現実を超えるエージェント   作:SEEDに出会えてよかった

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最近レミエールを見るたびにドキッとするようになってます。
マジで俺って惚れっぽい男です。誰か俺の首を跳ね飛ばしてくれ。
ついでにアキラのも。

・新設定
主人公は、「I'm on it.」が口癖。  


それと、chat GPTで作った挿絵を入れたんですが、画像荒めなのでご容赦ください。

https://img.syosetu.org/img/user/v2/764/436/256330.png
(主人公の容姿)
こんな感じです。ご参考までに。




遥か昔の出会い/100年越しの再会

 

 

これは、100年ほど前の出来事。

初代虚狩り、レミエール・ダンが、ゼッツと出会った時の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…どう言う事…!?」

 

(教授…サンブリンガー…君達…何を隠してたの…!?)

 

そう言うのは、レミエール・ダン中佐。

この時代における虚狩りの1人である。

そんな彼女に迫る1つの黒い影。

刃を振りかぶり、無情にも彼女に振るう。

 

時は、かなり前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

眩いフラッシュが焚かれ、壇上にいる3人の人物を照らし、何人もの記者がその3人の姿を写真に収める。

 

「えー、本日はエリー都市政を代表しまして、多大な貢献をされた3名の虚狩りを表彰いたします。ホロウとの戦いにおいて、彼らが…」

 

司会らしき人物がそう言っている時、彼のマイクを奪って話す1人の人物が居た。

ピンク色の頭髪に、整った顔立ち。

可愛らしいと言う印象を受ける彼女は、先ほども紹介したレミエール・ダン。

 

「みんなー!レミエール・ダンだよ!今日はとっておきのお知らせがあるの!私とヘーリオス研究所がーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

ところ変わってパーティ会場。

白いドレス姿のレミエールと同じソファに腰をかけ、新聞を読む青っぽい色をしたドレスを着た女性、レミエールの同僚にして幼馴染の、ベリオラ・ヴァイク大佐である。

 

「最後まで言わせて欲しかったなぁ…」

 

レミエールはあからさまに不満そうにしてそう言う。

 

「で?何で私の許可もなく計画のメンバーに?」

 

「虚狩る戎具が絡むからです。1人じゃ不安ですから。」

 

ヴァイクはそう言ってレミエールに読んでいた新聞を見せる。

そこには、先ほど何かを言おうとしたレミエールが映った写真が載っていた。

その時、隅に書いてある記事が目に留まる。

 

「ホロウの闇に紛れる戦士…ZE(ぜっといー)…?」

 

「ZEZTZ。読み方はゼッツですよ。」

 

「誰なの?」

 

「近頃話題の人物です。なんでも、ホロウで彷徨っていた人を助け出したり、エーテリアスから人々を守ったり。一部では熱狂的なファンもいるとか。」

 

「子供が憧れそうなヒーローって感じ…」

 

レミエールはそれを押し除けて立ち上がる。

 

「ふんっ、せっかく私の見せ場が…」

 

「取られちゃう、ですか?」

 

ヴァイクはそう言う。

 

「キミに?わーおもしろい、いいよ…一曲だけ付き合ってあげる。」

 

レミエールはそう言ってヴァイクに手を差し伸べる。

 

「私にもですが、ゼッツにもです。それと踊るのでしょう?足、踏まないでくださいね。」

 

ヴァイクはレミエールの手を取って立ち上がる。

 

「そっちこそ」

 

「にひひ…ぶきっちょな世話焼きさん。」

 

レミエールはそう言いながらヴァイクの背後から現れ、ヴァイクの手を引く。

そして2人は、互いの過去を振り返った。

 

レミエールが賞を取って表彰されたこと、1人だったレミエールにヴァイクが寄り添った事。

 

『また一番でしたね!私も教わりたいです…』

 

『ふん こう言うのは才能ある人がやらなきゃ。』

 

幼い頃の2人は、そんなことを言い合っていた。

 

「上手くいけば…人類はホロウ征服にまた一歩近づく。誰かがやらなきゃでしょ…」

 

踊っているレミエールは、暗い表情で言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

2人は、パーティ会場を後にする。

 

「実験はまあ…来たいなら来れば。」

 

「見せ場は貰いますから。」

 

「ふんっ、言ってなよ。」

 

レミエールとヴァイクはそんなことを言い合う。

 

「そうだ。これ、約束したやつです。」

 

そう言ってヴァイクは、レミエールに一つの球体を渡す。

レミエールがそれを開けると、綺麗な音色が鳴り、中にあった青い鳥の飾りが羽を羽ばたかせる。

 

「わぁ…!」

 

「上手く行くと良いですね。お互いに。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、冒頭に戻る。

 

『実験は失敗!繰り返す!実験は失敗!ヴァイク大佐のエーテル活性が著しく上昇!「結使」化の兆候あり!』

 

するとエーテリアス化したヴァイクは、手に持った刀をレミエール目掛けて振るう。

 

「ううっ…!」

 

レミエールは金属の翼をそれを防ぐが、あまりのパワーに吹っ飛ばされてしまう。

 

「でたらめ言わないで…!」

 

『数値が臨界点を突破!もはや不可逆です!』

 

「嘘っ!きっと元に戻る!」

 

レミエールは今の現実を受け止められず、ヴァイクを救う手立てを考える。

 

『ダン中佐!直ちに撤退を!中佐、撤退を!』

 

飛んでいるレミエールを、ヴァイクは叩き落とす。

レミエールは間一髪で体勢を立て直すも、ヴァイクは間髪入れず化け物じみた攻撃を繰り出す。

 

「私も…ああなるのかな…?タウミエルを使うほど…意識が…」

 

レミエールは能力でヴァイクの動きを封じようとする。

しかし、上手く発動できず、ヴァイクは刀を振るう。

 

『死ぬ』

 

レミエールはそう確信した。

避けられない、回避のしようが無い。

 

(ベリ…助けられなくてごめんね…)

 

レミエールは、心の中で助けられないことをヴァイクに謝りながら目を閉じる。

そして、刀が振るわれた。

 

 

 

 

 

しかし、レミエールは死ななかった。

 

「な…んで…?」

 

レミエールが目を開けると、そこには1人の男が立っていた。

 

「誰…?あなた…」

 

真っ赤な複眼、黒い体に赤いラインと緑の差し色。

その時、レミエールの脳裏に一つのことがフラッシュバックする。

 

『ゼッツ』

 

あの時新聞で見た戦士が、目の前に現れたのだ。

 

「どう言う状況かは大体分かった。彼女は俺に任せてくれ。」

 

「任せてって…無理に決まってるよ…!私でも勝てないんだよ!?」

 

「大丈夫。俺、強いから。」

 

ゼッツはそう言うと、瞬き一つにも満たないほどの速さでヴァイクの懐に潜り込み、右腕をビキビキと隆起させ、ヴァイクの腹部に掌底を打ち込む。

そのあまりの威力で、ヴァイクは建物を突き破りながら数百メートル後方へと吹っ飛ぶ。

 

「何てパワー…!」

 

「君はここに居て。彼女は俺が助ける。」

 

「え…?助けられるの!?」

 

「ああ。俺は彼女を助けるために、わざわざここに来たんだから。」

 

そう言ってゼッツは歩き出す。

ゼッツの後ろ姿に、レミエールは僅かながら希望を見出した。

 

堂々と歩くゼッツに、ヴァイクはけたたましい咆哮を上げて飛びかかってくる。

 

「フンッ…!」

 

空気を切り裂く攻撃をゼッツは身軽に避け、その剛腕で攻撃を叩き込む。

 

『ガッ…!?』

 

腹部に伝わる鈍痛に、ヴァイクは思わず呻く。

 

「硬いな…もう少しだけ乱暴するぞ。」

 

するとゼッツは、黒いドローンのような形をした物を胸のベルトに取り付ける。

 

『カタストロム!メ〜ツァメロ!メ〜ツァメロ!』

 

そしてオレンジ色のボタンを拳で殴り叩くように押す。

 

『パルバライズ!ライダー!ゼッツ!ゼッツ!ゼッツ!カタストロム!!』

 

すると、灰色の皮膚らしき物の内側にオレンジ色の筋肉と思わしき物が見える、筋骨隆々の姿へと変わる。

 

「彼女に何する気!?」

 

飛んできたレミエールは、ゼッツに声を荒げて問いかける。

 

「このままじゃ埒があかない。彼女を疲弊させる。」

 

「お願い…!彼女を…ベリを殺さないで!」

 

「殺さないさ。俺が死んでも、彼女だけは絶対助ける。」

 

顔も見た事がない、今出会ったばかりの男の言葉。

それなのにレミエール、心から安心できた。

このゼッツという男は、心から信用して良いと確信できた。

 

ゼッツは拳を握りしめて構える。

 

I'm on it.(さあ、やろうか。)

 

そう言ってとてつもないスピードで駆け出す。

 

『グルルァ!!』

 

ヴァイクは怒りに任せて刀を振るう。

 

「効かねえよ…!」

 

ゼッツはその丸太のような腕を振るい、なんと刀を叩き折った。

 

「ウルァッ!!」

 

ゼッツは全身の力を、右拳に集中させ、ヴァイクの腹を殴る。

さっきまでとは天と地ほどの差があるパワーで殴られたヴァイクは、ソニックブームを出すほどの速さで吹っ飛ぶ。

 

「オォ…ラァッ!!」

 

しかしそれを上回る速度で先回りしたゼッツに、さらに別の方向へと殴り飛ばされる。

 

『ゴガァッ…!』

 

「ハァッ!!」

 

さらに先回りし、瞬き一つの間に10発以上の拳を叩き込み、ヴァイクは地面に叩き落とされる。

 

「そろそろか…」

 

人智を超えた常識離れした攻撃を間髪入れず喰らい続け、もはやまともに立つ事すら出来ていなかった。

 

「すまない、痛いよな。けど許してくれ、これで最後だから。」

 

『グルルァッ!!』

 

ヴァイクは力を振り絞って飛びかかるが、腹に拳を撃ち込まれてダウンする。

ゼッツは胸のベルトにセットした物の中心部の円盤部分を回転させる。

 

『オルデルム メツァメロ!メツァメロ!』

 

再びオレンジのボタンを拳で押す。

 

『アナトライズ ライダー! ゼッツ ゼッツ ゼッツ!オルデルム』

 

筋骨隆々の姿とは打って変わり、細くスタイリッシュな姿になる。

 

「もう、終わりにしよう。」

 

そう言ってゼッツがヴァイクの頭に手を置くと、格子状に光が広がる。

 

「ハアッ…!」

 

そしてゼッツが少し力を入れると、ヴァイクがエーテリアスの体から分離された。

 

『ダン中佐!一体何が!?ヴァイク大佐のエーテル活性が…こ、これは…!一瞬で安全域まで!?』

 

「ゼッツ…ゼッツが助けてくれた…」

 

レミエールは地面に倒れそうになったヴァイクを受け止める。

 

「ベリ!」

 

エーテリアスの体は、塵となって消える。

 

「どうにかなったな。」

 

「でも!彼女、怪我を…」

 

ヴァイクの体は、ボロボロになっていた。

 

「少し乱暴しすぎたか…けど大丈夫。」

 

ゼッツは緑色の球体を取り出し、回転させる。

 

『リカバリー』

 

その時、ヴァイクの体の傷がみるみる内に癒えていく。

 

「凄い…」

 

「あとは彼女を休ませてあげてくれ。俺はそろそろお暇する。」

 

そう言ってゼッツは立ち去ろうとする。

その時、彼はその姿を変え、人間としての姿になる。

 

レミエールは、その彼の素顔を目にした時、息を呑んだ。

あまりに美しい黒髪、宝石のように真っ赤で透き通った右目と、夜の闇を宿したような黒い左目。

 

「綺麗…」

 

「……顔、見られちゃったか。」

 

足早に立ち去ろうとするゼッツに、レミエールは声をかける。

 

「待って!」

 

「何?まだ何か用があるのか?」

 

「その…ありがとう…!貴方、名前は?」

 

「本名は教えられないが…ゼッツ。仮面ライダー、ゼッツだ。」

 

ゼッツはベルトを指でトントンと叩いて言う。

 

「仮面ライダー…」

 

「良い夢見ろよ。」

 

そしてレミエールは、立ち去ろうとする彼の背中を見送る。

 

「ゼッツ…カッコよかったな…素顔も…あれ…?」

 

レミエールは、突然脳内にモヤが掛かったような感覚に襲われる。

 

「彼……どんな顔してたっけ…?」

 

ゼッツはレミエールに見えないように、謎の丸い物体を閉じ込めた赤い球体を持っていた。

 

「コードソムニアは…使いたくなかったんだけどな…」

 

ゼッツは、悲しそうな顔をして去る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数100年。

 

レミエールは当時の若々しさを保ったままであり、一命を取り留め傷が治り、レミエールと同居しているヴァイクも、同様に当時の容姿のままだった。

 

「ねえベリ。」

 

「何ですか?」

 

「ゼッツ、今はどうしてるのかな?」

 

「ニュースで見る限りは、あの頃となんら変わっていない様子ですが。」

 

「また…会えたらいいなぁ…」

 

「私も、一度面と向かってお礼を言いたいです。」

 

「そっか、キミはちゃんとお礼言えてないもんね。」

 

「はい…」

 

ヴァイクは、悲しげな顔で外を見る。

 

「気分転換に、散歩でもいく?」

 

「…ええ、偶にはいいかもしれません。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人は外を歩き、明るい陽の光を浴びていた、

 

「ねえベリ。」

 

「どうしました?」

 

「ベリは、ゼッツに会ってなんて言いたいの?」

 

「そうですね……ただ一言、ありがとうとだけでも…」

 

「そっか…私はね…」

 

レミエールが何かを言おうとした時だった

 

「おーい!ゼロ!走り過ぎだぞ〜!」

 

白と黒の犬、おそらくはボーダーコリーの子犬と走って散歩をしている青年だった。

 

https://img.syosetu.org/img/user/v2/743/31/256329.png

(散歩をしている主人公のイラスト)

 

ゼロと呼ばれた子犬は、レミエールの足元へ行くと、レミエールに対して尻尾を振り、懐いた様子だった。

 

「フフフ…可愛いワンちゃんだね。」

 

「貴方に懐いているようですね。」

 

「ごめんなさい!ウチの子が!」

 

「いえいえ、お気になさらず。」

 

謝る青年に、ヴァイクはそう言う。

 

「ほら、ゼロ。散歩の続き行くぞ?」

 

「君は、ゼロって言うんだね。かっこいい名前だね。」

 

レミエールはゼロを持ち上げて可愛がる。

 

「ゼロ歳の時から俺が世話してるので、ゼロって名付けました。」

 

「そうなんだ。君が羨ましいぞ〜、こんなイケメンに可愛がられてるなんて。」

 

「そんな、イケメンだなんて。俺みたいな人は世の中にいくらでも居ますよ。」

 

「ゼロくんは離れたがらないようですし、少しそこのベンチに座って話しましょうか。」

 

「いいねベリ。賛成。」

 

「まあ、お二人が嫌でないなら。」

 

3人はすぐ近くのベンチに腰をかける。

 

「お二人は、誰かを探してるんですか?」

 

「え…なんで分かったの?」

 

「いや、少し話が聞こえてしまって。」

 

「ああ、そういう…私達はね、私達のことを助けてくれた人を探してるの。」

 

「……命の恩人、的な人ですか?」

 

「うん、まさしくそんな感じ。」

 

「名前は、分かるんですか?」

 

「うん。最近有名な、ゼッツって分かる?」

 

「はい。」

 

「彼なんだ。」

 

「……そう、ですか。」

 

「もう一度会って…話がしたいんだ。」

 

「伝えられると、良いですね。」

 

「うん。」

 

「それじゃあ、俺はそろそろ行きます。」

 

「すみません、散歩の途中お邪魔して。」

 

「いえいえ、ゼッツに、会えると良いですね。」

 

そう言う青年の持つリードを、ゼロはグイグイと引っ張る。

 

「わかったわかった!I'm on it!(さあ、行こうか!)

 

その時だった。

 

青年のその言葉を聞いた時、レミエールの記憶にかかっていたモヤが、綺麗さっぱり消え去る。

 

「今の…」

 

「どうかしました?レミエール。」

 

「待って!」

 

「……はい?」

 

青年は立ち止まって振り返る。

 

「もし…もしもね?…もし、時間があったら、またここに来て!待ってるから!」

 

「ちょっと、何を言ってるですか!?失礼でしょう!」

 

「いえ。……わかりました、後でまた来ます。」

 

そう言って、青年は去っていく。

 

「レミエール、一体どうしたんですか?」

 

「ゼッツの正体…分かったの。」

 

「え…?…まさか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すいません、遅くなりました。」

 

数十分後、青年はレミエール達と居たベンチへと戻る。

 

「いえ、こちらこそ突然すいません。わざわざまた来ていただいて、ありがとうございます。」

 

ヴァイクは謝罪ついでに感謝を伝える。

レミエールは青年の右側に、ヴァイクは左側にと、2人で青年を挟む形で座る。

 

「そう言えば、自己紹介してなかったね。私はダン、レミエール・ダン。こっちは…」

 

「ベリオラ・ヴァイクと言います。」

 

「俺は万津(よろづ) (ばく)です。」

 

「漠くんか、よろしくね。」

 

「はい。それで、話って?」

 

「……レミエール。」

 

「うん。率直に聞くね。」

 

「はい…」

 

「君が、ゼッツだよね。」

 

「…………」

 

「答えないって事は…肯定と捉えて良い?」

 

「………ちなみに、どこでそう思ったんですか?」

 

「君が言ってたI'm on itって言う言葉。私とベリを助けた時、ゼッツも言ってたの。」

 

「……はぁ……言い逃れは、出来ないか。」

 

「じゃあ…やっぱり…」

 

「ああ、そうだよ。俺が、ゼッツだ。」

 

「っ…!」

 

それを聞いたレミエールは、青年にギュッと抱きつく。

 

「ずっと…ずっとずっと会いたかった…!」

 

レミエールは涙を流し、100年越しの再会を心から喜ぶ。

ヴァイクは立ち上がり、青年の前に立つ。

 

「あの時は、ありがとうございます。貴方が居なければ、私はきっと死んでいました。貴方のおかげで、私は今こうして生きていられます。本当に…ありがとうございます…!」

 

「顔を上げてください。」

 

青年の言う通りに、ヴァイクは顔を上げる。

 

「俺は、感謝されるようなことはしてません。俺がやりたかったから、俺が助けたかったから助けた。ただそれだけですよ。」

 

「貴方は…本当に優しいのですね…」

 

青年の底なしの優しさに、ヴァイクは一筋涙を流す。

 

「けど私…なんで貴方のことを忘れてたんだろう…」

 

「…………それは…俺が貴方の記憶を改竄したからです。」

 

「え…!?」

 

青年の言葉に、レミエールは思わず声を漏らし、ヴァイクは驚きのあまり声を発することさえできなかった。

 

「どうしてそんな…」

 

「少し…長い話になります。」

 

そして青年は、自身が何故助けた人間から、『漠』としての記憶を消し、『ゼッツ』としての記憶は残したのか。その理由を語り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺には元々、妹が居たんです。世話焼きで、優しくて、可愛い妹でした。」

 

レミエールとヴァイクは、それを静かに聞いていた。

 

「けどある日…あの子はホロウの裂け目に入ってしまいました。ホロウの中で長時間居続け、エーテリアスにこそならなかったら物の…脳に損傷を負って、記憶を失いました。兄である…俺の記憶でさえ。」

 

その言葉に、レミエールとヴァイクは、思わず心臓が飛び上がるほどの衝撃を受ける。

 

「あの子は必死に俺のことを思い出そうとしてくれました。本当に優しい子です…けど……優しすぎたんです。」

 

青年は表情を暗くして話す。

 

「記憶を取り戻せない事が、自分が誰かを忘れたせいで相手を傷付ける事が余程辛かったんでしょうね………病院の屋上から、あの子は身を投げました…。頭から落ちて、即死でした…」

 

青年の言葉に、2人は胸が痛んだ。

 

「だから…俺はもう誰にも覚えてもらわなくていいって思いました。忘れられるくらいなら、忘れた相手がそれで傷つくぐらいなら、みんなに忘れられた方が良いって…だから、俺はコードソムニアを作りました。」

 

「コードソムニア…?」

 

「人の記憶を改竄して、使用した人物のことを忘れさせる物のことです。」

 

「そんな…あまりに…」

 

「世界が俺を忘れても…俺はみんなを覚えてる。それで良いんです。」

 

青年は、もはやどうでも良いと言う顔で語る。

 

「じゃあ……また記憶、消しますね。」

 

青年はコードソムニアを取り出して、記憶を改竄しようとする。

しかし次の瞬間、コードソムニアは弾き飛ばされた。

 

レミエールが、青年の手からコードソムニアを叩き落としたのだ。

 

「な、何を…」

 

「そんなのダメ。顔も知らない人のために、見ず知らずの人のために命を掛けて戦う貴方が、誰にも覚えてもらえないなんて…そんなの許せないよ!」

 

「……けど…俺は…」

 

「もう何も聞かない。私は、貴方のことを忘れない。」

 

「っ…!」

 

その何気ない一言が、青年にとっては、どんな慰めよりも救いだった。

レミエールに続く形で、ヴァイクも口を開く。

 

「私は、貴方にお礼を言いたくて、貴方を探していました。けれど、今、貴方を探す理由がひとつ増えました。貴方を…覚えていたいんです。」

 

「なんで…」

 

「貴方が誰かのために戦うなら…私たちは、貴方のために、貴方のことを覚えていたい。ただそれだけですよ。」

 

「けど…けど…!怖いんです…!また誰かに忘れられて…そのせいでまた誰かが傷つくのが…!」

 

その言葉を聞き、レミエールは青年の頬に手を添える。

 

「大丈夫。私が絶対忘れないように、御呪い(おまじない)かけてあげる。」

 

「え…?」

 

するとレミエールは素早く顔を近づけ、青年にキスをした。

しかも、少しばかり舌を絡めた濃厚なやつを。

 

「レ、レミエール!?貴方何を!?」

 

「ぷはぁっ…!?な、何を…!?」

 

「これなら、忘れたくても忘れられないでしょ?」

 

「い、今の…」

 

そしてレミエールは青年に言う。

 

「私ね、貴方が大好き。1人の男性として。」

 

そこへ割って入るようにヴァイクも言う。

 

「わ、私もです!誰かのために戦う貴方が、とても素敵で…!」

 

「だから、もう2度と忘れないよ。貴方のこと。」

 

「ぁ…ぁあっ…!」

 

青年はその心を温めてくれる優しい言葉に、声にならない声を出して泣いた。

 

「何か困ったことあったら、また呼んでね。」

 

「はぃ…はい…!」

 

「連絡先、交換しましょうか。」

 

「いいね、またいつでも会えるように。」

 

そしてレミエールとヴァイクは、青年と連絡先を交換した。

 

「これで、もっと忘れられなくなりましたね。」

 

「そう、ですね。」

 

青年はコードソムニアを拾い上げる。

 

「もう、これは使いません。」

 

「良かった。そう言ってくれて。」

 

「また…会ってもいいですか?」

 

「もちろん。」

 

「いつでも呼んでください。」

 

「ありがとうございます…!本当に…!」

 

「じゃあ、今日はそろそろお開きにしましょうか。」

 

「うん。またね、漠くん。」

 

「はい、また…!」

 

そう言って3人は、互いの帰路に着いた。

 

漠はその後、川の上にかかった橋へと来ていた。

手にコードソムニアカプセムを握りしめ、バキッと握りつぶした。

握り潰されたカプセムは、塵となって宙を舞って消え去る。

 

「もう…誰かと向き合うことから、逃げたりしない…俺は、もう1人じゃないから。」

 

青年の目には、確かな安心と、決意が宿っていた。

そして彼は、月明かりに照らされながら、夜の闇へと歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ほぼオリジナルストーリーで頑張ったでしょ!?
褒めてよ!仕事終わりでクッソ眠い中頑張って描いたんだよ!

ちなみに本作は、レミエールをメインヒロインにする予定です。

ただ他の陣営やキャラとも頑張って絡ませようと思うので楽しみにしててください。
また頑張って描くので、応援お願いします!

主人公と絡ませて欲しいキャラ(作者の推しキャラ贔屓あり)

  • プロメイア
  • ジェーン
  • シーシィア
  • イドリー
  • オボルス小隊の面々
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