仮面ライダー×仮面ライダー SAO大戦 作:BRAKER001
「Congratulations、見事な剣技だった。この勝利はあんた達のもんだ」
最初に口を開いたのは巨漢の男だった。
「完璧な指示だったぜ、キリト」
「ふぃ〜、とりあえずお疲れさん!」
「まぁ……勝てたのはあなたのおかげよね。お疲れ様、指揮官さん。」
「や、やめてくれよ! 俺が一人で倒したわけじゃない。みんなが協力してくれたから倒せたんだ。
それに……」
全員生還、とはいかなかった……
と、言おうとした時。
「なんでや!」
唐突にボス部屋に大声が響き、誰もが声の主の方を見た。
「なんで……ディアベルはんを見殺しにしたんや!」
彼はその言葉を俺に向けて放っていた。だが、俺には彼が何を言っているのか分からなかった。
「……見殺し?」
「そうや! ジブン、ボスの攻撃知っとったやないか!」
そこまで言われてやっと理解した。
ボスの持ち替えた武器はベータの時とは違い、その情報は誰も……俺ですら知らないものだった。
だがベータの頃かなり上の層まで進んだ俺は、その武器の攻撃パターンを知っていた。
「そうだ……そのことをもっと早く伝えてればディアベルさんは死なずに済んだんだ!」
「そもそもなんであいつの攻撃を知ってたんだ!」
「もしかしてこいつ……ベータテスターじゃないか?」
次第に周りからも非難の声が上がってきた。
「そうだ、ベータテスターに違いない! こいつらは自分の為に手段を選ばないんだ!」
「 俺たちは騙されたんだ! 情報屋もグルだったんじゃないのか?」
「他にもいるんじゃねぇのか!? 出てこいよ!」
次第に矛先はベータテスターへと向いていった。
これはまずい。
このままだとベータテスターと一般プレイヤーの確執が修復の効かないものになってしまう。
「あなたたちね……」
「おまえら……」
口を開きかけたウィザードと女性プレイヤーの2人を手で制す。
そして俺は覚悟を決めた。
「くっ、ふふ……ははははは!」
「……キリト?」
ウィザードが怪訝な声を上げる。女性プレイヤーも同じような表情だ。
対象的に、ブレイドや巨漢の男は黙ってこちらを見ている。2人は分かった上で、それでも口を出さずにいてくれる。
だから俺は演じ続ける。
「ベータテスター? 俺をあんな素人連中と一緒にしないでもらいたいな」
「な……なんやと!?」
「SAOのベータテストに当選した1000人のうちのほとんどがレベリングのやり方も知らない初心者だったよ……あんたらの方がまだマシさ!
でも、俺はあんなヤツらとは違う。俺はベータテスト中に、他の誰も到達出来なかった層まで登った。
ボスの技を知ってたのは、ずっと上の層で刀を使うモンスターと散々戦ったからだ。
他にもいろいろ知ってるぜ? 情報屋なんか問題にならないくらいにな」
キバオウ「な、何やそれ……そんなんもうベータテスターどころやない……チートや! チーターや!!」
「そうだ! チーターだ!」
「ベータのチーター……だからビーターだ!」
「ビーターか、いいなそれ」
ちょうど良い単語が出てきた。
「な、なんやと!?」
「俺はビーターだ。これからは元ベータテスターとは一緒にしないでもらおうか」
もはやキバオウは返す言葉もなく唖然としていた。
これでいい。ベータテスターへの敵意は薄れ、ビーターという存在に敵意が集中するはずだ。
俺は目の前に表示され続けているラストアタックボーナスの表示を操作し、そのラストアタックボーナス《コートオブミッドナイト》を装備した。
途端に俺の体に漆黒のコートが現れる。
そしてそのまま、未だ唖然としているプレイヤー達の間を通り、次の階層への階段まで向かった。
「第二層の転移門は俺がアクティベートしといてやるよ。町までは少し歩くことになる。
初見のMobに殺される覚悟があるならついてきてもいいぜ」
そんなセリフを吐いて階段を登り始めた時だった。
「キリト!」
声に振り返るとそこにはブレイド、ウィザード、女性プレイヤーの姿があった。
「ふっ、悪いな。お前らともここまでだ」
俺はパーティ画面を開いた。
「そんなの……」
何か言いかけたウィザードをブレイドが制した。
「……覚悟は出来てるんだな?」
急な質問だった。だが、ブレイドの目は真剣そのものだった。
「……ああ」
だから俺も真剣に答えた。
「ふっ……そうか。なら、俺たちは止めないよ」
「なっ、お前!?」
「そうね、彼の覚悟を無駄には出来ないわ」
「あんたまで……」
ウィザードがまた何かを言いかけようとしたが、やがてため息をつき頭を振った。
「俺は納得してない……こんなところで関わりを切るなんてごめんだ。
だから……」
ウィザードが何かすると同時に、俺の目の前にメッセージウィンドウが開く。
『wizardからフレンド申請が届いています』
ウ「これくらいならいいだろ?」
苦笑いともとれるような笑みを浮かべながらこちらを見るウィザードに、俺も苦笑いを浮かべながら申請を許可する。
おそらくこれから俺を非難する目が増えるだろう。
今だけならたまたまパーティーが同じだけで済むが、ウィザード達がこれからも俺と関わりを持つなら、彼らへの風当たりも強くなるかもしれない。
しかし、ウィザードはそれも……いや、それを分かっているからこそこうして俺と繋がろうとしているんだと思う。
だから、俺の思いを汲み取ってくれたからこそ、俺もウィザードの気持ちに応えようと思った。
「さて……じゃあ今度こそお別れだな!」
改めてパーティー画面に目を向ける。
「ありがとう……ブレイド、ウィザード、アスナ」
パーティーメンバーを読み上げ、パーティーを解散する。
最終確認を承認すると同時に左端の小さな3つのHPゲージが消滅した。
「じゃ、またな……」
そして俺は第一層を後にした。