仮面ライダー×仮面ライダー SAO大戦 作:BRAKER001
「あの2人、間に合うと思うか?」
「難しいだろうな……ウィザード達でも3日はかかったんだろ?」
「どっかの誰かみたく、普通じゃない方法を使わなきゃ……か」
「そんな目で見るな。俺だってなんであんな簡単に割れたかよく分かってないんだ」
「そんなこと言って……あ、分かった。さてはお前もベータテスターだな?」
「お、いたぞ。悪ふざけはその辺にしておけ」
集まっている人混みから、少し離れたところにキリトの姿を見つける。
「よっ、キリト」
「ブレイド、ウィザードも。3日ぶりだな」
第二層、迷宮区に最も近い街に俺たちは集まっていた。目的はもちろん、二層のボス討伐だ。
周りを見ると、すでに多くのパーティが集まっていた。どれも見知った顔、一層で共にボスと戦ったプレイヤー達だ。
その中に、ボス戦とは違うところでみかけた顔ぶれを見つける。
「レジェンド・ブレイブス……」
3日前のネズハの顔が頭をよぎる。だが、強化詐欺の発端が彼らの中の誰でもないことや、ネズハが最後まで彼らを庇っていたことを考えると複雑な心境だ。
「あの2人も、一緒に戦えたらよかったんだけどな」
ウィザードの呟きに、キリトが苦い顔をする。
「仕方ないさ、まさかボス攻略がここまで早く進むとは思わなかったしな……」
あの後、ネズハはある事情から体術スキルを取ることになった。
どういうわけか俺はすんなり行けたものの、ウィザードやキリトですら3日かかったのだ。ネズハが間に合わなくても仕方ないことだろう。
そしてここにはいない彼女も。
「……まだボス戦まで間に合わないと決まったわけじゃない」
「確かに……キリトの言う通りだ。遅れて来たあいつらに恥ずかしい姿は見せられないな」
キリトの言葉にウィザードが頷く。
確かに俺たち……いや、ウィザード達は体術クエストの厳しさを知っている。
だがそれ以上に、今そのクエストに挑んでいる2人がどういうプレイヤーかもよく分かっているのだ。
迷宮区……ボス戦まではまだ時間がある。まだ2人が来る可能性も十分残っているはずだ。
「よし、とりあえずこの3人でパーティーを……」
ふと、視界に1組の男女が映る。少し離れたところを歩く、俺たち攻略組から一歩引いたプレイヤー達だろう。
俺の目を引いたのは男の方の顔だった。遠目で確信は持てないが、その顔は見覚えのある顔に見えた。
「見間違い……いや、そんなはずは……」
悩んでいるうちに2人は道を曲がり、見えなくなってしまう。
だが、俺はどうしても確認したかった。本当にアイツがこの世界にいるのかどうかを。
「……悪い2人とも、先に迷宮区に向かっててくれ」
「え、おい! ブレイド!?」
言うやいなや、俺は2人が向かった方へと走り出した。
「…前も…よ!」
キリトが何か叫んでいるが、俺の頭にはさっき見かけた顔しか無かった。
「……悪い2人とも、先に迷宮区に向かっててくれ」
「え、おい! ブレイド!?」
3日前、あんな別れ方となってしまったアスナのことを考えていると、突然ブレイドが走り出した。
「用が出来た! 先に行っててくれ!」
「え、お前もかよ!」
そして追いかけるべきかどうか悩んでいる間もなく、ウィザードまでも走り出したのだ。それもブレイドとは全く違う方向に。
「え、えぇ……」
迷宮区へ向かうのを目前に2人の仲間が離脱し、頭が混乱する。ただでさえアスナもいないのだ。当然残されるのは俺1人ということになる。
「どうしろって言うんだよ……」
2人が全く違う方向に行ってしまった以上、追いかける選択肢は消えた。おまけにボス戦をほっぽり出すわけにも行かない。
あの2人に限ってないとは思うが、やはりビーターである俺と組むのは嫌なのだろうか……などと卑屈になっていると。
「オイオイどうした、さっきまでお仲間と一緒じゃ無かったか?」
話しかけて来たのは、一層でも一緒に戦った巨漢の男、エギルだ。
「いや、その筈だったんだけどな……」
まさか2人ともどこかへ走って行きました……などと言っても仕方がない。なにせ目の前で見ていた俺が信じられないのだ。
「あー……何があったのかはわからないが、もし誰ともパーティーを組まないって言うなら俺たちのところに入らないか?」
「え?」
願ってもない申し出だった。
少なくとも2人は先に行けと言った。それはすぐに戻って来れると言う事ではないのだろう。ボス戦より優先することなのだから、なおさらな筈だ。
レジェンド・ブレイブスの存在もあり、今回のレイド人数はかなりギリギリだ。入れてもらえるならこれほどありがたいことはないが……
「いいのか? ありがたい話だけど俺はほら、立場的に……」
「ああ、ビーターだったか? あんたのことをそんな風に呼ぶのはほんの一部だ。むしろアンタがいれば百人力さ」
エギルの言葉は気を使うでも無く見かねたからでも無く、本心からのものだと思えた。
「じゃあ……お言葉に甘えようかな」
「改めて、エギルだ。よろしく頼むぜ、ブラッキーさん」
「よろしく……ブラッキー?」
差し出された手を取りながら、俺はエギルの口から出たあだ名に疑問を浮かべる。
「ビーターなんかよりよっぽどイイと思わないか?」
そう語る彼の言葉も、やはり本心のようだった。
「……キリトだ。まあ好きに呼んでくれて構わないけどな」
だから俺も、嫌味などでは無く素直な自己紹介をした。
「じゃあ早速パーティーに入ってもらうか。あ、オレの仲間はあそこだ。3人は見覚えあるだろ?」
言われて見た方には、4人のプレイヤーがいた。内3人はエギルの言う通り、見覚えがある。
彼と共に第一層のボス戦に参加していたプレイヤー達だ。エギル同様、筋骨隆々と言ったアバターなので忘れようがない。
しかしエギル達は現実でもこのような肉体と言うことなのだろうか……
そしてもう1人、見覚えのないプレイヤーがいた。
「アイツも1人で彷徨いててな、アンタの前に誘ったんだ。てっきりアンタもこの前みたいにパーティーを組むと思ってたんだが……何にせよちょうど誘えてよかった」
彼は他のパーティーメンバーと違い、普通の男性だった。読んでいるのはガイドブックだが、その姿はとても絵になっていて、まるでよく作られたNPCのようだ。
「フンッ、モンスターの分際で公爵を名乗るとはな……」
《Buron》
それがパーティー画面に映っていた彼の名前だった。