現実を超えるエージェント   作:SEEDに出会えてよかった

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雅の戦闘シーン、めっちゃ好きなんですよね。
あの疾走感ある感じで刀を振いながら駆け抜ける感じが。

改めて言いますけど、ゼンゼロプレイできてないんで、キャラの口調おかしいかもしれないですけど許してください。



最年少の虚狩りvs最強無敵のエージェント

 

 

 

レミエールとヴァイクとのデートから2週間ほど経った頃、漠は再びゼッツとしてホロウの中で人助けに勤しんでいた。

 

「オラァッ!」

 

『ギグァッ!?』

 

エーテリアスを殴り、壁が砕けるほどのスピードで吹っ飛ばす。

全身を壁に打ちつけたエーテリアスは即死し、消滅する。

 

「もう大丈夫、向こうに俺が入って来た時に使った裂け目があるから、そこから逃げて。」

 

「あ、ありがとう!助かった!」

 

助けられた人は、ゼッツが指差した方向に走っていく。

 

「ふぅ……さて…」

 

突然、一本の矢がゼッツめがけて飛んでくる。

しかしゼッツはそれを掴んで折る。

 

「俺がホロウに入った辺りからずっとつけて来てたよな。誰だ?」

 

「うっそ…普通あの速度で飛んでく矢を掴む?」

 

現れたのは、弓矢を装備した爽やかな青年だった。

黄色いハチマキを額に巻き、首に黒いチョーカーをつけたどこか色気もある青年『浅羽(あさば) 悠真(はるまさ)』だ。

 

「俺に常識は通用しないと思った方がいいぞ。」

 

「みたいだねぇ〜。」

 

「それと…」

 

その時、ゼッツの背後から2人の影が飛びかかってくる。

手元にブレイカムゼッツァーを出現させ、2人が振り下ろして来た武器を弾く。

 

「わあっ!?反応されちゃった!」

 

「一部で虚狩りを遥かに超えると噂されるゼッツ…デマではありませんね。」

 

「ナギねぇ!サインもらってもいい!?」

 

「良いですけど、色々と終わってからですよ?」

 

1人は角を生やした青い肌の鬼の少女『蒼角(そうかく)』、もう1人はピンク色の髪でメガネをかけた美女『月城(つきしろ) (やなぎ)』だった。

 

「なに?俺のファンかなんか?」

 

「この子、すっかりあなたに憧れているんです。」

 

「そりゃあ嬉しいね。そして…一際デカい気配がひとつ…」

 

ゼッツは背後に視線をやるとそこにいたのは、一振りの刀を携え、黒く長い耳を生やし、ただならぬ覇気を纏った狐のシリオンだった。

 

「ゼッツ殿、まずは突然の襲撃を謝罪しよう。」

 

「いや、別に襲撃と思ってないし、大丈夫。」

 

「単刀直入に言おう。ゼッツ殿、手合わせを願いたい。」

 

「手合わせ?ああなんだ、そんな事なら素直に声かけてくれれば良いのに。」

 

「良いだろうか?」

 

「ああ、構わない。」

 

ゼッツは突然の提案ながらも、快く受け入れる。

 

「感謝する。お前たち、手出しは無用だ。」

 

狐のシリオンは先の3人にそう声をかける。

 

「課長、無理はしないでくださいね。」

 

「かちょー、倒れられでもしたら困りますからねー?」

 

「頑張れー!課長ー!」

 

その声援を聞き、ゼッツは感心する。

 

「信頼されてるんだな。」

 

「ああ、良い部下を持った。」

 

「で、本気で行っていいの?」

 

「無論だ。こちらも全力で応えよう。」

 

「なら…」

 

ゼッツはインパクトカプセムをドライバーから外し、デュアルメアカプセムを取り付ける。

 

『カタストロム!』

『メェ〜ツァメロ!メェ〜ツァメロ!』

 

オレンジのボタンを殴り押す。

 

『パルバライズ ライダー!ゼッツ ゼッツ ゼェーッツ!』

『カタストロム!』

 

ゼッツはその姿を、筋骨隆々の姿へと変える。

 

「ただならぬ気配…凄まじいな。」

 

「お喋りは終わりにして、さっさとやろうぜ。」

 

「わかった。虚狩り、星見(ほしみ) (みやび)。」

 

「仮面ライダー、ゼッツ。」

 

両者は互いに名乗り、ゼッツは拳を構え、雅は抜刀の構えを取る。

数秒の睨み合いが続き、割れた岩の破片が地面に落ち『カンッ』と音を響かせたその瞬間、両者は同時に駆け出す。

 

「フッ…!」

 

雅は、空間を切り裂くのかと思う程の速さとパワーで刀を振るう。

 

「ウラァッ!」

 

ゼッツはその刀を拳で受ける。

 

「ハッハッハ!俺のこの姿の拳を受けて折れないなんて、とんでもない刀だな!」

 

「ただの刀では無いのでな…!」

 

雅は肉眼で追えないほどの凄まじい速さで刀を振るう。

 

「そいつぁ結構…!」

 

だが全ての斬撃を、ゼッツは難なく受け流す。

 

(この程度は難なく流されるか…ならば!)

 

すると雅は、刀を振るう速度を上げ、もはや刀の形すら見えなくなる。

 

(すっげえ速さ!…華奢で小柄なのにパワーはインパクトと同等か少し劣るレベル…さらに僅かな隙を見つけてそこを即座に突く判断力と動体視力…噂には聞いてたけど、これが…『史上最年少の虚狩り』、星見雅か!)

 

その化け物じみた実力に、流石のゼッツも驚かされる。

 

「もらった!」

 

雅はゼッツを刀で突き刺そうとする。

 

「ここだ!」

 

ゼッツは咄嗟に地面を殴って砕き、雅は拳と瓦礫を避ける為に後方に跳ぶ。

 

「あっぶねぇ〜…体が小さいから、それだけ速い…しかし力はそれなりに強い…恐ろしいほどの強さだな。お見事だ。」

 

「素直に受け取ろう。しかし、私は不満だ。」

 

「何が?」

 

「ゼッツ殿は、まだ全力を出していないだろう。」

 

「っ!……へぇ…見破られるとはね。」

 

「観察眼には自信がある。」

 

「……全力、出していいのか?」

 

「ああ。こちらも全力で応える。」

 

「わかった。とっておきは最後に残しておくとして、ひとまずこの姿での全力を見せるよ。」

 

ゼッツはそう言って構えを取る。

雅は一度納刀し、抜刀の構えを取る。

 

「……I'm on it.(さあ、やろうか。)

 

そう言った瞬間、地面を砕いてゼッツが駆け出す。

 

「ハァッ!」

 

「フンッ!」

 

雅は刀を振るい、ゼッツは拳を放つ。

刀と拳がぶつかり合う。

 

「ゥゥゥゥッラァァッ!!」

 

ゼッツは全身の力を拳に込め放ち、その威力で雅は吹っ飛ばされる。

 

「くっ…!」

 

「こっちだァァッ!」

 

ゼッツは雅が吹っ飛んだ方向に先回りし、雅の足を掴んで壁に叩きつける。

 

「がはっ…!」

 

雅は全身に響く痛みを必死に堪え、なんとか立ち上がる。

 

「まだまだァァ!!」

 

しかしゼッツは待つ事なく、雅目掛けて脳天割りを放つ。

 

「っ…!」

 

雅は紙一重で回避するが、ゼッツの化け物じみたパワーで、地面や近くの壁は粉々に砕け散る。

 

(散った破片で…視界が…!)

 

ゼッツが砕いた壁や地面の破片が空中に舞い、雅はゼッツを視界に上手く捉えられない。

 

「ボディが、ガラ空きだァッ!」

 

そのほんの一瞬を見逃さず、ゼッツは雅の腹部にその剛腕を叩き込む。

 

「がはっ…!?」

 

そして再び雅は吹っ飛ぶ。

ゼッツは追い打ちをかけるため、跳んで追う。

 

「げほっ…ごほっ…」

 

その頃、雅はほんのわずかな間ながらも息を整え、痛みを少しでも抑え込もうとしていた。

 

(あのパワー…私が全力を出したとしても、おそらく足元にも及ばない…パワー、スピード、共にゼッツの方が遥かに上…)

 

雅は、生まれて初めての感覚に襲われていた。

 

(初めてだ…全くもって…勝てる気がしない…)

 

するとそこへ、ゼッツが現れる。

 

「自分でやっといてなんだけど、かなり吹っ飛んだんだな。」

 

「これほど飛ばされたのは生まれて初めてだ。」

 

「だろうね。普通に生きてたらまずしない経験だろうし。っと、雑談はこれくらいにして、再開しようか。」

 

「了解した。」

 

そう言って、2人は互いに歩み寄る。

2人の足音だけがその空間に響き、ゼッツは拳を握りしめて、いつでも攻撃できる様に、雅は刀を持つ手に力を込め、出せる限りで最速の抜刀を繰り出せる様に用意をする。

 

10メートル、9メートル、8メートルと、少しずつ距離が縮む。

風が吹き、ヒューと音が鳴る。

5メートル、4メートル、3メートル、2メートル。

2人は互いに睨み合い、己の全てをぶつけ合う決心をする。

 

そして、1メートルに近づいた瞬間。

 

「オォラァァッ!」

 

「ハァァァァッ!」

 

2人が同時に渾身の一撃を繰り出した。

 

ガゴッ!と、鈍く重い音が鳴り響き、空気を揺るがす。

 

「っ!」

 

「くっ…!」

 

両者はよろけて、少し後退する。

しかしすぐに前を向き、最高速度で駆け出す。

 

「ハッ!」

 

「セイヤァッ!」

 

2人は音が遅れて聞こえるほどの速度で攻撃を放ち合い、足元の地面は凹み、ひび割れる。

 

「ハァッ!」

 

「おっと…!」

 

雅は刀を振り下ろすが、ゼッツはその刀を白羽どりで止める。

 

「もらった!」

 

「ぐっ…!?」

 

しかしその瞬間にノーガードになった胴体に、雅は入り込んで蹴りを入れる。

 

「やっぱ…ケホッ…虚狩りの蹴りは、重たいなぁ…!」

 

「もらった!」

 

ゼッツが腹部をさすって膝をついている隙を逃さず、雅は斬りかかる。

だが、生き急いだこの攻撃が、逆に命取りとなる。

 

『プラズマ』

 

ゼッツがプラズマカプセムを左手で回すと、ゼッツが右手に電気を纏う。

その手で雅の刀を掴み、出せる限りの電流を全て刀を伝って流す。

 

「がぁぁっ…!あぁっ…!」

 

死に至る強さでは無いといえど、強い電流を瞬間的に流し込まれれば、体は硬直する。

 

「オラッ!」

 

ゼッツは容赦なく蹴りを入れ、雅を吹っ飛ばす。

 

「ぐぁぁっ…!」

 

壁を2、3枚突き破り、雅は地面に倒れる。

 

「ハァ…ハァ…危なかった…」

 

ゼッツは立ち上がり、雅に歩み寄る。

 

「どうする?まだ、続ける?」

 

「ハァ…ハァ……いや、十分だ。」

 

「そっか。」

 

『リカバリー』

 

ゼッツはリカバリーカプセムで雅の傷を癒す。

 

「立てる?」

 

「なんとかな…」

 

雅はゼッツの手を取り、立ち上がる。

 

「ここまで手酷くやられたのは初めてだ。だが、良い経験になった。」

 

「気を悪くして無いなら何より。じゃあ、みんなのとこ戻ろっか。」

 

「ああ。」

 

ゼッツと雅は凄まじい速度で元居た場所へと戻っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「課長!大丈夫ですか?」

 

「課長ー!大丈夫?飴ちゃんいる?」

 

柳と蒼角は心配した様子で雅に歩み寄る。

 

「すごい音聞こえてましたけど。」

 

悠真は苦笑いしながら雅とゼッツが戦闘した方向を見る。

その方向は、建造物も何もかもめちゃくちゃになっており、さながら怪獣映画で戦闘があった跡のようだった。

 

「にしても、久しぶりにハラハラさせられたよ。流石は最年少の虚狩り。」

 

「いや、私もまだまだだ。少し食らいついて隙を作る程度のことしかできなかった。実際のところは足元にも及ばなかった。」

 

「だとしても、あそこまで食らいつかれたのは久しぶりだよ。俺ももっと強くならなきゃな。」

 

すると、蒼角が思い出した様に声を上げる。

 

「そうだ!ゼッツさん!サインください!」

 

「サインなんてしたことないんだけどなぁ…俺らしいサインかぁ…あっ!そうだ。えっと、何にサインして欲しいの?」

 

「これ!」

 

蒼角は自身の武器を差し出す。

 

「それなら…」

 

ゼッツはブレイカムゼッツァーを取り出し、その切先で蒼角の武器に器用にも、『ZZZ』の文字を刻んだ。

 

「はい。」

 

「わぁぁ〜…!」

 

ゼッツから武器を受け取った蒼角は、嬉しそうに目を輝かせていた。

 

「ありがと!ゼッツさん!」

 

「お安い御用だよ。」

 

嬉しそうに微笑む蒼角の頭を撫でながら、ゼッツはそう言う。

 

「すいません。蒼角が貴方のファンなんです。」

 

「みたいですね。俺、ただ活動してるだけなのにタレントみたいになっちゃって…」

 

ゼッツは少し困った様に言う。

 

「そのぉ〜…実を言うと僕もなんですよ。」

 

悠真もハチマキとペンを渡す。

 

「ど、どうも…?」

 

ハチマキとペンを受け取り、ハチマキに蒼角の武器と同じように『ZZZ』の字を書く。

 

「おぉ…!寿命が伸びた気持ちだぁ〜!」

 

「寿命?」

 

「あ…えっと、実は僕、エーテル適性減退症候群っていう、重い病気にかかってまして…」

 

「ああ、先天性の病気か、もしくはエーテル物質に対する疾患で、常人より強いエーテル適性が得られる代わりに身体の一部、例えば心臓や肺なんかが虚弱になるってヤツか。どれどれ…」

 

『オルデルム』

 

ゼッツはオルデルムに姿を変え、悠真の頭を手を置く。

 

「ちょ、な、何を?」

 

「大丈夫。」

 

ゼッツがそう言うと、悠真の体をスキャンするように格子状の光が広がる。

 

「ああ…こりゃあ酷いな。けど…ハッ…!」

 

「うわっ…!?」

 

すると、悠真から光が溢れる。

 

「い、今何を…」

 

「君の夢を叶えただけだよ。」

 

「え?」

 

「病気、良くなったはずだよ。」

 

「そ、そう言えば、息苦しく無い…ほ、本当に…?」

 

「俺は、人の夢を叶えるために戦ってるんだ。このくらいお安い御用だよ。」

 

悠真は自身の手を見つめ、驚きを隠せない表情をする。

そして、少しずつ目を潤ませ、ポロポロと涙を流す。

 

「あり…がとう…!ありがとうございます…!」

 

「マサマサ、泣いてるの?」

 

「あれは、きっと嬉し泣きです。心配ありませんよ。ゼッツさん。」

 

「はい?」

 

「私たちの仲間を助けてくださって、本当にありがとうございます。」

 

「いえ、何事も助け合いでしょ。」

 

「……やはり…やはり本物のゼッツだ…」

 

「ん?」

 

雅が何かを呟き、ゼッツが雅の方を向いた時。

 

「やっと会えた…!」

 

「課長!?」

 

雅が突然ゼッツに抱きついたのだ。

 

「やっと…やっと会えた…」

 

「あ〜…やっぱりそっか…君、あの時の子か。あの火事になった家で、お母さんがエーテリアスになりかけてた…」

 

「そうだ…!あの時の恩は…生涯忘れない…!」

 

雅はゼッツにギュッとしがみ付き、胸元に顔を埋め、一滴の涙を流す。

 

「課長、ゼッツさんと面識が?」

 

「…ああ、私も母も、命を救われた。」

 

柳の問いに、雅はそう答える。

それは、まだ雅が幼かった頃。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星見家は、新エリー都で名高い武術・剣豪の一族で、代々「虚狩り」の称号や妖刀「骸討ち・無尾」を受け継いでいる。

 

しかし、雅の母は、雅が戦いに巻き込まれることを望まず、ただ平凡で、穏やかな日々を雅に過ごして欲しかった。

故に武器、特に刀からは雅を遠ざけた。

それが例え、果物を切るような小さなナイフであろうと、母は雅から遠ざけた。

 

雅と母は、何でもない日々を送っていた。

 

正しい礼儀作法を学び、雨で外に出られない日は琴の練習を。

天気のいい日には時に馬で外を駆け、夏にはスイカを食べたり。

祭りごとの日は、2人で花火を眺めたり。

 

そんな何でもない、ただただ穏やかで平穏な日々が続くと、思っていた。

しかしある日、それらは全て、理不尽に奪い去られた。

『ホロウ災害』によって。

 

 

 

 

 

 

 

 

星見家の家屋で炎が燃え上がり、もはやあの平穏な日々とは天と地の差だった。

外では人々が逃げ惑い、悲鳴をあげていた。

その燃え盛る家屋の中には、雅と雅の母が居た。

 

雅の母の体は蝕まれ、体から結晶が生え始め、もはやエーテリアスとなるのは時間の問題だった。

 

「ハァ…ハァ…こうする他、無いのです…」

 

雅の母は、雅の手に一振りの刀を持たせ、それを自身も支える形で、自分自身に刃を向けさせていた。

 

雅は言葉を発さず、ただ涙を流した。

その涙が刀に落ちると、刀は悍ましいオーラを発する。

 

そして雅の母は、雅の頭を優しく撫で、かつての日々と同じように、明るく暖かな笑顔を見せた。

 

「ハァ…ハァ…雅…目を閉じて……ハァ…よく聞いて…これは…最後の修行…」

 

「…やだ…」

 

雅は、絞り出した様な声で言う。

涙は更に流れ出る。

 

「雅…どうか恐れず……生きて…!」

 

そして雅の母が自身に刀を突き刺そうとしたその時。

 

「それなら、貴方がそばに居なきゃ意味無いでしょ。」

 

銀色のボディにエメラルドグリーンの複眼を持つ1人の男。

他ならぬ、ゼッツだった。

 

「どなた…です…?」

 

「話は後でしょ。」

 

ゼッツは迷わず手をかざす。

すると辺り一体に格子状の光が広がり、雅の母の体から生えていた結晶が塵となって消える。

 

「これ、は…」

 

『リカバリー』

 

「傷が…すっかり消えた…」

 

ゼッツは間髪入れずリカバリーカプセムを回転させ、雅の母の傷を癒す。

 

『プロジェクション』

 

さらにプロジェクションカプセムで自身の分身を1体出す。

 

「この2人を頼む。何があっても守れ。」

 

分身は頷き、雅を優しく抱き抱える。

ゼッツは雅に視線を合わせて話す。

 

「いい?今からこの分身が、君とお母さんを安全な場所に連れて行ってくれる。だから安心して。俺はエーテリアスを倒すから、君とお母さんは、とにかく生きるんだ。」

 

「そんな…!危険すぎます!」

 

「大丈夫です。俺は何があっても負けないし、死なない。」

 

ゼッツはブレイカムゼッツァーを出現させる。

 

『ガアァァァッ!』

 

そこへ3体のエーテリアスが襲いかかる。

 

「失せろ。」

 

だが、ゼッツはそれをものともせず切り裂く。

 

「貴方は…」

 

「俺はゼッツ。仮面ライダーゼッツ。」

 

雅の母に、ゼッツは名乗る。

 

「さあ行って。」

 

ゼッツにそう言われ、分身は雅と雅の母を連れて去ろうとする。

 

「ぜっつ…さん!」

 

すると、雅が声を出した。

 

「あり、がとう…!」

 

雅は精一杯の声でお礼を言う。

 

「良い夢見ろよ。」

 

こんな絶望的な状況でも、ゼッツはその言葉を言った。

そして少女の幸せを祈り、炎の中へと消えた。

 

それから数時間経った頃、ホロウ災害は収束した。

テレビでは、ゼッツの活躍が報じられ、とてつもない規模であったにも関わらず、死者は4人だけだった。

 

それ以来、雅と雅の母は心からゼッツに感謝し、星見家一同をあげてゼッツの行方を探り、直接感謝を伝えようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在。

雅は長年の月日を経て、ようやく再びゼッツに会えたのだ。

その事実に感極まって、涙を流していた。

 

「雅!早く離れて!」

 

柳は突然のことに狼狽えるも、何とか雅をゼッツから引き離そうとしていた。

 

「あ、あの〜…俺も離れてもらえると…」

 

「む…わかった。」

 

雅はゼッツにそう言われ、渋々離れる。

 

「すまない、ゼッツ殿。そして…改めて感謝したい。」

 

「いやいや、もうずっと前のことだから気にしないで。」

 

「だとしても、私も母もゼッツ殿がいなければ死んでいた。是非、星見家に招待したい。」

 

「えぇ…!?そんな、大層な…」

 

「ゼッツ殿が良かろうと、我々の気が済まないのだ。」

 

「あ〜…うーん…まあ…時間があればね。じ、じゃあ俺はこれで!」

 

『イレイス』

 

ゼッツはイレイスカプセムで姿を消し、逃げる様にその場から姿を消した。

 

「去ってしまったか…」

 

「雅が困らせるからじゃないの?」

 

柳は呆れた様に言った。

 

「だが、次は必ず…フッ…」

 

そう言って空を見上げる雅の顔は、まるで恋をする乙女の様だった。

 

 

 

 

 






遅くなってすんません。
お墓参りだとかで色々やってて疲れて死んでました。
仕事が再開したらまた書くペースは落ちると思いますが、何とか待っていただければありがたいです。
感想などありましたら、モチベーション向上につながるので、是非お願いします。
読んでくださってありがとうございました!

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