あと先に言っておくとクルセイダーズの面々は今回の戦闘には参加しません。
彼らはスフォルツェンドを守ることが、在りし日のリュートを守ることに繋がると考えている。と僕は思っているので。
あとクラーリィに次ぐ精鋭10人が勝手に北の都に行ったと思ったら8人死亡して帰ってくるとかパーカスが可哀想すぎる。
大魔王ケストラーを封印するための最後の戦い、北の大戦。外の厄介な魔物たちはライエルやサイザーたちに任せ、ハーメルたちは城の中へと侵入した。
最初の目的は人間の生命力を吸収する術を使っている冥法王ベース。現在はサイザーがその効果を抑えているが、そう長くは持たないだろう。
「俺には術者の波動が分かる!こっちだ!」
クラーリィが術の波動を辿ることでベースの元へと皆を案内する。
「外のみんなのためにも早めにベースを倒そうぜ!なあフルート姉ちゃん!」
クラーリィの後を追いながら意気込むトロン。
「もちろんよトロン!世界中から来てくれたみんなのためにも負けられないわ!」
フルートがトロンに対して応える。各国から駆け付けてくれた助っ人たち。そして何より、ベースの術から自分を守るために命を張ってくれた、スフォルツェンドの兵たちの覚悟を無駄にするわけにはいかなかった。
「ベースにはアンセムでの借りがあるからな!絶対に許すわけにはいかん!」
オーボウを肩に乗せながら、ハーメルはベースを倒す意思を改めて固める。幼い頃、ベースの策略によりアンセムの町で母を奪われ、魔王の血を発現させられたハーメル。彼の中ではベースに対する復讐の炎が燃え上がっていた。
「気持ちは分かるが、また魔王の血を暴走させるなよハーメル。これ以上フルート王女の寿命を削るわけにはいかないからな」
クラーリィの言う通り、ハーメルは幻術で現れたケストラーを見たことで、魔王の血を暴走させた。フルートの回復魔法で何とか元に戻ったが、ハーメルは見境なく攻撃したため周りの味方への被害は少なくなかった。
そうこう話しているうちに、ベースのもとにたどり着いた。
「将軍オーボウに王女フルート、大神官クラーリィ・ネッドに王子トロン・ボーン、そして勇者ハーメル」
ベースは一人一人の名前を呼び、品定めをするかのような目を向ける。
「歓迎するぞ?無限の苦痛が待つ冥界へとな」
「やはりわしらの前に立ちはだかるのはお前か!冥法王ベース!」
「ベース、覚悟しろ!」
ハーメルが険しい顔でパーティーの先頭に立つ。
「ハーメル、決して一人で先走るでないぞ」
ベースへの警戒を緩めず、オーボウはハーメルを諭す。
「分かってるよオーボウ!ちょいとジャブをお見舞いしてやるだけだ」
先ほどケストラーを見た時とは違い、ハーメルはとても落ち着いている。
「昔からお前には聞きたいことがあったんだ!」
ハーメルはとても真剣な顔でベースに問いかける。
「なんだ?」
「お前…トイレはどうしてるんだ?」
「はぁ?」
「この非常時に何を言っとるんだおのれはーっ!」
真剣なムードをぶち壊したハーメルに向かって、フルートが丸太を叩きつけてツッコミを入れる。
「だって右手で頭持ってたらトイレできないだろー?」
「そもそも魔族はトイレ行かんわ!」
ベースは呆れた顔でハーメルに反論する。
「じゃ、じゃあ」
「サイザーは北の都でトイレ無しで生活してたのかー!」
トイレに行けず汚い身なりのサイザーを思い浮かべ、ハーメルの顔が青ざめる。
「あんたは一旦黙ってろ!」
一連の騒動を呆れながら眺めたところで、オーボウが口を開く。
「しかし不思議じゃな、頭だけのベースはまだわかるが」
「その体は正真正銘の人間じゃろう」
「そ、それは…」
真実を知っているクラーリィは、辛い顔をして俯く。
「ふん、そんなもの当たり前だろう」
「なぜならこの体は」
「やめろ、言うなーっ!」
クラーリィがかつてないほど必死な顔で叫ぶ。
「スフォルツェンド第一王子、大神官リュートなのだからな!」
「えっ」
少し短いですが今回はここまでです。
次の投稿日は未定ですが、次回から本格的なバトルに入るのでお楽しみに!