レベルカンストした俺は2周目に突入する ~永続ボーナスや特典能力を貰ってレベル1からやり直していたら噂が広まりすぎて、周りが放っておいてくれないんだが~   作:鏑木カヅキ

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第4話 ラスボスの経験値が美味すぎる

「ぐわあああああーーーッ!!」

 

 断末魔の悲鳴を上げて、膝を折る魔の王ゴルデベルド。

 体中から光の粒子を出しながら、俺を睨みつけてきた。

 

「き、貴様……ッッ!

 余の攻撃を……すべて弾きおったな……ッ!

 なぜ、そんな芸当が……ただの人間にできる……!?」

「まあ、ゲーマーだし。

 あんた、攻撃力は滅茶苦茶高いけど、他のボスより大ぶりで読みやすいからな」

「よ、読みやすい……だと!?

 余の斬撃が!?」

 

 馬鹿な! と言わんばかりに目を見開くゴルデベルド。

 確かに所見ではかなり戦いにくい相手ではある。

 それに他のボスや魔物に比べて攻撃パターンも豊富だ。

 でもな、結局限界があるんだよな。

 だって無限の攻撃手段がある敵なんていないから。

 結局、攻撃パターンを覚えられて、簡単に狩られるものだ。

 それは魔の王と呼ばれるゴルデベルドでさえ例外ではない。

 しかし。

 

「くくくくく! かーっはははは!

 余は負けた! だが、敗北が終焉ではない!

 余は魔の王! 穿つ者、勇者でなければ倒せぬ存在!

 貴様の如き常人が何をしようと、決して殺すことは叶わぬ!」

「……な、なんだと!?」

 

 俺は動揺を隠せない。

 まさか。

 

「くくくくく! 余は蘇る!

 何度でも! 常人に殺されようと、この命は途絶えぬ!」

「そんな……馬鹿な!」

 

 俺はわなわなと震えた。

 こんなことがあっていいはずがない。

 ラスボスを倒したのに、また蘇るだって!?

 

「お、おい! まさか……まさか、すぐに蘇るんじゃないだろうな!?

 例えばそう……数時間とか!?」

「絶望しろ人間……余は一時間で蘇る!」

「一時間で!?」

 

 俺はその場にくず折れた。

 なんてことだ。

 一時間だって?

 そんな短い時間で復活するなんて……。

 

「そ、そんな……嘘だろ……まさかそんな」

「くは……くはははははは!

 余は人間を滅ぼすまで……決して消えぬ!」

「こんなこと……こんなに……」

「所詮人間など、取るに足らない存在よ!

 余は永劫に存在する! 消失せぬ! 神に近し存在よ!

 くはははははははははーーーっ!!」

「こんなに俺の期待通りになるなんて思いもしなかったぞ!」

「くはははは…………は?」

 

 俺は思わず両手を振り上げて喜びをあらわにした。

 ありえない。

 いや、想像はしていた。

 まさか本当に。

 魔の王を再び狩れるなんて!

 

「予想はしていた!

 だけど、まさかここまで期待通りになるなんて!」

「……何を言っている……貴様」

「だからさ!

 あんたまた蘇るんだろ!」

「そうだ! 永遠に死ぬことはない!」

「つまり何度でも狩れるってことだよな!?」

「…………な、何を言っている?

 貴様は! 何を言っておるのだ!

 魔の王が死なぬのだぞ!?」

「だから何度も狩れるってことだろ!

 つまりレベリングできるってことだろ!

 あんたを何回も倒して!」

 

 魔王を倒せばどうなるか。

 俺は仮説を立てていたのだ。

 俺は『ブラッドループ』の主人公じゃない。

 聖なる力を継ぎし存在とされ、魔を穿つ者と称されている奴じゃなく、ただのモブだ。

 つまりだ。

 俺が魔の王を倒しても倒しきれないんじゃないかって思ったのだ。

 それは何度も狩れることを意味する。

 

「貴様……貴様、貴様!

 余をなんと心得る!

 余は魔の王……ゴルデベルド!

 それを狩り対象と考えるなど!

 なんだと思っているのだ!?」

「経験値」

「け、経験……値……?

 この魔の王が……?」

 

 狼狽しながらゴルデベルドの肉体が粒子状へと変わっていく。

 その光は俺へと吸収されていく。

 

「おのれ……おのれ、人間めぇーーッ!

 王たる余を愚弄するか!

 次は……必ずすりつぶしてやるぞ……ッッ!」

「おお、おお、頑張ってくれ。

 その方が張り合いあるからな」

 

 俺は笑顔でひらひらと手を振った。

 怒りの形相で俺を睥睨するゴルデベルド。

 何か言う前に口元が光へと変わり、やがて全身が消えてなくなった。

 

「さて、経験値、経験値っと!」

 

 俺はステータスを確認する。

 

●名前:マイル

 レベル:81

 EXP:123090/301240

 

 123000ほどの経験値が入っている。

 

「うおおお! 経験値、美味すぎる!

 やっぱり魔の王は別格だな!」

 

 ゲームでもラスボスであるゴルデベルドを倒した際、膨大な経験値を得ることができる。

 ただ、ゴルデベルドは一度しか戦えず、リポップもしなかった。

 そのためレベル上げには使えなかったのだが。

 

「いやあ! モブでよかった!

 主人公に転生してたら終わってたぞ!」

 

 俺は喜色満面の笑みを浮かべる。

 これなら前世ではできなかったレベルカンストも夢じゃない。

 

「……そういえば、この世界って主人公いるのか?

 確か勇者として旅に出るはずだったけど」

 

 前世の記憶を取り戻してから今まで、俺は『ブラッドループ』のキャラ達にほとんど会ったことがない。

 街に行く機会も少ないし、道具や武器防具を揃えたらさっさと旅に出ている。

 知り合いもほぼいないし、友人なんてゼロだ。

 もしも、『ブラッドループ』のファンなら、キャラ達に会いに行ったり、色んな街や都市に行って観光したりするだろう。

 だが、俺は『ブラッドループ』のストーリーにもキャラにも思い入れはないし、世界観も大して知らない。

 『ブラッドループ』のゲーム性が好きなだけだ。

 『ブラッドループ』は高難易度理不尽死にゲーと呼ばれているが、クリアした人間は僅かにいる。

 俺もその一人だ。

 魔王を倒した後はクリア後の世界を旅することができるシステムなんだが、俺はひたすらに魔都でレベル上げをしていた。

 だがレベルに必要な経験値が異常に多くてカンストできなかった。

 世界中でもまだカンスト報告はなかったはずだ。

 俺もカンスト寸前で死んでしまったし。

 

「でも、今回はゴルデベルドを何度も狩れる!

 前世の時とは違ってかなり効率的にレベリングできるな!」

 

 ほくほく顔で俺は独りごちる。

 記憶を取り戻して何年も経つが、やはり狩りは楽しい。

 ゲームと現実は感覚もリスクも何もかもが違う。

 でも楽しさだけは同じ……いや、何十倍も今の方が大きい。

 

「さてと、ゴルデベルドがリポップするまで雑魚とエリート、あとはボスを何体

狩れるか試すか。

 忙しくなるぞぉ!」

 

 ゴルデベルドをあと二回狩ればレベルが上がる。

 そう考えるとわくわくが止まらなかった。

 さあ、レベリング開始だ!

 

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