ゼノブレイド2 ~MAN OF STEEL~   作:スルタン

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今回から本編に入ります


第一部 第一話

 

モンスターに家を提供した次の日、一艘の船は焼玉エンジン特有の音を鳴らしながら一路アヴァリティア商会のアルス船がいる場所へと向かう。化石燃料はこのアルストでは先ず見る事もなくその言葉すら存在しない。その代わりにエーテルという空間や雲海など、世界のあらゆるところに満ちているエネルギーを様々な機械や船の燃料として利用している。それはこの船も同様である、本来の物より軽く作ってあるのだが如何せん設計と構造や仕組み上、出力は知れているので従来よりちょっと早いぐらいの船速で進む。そのおかげで商会に引き渡す分の物資の準備の時間が取れるのだが

 

「よし、引き渡しの準備はこれでいいだろう」

 

甲板に遺物の入った箱を横並びに積みだし最終確認をしていると前方に特徴的なシルエットが見えた。丸いクジラの様な巨大なアルスに吊り下げられるような赤色を基調にした巨大船は白い雲海にはとても目立つ、アヴァリティア商会、又の名をゴルトムントと呼ばれる世界各国の特産品が集まるアルスト最大の交易拠点である。その波止場には見覚えのあるアルスの姿が見えた。港に船を着け桟橋に降りそのアルスに声を掛ける

 

「どうも、セイリュウさん」

 

「おお、だれかと思えばケンか、お前も換金か?」

 

こちらに気づいたセイリュウは首をケンの方へ向ける

 

「はい、今回は相応の収穫がありましたので値打ちが下がる前にと」

 

「なにが値打ちが下がる前に~じゃ、お前さんがいろんなもんを持ってくるからここの会長の目が肥えて儲けがないなどと他のやつらがボヤいとったわい」

 

ツッコミを入れるセイリュウにケンは困った素振りを見せる

 

「おっと、それはいけませんね。少し控えなければ・・・所でレックスは?」

 

「あやつは一足先に交易所に行っとるぞ。着いたのさっきじゃからまだ居るじゃろう」

 

「わかりました。ありがとうございます」

 

セイリュウに挨拶を程々に係船係のハイラムに停泊料金として余分に代金を渡す。保険であり賄賂でもある

 

 

荷物を持って交易所に向かってい船内の広場に踏み込むとその方向から聞き慣れた声が響く

 

「え~~っ!?そんだけぇ!?」

 

「無理言わないでも、これでも上乗せしてあげてるも?軍需物資なら割り増ししてあげるんだけども」

 

「レックス、どうしたの?」

 

カウンターにサルベージした物資を乗せているので買取が低い事に不満があったのだろうか。ケンが声を掛ける

 

「あっ!ケンさん!聞いてくれよ。メロロが買取額を低くちょろまかして困ってるんだ、なんとか言ってくれよ」

 

「ちょろまかすとは失礼だも!今はニーズってやつが違うんだも!休戦してたスペルビアとインヴィディアは今じゃ開戦準備の真っ最中なんだも。そういう物資はいくらあっても足りないんだも」

 

交易所の横では帝国の兵士が買い集めた物資の貨物が積み上げられている

 

「というわけでも、そっちの方、やる気ないかも?」

 

「前も言っただろ?そういうのはパス」

 

「はー、あんたくらいの腕があったらずんどこ儲かるのにも~、じゃ、ダンナはどうかも?稼ぎたくないかも?」

 

断るレックスにメロロは今度はケンに誘いを掛ける

 

「いや、遠慮しておく。軍とはできるだけ距離を置かせてもらうとしよう。それとこれが今回の引き渡し分。精算をお願い。今回は質の良い物が手に入ったからお眼鏡に適うと思うよ」

 

メロロの目の前のカウンターにサルベージ品を収めた複数のケースを乗せて差し出す

 

「ほほ〜!相変わらず良い仕事をするも!ちょっと待つも、直ぐに精算するも」

 

ケースの中身を見たメロロはケンの腕を褒めながら仕事に取り掛かる

 

「すげぇ・・・劣化してない部品なんて久しぶりに見た」

 

「偶然だよ。引き揚げて確かめてみない事にはわからないからね。運がよかった」

 

「それに比べてこっちは散々だったよ。測深器にガタが来てるみたいでさ、位置が東に150もズレてたんだぜ?おまけにモンスターの棲家だったし」

 

ツいてない事にがっくりと肩を落とすレックスにケンが助け舟を出す

 

「実は今新しい測深器を作っていてね。完成したら君にあげるよ」

 

「え!?いいの!?そんな貴重な物」

 

「趣味且つ予備として作ってやつだから、構わないよ」

 

「やりぃ!!流石ケンさん。頼りになるぅ!」

 

そうこうしている内にメロロが2人分の報酬の証明書を作り上げ差し出す

 

「先ずはレックスも、報酬はどうするも?全額今受け取るかも?」

 

「200は今、残りはいつもので」

 

「わかったも、送り先はイヤサキ村のコルレルさんで良かったも?にしてもその歳で田舎に仕送りなんて涙ちょちょぎれるも。うちのバカ息子にも見習って欲しいも」

 

「じっちゃんのおかげで家賃いらないからね」

 

「あいも。それじゃ次はダンナだも、これが今回分も」

 

ケンはメロロから証明書を受け取り額面を見る。色を付けてもらって結構な額だ、素早く頭の中でどうするかを思案する

 

「それじゃ3割は今、残りはいつものように頼むよ」

 

「わかったも、ダンナはうちにとっても上客だから助かるも」

 

「そういう事にしておくよ。それじゃレックス、折角だし上で食事でもしよう。奢るよ」

 

「やった!なに食べよっかな〜早く行こう!」

 

 

精算を終えた2人は上階の食堂へと向かっていると前方から両脇にボディガードを従えたノポンがやって来る

 

「レックス、おぉケンも来てたのかも」

 

「プニンさん、久しぶり」

 

「どうも」

 

「相変わらずイキがいい・・・じゃなかった、威勢がいいも」

 

「まあね、で、何の用?新しい仕事?」

 

「まぁそんな所だも、所でレックスお前確かリベラリタス島嶼群のイヤサキ村出身だったかも?」

 

「ああ、そうだけど。それが何か?」

 

「直ぐに会長室に行ってほしいも」

 

「え?何で?」

 

「バーン会長がお前の事をお呼びだも」

 

「会長が、オレを?」

 

レックスには会長に呼ばれる理由も心当たりもない故に僅かに動揺する

 

「詳しい話は会長に聞いてくれも、丁度いいからケンも一緒に行ってほしいも。腕のいいサルベージャーは多い方がいいからも」

 

プニンの指示で中二階にある会長室に向かうレックスとケン、急な事に疑問を浮かべるレックス

 

「バーン会長・・・会うのは初めてなんだよな、いきなり名指しで呼ばれるのは何でだろう」

 

「腕のいいサルベージャーが必要って事だからかなり大掛かりな仕事なんだろうけど。先ずは内容を聞いてみよう」

 

会長室に入ると一段高く、豪華な執務机の前に緑色の体毛でやたら貫禄のあるノポンが座っている

 

「よく来てくれたも、アヴァリティア商会会長のバーンだも」

 

「ああ、は、初めまして」

 

「ケンも来てくれるとは実にありがたいも」

 

「バーンさんも相も変わらずですね」

 

レックスは緊張しながら挨拶をし、ケンは何度も会っているので普通にいつも通りに挨拶する。レックスはバーンの傍らにいる露出の高い衣装の美女に驚いている

 

「プニンから随分と腕の立つサルベージャーと聞いているも?それを見込んでちょっと頼みたい事があるんだも」

 

「会長自ら・・・オレに仕事の依頼を?」

 

「報酬は10万ゴールドだも。やってみないかも?」

 

「じ、じゅうまんっ!?」

 

規格外の報酬量にレックスは驚く、そして次の言葉に更に驚く

 

「聞いて驚いたも?因みにこれは手付け金も。成功したら更に10万プラスも」

 

「合わせて20万・・・マ、マジですか」

 

更なる倍プッシュにレックスの目つきが変わる

 

「やります!このレックス、全身全霊をもって仕事に当たらせていただきます!よろしくお願いします!」

 

「お前、依頼の内容は聞かなくていいも?」

 

「そうだよレックス。詳細も聞かずに鵜呑みにするのは良くない。先ずは内容を確認しないと」

 

「あっ!そうだった。で、どんな仕事なんです?」

 

バーンとケンの忠告に気を取り直したレックスが改めて依頼内容を聞く

 

「ほんとに大丈夫も?まぁケンもいるからいいかも。話は直接聞くといいも。入れるも」

 

「はい」

 

バーンが目配せし侍女が背後の扉を開けると依頼主であろう一団が入ってきた。1人は獣の耳が生えている少女、所謂グーラ人。黄色を基調としたジャンプスーツ風の衣装を着ており大きなフード、腰周りにはポーチや、ブレイドの武器であるツインリングを下げている。その後ろを離れずついている大型の白い虎の様な獣、その様子から見てその少女のブレイドだろう。もう1人は黒髪のツンツン頭の短髪で筋骨隆々な大男の人間、黒の重厚な和甲冑みたいな鎧を身につけている。その背後には彼のブレイドであろう、黒やダークネイビーを基調とした重厚な装甲に、ゴールドのラインやフレームがあしらわれている、ヘルメットみたいな頭部からロボットとも怪人ともとれる異形。最後は銀の長髪、鬼の様な角が施された仮面、和風の甲冑にコート、背中には身の丈程の刀を背負っている

 

「ドライバー、それにブレイド!すげぇ初めて見た」

 

男とバーンの問答が落ち着くと仮面の男が静かに依頼について口を開く

 

「依頼内容は、ある物資の引き揚げだ。最近の海流変動で発見された未探査海域のかなり深い所に沈んでいる」

 

「へぇ、それは腕がなるね」

 

「ベテランのチームを紹介するって言ったけど、リベラリタスの出身で少数精鋭の人材をという希望だったも。そこで白羽の矢が立ったのがお前なんだも」

 

「へへ、悪い気はしないね」

 

「おい会長さんよ、この小僧はいいとしてこっちの男は聞いてねぇぞ、リベラリタス島嶼群の出のサルベージャーを出せと言ったはずだが?」

 

黒髪の男がケンの方へ目線を向けバーンに苦情をつける

 

「まぁまぁ、彼もうちの商会でも腕の立つサルベージャーも。人手は多い方がいいも、保証するも」

 

「そうだぜ、ケンさんはオレにサルベージャーの技術を教えてくれた先輩の1人だ」

 

「・・・ちっ」

 

「この人は兎も角さ、子供のサルベージャー?シン、今回の仕事って子供の遠足も兼ねてるんだっけ?」

 

「何だよ、見た目が子供っぽいのはアンタだって同じだろ?」

 

少女がレックスの見た目から失笑する、レックスもお返しに同じ事を返すが側から見れば同じ者同士の応酬である

 

「アタシはこれくらいの額でそんなバカみたいに喜んだりしないよ」

 

「バカとは何だよ!」

 

バカと侮辱されたレックスが詰め寄ろうとすると虎のブレイドが少女の前に出て来る

 

「レックス様でしたな、此度はお嬢様が大変失礼な事を、何卒ご容赦を」

 

「ビャッコ!アンタまた余計な口出しをして」

 

ビャッコと呼ばれたブレイドが少女の代わりに頭を下げる

 

「よせよニア、まっ気持ちはわからんでもないな・・・そして、確かめるのも容易い!」

 

腕を組んでいた男はブレイドからS字に曲がった曲剣とも旋棍とも見て取れる獲物を逆手で受け取るとレックスに向かって切り掛かる

 

「んなっ!?」

 

レックスは驚愕しながらも咄嗟に躱す。二度、三度と身を屈めたり後ろに飛び退いて避け、次の一撃が来る瞬間腰に付けていた手製の折り畳み式の剣を抜き武器同士がぶつかり合う。鍔迫り合いながらお互いを睨み合う

 

「ちょっと待ってください。ここは交易所、刃傷沙汰は御法度ですよ」

 

ケンが男の曲剣の刀身を掴み引き離す。男は若干目を見開いていた

 

「いきなり何するんだ!」

 

「メツ!子供相手に何やってんだよ!」

 

「この小僧じゃ不安だって言ったのはお前だぜ?」

 

「アタシはそんな事言ってないよ」

 

「言わずとも、思っていたろ?で、結果は見ての通りだ。やるじゃねぇか、見た所ドライバーではなさそうだが・・・そのアーツ、どこで覚えた」

 

「じっちゃんに教わったんだよ」

 

それを聞いたメツは何か納得した様な目線をレックスに向ける

 

「腕はいい、度胸も悪くない・・・ま、しっかり働いてくれ。ついでだ、お前にも来てもらう。報酬は同じ額だ」

 

メツと仮面の男が先に退出し、ニアは呆れながらついていきビャッコは一度頭を下げて後に続いた

 

「一体なんなんだよ、いきなり斬り掛かってきてさ!」

 

「乱暴ではあるけど手っ取り早く実力を測るには今みたいなのしかない。少なくともお眼鏡には適ったみたいだし準備に入ろう」

 

依頼主側の真意がわからない、だが現時点ではそれを読み解く術がない。出来る事は出発までに準備を済ませる事しかなかった

 

続く




ここで簡単に主人公のプロフィールを書いておきます
名前 ケン
実年齢 不明(見た目は20歳)
身長 210センチ
体重 160キロ
服装 上下一体型の黒のボディスーツのインナーにサルベージ時はその上に焦茶・灰色基調の潜水服を着こみ、陸にいる時は上半身を脱いで腰に結んでいる。普段着は布の上着を着ており首元にはスカーフを巻いている
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