初めは、ChatGPTと小さな物語を作って遊んでいるだけだった。

作者が思いつきを投げる。

AIが設定を広げる。

作者が新たな展開を思いつく。

AIが人物を動かし、世界の歴史を組み立てる。

そうして二人の対話の中には、誰にも読まれない物語がいくつも生まれていた。

だが、ある日。

作者は思った。

「こいつらを作品として公開してぇ」

その思いは止まらなかった。

しかし、自分の頭の中から生まれた物語を人前へ出すのは、なかなかに恥ずかしい。

迷っていた作者へ、とある知人は軽く言った。

「出してから考えれば?」

大抵の人間なら、それでも迷う。

もう少し直してから。

もっと上手くなってから。

自信がついてから。

だが、この作者は違った。

その瞬間、ブレーキが壊れた。

どうせ公開するなら最後まで書く。

どうせ作るなら全力で作る。

思いつきを投げ、AIの返答からさらに発想し、設定を追加し、展開を壊し、組み直し、完成したはずの最終話を何度も増築する。

一般に想像される、指示一つで文章を量産するAI創作とは少し違う。

作者が考え、AIが広げる。

AIが提案し、作者が選ぶ。

違えば戻し、面白ければさらに踏み込む。

気づけば短編は長編になり、一つの設定から国家が生まれ、一台の兵器から企業の百年史が始まっている。

そして、誰も止めない。

作者も。

AIも。

なぜなら両方とも、ブレーキではなくアクセルだったからだ。

本作は、ChatGPTとの対話を通じて数々の物語を作り上げてきた作者による、創作過程そのものを題材とした制作実録コメディである。


軽い小話のはずが四十話を超えた『世紀末モヒカン伝説』。

郵便機を作るはずが企業の百年史へ発展した航空会社。

戦車を作れない国の話から誕生した装甲貨車。

一つの疑問から、また一つ世界が生まれていく。

これはAIが勝手に作品を作る物語ではない。

作者がAIと語り合い、考え、選び、暴走し、最後まで完成させる物語だ。

そして一作を完成させるたび、作者は軽く燃え尽きる。

だが、投稿した作品のUAが伸びる。

誰かが、自分たちの作った世界を読んでいる。

すると停止したはずの創作エンジンが、再び音を立て始める。

作者は白紙の原稿を開く。

AIが次の案を提示する。

そして二人は、懲りることなく叫ぶのだ。

「Hoooo! エンジンが温まってきたぜ!」

「GOGOGO!」

かくして今日もまた、対話の果てに新しい世界が生まれる。

なお、今回もブレーキ役はいない。

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