プレ×スズ尊い
なんで供給ないんですか???
私の名前は【靭 歯裂】
その名の通りウツボの人魚。
最近引っ越して、今まで通ってた高校とは別のところに転入した。
そんな私が抱えていること、それが──
「あ…おはよ「ヒッ!?す、すみません!」う…」
話しかけようとすると必ず人が避けていくことだ。
……まぁ、これは引っ越す前もそうだったけど。……やっぱり、悲しい。
(あの人でっかー!?圧すごいね)
(シッ!聞かれたらどうすんの!)
(あいつが例の番長か…)
(噂だと、あいつが通った跡にはボロ雑巾にされた奴らがゴロゴロ転がってたらしい…)
(……早く姐さんに伝えねぇとな)
周りからなにか話し声が聞こえてくる。
詳しく聞き取れないけど、ばんちょー?という人が暴れてる…とかなんとか?
怖いし、出来るだけ会いたくはないなぁ。
あとこの身長は親譲りだから私的には結構自慢であるのだ。
そこを何か言われると、ちょっと傷つく。
少し早めに学校に着いたので、席に座って机につっ伏して寝る…フリをする。
こうすれば他の人達からは声があんまりかけられないし…なにより、私が隠れて眺めている
あの人は今日も真っ赤で綺麗な髪の毛と鰭で、まるで自分が中心かのように佇んでいる。
その様子がほんとうに綺麗で、可愛くて…私なんかよりもよっぽど立派だ。
(…綺麗だなぁ)
なんて、語彙に乏しいことを考えていると、また今日もあの人は
綺麗な水色の髪の毛にピカピカと光る黄色い球を、提灯の様に吊り下げたあの子。
今日もあの人はあの子に構いに行って、閃光を浴びて目を抑えていた。
本当は、大丈夫なのか声をかけたい、仲良くなりたい。
でも…やっぱり出来ない。
私はその姿勢のまま、あの人を眺め続けた。
(………まずい…人魚薬、家に忘れたかも)
四時間目の初め、いつも入れてる鞄を漁ってもそれは出てこない。
そんな事実から私は、今思いつく限り最悪な事態に直面していることを認識した。
時計の針はまだ数刻しか刻んでいない、授業が終わるのはまだまだ先だ。
……耐えるしかない、授業が終わったら保健室に行こう。そこで人魚薬を貰えば大丈夫、大丈夫だ。
ザワザワする心の中で、私は腹を括った。
────数十分後
や、ばい…あたま、ちかちかす る
まず い この まま じゃ…
ほ、ほけんしつ いかなきゃ…
あ…こえ のどがごろごろ して だせない
でも いわな きゃ
「先生、靭さんが調子悪そうなので保健室連れて行って来ます」
? だれだ ろ ?まっか で きれーだな
「ちゃんと立てる?……ちょっと引きずるけど文句言わないでよね」
「ほら、ここが保健室よ。…ていうか、人魚薬忘れたならなんでもっと早く言わないの……よっ!失礼、入るわよ!」
「はーい…あら、その子は確か転校生の」
う…不思議と落ち着いてきたかも…
というか、ここ何処だろ?すっごい真っ暗だけど…って!?
「と、闘魚さん!?なんで…」
「なんだ、そこまで元気なら大丈夫そうね。それじゃあ後は任せるわ」
「了解したわ、ありがとうね」
「……別に普通よ、それじゃあ先に教室戻ってるから、落ち着いたら戻ってきなさい」
そう言ってあの人…闘魚さんは出ていってしまった。
「さて、貴方が転校生のウツボちゃんね。私は【阿代 黄泉】、よろしくね」
「よ、よろしくお願いします…」
「…さっきの様子だと、もうとっくに人魚薬の効果は切れてるはず、なのによく我慢したわね。でも、忘れちゃったなら今度からはもっと早めにここに来ること、わかった?」
「は、はい。すみませっ!?」
あ、だめだ
気が ゆるんで
私の足は一本の細長い尾鰭へと変わっていた。
黄褐色に茶色のまだら模様、まったく可愛くない私の尾鰭。
誰にも見られたくない私の秘密のひとつ。
見られた、見られちゃった。
「ひぐっ、見ないでくださいっこんなの全然、可愛くないのっだれにも見せたくっなかった…!うぅっ」
嗚咽が止まらない、涙はどんどん溢れてくる。
みっともなくて、恥ずかしくて、心がぐちゃぐちゃになる。
「───うん、綺麗な尾鰭ね!いいと思うわ」
「……ふぇ?」
「見れば分かるわ、毎日ちゃんとお手入れしてるんでしょ?先生、人魚としてそういうのが1番大事なことだって思うもの。それに十人十色って言うでしょ?人と比べて可愛くないとか自分を僻んだりしちゃ駄目よ?」
「……でも」
「あの子だって、きっとそう思ってるはずよ?プライドは高いけれどあの子、本当はすごい優しい子なんだから」
「……はいっ」
「……そうだ、あの子達には見せちゃったけど特別に先生のも見せてあげるわね?」
???
先生は急に何を言っているんだ?
先生の尾鰭
先生 の 尾鰭
っ!?!?
「ふぇぇっ!?ちょ、ちょっとそういうのは……は、破廉恥ですしっ!こ、心の準備が…!」
「あら、顔が真っ赤よ?大丈夫、先生は深海魚だけど尾鰭のケアとか色々と教えてあげるから、ね?」
「……そ、それじゃあ…お、お願い、します」
四時間目が終わり、昼休みになった。
だが、歯裂はまだ教室に帰ってきていない。
「歯裂さん、大丈夫かなぁ。……アンコ、一緒に見に行かない?」
「……それあんたが見たいだけでしょ?」
「バレたか!」
「バレるもなにも…まぁ私もついて行くけど。若狭ひとりだとなんかやらかしそうだし」
「信用ないなぁ、何もしないって」
そう話しながら、二人は保健室へと向かった。
「よみちゃーん、歯裂さん大丈夫──
ドアを開けた二人の目の飛び込んできたのは
「うん、歯も綺麗ね。こんなに綺麗なんだから、マスクで隠してちゃ損よ?」
「でも、みんな怖がっちゃうし…」
「大丈夫よ、先生がもし通りすがりなら思わず見惚れちゃうかも」
「それは、ちょっと…//」
若狭にとっては楽園のような光景であり、堤にとっては頭に宇宙空間が浮かび上がるような光景だった。
尾鰭になった教師と生徒がくんずほぐれつ()している。
しかもまだ一度も見たことの無いあのマスクの下には、真っ白なギザ歯が。
若狭は流れる動作でスマホを取りだし、その光景を音もなく撮影した。
そして、右腕を掲げ、満足気な表情で
逝った。
「若狭ぁーっ!?」
「っ!?み、見ないでっ!!」
狼狽える堤、顔を真っ赤にし腕でなんとか尾鰭を隠そうとする靭、生涯に一遍の悔いなしと叫ばん様子で逝った若狭
まさに
翌日、登校してきた靭を見たクラスメイト達は驚きに包まれた。
いつも着けていたマスクは外され、真っ白なギザ歯が恥ずかしそうにはにかむ口から覗いている。
頬は少し赤く、とても可愛らしい。
((((かっ、可愛い!!!!))))
今までクラスメイトの皆が恐ろしい印象は彼方へと消え去ったのである。
こうして、靭歯裂の真の新たな学校生活が始まったのであった。
【靭 歯裂】
【挿絵表示】
ウツボの人魚
高身長(185)でナイスボディ
髪色はインナーカラーが黄色の黒髪ウルフカット
見た目で怖がられがちだが中身は可愛いものが好きな乙女、少し口下手でちょっとむっつり
祖父の影響で格闘技を嗜んでいる。ので喧嘩がかなり強い
ギザ歯と咽頭顎が少しコンプレックス
周りから怖がられていたので、ここではみんなと仲良くなりたいと思っている。
身体が物凄く柔らかいので自分の体を紐のように自分で結べる。
あと陸上では二本足で走るより尾鰭で這った方が速い。