名もなき者たちの碧き冒険譚   作:Ryokuha

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すみません、遅れました……。ちょっと急ぎ目にやったので粗があるかもしれません。
もしかしたら来週も遅れるかもしれません。
それと、今回の話でネルさんがそこそこの怪我をしちゃいますので閲覧注意です。
後、この作品の今後の方針についての活動報告を上げました。少なくとも活動報告の①と②は読んでほしいです。めっちゃ重要なことが書かれてるので……。


第12話:ダブルオー

■

 

 

 

 

「お姉ちゃん!まだ!?」

 

「ま、待って、急かさないで!あとこれだけ入力すれば終わりだから……!」

 

「あと2分だよ!?急かさずにはいられないって!」

 

「正確には96秒です。そう言っている間に残り92秒……」

 

「わ、分かった分かった!もうできたから!」

 

「お前ら落ち着け!焦ってると碌なこと起きねえぞ!」

 

 

 …俺たちは今現在、ミレニアムプライスに提出する作品、テイルズ・サガ・クロニクル2を作っているところだ。…だが、やはり6日で間に合わせようとはいっても、それはあくまでも理想でしかない。実際はそう上手くはいかないもんだ。

 

 あまりにも進みが悪かったところに、先生が応援をしに部室へと来てくれたことから結構ブーストはかかった。だけど、それでもやっぱりギリギリになってしまったみたいだ。

 

 …あと少しで締め切りの時間がやってくる。それを認識してモモイとミドリ、ユズ、そしてアリスはかなり焦っているようだった。…かく言う俺もちょっと焦っている。

 

 

「こっちは簡単なテストだけやって……うんっ。」

 

「エラーは出てない、モモイ!」

 

「オッケー!ファイルをアップロード、完了まで予想時間……15秒!アリス、あと何秒!?」

 

「残り19秒です……!」

 

「お、お願い……!」

 

 

 ユズが簡単な試行テストを行って、どこにもエラーが発生していなかったと分かったため、モモイはゲームのファイルのアップロードを開始した。…やべえな。もしアップロードに余計に時間がかかったら、これまでの努力がお釈迦だ。……頼む!間に合ってくれ!!

 

 

 

 

 

 

 

「転送完了……」

 

 

 ミレニアムプライスへの参加受付が完了しました。

 

 

 

「間に合ったあぁぁあ!」

 

「ギリギリ……心臓止まるかと思った……。」

 

「あとは……3日後の発表を待つだけ、だね。」

 

「……おつかれさまだぜ、皆。マージでよく頑張ったと俺は思うぞ。」

 

 

 ……ふぅ、どうやら、締め切りまでなんとか間に合ったようだ。ユズの言う通りめっちゃギリギリだったな。今もまだ心臓がうるさいくらいに鳴ってるぜ………。いい加減収まってほしいものだ。

 

 

「とりあえず間に合ったけど、まだ結果が出たわけじゃない。」

 

「3日後には……このままこの部室にいられるのか、そうじゃないのかが決まる。」

 

「……でも3日って結構長いじゃん?そこで提案なんだけどさ、」

 

「先に、web版の「テイルズ・サガ・クロニクル2」をアップロードしてみるのはどう?」

 

「!?」

 

「ど、どうして?」

 

「3日間も待てないよ!それに、審査員の評価より先に。ユーザーの反応を見たくない!?」

 

「うーん、でもちょっと怖いかも……低評価コメントも心配だし。」

 

「何言ってるのさ!そもそも、ミレニアムプライスに出品するためだ(・)け(・)に作ったゲームじゃないでしょ!」

 

「自信を持って、見てもらおうよ!私たちはベストを尽くしたんだから!」

 

「そ、それはそうだけど……。」

 

 

 …どうやらモモイは、先にテイルズ・サガ・クロニクル2のweb版をアップロードして、プレイしたユーザーたちの反応を見てみたいらしい。ミドリは低評価コメントに対して心配しているようだったが、モモイの言う通りこのゲームはミレニアムプライスのためだ(・)け(・)に作ったものじゃない。…だから、俺の答えはこうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、ダメだ。」

 

「……って、えっ!?」

 

「あ、アルケーさん?」

 

 

 俺はモモイの提案をきっぱりと断った。え?何でかって?それはだな………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前ら!まずはさっさと寝ろ!」

 

「「「……え?」」」

 

「……?」

 

 

 そうだ。俺はさっさとこいつらに寝て休んでほしいんだ。

 

 …いやだってこいつら、6日間徹夜で集中してゲーム作ってたんだぜ?多少の休憩はしていたが、それでも長時間寝ずに作業してたんだ。…俺としちゃ低評価コメントなんかよりもこいつらの体調の方が心配だ。

 

 

「…で、でも!ここまで来たんだからもう今更じゃない!?別に大丈夫でしょ!」

 

「嘘つけモモイ、おめえ3日目あたりからミスがどんどん増えていってただろ。それは疲れているって証拠なんじゃねえのか?」

 

「うっ、そ、それは………。」

 

「……別にアップロードするのは良い。だが感想を見るのは次の日の目を見てからだ。…今回は急がねえと間に合わなかったから仕方なく徹夜してまでずっと作業してたが、本来こんなことはしちゃならねえことなんだ。だって作る側の体調のことを全く考慮してねえからな。」

 

「…だから休め、別に感想は逃げるわけじゃないんだからよ。…それに、多分今のお前らなら秒で寝れると思うしな。」

 

“……そうだね。アルケーの言う通り、ここは一回皆休んで、感想を見るのは明日にしようか。”

 

「うっ……わ、分かったよ………。」

 

 

 モモイは先生の一言が最後の一撃となり、嫌々ながらも納得した。そうして俺たちは、web版のアップロードをした後に各々寝る準備をし始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドカアアァァァン!

 

 

 

「………は?」

 

「!?」

 

 

 …だが、突如として、眠ろうとしている俺たちを妨げるかのように謎の爆発音が響いた。

 

 

「いったい何の……!ゲーム機が爆発!?」

 

「え、長時間やり過ぎたかな……?」

 

「違う!この砲撃は46mm砲……カリン先輩の!」

 

「……何だと?」

 

 

 どうやらその爆発音の正体はカリン先輩の狙撃によるものらしい。……いきなり襲撃とは、随分とやってくれるじゃねぇか………。

 

 

「遠距離攻撃を確認。部室正面に対して11時の方角!距離、約1km……!」

 

「反撃を開始します!」

 

「待てアリス!ここで戦ったら先生が巻き込まれるし、何より部室がぶっ壊れちまう!一回外に出て対処するぞ!」

 

 

 アリスは襲ってきた敵に対して反撃をしようとするが、俺はそれを制止して一旦外へ出ようと言った。先生は銃弾一発で致命傷になり得るし、アリスの武器だと簡単に部室が壊れちまうしな。

 

 

「そ、外に生徒会の人たちも……!「鏡」の件の報復……!?」

 

「えっ!?な、何で!?もう追わないって話じゃ―――――」

 

「んなことはどうでもいい!とりあえず今はこっから出るぞ!」

 

“そうだね。リロードしてるうちに、とにかく外へ出よう。”

 

「先生、アルケーさん……はいっ!」

 

「アリス、私とユズ、アルケーが前に立つ!」

 

「はい。アリスは先生とみんなを守ります。」

 

「よし、行こう!!」

 

 

 こうして俺たちは、部室から出て生徒会たちからの襲撃に対応することにした。…確かに、このままやられっぱなしじゃあたまったもんじゃない。……やられたからには、しっかりとやりかえさせてもらうぜ!!

 

 

 

 

 

 

ーー・ーー

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ……。」

 

「な、何とか逃げ切れた?」

 

「……とりあえず、後を追ってる奴の気配はしないから、ひとまずは安心だろうな。」

 

 

 俺たちは突如としてやってきた生徒会からの襲撃に対して、何とか応じて敵から逃げ切れることに成功していた。

 

 そして今は、校舎内だと逃げ場があまりないことを考えて、一旦外に出て人目のつかない広い路地裏に避難している。ここなら生徒会の奴らが追ってくることはないだろうしな。

 

 

「こ、これからどうする……?」

 

「もうミレニアムプライスへの出品は終わってるんだし……」

 

「とりあえず結果が出るまで、このまま逃げ続けよう!」

 

「…確かに、その方が良いな。俺たちだけじゃ数の差がありすぎる。一回どっかに匿ってもらった方がいいだろうな…….。」

 

 

 ミドリはこのまま戦い続けるのは分が悪いと思い、一旦ミレニアムプライスの結果が出るまで逃げ続けようと言ってきて、俺はそれに賛成した。

 

 …そうだな、前に生徒会を襲撃したときみたいに、ヴェリタスの皆に頼んd――――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

「逃げ切れるとでも思ったか?」

 

「!?きゃぁっ!」

 

「ミドリ!」

 

「チッ!誰!……だ………。」

 

 

 …そう思っていたが、どうやらそうは問屋が卸さないらしい。俺はミドリを撃った奴に目線を映したが、そこにいた人物は………。

 

 

「………ネル、先輩?」

 

「……。」

 

 

 …なんと、あの時差押品保管所で見たネル先輩だった。ネル先輩は、絶対に逃がさないと云わんばかりに獲物を狩るような目つきをして俺たちを睨みつけていた。

 

 …っていうかこの気配、隠れていて見えないが、他のC&Cの先輩方もいるな。何で、この人だけ前に出て来たんだ……?

 

 

「……なるほどな。どうりで、いちいち良い判断だと思ったぜ。」

 

「さっきこのチビたちを指揮したのも、ミレニアムの差押品保管所を襲撃したのも。」

 

「あんただったか。」

 

「先生……って呼べばいいのか?」

 

「アカネが調査した、例の「先生」……噂は大げさじゃなかったみてぇだな……。」

 

 

 …ネル先輩はそう言って、先生のその能力の高さを独白して称賛した。どうやらさっきの生徒会との戦いを見て、先生の実力を認識したようだ。

 

 

“どういう用件?リベンジ?”

 

「はっ!そんなくだらない理由で来るわけねぇだろうが。」

 

 

 先生はネル先輩が俺たちを襲った理由をリベンジだと考えていたようだったが、当のネル先輩はそうではないらしい。それじゃあ、一体どんな理由でここに来たのか。リベンジじゃないとしたら、この人個人の用とかか……?だとしても詳細までは良く分からねぇが……。

 

 

「強いて言うならまずは……そこの、でこ出してるあんた。」

 

「あの時は、よくもあたしを騙してくれたな……?」

 

「ひっ……!す、すみません!」

 

 

 ネル先輩は、差押品保管所でのあの出来事でしてやられたことに関してで、ユズにまるで怒っているかのようにそう言った。

 

 

 

 

「やるじゃねえか、褒めてやるぜ。」

 

「……え?」

 

「怯えたふりをしてプルプル震えながら、あたしを騙すなんてな。大した演技力だ。」

 

[…いや、あれはふりじゃなくてガチで怯えてたと思うんだが………まあいいか。]

 

 

 ネル先輩はしてやられたというのにユズのことを称賛していた。…ネル先輩は何やらユズに対して勘違いをしているみたいだが、それでもユズがやったことがすごいことには変わらないので、俺はあんまり気にしないようにすることにした。

 

 

「まあそれは良いとして……そっちのバカみたいにデケぇ武器持ってるあんたと、そこの白髪の坊主。」

 

「………。」

 

「……???」キョロキョロ

 

「あんただよ、あんた!」

 

「アリスのことですか?」

 

「そうだ、てめぇらには用がある。」

 

 

 …ネル先輩は、俺とアリスに対して用があると言った。…何だろう。今までの経験からして嫌な予感が止まらねえ………。

 

 

「C&Cに、一発食らわせてくれたらしいじゃねえか……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちっと面貸せや。」

 

 

[…やっぱりか、クソッタレ……。]

 

 

 …どうやら、俺の嫌な予感は当たってしまったらしい。ネル先輩は俺とアリスとの戦いを望んでいるようだった。

 

 …かなり面倒なことになっちまった。相手はあのネル先輩だ。前に戦ったアスナ先輩よりもずっと強い人なんだ。…今までの問題事は何とかなっていたが、今回はそうはいかねぇかもな………。

 

 ……きっと、今頃アリスも苦悶の表情を――――――――

 

 

「あ、アリス、このパターンは知っています。」

 

「「私にあんなことしたのは、あなたが初めてよ……っ」告白イベントですね。チビメイド様はアリスに惚れていると。スチル獲得です。」

 

「……へっ!?あ、アリスさん!?!?!?」

 

 

 俺がこれから起きるであろうことに思い悩んでいる時、アリスはこの場面をよくある恋愛ゲームのシチュエーションだと勘違いしていたようだ。それを受けて俺は、あまりに予想外だったことから思わずアリスをさん付けして呼んでしまうほどに驚いてしまった。

 

 …そして、こんなことを言われたんだ。当然、ネル先輩は………

 

 

 

 

 

「ふ、ふっざけんなこの野郎っ!ってか、誰がチビメイド様だ!?ぶっ殺されてぇのか!?」

 

「ひっ……!」

 

「こ、怖っ!!」

 

 

 …アリスに対してめちゃくちゃブチ切れていた。とはいっても、ブチ切れてるのはスチルの方じゃなくてチビ呼ばわりされた方っぽいけどな。

 

 ……はぁ、先が思いやられるな。生きて帰れるといいんだが………。

 

 

 

 

 

 

■■

 

 

 

 

 

 

「はぁ……。」

 

「なかなかイラつかせてくれるじゃねぇか、まあ良い。」

 

「誤解してるかもしれねぇから一応言っとくが、別にC&Cに一発食らわせた分の復讐ってわけじゃねぇ。」

 

「あちこちに怪しい部分はあったが、こっちとしては正当な依頼の中での出来事だった。そっちはそっちで、あたしらを相手に目標を達成しただけだ。」

 

「別にそこに恨みはねぇが……俄然、興味が湧いてきてな。」

 

「興味……?」

 

「確認、って言った方が良いかもしれねぇが……。」

 

「さあ、ちょっくら相手してもらおうか。」

 

「あたしと戦って勝てたら、このまま大人しく引き下がってやる。」

 

「お互いを理解するには、これが一番手っ取り早いからな。どうだ、難しい話じゃねぇだろ?」

 

「………さて、どっちからあたしとやるか?別に、あたしは二人がかりでもいいぜ?」

 

 

 C&Cの部長、美甘ネルはそう言って二人のことをニヤリと笑みを浮かべて見つめていた。恐らく彼女が確認と言ったその意図は、突如としてやってきた二人にC&Cがまんまとやられたのを知ったことから、二人がどういった存在なのか見極めようということなのだろう。

 

 

「だったら二人で「俺からやらせてもらいます。」――――えっ?」

 

「……へぇ、あんた一人でか?面白れぇ……。」

 

 

 ネルからの果たし状に対して、力強く真正面から受け止めるアルケー。

 

 そこには一切の恐怖や曇りもなく、ただ一つの大きな闘争心しか存在しなかった。

 

 それを見たネルは、彼の立ち振る舞いに興味を持ち、より一層ニヤリとした笑みを浮かべる。

 

 

「……要するに、アンタを突破すればいいわけですよね?なら丁度いい。」

 

「アンタとは一度こうして戦ってみたかったんでね。そいつをするにはいい機会だ。」

 

「……へぇ?あんたも興味を持ってたのか?………なら良かったな。だったらお望み通り教えてやるよ。……覚悟しな。」

 

 

 ネルは、アルケーへと笑みを浮かべた表情をしているが、見るだけで委縮してしまいそうになるほどの、恐竜のごとき圧を含めた目線を差し向ける。

 

 対してアルケーもネルへと目を鋭く尖らせて、絶対零度のごとく冷徹でかつ牽制をするかのように力強い視線を差し向ける。

 

 ……互いが互いへと攻撃的な視線を差し向けるこの状況。

 

 それによって周りに漂っていた空気は、まるで恐怖で震えるかのように密かに重く、そして淀んだものへと変異しつつあった。

 

 

「ま、待ってください!」

 

「……ん?」

 

「あぁ?」

 

 

 だがしかし、そこへとアリスが待ったをかける。

 

 そしてその後彼女は焦った様子をしながら、アルケーへとこう言葉を告げた。

 

 

「アルケー!アリスも一緒に戦います!アルケーだけでは危険すぎます!」

 

「き、危険って……いやまぁ、確かにそうか………。」

 

 

 どうやら、アリスも二人の戦いに参加するつもりらしい。彼女としては、アルケー独りだけに戦わせる訳にはいかないのだろう。

 

 それに加えて、ネルは先ほど二人でも良いとはっきりと告げていた。ネル自身がそう言っている以上、アリスとアルケーは二人で協力する権利があるはずだ。

 

 

「……でも、心配してくれてありがとなアリス。だけど、ここは俺一人でやってもいいか?」

 

「…ッ!?そ、そんな………どうしてですか!?」

 

 

 だがしかし、それでもアルケーはアリスへと一人で戦うと言葉を告げる。アリスはそれを受けて、更に焦った様子をしながらアルケーへと問いかける。

 

 

「……さっきも言ったけど、俺はあの人とは前々から戦ってみたかったんだ。」

 

「それに二人でやるってのも……何かズルくせぇだろ?だから、やるんだったら俺一人がいいんだ。」

 

「あ、アルケー……?一体、何を言って…………」

 

「……まっ、とりあえず見ときな。……安心しろ。ここまで言ったんだ。やるからには少なくとも負けはしねぇよ。」

 

 

 対してアルケーはアリスからの問いを半ば無理やり押し通し、再びネルの前へと歩き出し始める。

 

 ……アリスは、そんなアルケーの様子を見て何が何だか分からないまま、その場に立ち尽くすしかなかった。

 

 ただ一人でやりたいからだと言って、自身の危険を顧みずに、二対一という圧倒的に有利なはずの状況を彼は自ら捨てて行ったのだ。……彼が一体何を考えているのかを、アリスには理解することができなかった。

 

 

「……おっ、何だ?結局あんた一人でやることにしたのか?」

 

「えぇ、待たせてすみませんね、ネル先輩。」

 

「……いや、それとも………や(・)っ(・)ぱ(・)り(・)二対一がご所望でしたか?」

 

「……………あぁいや、その逆だ。……むしろ、あたしはあんたの興味が更に出てきた。」

 

「………そうですか。なら、その興味を今すぐにぶつけないとですね?先輩。」

 

 

 そして何を思ったのかは知らないが、ネルはそんなアルケーを見て彼への興味が更に出てきたようだ。そしてネルが持つ意識は完全にアルケーへと向けられ、ネルは鎖で繋がれている二丁のサブマシンガンを両手に持ち、いつでも戦える体制へと移行した。

 

 ………どうやら、彼女もやる気になったようだ。

 

 

「……………………。」

 

「…来ねぇのか?なら、こっちから行くぞ!」

 

 

 そして、ネルはいつまでも攻撃をしてこないアルケーを見て痺れを切らしたのか、地面を踏み込み超スピードで彼の方へと向かっていったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ーー・ーー

 

 

 

 

 

 

 ミレニアムの中に存在する陰が目立つ静寂の地帯。その場所は今、二人の人物によって爆発音と銃撃音などが鳴り響いており、混沌と喧騒を極めた地帯と化していた。

 

 

「オラオラオラァ!」

 

「……っ!」

 

 

 ネルがSMGの連撃を放った後、アルケーは首を捻ったり、身体の捩りやバックステップなどを用いることなど最小限度の動きでそれを避け、カウンターとしてアサルトライフルの弾丸をネルに向けて数発放った。ネルは先ほどのアルケーと同じように避けた後に、またSMGの連撃を放つ。二人の戦闘は、この単純な連鎖によって継続されていた。

 

 …だがしかし、単純ではあるがその連鎖の一周期の間隔は恐ろしいほどに短いものであった。そしてその短さは、二人の姿が歪んで見えることから、もはや常人では決して捉えることができないレベルであると言えるだろう。

 

 

「へっ。中々やるじゃねぇか坊主。あたしの動きにここまでついて来れる奴は、本当に久しぶりだ。」

 

「そいつは、光栄、ですね!」

 

 

 ネルは自身の動きについてきているアルケーに対して、素直に彼の実力を認めていた。…それを聞いたアルケーは集中しているため途切れ途切れになっているが、ネルに対して言葉を返していた。

 

 

 

 

 

 

「……だが、」

 

 

 

「ぐッ!?」

 

 

 

「まだ、足りねぇな。」

 

 

 ネルはアルケーの一瞬の隙を突いて腹へと前蹴りを放ち、アルケーはそれをもろに食らって吹っ飛ばされていった。

 

 

「……確かに、スピードは凄ぇ。純粋な身体能力だったら、あたしよりも断然に上だろうな。」

 

「だが、肝心の身体のスペックにあんたの技量が嚙み合ってねぇ。それじゃ、あたしに勝つことは絶対にできねぇ。」

 

「……っ。」

 

 

 ネルはアルケーの欠点を、淡々と述べていく。それを聞いたアルケーは、耳が痛いとでも言わんばかりに眉を顰めていた。…恐らく、そのことは彼も理解していたのだろう。

 

 

 

 

 

 

「……さてと、んじゃあ、そろそろ終わらせるか。」

 

「ッ!?」

 

 

 もうすぐ決着をつけようとするネル。彼女はアルケーに対して超スピードで突進していった。いきなりの攻撃で反応が少し遅れてしまったアルケー。何とか彼はネルの攻撃を避けようとするが……

 

 

「おせぇよ。」

 

「し、しまっ――ぐっ!?」

 

 

 やはりと言ったところか、反応がほんの少しでも遅れてしまえばネルの攻撃を避けることはできないようだ。アルケーはまたもやネルに対して蹴りのダメージを今度は顔へと食らってしまう。

 

 

「…要するに、確かにてめぇは強いが、あたしにはまだまだ及ばなかった。ただそれだけだ。」

 

「チッ……!」

 

 

 ネルはアルケーに対して蹴りを食らわせた後、二丁のサブマシンガンによる弾丸の雨をアルケーへと浴びせる。アルケーはそれに反抗して避けながらアサルトライフルによる射撃をネルに放つが、ネルはそれをいともたやすく回避し、そしてそのままアルケーへの攻撃を続行している。

 

 ……これから二人の戦闘は、最初のような連鎖が続くように思われるが、今回はそうではない。何故なら……

 

 

「クソッ……!」

 

「へっ。どうやら、さっきのあたしの攻撃をもろに食らったせいで上手く動けてねぇようだな。」

 

 

 そう。その理由はアルケーにあった。彼はネルの言う通り身体能力と技量が追いついていない。…つまり、身体そのものを使い慣れていないということから、ネルの攻撃を二回も直撃したことにより、身体の感覚のバランスが崩れたのだ。

 

 そのことから、アルケーは最初よりも動きにほんの少しだけ隙が生まれていた。

 

 

[……へへっ。やっぱり、ユウカ先輩たちのときのようにはいかねぇよな………!]

 

 

 ……アルケーは、この戦いを通して改めてネルの強さを、今度はその身で実感していた。

 

 彼は頑丈だ。少なくとも、ユウカとアカネとの戦闘で見せたように、多くの弾丸をその身に受けても立ち続けられて、かつ最前線で常に戦えるほどには頑丈だった。

 

 ………だが、あくまでもそれは耐えられているだけだ。決してダメージを受けていないわけでは無い。当然、ダメージによって身体の鈍りが生まれてしまう。

 

 そして、ネルとの戦闘はそのほんの少しの隙だけで一気に勝負がついてしまうのだ。決して、ユウカとアカネのときのようにはいかないのだ。

 

 それが故に、今のアルケーはネルによってかなり追い詰められている状況にいたのであった。

 

 ……次元が違う強さとは、まさにこのことを言うのだろう。

 

 

「はあっ、はあっ、はあっ……。」

 

「……もう息切れか。まぁ、それもそうか。身体のスペックに技量が追いついていねぇんだから、力の加減なんてもんは分からねぇよな。」

 

 

 そうして、ネルとの戦闘から約15分後、アルケーは完全に息を切らしてしまった。それに加えて彼はネルのサブマシンガンの連撃によって大ダメージを受けており、身体の至るところから出血し始めている。言うなれば、満身創痍の状態であった。

 

 そして彼は今、持っていた銃を離して膝をついてしまっている状態だ。ネルはそんな彼の様子を見て、こんなものかと、一瞬だけ呆れた顔を見せていた。

 

 

「アルケー!」

 

“…まずい。アルケーの息が上がっている……!”

 

「そ、そんな、アルケーさん…。」

 

「こ、このままじゃ、アルケーさんがやられちゃう……!」

 

 

 それを見たゲーム開発部一同と先生は、額から汗を流し落としながら強い焦燥感が生まれてしまう。……無理もない。彼女たちからすれば、彼があそこまでやられる姿を見るのは初めてだったのだから。

 

 彼女たちはアルケーがこれまでに見せた戦いから、相手があのネルであったとしても、アルケーなら何とかできるかもしれないと、そう思っていた。

 

 だがしかし、現実は違った。アルケーとネルでは、比較にすらならないほどの、大きな差があったのだ。それは息を切らして重傷を負っているアルケーと、いつものように呼吸をして怪我などどこにもない様子をしているネルを見れば、一目瞭然だった。

 

 

「……こんなの、見ていられません!」

 

「ま、待ってアリス!今は行っちゃダメ!」

 

「離してください!モモイ、ミドリ、ユズ!このままじゃ、アルケーが!」

 

「お、落ち着いてアリスちゃん!」

 

「い、今行っちゃったら、アリスちゃんも……!」

 

 

 アリスは、そんなアルケーのことを見て我慢が出来なくなり、ネルの元へと一人で突撃しようとしている。

 

 だがしかし彼女が行ったところでどうにかできるとは思えない。それを理解しているモモイとミドリ、ユズの三人は、力づくでアリスのことを止めていた。

 

 

 

 

 

「これで終わりだ、坊主。……まぁ、そこそこ楽しめたぜ。」

 

「………………。」

 

 

 ネルはそんな彼女らの様子をつゆ知らず、最後の攻撃としてサブマシンガンの連射をアルケーへと食らわせようとする。対してアルケーは無言のまま、そんなネルの様子を見ずに下の方を向いていた。

 

 …恐らく、もう戦う力が残っていないのだろう。彼は大怪我をしているのに加えて、息がきれ始めているのだ。とっくに限界を迎えていてもおかしくない。そう考えたネルは銃の引き金に手をかけ、止めを刺そうとした。

 

 …これで、勝敗はついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……………はずだった。

 

 

「……ッ!!!!!」ダンッ!!!

 

「なっ!?」

 

 

 アルケーは膝をついた状態から自身に止めを刺そうとするネルに向かって、地面を踏み込んで今までよりもずっと速い、まさに雷のようなスピードで突進する。

 

 とっくに限界を迎えている筈の身体から繰り出されたその強烈なスピードに対してネルは動揺し、ほんの少しだけ反応が遅れてしまったが、とっさに後ろにジャンプをして彼の攻撃を避けようとした。

 

 

 

 …だが、ここで思い出してほしい。先ほど、ネルとの戦いはほんの少しの隙でも致命傷になると言及した。

 

 

 

 

 

 ……そう。そしてそれは、また自分自身と近しいレベルの人物と戦っている、ネル自身にも言えることだったのだ。

 

 

 

 

「逃がすかッ!」ガシッ!

 

「なっ!?てめぇ!?」

 

 

 アルケーは後ろに飛んで攻撃を回避しようとしているネルに対して、咄嗟に彼女が持っている二丁のサブマシンガン、その二つに繋がれている鎖を左手で掴んで自身の方向へと引っ張ったのだ。

 

 その後彼は鎖を持ったまま、ネルへと一撃を食らわせるために右手に握り拳を作り始めた。

 

 ……だがしかし、今回のアルケーは違う。彼は今、額と腕から血管が浮き出ている。それほどに、強力な力を彼は右手に込めているのだ。

 

 元々彼のフィジカルの強さはエンジニア部製の頑丈なロボットでさえ、簡単に破壊できるほどのものだ。

 

 それだけの力を持った人物による血管が浮き出るほどの本気の一撃………当然、これを食らう人物は…………

 

 

 

 

 

 

 

「ハアアアアッ!」

 

 

 

 

 

 

ドゴンッ!!!

 

 

「グッ!?!?!?!?」

 

 

 ……とても無事ではいられないだろう。ネルはアルケーによるフルパワーの一撃をもろに食らってしまい、彼女の身体から耳をつんざくような音が響いた。

 

 そしてその後ネルはハヤブサのごときスピードで吹っ飛ばされていき、建物へと勢いよくぶつかった。

 

 その建物はあまりの勢いだったことからボロボロに崩れてしまい、土煙が舞い上り始めていた。

 

 

 

 

 

 

「はあっ、はあっ、はあっ………。」

 

「へ、へへっ……手ごたえ、あった……ぜ…………。」

 

 

 

 

 

 

 

ドサッ……

 

 

 

 

「ッ!?アルケーッ!!!」

 

「あっ、ちょっとアリス!」

 

 

 ネルへと強力な一撃を食らわせたアルケー。彼は確かな手ごたえを感じたが、立つ力が抜けてしまいそのまま倒れこんでしまった。

 

 それを見てアリスは、モモイたちの静止を振り切ってアルケーの元へと走り出していった。

 

 

「アルケー!大丈夫ですか!しっかりしてください!」

 

“……大丈夫。気を失っているだけみたい。”

 

「と、とりあえず、ネル先輩に気づかれる前に今のうちに逃げなきゃ!」

 

「ここなら、ヴェリタスの皆の隠れ家が一番近いから、そこに避難しよう!」

 

「わ、分かった!」

 

「アルケーは、アリスが背負います!」

 

「じゅ、銃はわたしが……!」

 

 

 こうして、ゲーム開発部と先生の面々はネルに気づかれる前にその場から退散した。幸いにも、土煙があるおかげでネルの視界が遮られていることから、追跡されずに逃げることができそうだ。

 

 

 

 

 

 

――・――

 

 

 

 

 

 

「り、リーダー……ッ!」

 

「……だ、大丈夫でしょうか………。先ほど、部長から何かが爆発したような音が聞こえたのですが………。」

 

 

 ゲーム開発部が退散して少しした後、C&Cのメンバーであるカリンとアカネは、崩れた建物の下敷きになっているネルのことを心配していた。

 

 それも無理はない。あの一撃をまともに受けたのを見たら、誰だって心配するはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……だが、

 

 

「うーーん、大丈夫だと思うよ!」

 

「えっ?アスナ先輩、それはどういう………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダアアアアアッ!」ガコンッ!!

 

「ぶ、部長!?」

 

「リーダーッ!?」

 

「あぁクッソ!やりやがったなあいつ!今のあたしじゃなきゃ絶対に死んでたぞ!?」

 

 

 崩壊した建物の残骸の下から、何とネルが両手を上に挙げて、瓦礫を飛ばしながら勢いよく出て来たのだ。それによってネルを拘束していた建物の残骸は全て吹き飛び、ネルは自由の身となった。

 

 ……とはいっても、かなりご乱心な様子のようだが……………

 

 

「り、リーダー……大丈夫なのか……?さっきの一撃、とても痛そうだったが……。」

 

「あぁ?別にどうってことはねぇ。ただちょっとした打撲を負っただけだ。」

 

「……いや、どう見ても重傷ですよね!?全身傷だらけですし、さっきから足元がおぼついていないじゃないですか!?」

 

 

 見た様子はかなり元気に見えるが、どうやらネルはかなりの大怪我をしているそうだ。立ってはいるが、先ほどから足元がおぼつかずにフラフラとしている。

 

 

「ねぇねぇリーダー、どうする?あの子たち逃げていったけど、追いかける?」

 

「…あぁいや、いい。正直してやられてあの坊主相手にもう一暴れしたいところだが、この怪我じゃ戦っても余計に悪化するだけだからな。」

 

「………それに、リオがゲーム開発部に興味を持つ理由も分かったしな。だから、また今度にする。」

 

「………そうですか。」

 

「……分かった。それがリーダーの指示なら………。」

 

「そっか~。……でも、リーダーがあの子にボコボコにされちゃったから、しょうがないね!」

 

「うるせぇ!あれはちょっと油断しただけだ!」

 

 

 アスナがネルに対してアルケーたちを追うかどうか聞いたが、ネルは自身の怪我のこととそのリオという人物の動向のことを知れたことから、とりあえずは帰還することに決めたようだ。

 

 ……思いのほか、ネルは悔しがっているように見えるが…………

 

 

「(……にしても、あいつ…………本当に、何者なんだ?)」

 

「(あたしに一方的に追い詰められていたとはいえ、あいつには確かな実力があった。……そいつは、決して嘘なんかじゃねぇ。)」

 

「(……あいつは、あの場で二対一の選択肢を取らずに、敢えて一人で来やがった。……あの言いようじゃ、二対一だと余計に不利になることに気づいてるとしか思えねぇ………。)」

 

「(………間違いねぇ。あいつは、かなりの戦いの場数を踏んできているはずだ。……あたしが本気で圧をかけても、全く動揺した様子を見せなかったからな。少なくとも、格上相手の戦闘に慣れてんのは確かだ。)」

 

 

 ……ネルは、心の中でアルケーのことについて考えていた。彼女はアルケーのことを力不足だと言ってはいたが、それでもかなりの実力の持ち主であること、それは確かだと考えていた。

 

 その理由は、彼がアリスと一緒ではなく一人で戦う選択肢を選んだからというのもある。

 

 ……そう。実のところ、アルケーはネル相手に二対一で戦うことは、余計に不利になることに気づいていた。

 

 もしも仮に二対一をすることになった場合、アルケーとアリスは互いの動きに合わせるために、意識の一部をそちらの方に割くことから、二人には戦闘中にちょっとした隙が生まれてしまうことになっただろう。

 

 もちろん、その隙は本当に少しのものだ。それこそ普通であればまず気づかないものであり、例え捉えられたとしても、その隙を突くことは至難の業となるだろう。

 

 二人は決して弱いわけでは無い。例え土壇場で協力することになったとしても、かなり上手く連携が取れていたはずだ。

 

 ………だが、先ほども述べたように、ネルほどの強者の世界になると、そのちょっとした隙が命取りになってしまう。ネルを相手にするならば、戦闘中の意識の全てを、常にネルへと向けなければならない。

 

 仮に二人で戦うのであれば、モモイとミドリのようにほぼ無意識に連携が取れるレベルになるか、あるいはネルに隙を突かれたとしても対処が可能になるくらい、圧倒的な実力を持つしかないだろう。

 

 だがしかし、前者はまずアルケーとアリスはまだ会って一月も経ってないことから不可能、後者に至ってはもはや議論の余地すらないだろう。

 

 ………強いて言うならば、ネルに隙を突かれないような何かの工夫があれば話が変わったかもしれない。だがしかし、土壇場でそれを思いつけなかったことからアルケーは、一人で戦う選択をするしかなかったのであった。

 

 そんな彼の考えに気づいたネルは、その時点で彼が持つ実力を知った。少なくとも、咄嗟にその判断ができるくらいに多くの戦闘の場数を踏んできたこと、そして自身の圧を受けても全く怯まず、それどころか逆に同じように圧をかけることができるくらいには、強者との戦いに慣れているのは確かだと確信した。

 

 

「(……それに、あいつが最後に見せたあのスピード……まるで、あいつの時間だけが早くなってるような感じだった………。)」

 

「(……それこそ、あの時のあいつだけを見るんだったら、あれは――――――)」 

 

「(………いや、流石にねぇか。……ったく、どうやら怪我のせいでちと混乱しちまってるみてぇだな。)」

 

 

 どうやらネルは、アルケーが最後に見せたあのスピードを見て、何かを感じ取ったようだった。とはいえ、やがてネルはそれは気のせいだろうと考えて、気にしないことにするのであった。

 

 

「(…………………。)」

 

「(…………まぁ、少なくとも悪い奴じゃなさそうだし、とりあえず今は様子見だな。)」

 

 

 そしてネルはやがて、知らないことを考えていても仕方がないと考え、少なくとも彼の人柄を理解したことから今は様子見をすることにしたそうだ。

 

 ……だがしかし、ネルは知らないがアルケーには過去の記憶がない。少なくとも、彼は戦闘経験なんてものはないと言っていた。

 

 とはいえ、彼が昔に戦闘の訓練をしてきたという推測は的外れではなさそうだ。彼はあまりにも戦闘に慣れ過ぎている。とても素人とは思えない。

 

 ……だが、それが意味することはつまり、彼は完全に無意識の状態で、ネル相手にあのような立ち回りをしたということである。 

 

 そのことからアルケーは例え記憶がない状態であったとしても、戦闘に対する適切な状況分析、それに加えてどんなに強い気迫を感じ取ったとしても常に平常心を保つことができる丹力を、無意識の内に発することが出来るほどに訓練され、そして、長く戦い続けて来たとしか考えられないだろう。

 

 ………もしかしたら、彼が秘めているその謎は、わたしたちでは計り知れないほどに深すぎるのかもしれない………。

 

 

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