スイッチ2を購入しゼノブレイド2をプレイして執筆をしたいと思い書き始めました。この作品は前作品の主人公の続投とした形となります。今回は導入部のみとなりますがよろしくお願いします
雲海は、今日も静かに凪いでいた。水平線という概念すら曖昧になるほど、どこまでも白く続く雲の海。その表面は、風が撫でるたびにゆるやかにうねり、時折り差し込む陽光を受けて銀色に、あるいは真珠色に光る。見渡す限りの雲海に、幾つもの巨神獣の影が霞んで浮かんでいる。あるものは山のように巨大で、あるものは点のように小さい。そんな世界、アルストの大海原に一艘の船が浮かんでいた。この世界では小型の巨神獣は主に乗り物などの移動手段で使われるのが常だがこの船にはそれがなく、代わりに発動機が付いている
船には誰も居らず、水が船に当たる音と風しか響かない。だが突然船尾の取りつけられたクレーンのワイヤーが巻き上げられる、暫くして海面からフックに吊り下げられた古びたコンテナが現れ。次には海面から腕が飛び出し船の縁を掴み、潜水服を着込んだ1人の人物が海から上がり込んだ。その人はクレーンを動かして甲板に引き揚げた物を下す。古代の技術で作られた金属製のコンテナに近づき蓋に手を掛け引っ張る、水が入らないよう重厚且つ頑丈に封をされた蓋が金属が捻れる音を響かせ少しずつ軋み、ひしゃげ遂に外れる。コンテナの中には機械や樹脂板、工具や電子機器やその部品が入っていた。
「今回はいい成果のようだ」
ヘルメットを外し、潜水服の上部分を脱ぎインナーの黒のボディスーツが露になる。男の唯一露出している顔、左側は額上部から首にかけてヒビのような傷痕と右側の頬には切創痕がある。彼が乗っている船は全て彼自身が造った物であり搭載されている装備も全て自作、ソナーやクレーン、魚群探知機も引き揚げた遺物を材料に拵えた
「これは使える・・・これは、売るか」
中身を取り出し一つずつ売りに出す物、自身の工作に使える物、船の保守整備に使えそうな物などに仕分け、検品する。椅子代わりの木箱に座りそれぞれの箱に収めていく。売り物にもならない機械のガラクタは外装を引っぺがし中の配線や部品を取り出す。残った物は二足三文にもならないが売り物用の箱に入れる。仕分けも終わり商会に引き渡す準備ができたので船内から飲料水のボトルを持ち出し一息つく。これから何をしようかと空を見ながら考えていると後ろから物音がした、何事かと思い後ろを振り向くとザリガニとカニが合わさった青い殻のモンスター、カムリ・シュリブが船に上がり込んで来たのだ。通常なら急いで武器を取り撃退する事態だがカムリ・シュリブは襲いかかるわけでもなく彼の様子を窺っている
「・・・何か言いたげみたいだが」
カムリ・シュリブに向き直りこの個体の意図を考えていると遺物の入っていた箱をしきりに気にしているようだった
「もしかして、これが欲しいのか?」
小さく指を差すと返事とばかりにハサミを開け閉めする。どうやらいい感じの宿を見つけたが箱が開かず難儀している内に彼が引き揚げ蓋を開けた。向こうからすれば願ったりかなったりということだ
「なるほど・・・そっちは家が欲しい、こっちは中身が欲しい。利害は一致しているというわけか」
意図を理解し引き揚げた金属の箱を片手で掴み持ち上げ雲海に向かって放り投げる。それに合わせてカムリ・シュリブも雲海に戻っていった
~
その日の夜、船内で遺物から引き揚げた電子部品を使って古代の遺物の作業をしていた。今回は奇跡的に雲海の水に浸かることなく劣化を免れた部品が手に入ったのだ。暫く時が流れ作業台の上にはアルストの人達が「デルタボックス」と呼ぶ白物家電があった。まあ所謂電子レンジである。その他にも「トールボックス」と呼ぶ冷蔵庫や「キュートポッド」という名の小型ジューサーなどが設置されている。因みにジューサーは有難く使わせてもらっている、他の白物家電は電力の問題で置物と化しているが
「さて、明日はアヴァリティア商会に向かうとするか」
作業を終え、電子レンジを棚に置いて寝台に向かい横になる。この世界に来て10年、平凡だが結構充実した日々を過ごしている。だが明日、この世界の転換点に立ち会うことになるとはこの時点では彼は知る由もなかった
続く
次から本編に入って前書きか後書きで改めて主人公設定を書こうと思います。因みにレックスやセイリュウとは顔馴染みです