ゼノブレイド2 ~MAN OF STEEL~   作:スルタン

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今回で本編に当たる第一話は終わりです


第一部 第三話

 

レックス達が古代船のなかに入って暫くの時間が経った。最初は住み着いているモンスターが襲い掛かってきたがブレイドを従えているニア達の力は圧倒的だった。普通の人間であれば苦戦が必至の敵でさえドライバーにとっては容易のようであっという間に一蹴した。レックス達が安全を確保した場所に金目の物がないか探索した。だがこの船はサイズの割に船倉には積み荷などが殆どというかほぼ積まれていない

 

(おかしいな、物資が殆どない・・・輸送先に届けた後の帰投途中だったのか・・・いや、それだと効率が悪いしな・・・輸送以外の目的でここまで引っ張ってきたみたいな・・・)

 

他のサルベージャーも利益なしと判断し甲板へ引き上げていく。ケンは下層に降りて行ったレックスの事が気になったが上からの指示で付いて行くことはできない。ケンも戻り待機するためもと来た道を戻り始めた。道中僅かな物資を漁っていたサルベージャーの会話が聞こえる

 

「にしてもあの時は凄かったよな」

 

「ああ、あんなモンスターをあっという間に倒しちまう、いったいどっちがバケモノなんだか・・・」

 

それを片隅で聞いている内にシン達が戻ってきた。だがそこにレックスの姿はなく代わりにメツが変わった装いの赤髪の少女の入ったポッドを肩に担いで戻って来た。あれが目的の物だろう。喜ぶ所だろうがかなり重苦しい雰囲気である、表情が暗く俯きながら後を付いて行くニアにメツが非常な指示を下す

 

「ニア、殺れ」

 

「え?・・・やれって・・・?」

 

メツの言葉に真意を汲み取れず混乱する

 

「そいつらの命の代金は既に払ってある。俺らが天の聖杯を手に入れたって話を知る人間は少ない方が都合がいい」

 

「で・・・できないよ、この人達、関係ないじゃん」

 

「おかしな事を言う、お前、自分が何のために此処にいるのか忘れたのか?」

 

「け・・・けどさ・・・」

 

不吉な命令を下すメツに躊躇するニア、そこにケンが歩きながらやって来る

 

「目的の物は見つかりましたか?」

 

「そうだ、この通りな」

 

メツはそう言いながら肩に担いだポッドを担ぎ直す

 

「そうですか、それはよかったです・・・ただし。幾つか聞きたいんですが」

 

「なんだ」

 

「あまり聞こえませんでしたが、僕達を始末するような事を仰られてていました?」

 

ケンの一言で場の空気が固まり、雷鳴と雨の音が響く

 

「・・・ああ、言ったな」

 

「成程・・・バーン会長も考えたものですね、報酬を払うべき作業員がいなくなれば人数分の成功報酬が手元に残りますからね・・・」

 

「あのノポンが金をどうしようなんざ興味はない、腕がいい連中だから利用させてもらった。それだけだ」

 

「ですが周りの人達を見ると命を奪われる事は聞いていないみたいですね、僕自身もですが」

 

「そりゃそうだろ、こき使った挙句最期には死んでもらうなんていったら誰も来ないさ」

 

メツは自然と半身になり腰に差している獲物に手を掛ける

 

「では最後なんですが・・・レックスはどうしました?」

 

「道中でモンスターに襲われてな、残念だが死んじまったよ」

 

「成程、ドライバーが3人相手でも逃げ帰る程の相手とは・・・その割には消耗していないようですね」

 

メツとの問答にケンは僅かに片眉を上げる、まるで分り切ってるように

 

「最後の質問は嘘だとわかってます。そのポッドを持ってるが証拠ですしそちらの仮面の方が背負ってる刀。人を刺したでしょ」

 

「・・・」

 

「その人の刀、刀身が僅かに雨水を弾いている。油分が付いてると撥水する、拭っても簡単に取れるものではありません」

 

視線をシンの方へ向けながら自身の推測を突きつける

 

「大方レックスがそのポッドを見つけて用済みとして始末したのでしょう?」

 

「ちっ・・・面倒くせぇ・・・奴だな!!」

 

メツが手を掛けていた旋棍を掴み抜き放ち刀身をケンの首筋目掛けて振り上げる。ニアとビャッコがたまらず止めに入ろうとしたがケンがその刀身を肘と膝で上下から挟むように止める。万力で締められた様に一切動かない

 

「馬鹿力が」

 

「これでも目に掛けていた後輩でしたから・・・やられっぱなしというにはいきません」

 

メツとケンがお互いを睨み合った瞬間少女の入ったポッドがいきなり燃え上がる

 

「なにっ!?」

 

「むっ」

 

咄嗟にお互い距離を取りメツがポッドを放り投げる。巨大な火柱が上がりそれが古代船の出入り口の上に爆発と共に着弾、爆炎の中から少女が現れ目を開く。その胸には 翠玉色のX字に切り取られた結晶体が光を放っている。その直後甲板の一部が徐々に赤熱していく

 

「おおおおぉーーーっ!!!」

 

赤から白に発光し火柱と共にレックスが飛び出し着地する、その手には炎を纏う大剣が握られている

 

「レックス!?」

 

息を切らすレックスの胸にはX字の少女とおなじ翠玉色の結晶体がついている

 

「小僧・・・その剣・・・まさか」

 

「いきなり後ろからとは卑怯じゃないか、それが大人のすることかよぉ!」

 

大剣をメツ達に向け叫ぶ、よほどご立腹のようだ

 

「ホムラ!!行くよっ!」

 

「はいっ!」

 

シンが刀を抜こうとするとメツが前に立ち制する

 

「いい、こいつは俺がやる、シン、お前はあいつをやれ」

 

「おおおっ!!」

 

メツはそう言うとレックスの攻撃を受け止める

 

「悪いな小僧。アイツの力をそうホイホイ使わせるのは都合が悪いんでな。俺が相手をしてやるぜ」

 

レックスを弾き飛ばしメツが構える。そこから僅かに離れた所でシンとケンが相対している

 

「あの様子からみて貴方達の計画に狂いが出ているみたいですね」

 

「・・・ドライバーを始末すれば問題ない」

 

シンが長刀を抜き放ちケンはレックスの方を一瞬視線を送り直にシンを見据える

 

「僕がいうのもなんですけどレックスのしぶとさは誰にも負けてないですよ」

 

「ならお前はどうだ」

 

長刀を構えるシン、前傾姿勢で構えるケン

 

「時と場合ですかね」

 

言い終えるや否やシンの姿がぶれる。長刀の切っ先が瞬きの間にケンの喉元へと迫った。並の人ならば首を貫かれている、だがケンは上半身を必要最低限に動かし刀身を縫う様に躱し流れるような動きでシンの懐へと踏み込む。反撃に前蹴りを打ち込むもシンも素早く後方に下がり間合いを取り直す

 

「先の問い、まだ答えを聞いていない」

 

「問い、とは」

 

「世界を作り直す時が来たら、お前はどちらに立つ、と聞いた」

 

再び踏み込んできた長刀の一閃をケンは手の甲でいなす。刃先が僅かに肌を掠め、赤い線が浮かぶが動きは止まらない

 

「・・・生憎、今は質問に答えている暇はないですね」

 

「なら、行動で示せばいい。お前が、この世界の何を守ろうとしているのか」

 

言葉と同時にシンの斬撃が三連で放たれる、上段、逆袈裟、突き。淀みない連撃を、ケンは最小限の動きで捌ききる。だが防戦一方に見えたその姿勢から次の瞬間、中段の横斬りをしゃがんで躱し低軌道からのショルダータックルで突き飛ばす。

 

「――ッ」

 

突き飛ばされた瞬間長刀を横薙ぎに振りケンの胸に横一文字の切り傷を付ける。着地するもシンの足が僅かに乱れる。

 

「・・・大した反応速度だ。ただの腕のいいサルベージャーと聞いていたが」

 

「買いかぶりですよ」

 

シンは長刀を構え直しながら、その仮面の奥でケンを見据える

 

「・・・お前はさっき、俺の問いに答えなかった。だが、今の動きが答えだ。お前は、目の前の脅威からは目を逸らさない。だが、その先にある大きな問いからは距離を置く」

 

「・・・言われてみればそうですね」

 

ケンは短くそう返しながら、構え直した

 

「大きすぎる問いに、軽々しく答えを出す気はない。それだけです」

 

「臆病、とも言えるがな」

 

「できれば慎重と言ってくれるとありがたいですが」

 

そこに一際大きい爆発が起こる、レックス達も必死で戦っている。ウズシオもサルベージャー達を乗せて離れ始めている

 

「離れてくれたか・・・」

 

ケンがそう呟いた時レックスが殴り飛ばされるのが見えた。武器が金属音と共に甲板を滑る

 

「レックス!」

 

少女が助けに向かおうとするがメツのブレイド阻まれている

 

「調子に乗るなよ小僧!」

 

「ビャッコ!」

 

「承知!」

 

ニアがビャッコの背中に飛び乗りアーツでメツを攻撃する

 

「なに!?」

 

ザンテツがシールドを貼り防御する隙にニアがレックスの前に立つ

 

「何で邪魔をする?頭でもイかれたのかニア!」

 

「イかれてんのはそっちだろ!?子供相手に!!」

 

「お前・・・自分の立ち位置わかってんのか?」

 

「わかってるよ・・・けどね!」

 

「メンドくせぇぞニア!!」

 

斬りかかろうと踏み込もうとした時、ホムラが駆け出し自身の武器を掴み跳躍、上空からメツに斬りかかった

 

「レックスはドライバーになったようだが如何せん経験値が足りないようだ・・・」

 

シンの長刀を白刃取りで止めつつ状況を注視しているケン

 

「アイツの心配ばかりしていていいのか」

 

「?」

 

どういう意図か考えていると古代船の隣にあの黒い船が急接近してきた。砲台がせり出しホムラ目掛けて砲弾を発射してきた咄嗟にホムラが防御しているがあれでは長く持たないだろう

 

「手段を選ばずですか」

 

「そうしないと都合が悪い」

 

お互いに振り払い。距離を取る、ホムラが飛ばされ今度はビャッコが砲撃を防いでいるが猛烈な火力がニアを吹き飛ばす。レックスが空かさず飛び降りニアを捕まえる、砲台が狙いを定めるが火球が直撃し機能を停止する

 

「何だ!?」

 

メツが突然の横やりに驚いていると船の間を一体のアルスが飛行する

 

「セイリュウ・・・」

 

「知り合いですか?」

 

「・・・お前には関係ない事だ」

 

シンはセイリュウを見つめ呟く、旋回したセイリュウが火球を甲板に向けて数発放つ。その内の一発をシン両断し防ぐ。ケンはその隙を突いて船の外に向かって飛び出しアンカーショットをセイリュウの背中に引っ掛け飛び移る

 

「ケンよ無事か!」

 

「こっちは大丈夫です、このままレックス達のところへ!」

 

セイリュウが急降下しニアの手を掴んだままぶら下がっているレックスの所へ向かう

 

「乗るんじゃレックス!」

 

「わかった!!」

 

「レックス!!」

 

ビャッコに跨ったホムラが手を伸ばしレックスの手を掴み背に乗せ、ビャッコはニアを咥え跳躍する。タイムングを合わせレックス達の前にセイリュウが飛び出す

 

「このまま飛び込んで!」

 

「わかった!ビャッコ!」

 

「失礼します!」

 

背に乗ったケンがビャッコごとレックス達を受け止め振り落とされない様にセイリュウの背に捕まる

 

「行くぞ!落ちるなよ!!」

 

「逃がすな!撃て!」

 

メツの命令でモノケロスが砲撃を始め逃げるセイリュウに着弾する。だがセイリュウはそれに構わず離脱を始める

 

「船首回頭、主砲用意!」

 

「無駄だ、射程外だ」

 

「・・・ちっ!奴ら逃げ切りやがった」

 

主砲を撃とうとするメツをシンが止める。セイリュウが逃げて行った方向を見据え背を向ける

 

「戻るぞ」

 

「・・・ああ?追わないのか?」

 

「目覚めたのなら、それで十分だ。後はヨシツネに探らせる」

 

「・・・ふん、そういう事か」

 

メツはシンの意図に気づきレックス達が逃げた方向を眺めた

 

続く




次回から本編第二話に移行します
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