レベルカンストした俺は2周目に突入する ~永続ボーナスや特典能力を貰ってレベル1からやり直していたら噂が広まりすぎて、周りが放っておいてくれないんだが~   作:鏑木カヅキ

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第6話 カンスト

「ぐわああああああ!」

 

 もう何度目かわからない魔の王ゴルベデルドの悲鳴が聞こえた。

 ん? ゴルデベルドだっけ?

 わかりにくいんだよ、こいつの名前。

 

「おのれ……き、貴様……余をここまで虚仮にするとは……!

 ゆ、許さんぞ……許さんぞぉ!!」

「ああ、そういうのいいから。

 毎回死ぬ時に捨て台詞言うのなんなんだ……」

 

 俺は嘆息しながらゴルデ……ゴルデベルドを見つめていた。

 奴は完全に粒子状になると俺の体に吸収される。

 経験値ゲット!

 

「ふぅ、ラスボスだけあって他の魔物と違って学習してくるな。

 攻撃手段が少しずつ増えるし、パリィ対策にフェイントが増えてきた。

 まあ、俺には通じないけどさ。

 えーと、あと何回狩ればいいんだっけか?」

 

 ステータス画面を開く。

 

 レベル:99

 EXP:4101120/4201240

 

「うお!?

 あと一回、魔の王を狩ればレベル100!?

 嘘だろ!? マジかよ……ついにここまで来たのか」

 

 思わず身体が震える。

 時間を忘れ、ひたすらに狩りに没頭していたが、まさかここまで来ていたとは。

 90レベルを超えたあたりから、経験値が数百万必要になったからな。

 経験値を見てたら頭がおかしくなりそうだったから、途中から確認をやめたのだ。

 この世界(ゲーム)の開発者は頭がおかしいと思う。

 現実だから、開発者というよりは神様みたいなのがいるんだろうけどさ。

 ……自然にこんな世界出来ないよな、たぶん。

 

「ってかどれくらい経ってんだ?」

 

 魔都ルーンベル内には『安らぎの聖石』もあるし、食堂みたいなところもあって、そこで食料も調達できる。

 魔都周辺に深き森もあるからそこで動物を狩ることもあった。

 つまり、しばらくほぼ魔都周辺から出ていない。

 懐中時計を見ると俺はぎょっとする。

 

「うお!? 六か月経ってんのか!?

 嘘だろ……そんなにここに籠ってたのか、俺」

 

 我ながら異常だ。

 睡眠と食事、少しの休憩以外はずっと狩っていたというのに。

 それを半年も続けていたなんて。

 他の人間は街で普通に生活を営んでいるだろうに。

 そう思った俺だが、すぐに平静を取り戻す。

 

「まっ、ゲームしてた時と変わんないか」

 

 いわゆる廃人って奴だ。

 まあ、これはMMOに没頭しすぎた連中への揶揄であり、賛辞でもある言葉だが。

 『ブラッドループ』は基本一人用ゲームで、マルチもあるタイプだからちょっと違う。

 ゲームしない人からすればどっちも一緒だろうが。

 とにかくもうすぐカンストすることができる。

 念願の夢。

 約十年越しの――前世でのプレイ時間とこの世界で記憶を取り戻してからの時間を加算しての話だ――悲願が叶うのだ。

 

「さあ。やろうぜマイル!

 俺たちで偉業を達成するんだ!」

 

 他人の評価なんざ興味はない。

 俺自身の納得と達成感のためにやっているのだ。

 レベルカンストした人間は一人もいない。

 ゲームの中でも、この世界の中でも。

 俺が死にゲー世界初のレベルカンスト勢になるってことだ。

 ワクワクが止まらないな!

 とはいえ。

 

「次の魔の王がリポップするまで時間があるからなぁ。

 一旦、雑魚狩りでもしておくか」

 

 俺は暇を持て余し、魔都を練り歩く。

 何百回としてきたことだ。

 さあて、お掃除の時間だ。

 

   ●◇●◇●◇

 

「そろそろだな」

 

 ここは安らぎの聖石がある部屋。

 魔都ルーンベルの入り口付近にある場所であり、魔の王の謁見の間近くの部屋とは違う。

 俺は全身を伸ばし、筋肉をほぐす。

 懐中時計を確認。

 時間ぴったりだ。

 

「さて行きますか」

 

 俺は右手に魔剣、左手に片手斧を取り出す。

 勢いよく部屋を飛び出す。

 瞬間、廊下に現れたのは黄金騎士たち。

 不意を突き、後ろから斬撃を放つ。

 ガギン。

 黄金騎士たちの鎧を一刀両断。

 数体の黄金騎士は絶命。

 

「よし、次!」

 

 そのまま廊下を走りだす。

 目の前に丁度黄金騎士たちがリポップしていく。

 当然だ。

 奴らのリポップ時間を計算し、移動速度も考えている。

 つまり俺が到着する瞬間、魔物が現れるのだ。

 俺は武器を振るい黄金騎士たちを一撃で屠っていく。

 ザンザンザン。

 気持ち良い音が耳朶を震わせる。

 やや重い感触が手に伝わり、同時に金属音が聞こえる。

 そして討伐された魔物たちはキラキラと輝き、粒子となっていく。

 その光景が好きだ。

 この感覚が好きだ。

 俺は狩りが大好きだ!

 走りながら魔物を掃討。

 廊下で十数体を倒した後、俺は大廊下へと出る。

 と。

 目の前に現れたのは巨大な黄金の騎士。

 『黄金近衛騎士隊長ラグゼ』だ。

 手には巨大戦斧を持つ、魔都のボス。

 巨大で神々しく強そうな見た目をしている。

 所見であれば一旦は距離を取りたくなる相手だ。

 だが俺は勢いを殺さず突っ込む。

 片手斧をインベントリに戻して、魔剣イースを両手持ちする。

 黄金近衛騎士隊長ラグゼ……長いからラグゼと呼ぶ。

 ラグゼは戦斧を俺へと振り下ろす。

 俺はそれをぎりぎりで横に回避。

 さすがにこれはパリィできない。

 だが敵に大きな隙が出来た。

 俺は魔剣イースに力を籠め、黒炎の斬撃を放つ。

 ラグゼに直撃。

 

「ごおおおおお!」

 

 めちゃくちゃ熱そうだ。

 悲鳴を上げて、暴れまわっている。

 まあ、弱点だしな。

 鎧姿だとさぞ効くだろう。

 それを何度か繰り返し、ラグゼを討伐。

 こんな奴はダイジェストで十分だ。

 巨体が地面に倒れるのを確認すると俺は走り出す。

 再び別の廊下を疾走。

 途中の黄金騎士たちを掃討。

 ここまでで経験値は大体10000程度だ。

 ボスが6000で、黄金騎士数十体で4000だ。

 うん、わかる。少ないよな。

 大昔のMMOかっていうくらい経験値が渋いよな。

 これを基本一人用ゲームで出すんだから、やっぱり開発は頭がおかしいよな。

 必要経験値420万もあるのにな。

 しかも俺はリポップ時間を計算して、弱点を突いて、しかもレベルが高いから一撃で倒せる。

 だが、レベル80代前半の時は一撃で倒せないから、時間が倍以上かかった。

 それでも10000だ。

 ちなみにここまでで三十分くらいかかっている。

 魔の王がいなければ、12600分で一レベル上がる計算。

 つまり210時間。

 寝ずに狩って約9日

 睡眠時間を入れて、それ以外を狩りに費やしても二週間はかかる計算だ。

 レベル99の俺でさえだ。

 レベルが80代の時はもっと効率が悪かった。

 五倍近くは時間がかかったと思う。

 魔の王がいなければこれくらいの経験値が当たり前だったのだ。

 だがしかし?

 

「俺にはあいつがいる!

 大好きな……大切なあいつが!」

 

 魔の王、ゴルデベルド!

 最愛の相手!

 大事な相手!

 ああ、ゴルデベルド……いや、ゴルゴル!

 おまえがいてくれて本当に嬉しいよ!

 さあ、会いに行こう。

 俺のパートナー(狩り対象)に!

 俺はスキップしながら謁見の間に突入。

 と。

 

「うおおおおおお!」

 

 いつもの雄たけびと共に現れたゴルゴル。

 なんて愛らしい姿なんだ。

 

「貴様……また余を狩りに来たのか……。

 この! 魔の王! ゴルデベルドを!

 そこらの魔物の如く狩ろうと言うのか!」

 

 怒号を放つゴルゴル。

 なんて勇ましい姿なんだ。

 

「待ってたぞ、ゴルゴル!」

「ゴ、ゴルゴル……!?

 余をゴルゴルと! そう呼ぶか!

 驕るにも限度があるぞ、小僧!」

 

 ゴルゴルが怒りのままに大斧を振るう。

 バギン。

 俺は剣でパリィした。

 

「ま、またしても!」

「おりゃ!」

 

 隙を晒したゴルゴルの腹部に魔剣を突き刺す。

 だがこれではゴルゴルは死なない。

 俺は反撃が来る前に剣を抜いて、飛び退く。

 ドゴォン。

 俺のいた場所にゴルゴルの大斧が突き刺さる。

 地面が割れて、衝撃が俺へ届く。

 俺はそれを予想して、すでに距離を取っている。

 

「おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれぇーーーーッッ!!」

「おお、ブチ切れてんなぁ。

 他の魔物と違って倒された時の記憶があるから?

 学習する魔物ってのも面白いよな」

 

 ゲームだったら何度も挑戦したくなる相手だっただろう。

 まあ、俺は戦闘よりも経験値が好きなんだが。

 狩りは戦闘というよりも、攻略に近いからちょっとニュアンスが違う。

 俺は別に強い敵と戦いたいってわけじゃない。

 経験値が欲しいのだ。

 レベルを上げたいのだ。

 ステータスを上げて、スキルを得て、どんどん成長したいのだ。

 数字が増えて欲しいのだ。

 どんどん進んでいる感じが好きなのだ。

 だからレベリングが好きなのだ。

 こういう人間は結構いると思う。

 

「敵前で思考とは愚昧!」

 

 ゴルゴルが水晶石の杖を振ると、巨大な炎が天井から降ってくる。

 俺はそれを魔剣でパリィ。

 

「ぐぬぅ、またしても!

 我が魔術の軌道さえ読んでおるのか!?」

「全種類の魔術を覚えてるからな。

 複雑な動きをしても無駄だ。わかるし」

「そんな芸当が人間にできるものか!

 我が秘奥の魔術を見ても言えるか!?

 回れ回れ!」

 

 ゴルゴルが杖を回す。

 頭上で円を描くように。

 それは黄色い線となり、粒子となり、やがて王冠となる。

 王冠は砕け散り、巨大なレーザーへと変貌する。

 

「御覧じろ! 御覧じろ!

 最たる魔術を! 黄金と共に深淵へ沈め!」

 

 ゴルゴルが放ったのは『黄金の冠』。

 『ブラッドループ』における最強の魔術。

 魔術師クラスを選んだ場合、80レベルくらいになれば手に入れられるようになる秘術。

 俺は騎士クラスだから使ったことはない。

 だが。

 ガギン。

 パリィ。

 ガギンガギン。

 パリィパリィ。

 

「な……んだと!?」

 

 驚愕の表情を浮かべるゴルゴル。

 俺は迫る黄金のレーザーを何度もパリィする。

 そして。

 すべての魔術は消え失せた。

 

「ほら、できてるだろ」

「な……なぜだ! この魔術を知るものは僅かにしかおらんはず!

 それをなぜ看破できる!?」

「俺の世界じゃ、誰でも調べればわかるからな。

 悪いな、文明の利器使ってさ」

 

 ネット社会の強みが出たな。

 この世界は精々、中世欧州レベルの文明。

 だが俺のいた日本は、ネットが当たり前になった現代社会。

 文明レベルが違いすぎる。

 情報はすべて拡散される。

 一瞬で、簡単に、善し悪しなんて関係なく。

 とはいえこれほどの高レベルの魔術を使えるプレイヤーは限られていたが。

 俺は即座に疾走。

 ゴルゴルの大魔術後の大きな隙を狙う。

 

「おのれ……ッ!」

 

 ゴルゴルは動けない。

 俺は魔剣を振るう。

 ザン!

 黒炎と共にゴルゴルを一刀に伏す。

 

「がッ!!」

 

 ゴルゴルは寸断され、地に倒れた。

 いつも通り、ゴルゴルの体が黄金の粒子に包まれていく。

 

「なぜ……貴様のような人間が……ッ!

 勇者でもなく……英雄でもなく……レジェンド級冒険者でもなく……。

 ただの狩り中毒の……人道を外れた人間に……なぜ余が……」

「俺はコアゲーマーだからな。

 ライトユーザーとは違うのさ。

 奴らには狩りへの熱意が足りない」

「……く、くくく……他の者を……勇者や英雄でさえ……足りないと。

 狂っている貴様は……」

「誉め言葉として受け取っておく」

 

 俺は思わず口角を上げる。

 

「がはは……くは……はーっはははは!

 よかろう……! ならば、何度でも、永劫に続く戦いを!

 余と貴様で続けよう! 永遠に……この常軌を逸した戦いに塗れようではないか!

 我が仇敵……狩り狂いよ!」

「いや、これで終わりだ。カンストするからさ。

 悪いな」

「…………あ? カンスト……?」

 

 俺はなぜか盛り上がっちゃってるゴルゴルに向けて、首を横に振る。

 確かに最愛の人だった。

 人っていうか魔物だった。

 でも、カンストしたらもう用済みなのよね。

 

「これ以上は経験値貰っても意味なくなるからさ」

「な、な……なんだとぉぉぉーーーッッ!

 貴様は……余を弄んだのか……許さん……許さんぞ、狩り狂い!」

 

 今までとレベルが違うほどの憤怒の表情を浮かべるゴルゴル。

 何がそんなに気に障ったのだろうか。

 やはり狩りすぎて恨みを買ってしまったのだろうか。

 まあ、でももう終わりだからさ。

 

「貴様は必ず、余が殺す……必ずだ……!

 この世が果て、世界が巡り……深淵に塗れようと!

 貴様だけは……絶対に……殺してやるからなぁーーーッ!!」

 

 叫びながらゴルゴルが消えていく。

 え、怖い。

 怖いって。

 今まで感じたことのない執着心。

 何が彼をそうさせるのだろうか。

 やはり、狩りすぎたのが悪いのだろうか。

 だって経験値美味すぎるから……。

 ゴルゴルは完全に消え、残った黄色い光の粒子が俺へと集まる。

 そして。

 

 ギュワギギギギィン。

 いつもよりもうるさい、金属音か電子音かわからないレベルアップ音が響く。

 そして。

 俺の体が光を放ち始めた。

 今まで見たことのない演出だ。

 

「なんだ!? 身体から光が!?」

 

 戸惑いながら体を見下ろしていると、突如として目の前にステータス画面が開く。

 

 レベル:99 → 100

 EXP:4201240/4201240

 

 ステータス:HP  981 →999

       MP  315 →321

       STR 97 → 99

       VIT 77 → 78

       AGI 98 → 99

       INT 47 → 48

       MND 54 → 55

       LUC 78 → 81

 

 スキルポイント: 140 → 143

 

「うおおおおお!

 カンストだ! 本当にカンストした!」

 

 噂は本当だったのだ。

 経験値が上限値に到達している。

 つまりこれ以上経験値が入らないということ。

 間違いなく、カンストだった。

 ついにやった。

 俺はやり遂げたんだ!

 凄まじい達成感だ。

 全身が震えている。

 心臓がうるさいくらい早鐘を打っている。

 そんな中、突如眼前に画面が表示された。

 

「なんだ? なんで勝手に。

 おいおい、マジか。嘘だろ……!?」

 

 俺はまじまじとそれを見つめる。

 これって『メッセージ画面』か!?

 

『あなたは人間の頂点に到達した。

 人の枠を超え、上位の存在へと昇格する』

 

「うお!? なんだ!?」

 

 身体から眩いほどの光が生まれる。

 俺は思わず目を閉じた。

 数秒後、恐る恐る目を開ける。

 と。

 現れたのは結構な数の文字。

 

『カンストポイントを解除』

『永続ボーナスを解除』

『引継ぎ能力を解除』

『レリック装備を解除』

『レベルループシステムを解除。いつでも使用可能』

『新イベントを解除』

『新マップと新ダンジョンを解除』

『新モンスターと新ボスを解除』

 

 その後、僅かな間隔があり、再び文字が浮かぶ。

 

『カンスト限定スキルを解除。以下、追加能力』

 

【最大HPアップ・小中大】各20

【最大MPアップ・小中大】各20

【最大スタミナアップ・小中大】各30

【HP持続回復】80

【MP持続回復】200

【スキル効果アップ・小中大】各40

【移動速度アップ・小中大】各50

【経験値効率アップ・小中大】各50

【状態異常耐性・小中大】各40

【各属性防御率アップ・大】50

【幻影の刃】90

【飛翔】100

【ファストトラベル】1000

【我慢】30

【気合】50

【インベントリ・大】300

 

 そこまで出ると、文字は止まった。

 

「な、なんだ!? なんだこれ!?」

 

 俺は動揺を隠せない。

 こんなメッセージは見たことがない。

 永続ボーナス?

 引継ぎ能力?

 なんだそりゃ!?

 まさかカンスト後にこんなものがあるなんて。

 引継ぎ……レベルループシステム?

 つまりこれって最初から周回しろってことか?

 『ブラッドループ』でそんなシステムがあるなんて聞いたことが……。

 

「あ……ああ……ああああああ!

 開発者が言っていたのってこういうことか!?」

 

 俺は開発のプロデューサーのコメントを思い出した。

 

『タイトル通り、やり直しがコンセプトですね笑。

 なので、死んだら最初からっていうのは変える気はないです。

 そんな簡単なの面白くないでしょ?』

 

 やり直し。

 つまり、死んだらやり直しって意味だけじゃなく。

 カンストしても最初からやり直し(・・・・・・・・・・・・・・・)。

 

「あはははははははっ! くくく……っ!

 馬鹿だろ……馬鹿すぎるだろ、ここの開発!」

 

 俺は罵倒しながらも笑っていた。

 あまりに常軌を逸している。

 貰える経験値が少ないためレベル上げが異常に難しく、敵は異常に硬く強く、しかも一回死んだら最初からやり直し。

 そんなゲームなのに、レベルカンストしたら2周目があるなんて誰が思う?

 馬鹿だ。大馬鹿だここの開発は。

 だが俺は、そんな大馬鹿が大好きだ!

 

「最高だなおい! やっぱり『ブラッドループ』は最高のゲームだ!

 馬鹿が作った史上最高のゲームだよ!」

 

 良い意味でも悪い意味でも、ここまでやらかす開発企業はないだろう。

 きっと開発者たちは頭がおかしい、だけどゲームが好きな連中だ。

 俺と同じ、そういう奴らが集まっているんだろう。

 ここはゲームに似た世界。

 だからゲームとは違う、現実だ。

 でも妙な確信があった。

 きっとこの世界と同じように、ゲームも同じ仕様だっただろうってことだ。

 

「ははははは! 面白すぎだろ! マジで!

 サンキュな、開発! 俺はこの世界(ゲーム)を最高に楽しんでるぞ!」

 

 こみ上げる笑いを止めもせず、俺はひたすらに笑い続けた。

 楽しい。

 なんて楽しい世界なんだ。

 まだ続きがある。

 むしろ終わりがない。

 一度カンストしただけじゃ終わらない。

 何回、何十回、何百回でも。

 完全にカンストするまで俺は狩りを続けてやる。

 そして、開発者たちを呆れさせてやるのさ。

 おそらくこの世界では、それは神と呼ばれている存在。

 見てろよ。

 俺は世界を救わない。

 俺は偉業に興味はない。

 俺は地位も名誉も金も女も何もかもいらない。

 欲しいのは経験値だけ。

 レベル上げだけ。

 狩りだけだ!

 俺は改めて決意した。

 この世界で生き、そして死ぬまで狩り続けることを。

 

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