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どうしてこうなった…?
「…はぁ」
とある県のとある田舎にあるその店は、いつも閑古鳥が鳴いていた
「…全く、人がはいらねぇなぁ…」
その店の店主は、来客用の椅子に座りながらぼやいた
「ったく。どれもこれもこの世界がメシマズなのが悪いんだよ…前の世界のイギリスみたいな飯が当たり前ってなんだよ…」
その店主は転生者だった。とある事情でこの世界にやってきたが、不運なことにこの世界はメシマズ世界だった
店主が子供の頃はいつも死んだ魚の目をしながらディストピア飯をかっこんでいたらしい…
そうこうしていると、時刻は夕方になった。外ではカラスが鳴いている
「…賄いでも作るか」
店主は重い腰を上げ、厨房に入っていった
「さーて、何作るかな…炒飯でも作るか。具材余ってるし」
店主はコンロに火をつけて、フライパンを熱した
〜〜〜
「…うん、こんなもん…ん?」
店主が炒飯の仕上げをしていると、店の入り口からドアが開いた音がした
「…客か?もう営業時間外のはずだが…」
店主が一旦火を止めて向かうと、そこにはコソコソしていた少年と少女がいた
「…」
「ね、ねぇお兄ちゃん…見つかる前に帰ろうよぉ」
「で、でも…すごい、匂いがしたんだよ?」
「…いらっしゃい」
ビクッ!?
店主が声をかけると、少年少女の体が飛び上がるんじゃ無いかと錯覚するくらいに跳ね上がった
「ご…ごめんなさい!」
「ごめん、なさい!」
「…あん?」
「つ、つい,いい匂いがしたから・・・今すぐ出て行きます、から…」
店主がその子供たちの身なりを見ると、とてもボロボロで、少しやつれているのがわかった
…グゥ〜…
「あっ…ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」
「…はぁ」
店主は頭をかき、子供達に背を向けた
「…ちょっと待ってろ」
「え…」
店主は厨房に入り、さっきまで作った炒飯を皿によそって2人に持ってきた
「…おい、そこの洗面台で手を洗え」
「え…?」
「早くしろ」
「は、はい!」
子供達は手を洗って戻ってきた
「…そこに座れ」
「は、はい…」
店主は2人分の炒飯を2人の前に出した
「「…」」
「…ん?どうした」
「お、おにいちゃん…す、すっごいいい匂いするよ…」
「…毒は入ってない」
そういって店主はスプーンで炒飯を掬って食べた
「…ほれ、食っちまえ」
「「…っ!」」
子供達はレンゲを使って炒飯を食べ始めた
「…っ〜〜〜!!!」
「っ、げほっ、げほっ!」
「一気に食うからそうなる…」
店主はコップに水を注ぎ、2人に差し出した
「…別に取ったりしねぇよ。ゆっくり食いな」
「ゴクッゴクッ…はぁ、は、はい・・・」
〜〜〜
「ふぅ…お、お腹いっぱい…!」
「そうか、よかったな」
店主は席を立ち上がった
「お兄ちゃん…なんか、なんだろう、これ…お腹いっぱいで、苦しいはずなのに…幸せ…」
「…それはな、美味しかったっつうんだよ」
「…おじさん!美味しかった!」
「そうかい」
店主は厨房の奥に入り、いくつかタッパーを持ってきた
「…ほれ、持っていくといい」
「え…これ、は」
「試作品。客に出すモンじゃねぇから、金はとらねぇよ。いま食った炒飯も俺が食う分だったからな、そっちも金はいらねぇ。別の作るだけだからな」
子供達はタッパーを両手に受け取り。その場で呆然としていた
「…まぁ、金の代わりに…それの感想を言いに来い。今日みたいな時間にくれば…また、うまいモン食わしちゃる」
「っ…はい!」
「ま、またきます!」
「おう。今日はもう遅い、気をつけて帰れよ」
「はい!あの…おじさん!」
「あん?」
「…ありがとうございます!」
「おじさんありがとう!」
そういって子供達は店を出て行った
「…そういう時はご馳走様っていうモンだ」
店主は店の片付けをしだした
〜〜〜
遠野ハンナは焦っていた
自分の大事な弟と妹が、夜になっても帰ってこないからだ
「…どこに、どこに行ったの?近くを探しても見つからない…!」
その時、ハンナの脳裏に映ったのは、かつて自分が目を離した結果高熱で帰らぬ人になってしまった自分の妹の姿だった
「っ…!と、とにかく…探さないと、じゃなきゃ、また…」
「ただいまー!」
「っ!」
家に、自分の愛する弟たちが帰ってきたことにハンナは安堵した
「お姉ちゃんただいまー!」
「ただいまー!」
「あ、あなたたち…!今までどこに、って…そ、それは?」
ハンナは弟たちの持っているタッパーに視線を移した
「こ、これは…その、おじさんから貰ったんだ」
「おじさん…?」
「う、うん。美味しいもの食べさせてくれたんだよ!それで…」
「大丈夫なの!?体とかは…体調はなんともない!?」
「うん!お腹いっぱいで、体がポカポカしてて・・・」
「ええ…?」
ハンナは困惑した。こんなに笑顔な妹を見たことがなかったからだ
…クゥ〜…
「あっ…」
「…おねぇちゃん、お腹減ってるの?」
「い、いや!大丈夫だよ。それで…その、それは…何か入ってるようだけど…」
妹たちがタッパーをテーブルに乗せて開けると、そこには…炒飯が入っていた
「…あ!私たちが食べたやつだ!」
「…っ」
ハンナは唾を飲み込んだ。冷たくなっているが、かすかに香ばしい香りをハンナが感じたからだ
グゥ〜…
ハンナのお腹から、音が鳴った
「…おねぇちゃん…」
「い、あやこれは…あ、あなたたちが食べなさい?お腹減ってるでしょう?」
「ううん。僕たちは大丈夫!だからお姉ちゃんが食べて!」
「うん!えーっと…美味しい、よ?」
「…じゃ、じゃあ…」
ハンナは流しからプラスチックのスプーンを取り、炒飯を掬って口に入れた
「…!?」
ハンナを襲ったのは、凄まじい味の暴力だった。これまで食べた無機質なものじゃなく、いい塩梅のしょっぱさや、野菜の甘さ等がハンナの舌を襲った
「っ…!?」
次にハンナを襲ったのは、食感だった。これまで食べてきた食用固形栄養剤(カロリーメイトみたいなやつ)ではなく、明確に柔らかくて噛みやすいものだった。これによりさらにハンナの食欲が爆発し、タッパーに入っていた炒飯はすぐになくなってしまった
「…も、もう…終わり?」
「す、すっげぇ…今のおねぇちゃんの、すごかった!」
「目が急に開いて、炒飯?をがーって!」
「ちょっ、違っ!?違くて!?」
「おねーちゃんも、美味しかったんだね!」
「っ…!ど、どうして、そう思うの?」
「?だっておねーちゃん、幸せそうな顔してる!」
「…!!」
ハンナはその言葉を聞いて、すぐに鏡に向かった。鏡はひび割れていて綺麗に見えなかったが、それでも自分の姿を確認するには十分だった。
自分の顔を確認すると、目元が少し笑っているのが自分でもわかった
「…おねぇちゃん?」
(…違う、これは…違う)
(私が…私は、)
(こんな顔をしちゃ、いけない…)
オリ主
年齢→27歳
身長→176cm
体重→68kg
趣味→料理、釣り、散策
トラックに突っ込まれてメシマズ世界に転生した。この世界の料理に絶望して、自分で店を立ち上げるが店は常に閑古鳥が鳴いている。
基本的にこの世界の料理はクソだと思っている