに授業を受けていた人間なら苦戦はしないだろう。しかし問題は最後の3問。恐らく今の時期の高校1年では殆ど解く事が出来ない程先の単元を扱っているようだ。何の為にこんなテストを作ったのか。どこが参考になるというのだ。だがやる前から諦めたくないのでやるだけやってやる。
「今日お兄ちゃんのクラスで小テストやった?」
「最後の3問が意味わからんくらいムズいのはやったな」
「あ〜じゃDクラスも同じやつなんだ」
どうやらAクラスも同じ小テストをやったようだ。この分だと1年の全クラスが同じ小テストをやった可能性があるな。
「今後の参考とは言っていたが何の参考になるんだろうな」
「直近で学力が必要になるのは...中間テスト?」
「それだけじゃまだわからんな」
結局今日の小テストと中間テストにどんな繋がりがあるかも掴めない。回答率の低い問題を優先的に出題するとか。じゃあ最後の3問は絶対出るじゃん。
「そういえば明日から5月だねぇ」
「そうか、もう1ヶ月か。なんかあっという間だったな」
「ポイントいくら入るかな?」
「ポイント、入るのか...?」
「...大丈夫、私のポイントはお兄ちゃんのポイントでもあるから」
「逆に俺のポイントは愛衣のでもあるんだが...」
せめて1万ポイント位は残っていて欲しいものだ。
夜が明けて5月1日、起きてすぐにポイントを確認する。
「...」
言葉が出ないとはまさにこのことか。昨日から1ポイントも変動していない。減ってもないが増えてもいない。つまり、Dクラスは0ポイント貰ったって事になる。
「ふあぁ、おはようお兄ちゃん」
「...おはよう」
「どうしたのテンション低いよ。まさかポイント入ってないの?」
「そのまさかだよ...ホントに0ポイントとはなぁ...」
「私はどうかな...92000ポイントだって」
「殆どマイナス無しか...」
92000ポイントが俺のポイントに追加される。20万を超えたが、この内の殆どが愛衣のポイントでもある。兄として情けなく思えてくる。
「とりあえず学校に行くか。説明があるだろ」
「──お前らは本当に愚かだな」
1年Ⅾクラスの教室は普段の喧しさはなりを潜め、代わりに異質な静寂が教室を支配していた。そして担任である茶柱先生の教師と思えない冷たい蔑みの声が、無音の教室に響き渡った。
他の方の作品を見ると大体Aクラスは940ポイントですが、ここでは920となります。ナニがあったんでしょう?