コーヒーは苦い方がお菓子の甘さが引き立つ
説明を聞いた少女達は戸惑っていた。
暁月『あの鎌に体格だ敵わないだろうな。
大人しくしている方が無難だろう』
そう思った直後、重々しい沈黙の中、ヒロが一歩前に出た
ヒロ「間違いです。私は悪ではない」
絶対的な自信を持った声で迷いがなかった
なんとなくだが嫌な予感がしてヒロの近くに回った。
ヒロ「この国に厄災をもたらす危険因子はこの子の方だ」
そう言ってエマと名乗った少女に指を指す。
エマ「…っ」
そばにいたメルルがそっとエマの二の腕に触れた。
本気で心配しているようだ
エマ「大丈夫、へーきだよ」
ヒロの訴えに、ゴクチョーは面倒そうなため息をついた
ゴクチョー「はぁ〜…あの、頼みます。
悪者を受け入れてください。
私は残業したくないですし、
みんな平和に楽しくがいいので…」
ヒロ「間違っている、私は悪じゃない
この世界を正すことができるのは、私だけだ
私はこの世の悪を排す。まずは…」
ヒロは暖炉の火かき棒を手に取った
暁月「待った」
暁月はヒロを羽交い締めにした
暁月「俺としてはこれは最善じゃ無いと思っているが
…一応な。俺も、面倒事は嫌いなんだ」
ヒロ「やめろ!離せ!私は悪を正さなければいけない!」
暁月「離さない。お前の行動は最善じゃ無い。
どうせ看守に攻撃でもしようとしたのだろう?
やめておけ、死ぬぞ」
ゴクチョー「あら…ありがとうございます。
これで手間がなくなりました。
残業もしなくて済みそうです」
暁月「全くもって不愉快だがね。
止めたのも
悲惨なことにならないようにするためさ」
ゴクチョー「貴方とは気が合いそうですね。
どうですか?お茶でも」
暁月「俺はコーヒー派なんでな。
コーヒー豆があるなら
一時の楽しみが増えるんだが?」
ゴクチョー「コーヒー豆ですか…あると思いますよ?」
ヒロ「はぁ…はぁ…」
息切れするまで暴れたようだ。
だが、やはり男の筋肉量とは違うようだ。
ゴクチョー「あっ、あと何個もすみません。
最後に。みなさんに
もっとも大切な事を伝えておきます」
ゴクチョー「魔女になりつつある者は、
抑えきれない殺意や
妄想につかれてしまいます
面倒なことに、
いずれ囚人間で殺人事件が起こるんですよ」
ゴクチョー「というわけで殺人事件が起こり次第、
魔女裁判を開廷します
魔女になった囚人は…あのー…処刑します」
ゴクチョーは羽ばたき戻っていく
暁月「コーヒー豆は何処にある」
ゴクチョー「キッチンですよ。
分かりやすいところに置いてありますよ」
ゴクチョーと看守がいなくなり、ラウンジは静かになった
暁月「まったく…面倒なことをさせるなっての…」
常軌を逸した状況でレイアは中心に立った
レイア「みんな、聞いてくれ!
私達はどうやらここで
共同生活を強いられることになる。
それがいつまで続くのかは分からないが…
今は大人しく従おう」
レイア「知り合ったばかりではあるが、
私はキミたちをできる限り守りたい」
レイア「先ほどのヒロくんの振る舞いは
全員に危険が及ぶかもしれない
今後は勝手な行動を慎んでもらいたい」
暁月「ところで…男いる?」
突拍子もないことを言った暁月だが、
実際に確認しておきたかった。分かりきってはいるが
レイア「そう言えば、男はキミだけのようだね」
暁月「普通に気まずいんだけど。スマホも圏外だし…」
レイア「そうだ、このスマホの中に
魔女図鑑というアプリが入っていた。
魔女図鑑はルールブックらしい。
牢屋敷のマップや規則、
我々の個人情報が入っていた
全員、ルールを遵守して、生活していこう」
暁月「俺はどっちでもいいから、それじゃ」
レイア「あ、待ってくれ」
暁月「何か用?手短にしてくれ」
レイア「お風呂の順番を決めたくてね
何処がいいとかあるかい?」
暁月「適当でいい。最後でも何でも。それじゃ」
暁月はマップを頼りにキッチン、もとい食堂に行った
コーヒーを淹れていると看守が隣に立っていた
暁月「なんだ?規則にはキッチンに入ってはいけない
なんて書かれていなかったが?」
看守は興味を失ったのかそのまま去った
丁度あったマグカップにコーヒーを注ぐ。
ミルクは入れない主義である。
暁月「どうせ派閥でもできるだろうな。
俺は…中立で行こうか。っとあぁ…なるほどな。
地下監房に戻れと?それなら戻るがね」
マグカップ片手に地下監房に戻る。
その道中で少女達と行き合った。
どうやらヤンキー少女のアリサはいないようだ
特に会話する必要も無いので無視して監房に戻る
2人部屋らしいが暁月は一人だけだ。
コーヒーの水面が波打つ。
コーヒーを飲み干した
暁月「苦いな」
当たり前だ
とりあえず布団に入り、寝る。
暁月「コーヒー飲まなけりゃよかったな…」
そのまま寝たのであった
スマホの通知音が室内に響いた。
スマホを確認すると夕食の時間のようだ
食堂に行こうとしている時、
監房の中でカラフルな髪色をした少女が
鼻歌交じりに何かをしていた。
確か…城ヶ崎ノアだったか?
暁月「夕食の時間だが、食わないのか?」
ノア「のあは今日、ごはん食べないんだよ?
まだお絵かきの途中だから」
暁月「だめだ。食事は取れ、最善じゃ無いだろ。
少し失礼するぞ」
そう言ってノアをお姫様抱っこする
暁月「そう言えば、お前さんの魔法は分かるか?」
ノア「のあはね。絵がね。勝手に動いちゃうんだ。
絵だけじゃなくて、液体はね、全部勝手に動くの」
暁月「液体操作って感じか、とりあえず行くぞ」
一階へと続く階段へ行こうとした時
アリサ「離せ!クソッ!離せよバケモンがよぉ」
アリサが連行されていた。
おそらく懲罰房行きと言うことだろう
とりあえず食堂に行くことにした
暁月「あまりそのカラースプレーを監房で使うなよ。
成分によっては人体に害があるからな」
ノア「え〜…わかった…」
食堂の扉の前でノアを下ろして食堂に入る
ビュッフェ形式の様だが、ドロリとしたご飯だ。
暁月「これ…ご飯、なのか?」
ノア「そうなんじゃないかな〜」
レイア達の一団とエマ達の一団が固まって食事をしていた。
おそらく別れた派閥で食べているようだ
暁月「とりあえず…食べるか…」
ノアの分も一応よそって置いた。するとノアが隣に座った
暁月「いただきます……まず…」
ノアも食べているようだが、やはり食べづらそうにしている。
以にも返さず食べている人はシェリーだけだった。
ノア「ねえねえ、暁月くんも魔法ってあるの?」
暁月「あるぞ」
ノア「見せて!」
暁月は困った顔をしながらふわりと風を吹かせた
暁月「風を操る魔法だ。ありきたりだろ?」
ノア「ううん。いいと思うよ!」
そんな会話を交わしていると謎の汁が飛んできた
暁月「あ?」
飛んできたところを見ると
リンゴを握り潰しているシェリーが見えた。
見て見ぬふりをした。
コーヒーを淹れに行くとそこに宝生マーゴが来た
マーゴ「あら、奇遇ね。何か取りに行くの?」
暁月「コーヒーを淹れに行くだけさ。大したことじゃない」
マーゴ「ふぅん…」
そこにヒロが来た。
ヒロ「……暁月か…その…すまなかった」
暁月「何だ?いきなり謝るなよ。まぁ…暴走した件だろ?
気にしてない」
きっぱりと答えた
マーゴ「それにしても、
男の子が一人だけなんて気まずくない?」
暁月「気まずい。だが、そんな事言っていられない」
マーゴ「あら、頼もしいのね」
暁月『こいつ怪しいな。
何となく嘘をついていた奴の感じがする』
コーヒーを淹れて戻ってくると
ノアやレイア達が既にいなかった。食べ終わったのだろう
今いる人はエマ達の一団とヒロとマーゴだけだった
暁月「飲んだら行くか…」
独り言が出てきたがやはり癖なのだろう。
カラースプレーの匂いがこちらに来ていた。
それと同時に夏目アンアンが来ている。
暁月「何か用か?」
アンアン【どけ。わがはいの邪魔である】
アンアンが監房を覗くと悲鳴をあげそうになっていた。
それはそうだ、部屋が真っ赤なのだから
それに刺激臭も酷い
暁月「ノア、だめだろう?
お前だけの部屋じゃないんだぞ?」
アンアンの顔が青くなっているのが見えた。
刺激臭に当てられて気分が悪くなったのだろう。
倒れそうになったアンアンを支えた。
暁月「大丈夫か?」
手を弾かれたが以に返さず医務室に運ぶ
お姫様抱っこである。
何となくだが視線がこちらを向いたが気の所為だ。
医務室のベットに寝かせて看病した。
夜遅くまで起きていたのだろう
睡魔が来た、座ったまま寝たのであった。
朝、おそらく4時だろうか、
日課というものはやはり辛いものがある
老人のような早朝に起きるのも一つの日課である
朝食の時間も近いようなので食堂へ向かった。
監房を一応通るとまだノアが絵を描いているようだった。
とりあえず声をかけることにした
暁月「寝ているのか?夜更かしは身体に毒だぞ」
ノア「のあ、大丈夫だよ?」
暁月「大丈夫とかじゃないんだが…
ところで、きれいな絵だな。
確か…バルーンだったか?」
ノア「ん?ああ〜そうだよ〜?
へへ〜照れるな〜」
暁月は軽く挨拶した後、外に出た
軽めのランニングが日課となっている。
やはり自分は老人のようだと思う
暁月「存外、この屋敷は広いようだな」
一周500mはあるだろうか?
3周くらいして戻り、シャワーを浴びた。
こんな朝に起きている人はいなかった
朝食の時間の前にはある程度長い自由時間があるようだ。
これから他の少女たちも起きてくるだろう。
暁月「さて、自由時間はどうしようかね」
上空から羽音が聞こえてきた
暁月「なんだ?用があるのか?」
ゴクチョー「いえ、とても朝が早いのですね」
暁月「日課だ、4時には起きてしまうんだ。
それでも眠気はあるんだが、
それをコーヒーで誤魔化している」
ゴクチョー「へぇ…珍しいですね。
貴方、15歳ですよね?」
暁月「あぁ、そうだ。15歳だ。鍛冶師だからな
知っているだろう?」
ゴクチョー「まぁ、そうですけど…」
暁月は玄関から戻った。
暁月『図書室にでも行ってみるか』
図書室へ踏み込むと本が並び、
古い紙のにおいが漂っていた
暁月「さて、めぼしい本はあるだろうか」
本を探してペラペラと本を見るが
ラテン語やフランス語なのだろうか?
あまり読むことができない
一つの本を開くと、そこには
たすけて
と血文字で書かれていた
暁月『こいつは危なそうだな。隠しておこう』
とある好奇心が強い少女が開きそうな気がしたので
風に乗せてダストシュートにinした
すると、扉からマーゴが入ってきた
マーゴ「あら、朝が早いのね」
暁月「そうだな。ここに読める本は無いぞ」
マーゴ「そうなの?どんなのがあるの?」
暁月「ラテン語だとかフランス語だとかだな」
そして、朝食の時間が近くなっていたので
監房に寄ってみると、ノアはまだ描いているようだった
暁月「ノア、朝食の時間だぞ」
声をかけるが絵に夢中だ。
暁月「まったく…少し失礼するぞ」
またお姫様抱っこして食堂の前まで持っていく
ノア「むぅ…のあはまだ描きたかったのに…」
暁月「だめだ。飯は食え」
またグロテスクな色と見た目をした飯を食べた
それから、丸一日たった。
少しずつ牢屋敷の生活に慣れ始めているようだった
NewData 無し
特に言う事が無いです