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「うあぁっ!」
「で、でたらめに強い……!」
「これが、C&Cのエージェント……!」
アルケーたちは今現在、C&Cのエージェントである一ノ瀬アスナとの戦闘を行っている。…そしてやはり、アスナの実力は先ほどまで戦っていた生徒会やロボットたちとは段違いに違ったのであった。
攻撃するタイミングや、攻撃に対する最適化された回避、多対一に対する適切な行動など、戦闘の立ち回りにおいては彼女の方が何倍もの多くの経験を積んでいるのだ。今まで戦闘とはかけ離れた生活を送っていたゲーム開発部の彼女らでは、苦戦してしまうのは当然と言えるだろう。
……だが、
「ふーん……。」
「(思ってたより、全然悪くない。お世辞にも戦闘能力がすごいとは言えないけど……)」
「(チームワーク……って言って良いのかな。まるで、二人で一人みたいな動き。その点においては、間違いなくベテラン級の……)」
「双子のパワー、ってやつかな。良いじゃん良いじゃん!」
…どうやら、意外にもモモイとミドリはアスナへと善戦をすることに成功していたみたいだ。これは二人が双子であり、お互いのことをよく知っているからこそできるチームワークのおかげなのだろうと、アスナは推測した。
「くぅっ、まさかここでアスナ先輩と出くわすなんて……。」
「お姉ちゃん!大丈夫!?」
……それでも、善戦しているとはいえ、徐々に二人は追い詰められていた。やはり二人とアスナでは、戦闘経験に大きく差が生まれてしまう。
……このままでは、二人ともアスナによって倒されてしまうであろう。
……そう、”彼”がいなければ…………
「ハアアッ!!」
「ッ!」
「どうしましたか!?C&Cの実力は、こんなもんですか!!!」
モモイとミドリが苦戦する中で、アルケーだけは唯一、C&Cのエージェントであり、戦闘経験豊富なアスナに対して抗えることができていた。
…そしてそれは、彼の身体能力と戦闘技能がC&Cのトップエージェントに匹敵していたからだった。
「あはは!君って本当に強いんだね!ねぇ、やっぱりC&Cに入らない?絶対に面白いと思うよ!」
「すいませんね!あいにく俺はこいつらと一緒にいるって決めてるんで、部活を抜ける訳にはいかないんですよ!!」
……だが、それでもやはり戦闘のプロであるアスナは彼の動きに対応しており、二人は互角の戦いを繰り広げていた。銃撃音や拳が空を斬る音、戦いの衝撃は彼らの戦いが続いていくにつれてどんどん増えてきていた。
「……あ、アルケーすごい。あのアスナ先輩と、互角に戦ってる……。」
「アルケーさん………。」
二人は思わずアルケーとアスナによる高レベルの戦闘に思わず魅入られてしまっているようだった。
…それも仕方ないかもしれない。彼女らにとって、これほどまでの戦闘は今までに見たことがなかったのだから。
……だが、
「……ッ!何!?」
「きゃぁっ!?」
「大口径弾!?何で!?」
「これ、カリン先輩の……っていうことはまさか、ウタハ先輩……!?」
…なんと、壁一面に貼られていたガラスが突如として割れて、アルケーの方に大口径弾が飛んできた。…それを放ったのは、ウタハによって抑えられているはずのカリンであった。
…一体どうして、カリンはこちらの方へと狙撃することができているのか。その理由は……
「ハレ先輩から連絡!カリン先輩を抑えられなくなって、ウタハ先輩が捕まっちゃったって!」
「この状況を見れば分かるよ!」
…どうやら、ウタハはカリンを抑えられなくなったようで、彼女は今カリンによって拘束されている状態であった。…そしてヒビキも、自身の先輩であるウタハを傷つけるわけにはいかず、カリンへの攻撃をすることができない状態だった。
…だがしかし、まだまだ悲劇は続く……
「あっ、マキからも連絡!アカネ先輩がシャッターを爆発させて脱出したみたい!」
「同時に、すごい数のロボットがこっちに向かってきてるって……!」
「ええっ!?」
「…チッ!遅かったか………っ!!」
どうやらアカネがシャッターを無理やり爆発させて、大勢のロボットと共にアルケーたちの方へと向かって来ているようであった。
恐らく、停電した後に連絡手段などを確保して状況が整ったことから、こちらへと近づいてきているのだろう。そしてアルケーは、マキからの連絡を受けてアスナ先輩との戦闘で時間をかけすぎてしまったことを悔やんだ。
……このままだと、アルケーたちはC&Cの3人と戦うことになる。これでは、戦力を分散させた意味がなくなってしまうだろう。
例えアスナと互角に戦えるアルケーであったとしても、C&Cのエージェントを3人同時に相手するのはかなり厳しいはずだ。
「あははっ、何が何だか分からないけど、私たちが優勢って感じ?」
「もしかして、もうそっちの計画は失敗寸前かな!」
「ううっ……!」
…アスナの言う通り、この状況は彼女ら生徒会側が優勢と言えるだろう。いくら何でも、C&Cのエージェントが3人集結、それに加えて大量のロボットたちが相手だと、モモイたちだけでは突破することはできない。
……だが、
「失敗……。」
「……違う、」
「まだ、失敗じゃない……!」
そうだ。彼女たちの計画はこんな状況でも対処できるようになっているのだ。それが故に、モモイとミドリの目には、まだ諦めるという文字はなかった。
「私たちが派手に動けば動くほど、一度閉じ込めたアリスへの警戒は薄くなるはず……。」
「それに、もしこのタイミングで私たちが捕まったとしても……謹慎ぐらいだったら、部室でこっそりG.Bibleを見ながら「テイルズ・サガ・クロニクル2」が作れる。」
その計画とは、アリスに「鏡」を取りに行かせるというものであった。
そしてこの計画は彼女たちにとっての最終手段であり、先ほどの停電によってアリスがいる反省部屋の扉を開放させることによって可能になったものだ。
……確かに、彼女たちがここまで大きく暴れていたら、アリスへのヘイトは確実にこちらへと向くだろう。…それにもし仮に謹慎処分を食らったとしても、ゲームを作るくらいのことはできるはずだ。
……そう、謹慎処分だったら
「うーん、何の相談かなー?」
「ちょっとずつ必死さが無くなってる気がするけど……まさか、諦めたわけじゃないよね?」
「この状況なら、諦めた方が賢明だとは思いますけどね。」
「うっ、ユウカ!」
「……ユウカ先輩。」
「久しぶりね。とりあえず、ここまで状況を引っ掻き回したことについては褒めてあげる。それについては本当に驚いたわ。」
「でもそれはそれ、これはこれ……。」
「こんなありとあらゆる方法を使ってまで生徒会を襲撃するなんて、やり過ぎよ。」
「猶予を与えたことと言い、ちょっと甘すぎたのかしら。」
「もう悪戯じゃ済まされないわよ。無条件の1週間停学か、拘禁くらいは覚悟した方が良い。」
「停学!?拘禁!?」
「そんな、1週間だと……ミレニアムプライスが終わっちゃう!」
「…………。」
…残念なことに、いや当然のことに、ここまでの悪事を働いた彼女たちの処分が謹慎程度で収まるはずがなく、1週間の停学、または拘禁処分が下されるようだった。
……これではゲームを作ることができなくなり、ミレニアムプライスへの提出が間に合わなくなってしまう。そうなってしまったら、ゲームオーバーだ。
「アリスちゃんも、今は反省部屋に入ってもらってるわ。一人だけで可哀そうだったけど、あなたたちが来ればきっと喜ぶでしょう。」
「うぅっ……!」
「お、お姉ちゃん……。」
「捕まっても大丈夫だと思ったけど……。」
「このままじゃ……たとえ「鏡」を奪えたとしても、アリスとユズだけじゃゲームは作れない……。」
「どうにかして、突破しないと!」
「突破?へえ、私たちを?」
「……ッ!誰か来る!」
モモイは捕まるわけにはいかないと思い、どうにかしてユウカたちを突破しようと考えたが、それはとある人物が来たことによって容易く打ち砕かれてしまう。
「ふぅ、やっと着きました……。こんなに息が切れるなんてまさか、本当に体重が……いえ、そんなはずは……。」
「うえぇ!?」
「あ、アカネ先輩に、戦闘ロボットまで!」
「ッ!」
そう、先ほどまで閉じ込められていたアカネが大量のロボットと共にアルケーたちのもとへとたどり着いてしまったのだ。
アカネは息切れをして少々苦しそうな表情をしていたが、息を整えてアルケーたちの方へと視線を移した後、やっと見つけたと云わんばかりにニヤリとした笑みを浮かべた。
「ふふっ、今度こそ「本物」みたいですね。」
「あらためて、初めまして。モモイちゃん、ミドリちゃん、そしてアルケー君。」
「マキちゃんとコトリちゃんについては、ギリギリ許せる範囲かもしれませんが……」
「ここまで入り込んできてしまったあなたたちに、もう言い訳の余地はありませんよ。」
アカネはそう言って、モモイたちへとかなり怒っている様子を見せていた。…恐らく、やりすぎたことに対しての怒りなのだろう。
「それに……」
「先生も、シャーレに抗議文くらいは送らせていただきますので、ご承知おきくださいね。」
“………。”
先生はユウカの発言に対して、何にも動じずただ黙ってその言葉を聞いていた。
[……マジかよ………本当に、本当に………アスナ先輩の存在が、状況をひっくり返しやがった…………。]
……この状況に対してアルケーは、自身の勘を信じるべきだと後悔した。彼は前々からアスナの存在が大きな変数として厄介になるのではないかと予想していた。…だが、彼はその勘は気のせいだと考えた。自身の身も蓋もない考えで皆を混乱させるわけにはいかないと、そう思ったのだ。
……だがしかし、その選択がこの状況を招いたのだ。実際に彼の予想通り、アスナが来たことによって時間を予定よりも多くかけすぎてしまい、結果としてカリン、アカネ、そしてユウカと言った生徒会側の戦力が集結してしまった。
………モモイたちの計画は順調なはずだった。このまま計画通りに進んでいけば、ミッションは必ずクリアできていた。
……だがしかし、彼女らの計画は、たった一人の少女の手によって……一瞬にして逆転されてしまったのだ…………。
「ううっ……。」
「ここで、本当に……?嫌だ……っ!」
「お姉ちゃん……っ!」
「ごめん、ごめんね先生……先生は色々助けてくれたのに、私たちの力不足で……私たちのせいで……!!」
……モモイは、この状況に対して絶望を感じており、諦めかけている状態であった。…ミドリの方もただ姉の名を呼ぶことしかできず、彼女もまた諦めかけている状態だった。
“諦めないで”
「そうしたい、けど……もう無理だよ。」
「前にはC&C、後ろにはミレニアムの生徒会……ミレニアムでもトップレベルに強力な二大勢力。」
「こんな状況で、いったいどうしたら……!」
“………っ。”
先生は何とかモモイたちを鼓舞しようとするが、モモイが告げた言葉から彼の目にも諦めのサインが徐々に出始めている。恐らく彼も、この状況がどれだけ絶望的なのかを理解しているのだろう。このままでは、この場にいる全員が諦めてしまう…………。
「………けんな。」
「――――えっ?」
「ふざけんな!!!!!」
“「「ッ!?!?」」"
「あ、アルケー?」
……だがしかし、この絶望的な状況に対しても、決して諦めない者がいた。
その人物の名は、世牙アルケー。他の者が諦めという名の死の目をしている中、彼の目だけは死んでいなかった。
……いや、それどころか逆に、彼の目は死ぬどころか生に満ち溢れており、その目からは何が起きようが必ず最後まで戦い続けてやるという、果てしなく強い意志が宿っていた。
「モモイ、お前……決心したんだろ!?ゲーム開発部を、仲間を守るんじゃねぇのか!?」
「こんな大事な時に、本当に諦めんのか!?この程度のことで、お前の意志は、ぶっ壊れちまうのか!?」
アルケーはモモイに対して鼓舞、というよりかは半ば怒りのこもった発言をしていた。
「だ、だって!こんな状況、一体どうすればいいのさ………!」
「………はっ。んなの、簡単な話だろうが。」
「………え?」
「あ、アルケーさん……?」
“……アルケー?”
モモイはそんなアルケーに対して訳が分からず、どうすればいいのかと言い返していた。…だが、アルケーはそれを聞いても全く怯まずに、簡単な話だとはっきりと答えた。
…それに対してモモイとミドリ、そして先生は困惑を隠せずにいた。
だがしかし、そんな彼女たちのことを知らずにアルケーは話し始める。
「目の前にはめちゃくちゃな数のロボットと、最強のエージェント集団がいる………。」
「そして、「鏡」を取るためにはそいつらを突破しなけりゃならねえ。」
「だったら、やることなんて一つだ。」
「俺たちの邪魔をする輩は全員ぶっ飛ばす、ただそれだけの話だ!!!」
「「……え?」」
その方法とは、至ってシンプルなことであった。それは、ただ目の前にいる敵を倒すという、本当にそれだけの話だったのだ。
「……へえ、あなたが?私たちのことを、倒せるとでも言うのかしら?」
…だが、それは言葉にこそ簡単にできるものだ。その敵はC&Cのエージェントたちとユウカ、そして大量のロボットたちのことを指す。…そんなことができるなんて夢物語だろう。そう思ったユウカは、彼に対して煽るようにそう言った。
……だが、彼はそんなことで怯むような者とは違った。
「……やれるかどうかですって?……はっ。んなの関係ありませんよ。」
「……何ですって?」
彼はユウカからの煽りを受けても即座にその煽りを切り捨て、まるで当たり前のことを云うかのように笑い飛ばしながらそう告げて答えた。
……そして彼は、目の前にいるユウカたちに向かって力強い気迫を発しながら語り始めた。
「俺たちゲーム開発部は、確かにお世辞には良い部活とは言えねえかもしれねえ。」
「ギャンブル大会を開催したり、どっかの研究会を襲撃したり、挙句の果てには作ったゲームでクソゲーランキング一位を取っちまったような部活だ。」
「…………だが、そんな奴らにだって譲れないもんがある。」
「それは、俺たちに居場所をくれたこの部活、そこでの楽しかった思い出、たくさんのゲームたち―――」
「そして!これまでずっと一緒に過ごしてきた、大切な仲間たちだ!!!!!」
「「!!」」
「俺たちは絶対に挫けない!例え目の前の敵がどんなに強大だとしても!どんなに絶望的なものだったとしても!人の大切なもんをぶっ壊そうとするテメーらがぶっ倒れるまで、最後まで抗い続けてやる!!!」
「あ、アルケー……。」
「アルケー、さん………。」
“………アルケー。”
…アルケーはゲーム開発部が心の底から大好きだった。
……それは、自身に居場所をくれた部活、人を楽しませることができるたくさんのゲーム、そして一緒にいて楽しくて、いざとなれば本気になれる大切な仲間たちがいたから。
……彼はそんなゲームや部活、大切な仲間たちに対して誇りを持っていた。彼はこれからも、彼女たちとどんなことだろうと挑戦して、一緒に楽しみ、そして進んでいきたいと望んでいるのだ。だからこそ彼は、絶対に部活と仲間たちを守ってやると力強く決意した。
…そしてそれは、彼自身が抱えていた大きな悩みを断ち切られるほどに強い想いなのだ。当然彼にとっては、こんなことで諦めるわけにはいかないだろう。目の前にどんな者たちがいようと、その足を立ち止まらせることは、彼自身が絶対に許せなかったのだ。
「アンタらが俺たちの部活を潰したいって言うんなら好きにすればいいさ。別に俺はアンタらのやることが間違ってるなんて言わねぇ。むしろ悪者はこっち側だろうな。」
「でも、だからと言ってそんな簡単にできると思うんじゃあねえぞ。」
「俺たちゲーム開発部はどこまでもやってやるよ。どうせ悪って呼ばれるんなら、どんなことがあろうが最後まで自分の考えを貫く、かっこいい悪がいいからな。そうだろ?先輩。」
「……っ。」
アルケーは先ほどのユウカの発言を受けて、言い返すようにユウカに対してニヤリとした笑みをしながら言葉を告げていく。
「(……一体、何なの?………彼の、自信に満ちている、あの迫力は…………。)」
「(……頭では私たちが有利だって分かっている筈……それなのに………)」
「(彼の言葉を聞くだけで、あの迫力を見ただけで………どうして、こうも動揺するのよ………!!)」
ユウカはそんなアルケーの言葉に対して、有利な状況なのにも大して狼狽えてしまう。
そう。彼は今、圧倒的に不利な状況にいるのに対して、有利な状況にいる人物たちを迫力だけで動揺させるほどに力強く、そして……大きな自信に満ち溢れているのだ。
「………さてと、それじゃあそろそろ決着をつけようじゃねえか。俺たちのエゴとアンタらの規律、どっちの方が上なのかを、な。」
そう言って彼はアサルトライフルのリロードを目にもとまらぬ速度で済ませ、改めて戦闘態勢に入ったようだった。
……そうして彼は、自身の大切なものを絶対に守ってみせると、そう心に刻み込むように“覚悟”を決めたのだった………。
「……まさか、本当にやる気なのね。…この軍勢を前にしてでも、アルケー君……あなたは、決して諦めないのね……。」
「……いいわ。その勝負、受けてやろうじゃない。…あなたの底力、見せてもらうわよ。」
そんなアルケーに対して、C&Cのエージェントたち、大量のロボット、そしてユウカは意識を集中させ、いつでも戦闘を始められるようにした。…どうやら、彼女たちもやる気のようだった。
……これから、大切なものを守ろうと“覚悟”を決めた一人の少年が、大勢のロボットや戦闘集団、生徒会メンバーたちとの戦いを繰り広げようとしていた………。
……だが、
“……ユウカ、一つ勘違いしているみたいだから言っておくね。”
“…君たちが戦うのはアルケーだけじゃないよ。”
「……ッ!?」
「そうだよユウカ!何アルケーだけと戦おうとしてるのさ!」
「私たちを忘れないで!!」
「……ッ!お、お前ら………!」
モモイとミドリ、そして先生の3人もユウカたちを相手に戦闘態勢を取っていたのだ。
……そして、その様子を見るに、彼女たちは先ほどの気分から一転してやる気に満ち溢れているようだ。
「……ごめんね、アルケー。…私、アルケーがそこまで私たちのことを大切に思っていたのに、あんなこと言っちゃって………。」
「……でも、アルケーのおかげで私、目が覚めたよ。……だから私も戦う。最後まで諦めずに、絶対に!」
「……私も、アルケーさんと一緒に最後まで戦います!…私も、守りたいのは同じですから………!」
“私も最後まで付き合うよ。君が諦めないのに、私が諦めるわけにはいかないからね。”
「…モモイ、ミドリ、先生………。」
……彼女らは、アルケーの言葉を受けて、最後まで諦めずに戦うために、その闘志を燃やしていた。
…そうだ、彼女たちだって彼と同じで守りたいものがある。彼一人だけに戦わせるわけにはいかないのだ。
「……そう、あなたたちも戦うのね。この状況下で………。」
ユウカは、そんな彼女らを見て眉を顰めていた。…それもそうだろう。ここまで絶望的な状況下であったとしても、希望に満ち溢れている彼女たちを見たら、そうなるのも無理はない。
だがしかし、それでも彼女らが有利なのは変わらない。相手はたったの4人、しかもその一人は戦術指揮をする人だ。依然として、直接戦闘をする者の数としてはユウカたちの方が圧倒的だ。
…だが、ユウカたちは忘れていた。彼女らゲーム開発部にはまだ、他にも頼もしい仲間がいることを……
「ターゲットを確認。」
「魔力充電、100%……」
「こ、この音は……」
「お姉ちゃん、伏せて!」
「ッ!」
光よ!!
突如として、ユウカたちに巨大な光の一撃が、凄まじい轟音を奏でて襲い掛かって来た。
「くっ!!」
「きゃあっ!」
「あ、アスナ先輩!?大丈夫ですか!?」
「大丈夫じゃないよー!あははっ、思いっきり当たっちゃった。何これめっちゃ痛い。頭のてっぺんからつま先まで今1ミリも動かしたくない!」
「……大丈夫そうですね。」
「そんな、アスナ先輩と半分近くのロボットをまとめて行動不能に……!?」
「た、たった一発で、この火力……!」
突如としてユウカたちに襲ってきた謎の一撃。それは彼女らの戦力の大半を削り、アスナと半分近くのロボットたちを戦闘不能にまで追い詰めたほどの威力のものだった。
「カリン、状況を報告してください!今のビーム砲はどこから……!?」
「カリン、カリン!?そういえば、カリンの火力支援が止んで……いつから!?」
アカネがカリンに対して応答を求めるが、その時、謎の光が一つのビルの屋上へと、壁にある窓を通して映りこんでいた。その光の発生源は、恐らく……
「あの光は……屋上!?」
[…ッ!そうか、ウタハ先輩たちが…………!]
アカネはカリンへと状況の説明を求めたが、彼女が応答することは無かった。それどころか、先ほどから彼女の狙撃による火力支援が来ていない。
…その理由を、ウタハとヒビキが手を討ってくれたのだろうとアルケーは推測した。
「モモイ、ミドリ、アルケー!今です!」
「アリスちゃん!?」
「どうしてここに!?」
…そして、先ほどの光の一撃を放った張本人であるアリスが、モモイたちの元へと駆け付けていた。彼女は元々差押品保管所に向かって「鏡」を回収しているはずだった。それなのに彼女は、モモイたちのことを助けにきたのだ。それが故に、モモイとミドリはどうして彼女がここにいるのか分からなかった。
…だが、
「生徒会の差押品保管所に向かう途中に、考えていました。」
「「ファイナルファンタジア」、「ドラゴンテスト」、「トールズ・オブ・フェイト」、「竜騎伝統」、「英雄神話」、「アイズエターナル」……そして「テイルズ・サガ・クロニクル」……。」
「どんなゲームの中でも、主人公たちは……」
「決して、仲間のことを諦めたりしませんでした。」
「なので、アリスもそうします。」
「試練は、共に突破しなくては!」
「アリスちゃん……。」
「アリス………ありがとな。」
「はい!」
……アリスは、計45個のRPGゲームをやってみて分かったことがあった。それは、一番強力な力は仲間だということだ。そして、またそのRPGゲームの主人公らは、その仲間たちを決して見捨てなかった。…だからこそアリスは、その行動を見て自身もと、ゲーム開発部の仲間たちを助けにきたのだった。
……まさか、元々はアリスに喋り方を教えるためにゲームを使ったことがここにも響いてくるとは、きっと三人も考えられなかっただろう。……そしてアルケーは、そんなアリスを見てとても心強いと感じた。
「……さてと、盤面は揃った。さっさと片付けることにしようぜ。」
“……そうだね。……きっと、これが最大の山場になると思う。”
「えぇ、ここが正念場です。……お前ら、準備は良いか?」
「「「はい(うん)!」」」
「よし!それじゃあ………」
「行くぞ!ゲーム開発部!!」
こうして仲間が一人増えた彼女らゲーム開発部は、差押品保管所に向かうべくこの状況を打破しようと動くのであった。今のユウカたちの戦力はアリスの一撃のおかげで大幅に削れている。これならば、突破できるかもしれない。
「くっ、マズいですね……!」
「あはは、面白くなってきたね!けどまだ身体がビクンビクンしてて、まともに立てない!」
「アスナ先輩、それ本当に痛がってます……?それより、カリンの狙撃が止まっているということは、やはりあちらでも……。」
「っ、逃げられる!」
「ッ!…いえ、そうはさせません……!」
「アスナ先輩、出来るだけ後ろに下がってください。」
「アカネ、戦闘を開始します!」
…そしてユウカたちの方も、差押品保管所へと向かっているゲーム開発部を止めるべく、戦闘を仕掛けるのであった。…だが、今のゲーム開発部はさっきまでとは全く違う。何故ならばアリスがいるからだ。彼女の戦闘力は凄まじいものだ。事実として彼女は、先ほどのレールガンの一撃で状況を一変させた。
それに、同じくらい強いであろうアルケーもまだまだ戦える状態だ。…果たして、ユウカたちは彼女らを止めることができるのであろうか。
こうして、ゲーム開発部とユウカたちによる決戦が始まった。彼女たちの居場所、ゲーム開発部をかけた作戦は、いよいよ最終段階へと来ていた。
果たして、ゲーム開発部は作戦を無事に成功して、廃部を免れることができるのであろうか………。