ゼンレスゾーンゼロ 流派東方不敗、再臨す   作:猫ロボF

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めっちゃギャグになった。


第六話 闘えドモン!自室がリングだ

ラミルは腕を組み。

 

笑顔のまま立っていた。

 

沈黙。

 

重い。

 

とにかく重い。

 

ドモンは額に汗を流した。

 

「座って。」

 

「……ああ。」

 

素直に正座する。

 

以前のドモンなら。

 

間違いなく反論していた。

 

だが。

 

今は違う。

 

ラミルは小さく頷く。

 

「まず。」

 

「怪我。」

 

「見せて。」

 

「……。」

 

ドモンは少しだけ困った顔をする。

 

「大丈夫だ。」

 

「……。」

 

ラミルは黙っている。

 

「いや。」

 

ドモンは苦笑した。

 

「その言葉が一番駄目なんだったな。」

 

シャツを少しめくる。

 

その行為にラミルは微かに顔を赤らめるが....

 

包帯。

 

打撲。

 

擦り傷。

 

戦いの跡が無数に残っていた。

 

静かに息を呑む。

 

「こんなになるまで……。」

 

「悪かった。」

 

「……。」

 

「心配を掛けた。」

 

「ごめん。」

 

その一言で。

 

ラミルは怒鳴ることができなくなった。

 

「本当に……。」

 

「ずるい。」

 

「え?」

 

「そんな素直に謝られたら。」

 

「怒れないじゃない。」

 

ドモンは頭をかく。

 

「それで、何があったの?」

 

「あまり言いたくはないんだがな。」

 

「教えて」

 

「......」

 

ドモンは黙り込む。

 

「……。」

 

言葉が出ない。

 

(困ったな。)

 

心の中で呟く。

 

今回の出来事は。

 

説明しようとすればするほど。

 

新しい説明が必要になってしまう。

 

シャイニングガンダム。

 

流派東方不敗。

 

明鏡止水。

 

どこから話しても。

 

必ず別の疑問が生まれる。

 

「……。」

 

ラミルは急かさない。

 

ただ静かに待っていた。

 

だからこそ。

 

ドモンは余計に悩む。

 

(隠したくはない。)

 

(でも。)

 

(全部話すとなると……。)

 

腕を組み。

 

しばらく考え込む。

 

そして。

 

「……そうだ。」

 

小さく呟く。

 

「?」

 

ラミルが首を傾げる。

 

ドモンは真っ直ぐラミルを見た。

 

「一つ。」

 

「条件がある。」

 

「条件?」

 

「ああ。」

 

ドモンは静かに頷く。

 

「俺は。」

 

「もう隠し事はしたくない。」

 

「だから。」

 

「話すなら全部話す。」

 

「……。」

 

「でも。」

 

「それはお前も同じだ。」

 

ラミルは目を瞬かせた。

 

「私も?」

 

「ああ。」

 

「お互い。」

 

「隠していることを全部話す。」

 

「それが条件だ。」

 

部屋が静かになる。

 

ラミルは少し困ったように視線を逸らした。

 

「それは……。」

 

簡単には答えられなかった。

 

彼女にも。

 

ドモンへ話していないことがある。

 

それも。

 

決して軽い話ではない。

 

「無理にとは言わない。」

 

ドモンは穏やかに言う。

 

「話せないなら。」

 

「俺も無理には聞かない。」

 

「……。」

 

「でも。」

 

「俺だけ全部話して。」

 

「お前だけ抱え込むのは違うと思う。」

 

ラミルは黙ったまま。

 

ドモンを見つめる。

 

その瞳に。

 

嘘はなかった。

 

「俺は。」

 

ドモンは少し照れくさそうに頭をかいた。

 

「お前を信用してる。」

 

「だから。」

 

「俺のことは全部話す。」

 

「……。」

 

「その代わり。」

 

「お前も。」

 

「俺を信用してくれないか。」

 

その言葉に。

 

ラミルは小さく息を呑んだ。

 

しばらく沈黙が流れる。

 

やがて。

 

彼女は小さく笑う。

 

「変わったわね。」

 

「そうか?」

 

「ええ。」

 

ラミルはゆっくり頷いた。

 

「分かった。」

 

「その条件。」

 

「受ける。」

 

「私も。」

 

「もう隠し事はしない。」

 

ドモンは安心したように息を吐く。

 

「ありがとう。」

 

「じゃあ。」

 

ラミルは姿勢を正す。

 

「まずは。」

 

「あなたから聞かせて。」

 

「あなたの全部を。」

 

ドモンは静かに頷いた。

 

「……長い話になるぞ。」

 

「大丈夫。」

 

ラミルは微笑む。

 

「今日は。」

 

「泊らせてもらおうかな。」

 

「……泊まる?」

 

ドモンは思わず聞き返した。

 

ラミルは平然としている。

 

「ええ。」

 

「話が長くなるんでしょう?」

 

「……。」

 

確かに。

 

前世の出来事。

 

この世界に来てから何があったのか。

 

一晩で終わる話ではない。

 

「……分かった。」

 

ドモンは頷く。

 

「ただ。」

 

「?」

 

「変な誤解をされるようなことはするなよ。」

 

「……。」

 

ラミルは一瞬だけ目を細めた。

 

「それ。」

 

「普通は逆じゃない?」

 

「何がだ。」

 

「女性が泊まる時に、男性側が言う台詞じゃないと思うけど。」

 

「……。」

 

ドモンは黙った。

 

言われてみればその通りだった。

 

「……悪い。」

 

「ふふ。」

 

ラミルは小さく笑う。

 

「本当に変わったわね。」

 

「昔のあなたなら。」

 

「絶対にそんなこと言わなかった。」

 

「……。」

 

ドモンは少しだけ視線を逸らす。

 

ラミルは微笑む。

 

「話を聞くのが楽しみになってきた。」

 

「そうか?」

 

「ええ。」

 

ラミルはドモンを見る。

 

「ちゃんと聞きたい。」

 

「……。」

 

ドモンは少し驚いた。

 

以前なら。

 

自分の過去を話すことなど考えもしなかった。

 

弱さを見せること。

 

失敗を認めること。

 

それが嫌だった。

 

しかし。

 

今は違う。

 

頼ることも。

 

話すことも。

 

信じることも。

 

強さなのだと知った。

 

「分かった。」

 

ドモンは座り直す。

 

「じゃあ。」

 

「最初から話す。」

 

「俺が。」

 

「この世界へ来る前のことを。」

 

 

少し時間が経った。

 

部屋には二人分の飲み物が置かれている。

 

ラミルは静かに耳を傾けていた。

 

「俺は。」

 

「未来の地球から来た。」

 

「未来……。」

 

「ああ。」

 

ドモンは頷く。

 

「俺のいた世界では。」

 

「人類は宇宙へ進出していた。」

 

「そして。」

 

「四年に一度。」

 

「ガンダムファイトという大会が開かれていた。」

 

「ガンダムファイト?」

 

ラミルが聞き返す。

 

「各国の代表が。」

 

「モビルファイターと呼ばれる機体で戦う。」

 

「その勝者の国が。」

 

「宇宙の主導権を持つ。」

 

「……。」

 

ラミルは少し考える。

 

「かなり物騒な平和ね。」

 

「否定はできない。」

 

ドモンは苦笑した。

 

「だが。」

 

「俺には。」

 

「戦う理由があった。」

 

「家族のため。」

 

「そして。」

 

「師匠との因縁のため。」

 

ラミルは黙って聞く。

 

ドモンの声には。

 

怒りではなく。

 

懐かしさが混じっていた。

 

ラミルの表情が少し変わる。

 

ドモンは拳を見る。

 

「東方不敗。」

 

「俺の師匠だ。」

 

「俺に武術を教えてくれた人だった。」

 

「だが。」

 

「ある時、敵として戦うことになった。」

 

「……。」

 

「師匠は。」

 

「人間が地球を傷付け続けることを許せなかった。」

 

「だから。」

 

「デビルガンダムという存在を使い。」

 

「世界を変えようとしていた。」

 

ラミルは眉をひそめる。

 

「デビル……ガンダム。」

 

「ああ。」

 

ドモンは頷く。

 

「人類最大の脅威だった。」

 

「自己進化。」

 

「自己再生。」

 

「自己増殖。」

 

「世界を飲み込むほどの力を持った存在だ。」

 

「そして。」

 

「それを止めるために。」

 

「俺は師匠と戦った。」

 

「……。」

 

「勝った。」

 

短い言葉。

 

しかし。

 

その声には複雑な感情が混じっていた。

 

「でも。」

 

「俺が勝った時。」

 

「師匠は。」

 

「もう助からなかった。」

 

「俺の腕の中で。」

 

「最期を迎えた。」

 

ラミルは黙った。

 

「……。」

 

「東方不敗マスター・アジア。」

 

「俺が超えるべき人で。」

 

「俺が一番尊敬していた人だ。」

 

ドモンは少し笑う。

 

「そして。」

 

「俺はその戦いの後。」

 

「デビルガンダムを完全に打ち破った。」

 

「世界は救われた。」

 

「……。」

 

「それから。」

 

ドモンは少し間を置く。

 

「俺は。」

 

「自分の人生を生きた。」

 

「結婚もした。」

 

「仲間と過ごした。」

 

「そして。」

 

「長い時間を生きた。」

 

ラミルが目を見開く。

 

「長い時間?」

 

「ああ。」

 

ドモンは頷く。

 

「そして。」

 

「121年の生涯を終えた。」

 

部屋が静かになる。

 

「……でも。」

 

ラミルが尋ねる。

 

「あなたはここにいる。」

 

「ああ。」

 

ドモンは頷く。

 

「死んだ後。」

 

「俺は白い空間にいた。」

 

「そこに。」

 

「神と名乗る存在が現れた。」

 

「……神?」

 

「ああ。」

 

「そして。」

 

「もう一度。」

 

「世界を救ってほしいと言われた。」

 

「この世界を?」

 

「そうだ。」

 

ドモンは遠くを見る。

 

「そのために。」

 

「俺は。」

 

「赤ん坊として。」

 

「この世界に生まれ直した。」

 

ラミルはしばらく言葉を失った。

 

ドモンは苦笑する。

 

「幼い頃から。」

 

「俺は修行を続けた。」

 

「武術を覚えて。」

 

「強くなるために鍛えた。」

 

「...」

 

「仲間がいた。」

 

「友達がいた。」

 

「一緒に笑って。」

 

「くだらないことで騒いで。」

 

「楽しい時間もあった。」

 

その表情は。

 

ほんの少しだけ柔らかかった。

 

「……だが。」

 

「旧都陥落が起きた。」

 

ラミルの表情が変わる。

 

「その時。」

 

「俺はまだ未熟だった。」

 

「力が足りなかった。」

 

「守れなかった。」

 

拳を握る。

 

「大切なものを。」

 

「いくつも失った。」

 

「……。」

 

「その時からだ。」

 

「俺は。」

 

「考えるようになった。」

 

「俺が全部守らなければならない。」

 

「俺が強くならなければ。」

 

「また失う。」

 

「そう思った。」

 

ラミルは静かにドモンを見る。

 

「だから。」

 

「一人で戦おうとしたのね。」

 

「ああ。」

 

ドモンは認める。

 

「誰にも頼らず。」

 

「誰にも迷惑を掛けず。」

 

「俺だけが傷付けばいいと思った。」

 

「だがホロウで無茶をしていたことも。」

 

「……。」

 

ドモンは視線を逸らす。

 

「バレてた。」

 

「幼馴染達に。」

 

「俺がホロウレイダーの依頼を受けていたことも。」

 

「全部。」

 

ラミルは少し呆れたように笑う。

 

「それは怒られるわね。」

 

「……ああ。」

 

「かなり怒られた。」

 

「でも。」

 

ドモンは続ける。

 

「みんな。」

 

「心配してくれていた。」

 

「怒っていたのは。」

 

「俺を責めるためじゃなかった。」

 

「失いたくなかったからだ。」

 

「……。」

 

「俺は。」

 

「それを理解するのが遅かった。」

 

少し沈黙。

 

そして。

 

「それで今回起こってしまった。」

 

「簡単に言えば。」

 

「俺が無茶をしていたから。」

 

「儀玄という友が止めようとした。」

 

「最初は。」

 

「戦いになった。」

 

「……。」

 

「でも。」

 

「最後には。」

 

「お互いに本音をぶつけた。」

 

ドモンは少し笑う。

 

「儀玄は。」

 

「俺が心配だったんだ。」

 

「怒っていたんじゃない。」

 

「怖かったんだ。」

 

「また失うことが。」

 

ラミルは静かに頷く。

 

「そして。」

 

「あなたは変わった。」

 

「ああ。」

 

ドモンは頷く。

 

「少しだけな。」

 

「でも。」

 

「まだ途中だ。」

 

ラミルは微笑む。

 

「それで十分よ。」

 

「……。」

 

「だって。」

 

「今のあなたは。」

 

「ちゃんと。」

 

「誰かに話そうとしているもの。」

 

その言葉に。

 

ドモンは少し驚く。

 

そして。

 

小さく笑った。

 

「……そうだな。」

 

「昔の俺なら。」

 

「絶対にしなかった。」

 

「でしょうね。」

 

二人の間に。

 

穏やかな空気が流れる。

 

しかし。

 

ラミルは静かに息を吐く。

 

「……じゃあ。」

 

「次は。」

 

「私の番ね。」

 

ドモンが顔を上げる。

 

彼女は静かに笑う。

 

「今度は。」

 

「私があなたを信用する番よ。」

 

そして。

 

ラミルはゆっくり口を開いた。

 

彼女はいつものような柔らかな笑みを浮かべていた。

 

だが。

 

その奥には。

 

今まで見たことのない覚悟があった。

 

「私も。」

 

「あなたに隠していたことを話す。」

 

「……。」

 

ドモンは黙って頷く。

 

「約束だからな。」

 

「ええ。」

 

ラミルは一度目を閉じる。

 

そして。

 

ゆっくり口を開いた。

 

「まず。」

 

「謝らないといけないことがあるわ。」

 

「……?」

 

「私の名前。」

 

ラミルは小さく笑った。

 

少し寂しそうな笑顔だった。

 

「ラミルという名前は。」

 

「本当の名前じゃない。」

 

沈黙。

 

「……。」

 

「そうか。」

 

「それだけか?」

 

「え?」

 

「いや。」

 

「 元から偽名というのは気づいていたし。」

 

「名前を偽っていたくらいで怒るものでもないしな。」

 

「……。」

 

ラミルは少し笑う。

 

そして。

 

表情を引き締めた。

 

「私の本当の名前は。」

 

「レミエール・ダン。」

 

「レミエール……。」

 

「ダン。」

 

ラミル。

 

いや。

 

レミエールは頷く。

 

「そして。」

 

「初代虚狩り。」

 

「杖の軍のダン中佐。」

 

「……。」

 

「100年以上前の話だけどね。」

 

ドモンは黙って聞く。

 

「今でも生きている理由は。」

 

レミエールは首を横に振る。

 

「話せない。」

 

ドモンは静かに息を吐く。

 

普通なら。

 

信じられない話だ。

 

しかし。

 

自分自身が。

 

一度死んで。

 

赤ん坊から人生をやり直している。

 

だからこそ。

 

否定する理由はなかった。

 

「それで。」

 

ドモンが聞く。

 

「今は?」

 

レミエールの表情が少し曇る。

 

「サンブリンガーが治めるロスカリファに身を寄せていた。」

 

「……。」

 

「そこで。」

 

「ある事件が起きた。」

 

ドモンは黙って待つ。

 

「私は。」

 

「サンブリンガーの暗殺を試みた。」

 

部屋の空気が変わる。

 

「……。」

 

「だから。」

 

「ロスカリファではS級指名手配犯。」

 

「それが。」

 

「世間から見た私よ。」

 

レミエールは自嘲するように笑った。

 

「どう?」

 

「幻滅した?」

 

「……。」

 

ドモンはしばらく黙っていた。

 

そして。

 

「いや。」

 

即答した。

 

「しない。」

 

レミエールが目を見開く。

 

「だが。」

 

「その前に。」

 

「一つ言いたい。」

 

「……。」

 

「お前が。」

 

「何を背負っているのかは分からない。」

 

「でも。」

 

「俺に話したということは。」

 

「信じてくれたんだろ。」

 

「……。」

 

「なら。」

 

「もうお前は友達だ。」

 

レミエールは少し驚いた顔をする。

 

「お前が。」

 

「どんな過去を持っていても。」

 

「今。」

 

「俺の前にいるお前を見る。」

 

レミエールはしばらく黙る。

 

そして。

 

「……本当に。」

 

小さく笑った。

 

レミエールは少し照れたように視線を逸らす。

 

「……。」

 

「どうした?」

 

ドモンが尋ねる。

 

「いや。」

 

レミエールは小さく笑った。

 

「少しだけ。」

 

「肩の荷が下りた気がしたの。」

 

「……。」

 

ドモンは黙って頷く。

 

それは。

 

自分にも覚えがある感覚だった。

 

ずっと抱えていたものを。

 

誰かに話す。

 

それだけで。

 

胸の奥にあった重さが少しだけ軽くなる。

 

「俺もだ。」

 

「え?」

 

「話してよかったと思ってる。」

 

レミエールは微笑む。

 

しばらく。

 

穏やかな沈黙が流れる。

 

互いの秘密を知ったことで。

 

むしろ。

 

二人の間には今まで以上の安心感が生まれていた。

 

「……さて。」

 

レミエールが時計を見る。

 

「まだ寝るには早いわね。」

 

「そうだな。」

 

ドモンも時計を見る。

 

まだ夜は始まったばかりだった。

 

「なら。」

 

レミエールは立ち上がる。

 

「遊びましょう。」

 

「……遊ぶ?」

 

ドモンは首を傾げる。

 

「何をするんだ?」

 

レミエールは少しだけ悪戯っぽく笑った。

 

「夜の。」

 

「ターン制バトル。」

 

「……。」

 

ドモンは固まる。

 

「ターン制……バトル?」

 

レミエールは満足そうに笑った。

 

 

数分後。

 

ドモンとレミエールは。

 

テーブルを挟み。

 

激戦を繰り広げていた。

 

「……。」

 

「……。」

 

二人の視線は。

 

盤面から一瞬たりとも離れない。

 

そこにあるのは。

 

先ほどまでの穏やかな会話とは別の空気。

 

だが。

 

戦場のような緊張感とは違う。

 

互いに楽しみながら。

 

全力でぶつかり合う。

 

そんな空気だった。

 

「チェック。」

 

レミエールが駒を動かす。

 

「……。」

 

ドモンは盤面を見る。

 

数秒。

 

いや。

 

数十秒。

 

完全に思考を巡らせる。

 

「なるほど。」

 

「ここを狙っていたのか。」

 

「ええ。」

 

レミエールは微笑む。

 

「あなたなら。」

 

「必ず正面から受けると思ったから。」

 

「……。」

 

ドモンは少し悔しそうに笑う。

 

「戦い方まで読まれているとはな。」

 

「長く生きているもの。」

 

「経験だけはあるのよ。」

 

「なら。」

 

ドモンは駒を動かす。

 

「俺は。」

 

「経験ではなく。」

 

「今の一手で勝つ。」

 

レミエールは目を細める。

 

「言うわね。」

 

「勝負だからな。」

 

二人は笑う。

 

チェス以外にも。

 

様々なボードゲームを遊んだ。

 

 

夜も深まり。

 

二人はようやく寝支度を終えていた。

 

「……。」

 

ドモンは部屋を見渡す。

 

そして。

 

あることに気付いた。

 

「……しまった。」

 

「どうしたの?」

 

レミエールが首を傾げる。

 

「ベッドが一つしかない。」

 

「……。」

 

二人の視線が。

 

部屋の隅にあるベッドへ向く。

 

沈黙。

 

「俺は床で寝る。」

 

ドモンは即答した。

 

「え?」

 

「客人を床で寝かせるわけにはいかない。」

 

「でも。」

 

「問題ない。」

 

ドモンは腕を組む。

 

「昔から野宿には慣れている。」

 

「いや。」

 

レミエールは呆れたようにため息をつく。

 

「そういう問題じゃないでしょう。」

 

「だが。」

 

「俺は床で――」

 

その瞬間。

 

レミエールの手が伸びた。

 

「……。」

 

ドモンの腕を掴む。

 

「一緒に寝ましょう。」

 

「……。」

 

一瞬。

 

ドモンの思考が止まった。

 

「聞こえなかった?」

 

レミエールは笑う。

 

「一緒に寝るの。」

 

「いや。」

 

「待て。」

 

「それは色々と問題があるだろう。」

 

「何が?」

 

「何がって……。」

 

ドモンは珍しく言葉に詰まる。

 

しかし。

 

レミエールは気にした様子もない。

 

「……。」

 

ドモンは少し黙る。

 

確かに。

 

「俺は床でいい。」

 

「頑固ね。」

 

「お互い様だろ。」

 

「……。」

 

レミエールは少し笑った。

 

そして。

 

「なら。」

 

「力比べで決めましょう。」

 

「なに?」

 

次の瞬間。

 

レミエールはドモンの腕を引いた。

 

「こっちへ来て。」

 

「いや待て!」

 

ドモンは踏ん張る。

 

しかし。

 

レミエールの力は凄まじかった。

 

「さすがに。」

 

ドモンは驚く。

 

「力が強いな。」

 

「あなた相手に手加減する必要はないでしょう?」

 

「……。」

 

ドモンは笑う。

 

「なるほど。」

 

「そういうことなら。」

 

足に力を込める。

 

「俺も遠慮しないぞ。」

 

瞬間。

 

空気が変わった。

 

「え?」

 

レミエールが目を見開く。

 

掴んでいた腕が。

 

止まった。

 

「……。」

 

「あなた。」

 

「やっぱり普通じゃないわね。」

 

ドモンは苦笑する。

 

「お前もな。」

 

そこから。

 

戦いが始まった。

 

拳ではない。

 

技でもない。

 

ただ。

 

相手をベッドまで連れて行くか耐えるか。

 

謎の勝負。

 

「ドモン。」

 

「諦めなさい。」

 

「断る。」

 

「頑固ね。」

 

「お互い様だ。」

 

引く。

 

押す。

 

回り込む。

 

互いに一歩も譲らない。

 

その光景は。

 

まるで。

 

プロレスの試合だった。

 

二人の力がぶつかり合う。

 

ドモンの鍛え抜かれた身体能力。

 

レミエールの英雄としての圧倒的な力。

 

互いが互いを認めているからこそ。

 

全力だった。

 

そして今。

 

ベッドを巡る争いによって。

 

自室そのものが。

 

リングへと変貌していた。

 

 




---
みなさんお待ちかねぇぇ!
太陽輝く六文街で、ドモンはある男に依頼を受けます。
男の名は市長。彼はヴィクトリア家政を通してドモンに話を持ち掛けるのです!
次回、ゼンレスゾーンゼロ 流派東方不敗、再臨す「再来、衛非地区へ!必死の生存者」にぃ、レディィィ、ゴォ!!
---

次回はゼンゼロシーズン2第一章のストーリーになります。
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彼、三日月・オーガスは死んでしまった。▼その彼がもしも、青春を送れたら?▼彼は、どのような道を進むのか。▼という思いつきで書きましたが、内容までは考えてないのでめっちゃぐっだぐだになると思います。投稿頻度は不定期なので、投稿されること自体が少ないです。それでも良いというのなら、よろしくお願いします。▼追加▼恋愛タグを一様付けました。 でもくっつかせる気はあり…


総合評価:202/評価:6.75/連載:17話/更新日時:2026年08月04日(火) 23:06 小説情報

ゼンレスゾーンゼロワン(作者:猫ロボF)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

▼平凡な高校生――飛電来夢{ひでん らいむ}▼彼には、これといった特別な才能も、胸を張って語れる夢もなかった。▼ただ、いつも通りの日常を過ごしていたはずだった。▼しかしある日、帰宅途中に突如として発生した謎の空間の亀裂によって、彼の日常は崩れ去る。▼「俺にはまだ夢なんてない」▼「だけど……誰かの未来を奪わせない!」▼崩壊した世界で、新たな夢を探す少年。▼異世…


総合評価:22/評価:-.--/連載:2話/更新日時:2026年08月05日(水) 00:25 小説情報


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