関係ない話:私は戦闘描写を書いている時、SEEDのサントラを聞いています。
轟音がホロウ内に響き渡る。
ソードストライクガンダムの巨大な対艦刀――シュベルトゲベールが振り抜かれ、一体のエーテリアスを横薙ぎに斬り裂いた。
「グォォォォッ!!」
黒い異形の身体が大きく吹き飛ぶ。
瓦礫の山へ叩き付けられ、その巨体が崩れ落ちる。
「……すごい。」
アキラは思わず呟いた。
目の前で起きていることが、まだ信じられない。
さっきまで生身の人間だった青年が、今は巨大な鋼の戦士となり、エーテリアスを圧倒している。
「おいおい……。」
ビリーも目を丸くしていた。
「マジかよ……あのデカい剣、一発で……?」
通信越しに見ているリンも言葉を失っていた。
「ムサシ……あなた、一体……。」
しかし、当の本人――ムサシは余裕の笑みを浮かべていた。
「驚くのは後だ。」
ソードストライクガンダムが、残ったもう一体のエーテリアスへ向き直る。
「今はこいつらを片付ける!」
エーテリアスが咆哮する。
腕を振り上げ、ソードストライクへ叩き付けようとする。
だが――。
「遅い!」
ムサシは一歩踏み込む。
巨大な機体とは思えないほど軽やかな動き。
攻撃を紙一重で回避し、そのまま懐へ入り込む。
「そこだ!」
シュベルトゲベールが下から振り上げられる。
一閃。
エーテリアスの身体に深い傷が走る。
しかし。
「……硬いな。」
エーテリアスは倒れない。
傷口から黒い液体が漏れ出すものの、まだ動いている。
「普通なら効いてるはずなのに……。」
アンビーが冷静に分析する。
「エーテリアスの個体差。」
「だが、問題ない。」
その言葉と同時に、ソードストライクは再び剣を構える。
「ムサシ!」
ビリーが叫ぶ。
「後ろ!」
もう一体のエーテリアスが、背後から迫っていた。
巨大な爪が振り下ろされる。
しかし――。
ガキィィン!!
鋭い音が響く。
攻撃はソードストライクの装甲によって止められていた。
「なっ!?」
ビリーが驚く。
「今の攻撃を受け止めた!?」
ソードストライクの装甲表面が淡く輝く。
**フェイズシフト装甲。**
物理攻撃によるダメージを大幅に軽減する、ストライクの特殊装甲。
「なるほどな。」
ムサシは笑う。
「これなら多少無茶しても大丈夫ってことか。」
そのまま腕を振り払い、エーテリアスを弾き飛ばす。
「だったら――!」
ソードストライクは大きく跳躍した。
背部のスラスターが展開。
巨大な推進力が機体を押し出す。
「終わりだ!」
落下の勢いを乗せたシュベルトゲベールが振り下ろされる。
**対艦刀、直撃。**
エーテリアスの身体が真っ二つに裂ける。
黒い粒子となって消滅していく。
「……撃破。」
アンビーが呟く。
「二体のエーテリアスを単独で。」
「すごい。」
ムサシは剣を肩に担ぐ。
「まあ、なんとかなったな。」
その瞬間。
ホロウ内に、不気味な振動が走った。
ゴゴゴゴゴ……。
「……?」
全員が動きを止める。
瓦礫の向こう。
新たな反応。
「嘘だろ……。」
ビリーが青ざめる。
「まだ来るのかよ……!」
闇の中から、複数の影が現れる。
一体。
二体。
三体。
それ以上。
新たなエーテリアスの群れ。
そして、その中心に一体の異形が立っていた。
右腕は存在しない。
代わりに左腕全体が巨大な刃へ変化している。
「……あれは。」
アンビーが警戒する。
「ティルヴィング。」
片腕を垂らしたような独特な姿勢。
まるで力を抜いているように見える。
しかし。
次の瞬間。
大地が爆ぜた。
「来る!」
ティルヴィングが一瞬で距離を詰める。
垂らしていた左腕の刃が、鋭い斬撃へ変わる。
「速い!」
ムサシは咄嗟にシュベルトゲベールで受け止める。
ギィィィィン!!
火花が散る。
「ぐっ……!」
ソードストライクが後方へ押し込まれる。
「さっきの奴らとは違う……!」
ティルヴィングは再び構える。
左腕の刃を低く構え、片腕を垂らした姿勢。
一見すると隙だらけ。
しかし――。
「……力を溜めている。」
アンビーが呟く。
「その構えが最も効率よく力を込められる。」
ティルヴィングが地面を蹴った。
爆発的な加速。
刃が迫る。
「なら!」
ムサシは笑う。
「真正面から受け止めてやる!」
ソードストライクはシュベルトゲベールを構える。
巨大な剣と刃が激突する。
**ドォォォン!!**
衝撃波がホロウ全体を揺らす。
「ムサシ!」
リンが叫ぶ。
煙が晴れる。
そこに立っていたのは――。
傷一つない白き剣士。
「……危なかった。」
ムサシは笑う。
「でも、負ける気はしないな。」
ソードストライクが一歩踏み出す。
「お前がどれだけ強くても。」
「仲間を狙うなら――。」
シュベルトゲベールを構える。
「俺が止める!」
剣と異形の刃。
二つの力が、再び激突する。
激突した二つの刃。
シュベルトゲベールとティルヴィングの左腕の刃がぶつかり合い、周囲へ衝撃波が広がる。
「くっ……!」
ソードストライクの足元の瓦礫が砕ける。
想像以上の重さだった。
先ほどまで戦っていたエーテリアスとは明らかに違う。
一撃一撃に力がある。
「ムサシ!」
ビリーが叫ぶ。
「大丈夫か!?」
「問題ない!」
ムサシは答える。
だが、内心では理解していた。
(こいつ……ただ突っ込んでくるだけじゃない。)
ティルヴィングは力任せに見えて、その動きは単純ではなかった。
片腕を失ったような姿勢。
左腕の刃を低く構えた独特なフォーム。
一見すれば隙だらけ。
しかし、その構えから放たれる攻撃は重い。
「なるほどな……。」
ムサシは小さく笑う。
「その構え、意味があるってことか。」
ティルヴィングが再び動く。
左腕の刃を振り抜く。
ソードストライクはシュベルトゲベールで受け止める。
だが。
「……っ!」
押される。
機体が後退する。
「ムサシ!」
リンの声が通信から響く。
「無理しないで!」
「大丈夫だ!」
ムサシは答える。
「こいつの攻撃は強い。」
「でも――。」
ティルヴィングの刃が再び迫る。
「動きは読める!」
直撃する寸前。
ソードストライクが横へ滑る。
刃が空を切った。
「!?」
ティルヴィングが体勢を崩す。
ムサシはその一瞬を逃さない。
「そこだ!」
シュベルトゲベールを振り抜く。
しかし。
ガキィン!!
ティルヴィングは残った左腕の刃で受け止めた。
「まだ防ぐか!」
「ムサシ。」
アンビーが話す。
「注意。」
「周囲の個体が接近している。」
ティルヴィングだけではない。
周囲のエーテリアスたちが、ゆっくりと包囲を始めていた。
ビリーが叫ぶ。
「マジかよ!」
「ボス一体でも面倒なのに、雑魚まで増えやがった!」
ムサシは周囲を見る。
確かに一体一体なら大したことはない。
だが。
数が揃えば厄介だ。
「なるほどな。」
ムサシは理解する。
「こいつの本当の強みは……。」
「一体の強さじゃない。」
「数で相手を追い詰めることか。」
ティルヴィングが咆哮する。
その瞬間。
「だったら――。」
ムサシはシュベルトゲベールを構え直した。
「まとめて相手するだけだ!」
ソードストライクが踏み込む。
巨大な剣が横薙ぎに振るわれる。
一体。
二体。
三体。
接近していたエーテリアスがまとめて吹き飛ぶ。
「すげぇ……!」
ビリーが叫ぶ。
「どんだけパワーあるんだよ!」
しかし、その隙を狙ってティルヴィングが背後へ回る。
「ムサシ!」
アンビーが叫ぶ。
振り向いた時には遅かった。
刃が迫る。
その瞬間。
「させるか!」
ビリーの銃撃がティルヴィングの動きをわずかに逸らす。
アンビーも追撃する。
「今。」
ムサシは頷いた。
「助かった!」
仲間の援護。
その一瞬が勝負を決める。
ソードストライクは大きく跳躍する。
空中でシュベルトゲベールを両手で構える。
「これで終わりだ!」
ティルヴィングが迎撃態勢に入る。
左腕の刃を最大まで引き絞る。
その姿は、まるで力を溜めた一撃必殺。
だが。
「その構え。」
ムサシは言う。
「威力は凄い。」
「でも――。」
ソードストライクが急降下する。
「動きが読める!」
ティルヴィングの刃が振り抜かれる。
その瞬間。
ムサシは機体を僅かに傾けた。
刃が装甲を掠める。
火花が散る。
しかし。
フェイズシフト装甲は耐えた。
「今だ!」
シュベルトゲベールが閃く。
巨大な刃がティルヴィングを斜めに切り裂く。
一瞬の静寂。
そして。
ティルヴィングの身体から黒い粒子が溢れ出す。
ゆっくりと崩壊していく。
「……撃破。」
アンビーが確認する。
周囲のエーテリアスも、ソードストライクの一撃によって消滅していた。
ホロウに静寂が戻る。
「終わった……?」
ビリーが呟く。
ソードストライクはゆっくりと剣を下ろした。
「みたいだな。」
ムサシの声が響く。
その姿を見て、ビリーは笑う。
「いやいやいや……。」
「ツッコミどころ多すぎるだろ!」
「お前、普通の人間じゃなかったのかよ!?」
ムサシは苦笑する。
「まあ……俺自身も、まだ全部は分かってない。」
「この力が何なのか。」
「どうして俺がこんな力を持っているのか。」
一瞬だけ、ムサシの表情が真剣になる。
だが。
すぐにいつもの笑顔へ戻った。
「でも。」
「今は分かってることが一つある。」
ソードストライクが仲間たちを見る。
「この力は――。」
「守るために使う。」
その言葉に、アンビーは静かに目を細める。
「ムサシは、敵ではない。」
ビリーは笑った。
「へへっ。」
「変な奴が増えたもんだぜ。」
通信越しにリンのため息が聞こえる。
「……本当に。」
「でも……。」
少し間を置いて。
「ありがとう。」
一瞬。
優しい言葉に聞こえた。
しかし――。
「でもね。」
リンの声が少し低くなる。
「勝手に店を抜け出して。」
「危険なホロウに入って。」
「何の相談もなしに、あんな無茶をするのは……。」
少しの沈黙。
そして。
「帰ったら――。」
「お話しようね?」
その言葉は優しい。
笑顔すら浮かべているような声だった。
だが。
その場にいた全員が感じ取った。
それはお願いではない。
決定事項だ。
ビリーが小声で呟く。
「……うわ。」
「怒ってる時のニコより怖ぇ……。」
アンビーも静かに頷く。
「同意。」
ムサシは冷や汗を流しながら、苦笑した。
「……はい。」
「帰ったら、ちゃんと話します。」
リンは満足したように息を吐く。
「よろしい。」
「じゃあ、早く帰ってきてね。」
その言葉に、ムサシは思わず笑った。
やっぱり。
自分が帰る場所は、ここなのだと。
アキラ「僕の出番は?」
ないです。
あとこの世界では対艦刀のビームはエーテリアスと鍔迫り合います。