転生したら、自重!!・・・え!?いるの?   作:打出小槌

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プロローグ⑦

プロローグ⑦

 

「さて、時間も限りがある。何より、妾は無駄を好まぬ。疾く話を進めるとしよう」

 

「名無しの神の仕出かしたこと。とはいえ、こちら側に非があるのは必定。故に、生前の記憶に加え、何らかの力を特典として与えている。転生時に付与できる力は生前における徳の積み重ねによる最大で6つまでなのだが・・・・」

 

「ん?それってどうやって決めたんだ?」

 

「これを」

 

 そう言うと。アテナは手元のカバンから二種類の『サイコロ』を取り出した。

 更に、何もない空間から『くじ引き』の箱も出して並べて机の上に置く。

 

 それから青と赤のサイコロを指し示し。

 

「基本。これを振り、大きい目から小さい目を引いた数だけ、くじが引ける」

 

「くじの中身が特典となる。中身はランダムになっている。しかし、一つとして同じものは入ってはおらぬ。但し、通常くじならば、自ら能力の指定も可能。重複はない。他の転生者が先に得た特典は望んでも手に入らぬ。また、これらは己が生前積んだ徳に対する対価でもある」

 

 そこで、一度区切りをつけたのち、机の上のサイコロをゾロ目にして並べ直すと。

 

「又、ゾロ目になった場合は、特別に、その数だけこちらの箱から引く。こちら側の指定は出来ない。能力はランダムに決まる」

 

 次いで机の上に現れる、先程のより一回り小さいくじ箱。

 

「ぞろ目とそれ以外の違いは?」

 

「中身が違う。云うたであろう?特別なのだと」

 

「例を示すならば、定番ともいえる『王の財宝』に『無限の剣製』というものがあったか。『王の財宝』―――あれはウルクの王が集め蓄えた、彼の者の宝物庫に繋がるからこそ意味を成す。あれは本来、宝物庫の鍵でしかないのだから。所有したところで当人が何も持ちえていなければ、ただ無限に広がる時の止まった(くら)でしかない」

 

「『無限の剣製』―――これについても同等に。あれは心象風景の具現化。故に、彼の堕ちた英雄の魂。もしくはそれと同等の経験が無ければ再現不可能。得たところで現れるのはただ、何もない荒野のみ」

 

「特別と申したのは。それらの制約や条件、デメリットを減らし、得たものを行使可能な状態にした特典だからだ」

 

「引いた数でもらえる特典なら、前者で。ゾロ目で引ける特典が後者ってわけか」

 

「そうだ。無論、そのことは、先に来た者どもには誰一人として伝えておらぬがな」

 

 さくっと、何気にヒドイことをおっしゃるアテナさん。

 

「当然であろう。―――妾をロリだの駄神だの吠えたもの。妾の説明を聞かずに勝手に混乱するもの。最後まで話を聞かずに癇癪を起こすもの。愚かにも妾へと危害を加える意思を示したもの。死んだことを理解できず、受け入れぬもの。・・・・そなた以前にここへ訪れたものどもは、二人を除けば、全てその(いづ)れかに当て(はま)るまる(やから)であった」

 

 うわぁ~・・・。なんというかご愁傷様?

 でも、まともなのが二人いたってだけでも良いんじゃね?

 

「しかし・・・。正直、あなたの力は既に神の領域に踏み出している。それに――――。異界でのこととは言え、あなたは既に神殺しでもある」

 

「そして、妾はあなたの事情を理解した。本来ならば更なる力を手に、あちらへ逝くところではあるが、あなたにその必要があるとは思えぬし、あなたの徳に対する許容量が合わぬ。合わぬものを、削ることも神であるが故に出来ぬ。さて、・・・どうしたものか」

 

 そう言うと彼女は虚空を見つめ、少し何やら考えている様子だったが。

 二呼吸程の時間の後、自然な動作でこちらに視線を戻すなり、一言。

 

「ふむ。では、あなたには妾の権能を(ふる)う権限を与えるとしよう」

 

 をぃ!?

 

 今、今なんと言いやがりましたァー!!!この神!?

 

 俺は、この時のアテナの憎らしいまでのドヤ顔を今後、絶対に忘れることはないだろう。

 正確には、無表情ながら醸し出すドヤ顔空気感だが。

 

「ちょっ!?」

 

「うむ。我ながら良い考えである。その後、かの世界に顕現(けんげん)せし妾との闘争と(きょう)じようぞ」

 

「いやいやいや!だからっ!!なんでそうなる!?」

 

 なんかとんでもないことをサラっと追加でのたまいやがりましたよ!この女神ッ!

 あれですか、ちょっとお茶でものみませんか?っていう軽いノリなんですかッ!?

 

「否とは言わぬよな。妾との闘争に興じる。良いではないか。あなたのこれまで(つち)かいしその力。存分に発揮できる下地は無論のこと。しっかりと用意しておく。ジョウリの奴と契約を交わすぐらいなのだ。どのみち遅かれ早かれ妾達とも会い(まみ)えたであろう。それが少し早まっただけのこと」

 

 スルーですかッ!こっちの話は完璧にスルーですかッ!どちくしょうっ!

 やっぱり、根っこは原作通りですか!?

 えぇ~い!!考えろ俺っ!戦いは不可避っ!ってことかっ!

 こいつはやるっ!絶対やるっ!

 だって、アテナはアテナでも沙織さんじゃないし!

 闘争大好き女神さんだし!

 

 瞬時に対策を練る。

 放っておくと、確実にそのまま転生させられるだろう。

 

 生まれた時から神殺し♪☆って、誰得だッ、コラッ!?

 

 仕方がないので、通るかどうかは別にして彼女への提案を行うことにする。

 

「わかったっ!?了解!?理解した!?――――権能は受け取る。神殺しになるのも闘争すらも引き受けよう!――――但し、その代わりと言ってはなんだけど、聞きたいことがあるから、その情報、あと特典の力以外、転生時の条件的な願いをかなえてくれね!?―――そしたら逝くし」

 

 諦めた。ていうか、開き直るしかねぇ~。

 内心を覆い隠し、提案してみる。

 これぐらいのお願いなら大丈夫っしょ。

 

「致し方あるまい。よかろう。決まりだ。望むがよい。あなたが望む条件に情報とやらを。その間、妾はパンドラと話を付けよう。しばし待て」

 

 頷きつつそう言うと、彼女は再び虚空へと視線を向けた。

 

 すると、ほぼ間を置くことも無くすぐさまアテナの隣へと現れる一人の女性。

 女性というには些か幼い気もするが。しかし、そんなはずもなく。

 彼女から発せられる空気は妖艶にして可憐。

 異性を引き付けてやまない蠱惑的な要素を含む彼女。

 桃色の髪のツインテール。足先まで届かんばかりの長髪が緩やかに揺れている。

 

「何かご用かしら?まつろわす古きアテナ様。珍しいこともあるものですね。貴女様からのお誘いとは・・・」

 

 訝しげな表情を隠そうともせず、目を細めているパンドラ。

 

「なに。知れたこと。そこに居る人の子に妾の権能を与え、神殺しとして、彼(か)の重複せし世界へ転生させようと思案してな。そなたを呼び出したのだパンドラよ」

 

「あらあら~~。面白そうなことを考えたましたね~。ですが、エピメテウスの落とし子としてはどうなのでしょう?」

 

「なに、問題はあるまい。この人の子はジョウリと契約するような愚者(ぐしゃ)にして。自ら渦中に飛び込む物好きよ。生身で神に喧嘩を売り、打ち勝ったこともある。既に神殺しとしての条件をも満たしておるしの」

 

「まぁ~、アテナ様がそうおっしゃるならば、間違いはないのでしょう。しかし、本当に宜しいのですか?」

 

「くどい。とかく、妾はこの者を気に入った。決定事項じゃ」

 

 俺のことを完全に無視した状態でお話をされるお二方。

 方や三位一体で完全体の古きアテナさん。

 対するは、俺の養母(はは)となるであろう見た目は少女。中身は暗黒。

 災厄を詰め込んだ存在とも呼ばれるパンドラさん。

 

 彼女はヘファイストスに作られた人類最初の女。

 神々からあらゆる魅力を与えられた人物。

 そして、プロメテウスの弟であるエピメテウスの妻となった存在。

 プロメテウスは《先に考える者》と云い先見の明がある賢者を意味し、エピメテウスとは《後に考える者》と云い行動した後で考える愚者という意味を持つ。

 ―――だったか・・・・。

 

 なに?この状況・・・。

 今更ながら、正直、とっとと逃げ出したい気分である。

 

「こら~。どうして、他人事(ひとごと)の様に呆(ほう)けているのかな?・・・君は」

 

 少し呆れた様におっしゃるパンドラさん。

 さっきまでこっちを無向きもせずに蚊帳の外へ追いやっていたのはアンタらだろうが!!

 

 そう言いたくなるのをぐっとこらえる俺。

 

「現実逃避・・・。と行きたいところだけど、無駄だろ?―――だからさ、お二方(ふたかた)の話が終わるのを待ってんだ。それに。―――『成せば成る。成さねばならぬ何事も。成らぬは人の成さぬなりけり』って言うだろ?・・・今がその状況だってことで、腹(くく)ったところだ」

 

「あら、それは粋(いき)な心構えね♪」

 

「そりゃどうも」

 

「いいわ認めてあげる♪今からあなたは私のよ。・・・私のことはママって呼んでね♡」

 

「それは無理!? けど、よろしくな。・・・かあちゃん」

 

 ズルッ!っと盛大にずっこける養母(ようぼ)殿(どの)。

 

「か、かあちゃんって・・・。期待していたら、あさっての返事が来たからお養母(かあ)さんもびっくりよ。・・・ま、まぁ~、いいわ。―――それでも貴方が私の義息子になるのは変わりないし」

 

 さいですか。

 

「それじゃあ~、貴方が浮かべる最強の自分の姿を思い描いてみて。それをベースに創り替えるから」

 

 パンドラの言葉に頷き返す俺。

 俺の浮かべる最強の自分は、当然。

 

 ドラゴンボール世界での私!? サイヤ人キャロット~!!!

 

 

 

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