そして今回もほとんど導入部分になってしまいました(笑)
原作を再履修している感じ、魔族化ハーメルがベースと力の差があまり無いのではと想ったため、鎖を2つに増やしました。
あとコルネットのネタは絶対にやりたかった。
「この体は、スフォルツェンド第一王子、大神官リュートなのだからな!」
「えっ」
フルートは、かつて自分の母が言っていたことを思い出した。
「あなたには兄がいたのよ。名前はリュート。優しくて強い子だった...でも、死んでしまった。」
フルートにリュートとの記憶はほとんど残っていない。しかしなぜかリュートの顔を見ていると、自分の兄だという確信を持つことができた。
もっとも、残っている記憶も赤ん坊の頃にリュートの力に振り回された時のことばかりだが。
「しかし大神官と言えども所詮は人間だな。たった15年で寿命が尽きるとは。」
「寿命?」
「ああ。わしの代わりに命を使っていたのだが、長くは持たなかったな。」
自分の母だけでなく、兄まで寿命がもう残っていない。その事を知ったフルートが、大人しく黙っているはずがなかった。
「返して、私の家族を返してよ!」
今にもベースに殴りかかりそうな勢いでフルートが叫ぶ。
「安心しろ、ちょうど次の体が欲しいと思っていたところだ。お前を次の体として使い、いずれリュートの元へ送ってやる。まあ今はリュートだけでなくホルンも...」
ベースがそこまで言いかけたところで、クラーリィが法力を放って話を遮った。
「汚い口を開くのはそこまでだ!」
フルート同様、クラーリィの顔も怒りの感情で溢れていた。
「フルート王女、気持ちは分かりますが今は抑えて!我々の目的は大魔王ケストラーです!」
そしてクラーリィはハーメルたちの方を向く。
「お前たち、すぐにベースを倒すぞ!これ以上あいつの好きにさせてはならん!」
武器を構えながら、トロンがクラーリィに問いかける。
「でもよぉ、あんな強力な魔法を使うやつを倒せるのか?」
「確かに[[rb:冥法王 > ヘル・キング]]ベースは魔界軍王No.1。普通に戦っても倒すことは難しいだろう。」
ベースの強さを昔から知っているオーボウが答える。
「もちろん正面から倒せるとは思っていない。だが、奴に対抗できる手段はある!奴がリュート王子の体を操ることができるのは、リュート王子の魂を支配しているからだ。」
トロンが明るい顔で答える。
「つまり魂を解放すれば!」
「ああ、リュート王子を自由にし、ベースの力を大幅に削ることができる!」
「そしてベースの魔力に包まれながらもなお、ベースの眼帯から聖なる力が出ている!つまりリュート王子の魂は、ベースの眼帯の中だ!」
クラーリィの言う通り、ベースの眼帯からは聖なる力が漏れ出ていた。それはまるで、魔族に最後まで屈しないというリュートの気高い精神を表しているかのようであった。
「つまりリュート王子ってのを解放するために協力しろってことか。」
それまで黙っていたハーメルが答える。
「しょうがねえ、協力してやるよ。あくまで奴への復讐のついでだからな。」
「まったく、ハーメルも素直じゃねえな。」
ハーメルたちは改めてベースに向き直る。
ベースはそれを見て少し考えた後、ハーメルに話しかける。
「そうかハーメル、お前もパンドラと同じように抗うのか。」
ベースは心底馬鹿にするような表情で、こう言った。
「そのゴミに等しいバイオリンで」
「なんだと!」
ハーメルの母・パンドラの形見であるバイオリン。それを馬鹿にされて、ハーメルは激昂した。
「ベース貴様!」
「駄目じゃ、ハーメル!」
ハーメルは魔族の力を解放し、ベースに殴りかかろうとする。
その時、ハーメルはフルートに言われた事を思い出した。
「バイオリンが泣いてるよ?」
あと一歩のところで踏みとどまったハーメルは、魔族の力を使うのではなく、バイオリンで戦うことを選んだ。
「いいだろう!貴様にふさわしい葬送曲を...」
しかしハーメルの努力も虚しく、ハーメルは鎖で拘束されてしまった。
「こ、これはヴォーカルに付いていたものと同じ!」
「そうだハーメル、それがある限りお前は魔力を全力で出せん。オーボウも魔族化しなければ脱出はできんだろう。」
ハーメルと同じくオーボウも鎖で拘束されていた。オーボウには鎖が1つ、ハーメルには2つ付いている。これでは魔族の力を使ったとしても、ベースの足元にも及ばないだろう。
「自分のせいで人が死んでいく様を、そこで何もできずに見ているんだな。」
ハーメルの脳裏に、かつて自分たちを守ろうと1人で戦った母の姿が浮かぶ。
「クソっ、これじゃあアンセムの時と何も変わらない...またオレは何もできないのか!」
「違うぞハーメル、お前は昔とは違う!今のお前には仲間がいる!」
ハーメルが絶望に打ちひしがれていた中、オーボウがハーメルに訴えかける。
「ここにいるフルートやトロン、クラーリィはもちろん!外で戦っているライエルやサイザー、そしてコルネットも...」
そこまで言ったところで、オーボウとハーメルは同じ思いに至る。
「(コルネットってどうしたっけ?)」
そう、北の都に到着する前にコルネットとはぐれてから、安否を確認できていなかったのだ。
「ちいっ、こんな時にコルが居てくれたら!おい、今コルはどこで戦っている!」
「そ、それは」
ハーメルが答えづらそうにしていると、代わりにトロンが答えた。
「北の都に着く前に崖に落ちてから、1回も見てないぞ。」
「なんだと、それは本当かハーメル!」
「し、知らねーやい!あいつが勝手に落ちていったんだよ!」
「なんだと貴様!お前など仲間ではない!禁断の呪文を喰らわせてやる!」
「やめんかこんな時に!」
ハーメルとクラーリィがバカ騒ぎしているのに構わず、ベースは攻撃を仕掛けてきた。
「ちいっ、とにかく俺たちだけでやるしかない!行くぞチビ!」
「分かってるよ、フルート姉ちゃん、ハーメルを頼んだぜ!」
2人は臨戦態勢に入り、ベースに突っ込んでいった。
「片やドラムに惨敗した大神官、片やギータに手も足も出ない剣士。」
ベースは意に介さない様子で2人を見る。
「お前たちだけでわしに敵うとでも?」
絶望的な戦いが今、幕を開ける。
次回こそ本当に戦闘に入ります!