朝食の片付け後、店主は早速牢屋敷周りを探索することにした…のだが…
「…遠野はまだわかる、一緒に山に入ったことが何度かあるからな。…橘と桜羽はどうしているんだ?」
「その…美味しいものを作ってくれるお礼をしたいなって思って…迷惑ですか?」
「この周辺を探索なんて、ワクワクしますね!」
「エマさんはともかく、シェリーさんを止めれませんでしたわ…」
「…まぁ、いいか。人手は多い方がいいし。んじゃ行くぞ」
そうして店主達は森の中に入って行った
〜〜〜
「…こ、これは…どういう、ことだ?」
店主は目を疑った。昨日採取した香辛料が、再び生い茂ってそこに存在していたのだ
「どうして、昨日取ったはずの香辛料類が…また、ここに?」
「そんなに疑うことでしょうか?むしろこのくらいが普通なのでは?」
「…いいえ、普通ではありませんわ」
「うん、これは僕でもわかるよ。…もしかして」
「ま、まさか…ですが、魔法は…!」
「…まぁ。前向きに考えるとしよう。少なくとも、食糧の心配は無くなった。…だが野菜だけじゃ栄養が偏る」
「いや栄養とか気にしてる場合ですの…?」
「何か穀物が欲しいな。それに色々と確かめないといけない。すぐに育つのは植物だけなのか、菌類はどうなのか…」
「…とりあえずは、あの屋敷付近で何が取れるかを調べるか。気をつけてついてこい」
そうして4人は森を進んだ
〜〜〜
森を歩いていると、森を抜けて花畑に出た
「…壮観だな。来た時も思ったが、何度見てもすごいと感じる」
「ええ、私もそう思いますわ」
「本当に美しいですよね!皆さんでピクニックに行った時を思い出します!」
「…なかなか楽しい時を過ごしてたみたいだな」
「ええ、あの時は…本当に、楽しかったですわ」
「ちなみに、誰と来たんだ?」
「そ、それは…」
「私たちで来ました!」
エマとハンナが口ごもる中、シェリーが手を挙げて勢いよく発言した
「ん、そうなのか」
「はい!エマさんを元気付けるために計画したんです!」
「そうか。まぁいきなりこんなとこに拉致されちゃあ気も滅入るからな」
「ですよね!」
「だが…ここにはめぼしいものは無いようだ。他を当たろう」
そう言って店主はその場を離れた
「…ふぅ〜…」
「なんとか耐えましたね!」
「ですわね…助かりましたわ」
「はい!流石に…これまでのことを話すことはないと思います。この牢屋敷で起こった出来事は…私たちの、胸の中にしまっておきましょう」
「そうだね…」
「おーい、置いてくぞー!」
「あ、はーい!…さ、いきましょう!」
「うん!」「ええ!」
3人は店主について行った
〜〜〜
そうして牢屋敷の周辺の森を探索し終えた4人は、一度牢屋敷に戻って来た
「…さて、色々と回ってみたが…案外色々なものが取れたな」
「ですわね…」
厨房の台には、さまざまな食材が並んでいた
(山はないはずだが)山菜、(なぜか地面から生えていた)きのこ類、そのほかにもいくつかの野菜がなぜか生えていたので、採集した
「…いくつか生息の方法がおかしかったりしたのがあるが…まぁ、いいか」
(店主さんの目が死んでますの…!)
(それほど背に腹は変えられないんだね…!)
時刻は昼過ぎ。昼食は朝の残りのおにぎりの残りで済ました牢屋敷にいた少女たちとは違い、エマ、ハンナ、シェリー、店主の4人は空腹だった
くぅ〜・・・
「あ・・・」
「…そういえば、お腹減りましたね!」
「まぁずっと森の中を歩き回ってましたからね…」
「じゃ、採れたての山菜で食べるか」
「え、食べれるんですか!?」
「もちろんだ」
そういうと、店主はどこかからか網を取り出した
「…それ、どこにあったんです?」
「ここにあったでかい網を切り取って洗浄したものだ。これを火にかける」
店長は網を火にかけた
「…よし、こんなもんだろ。ハンナ、荷物からバターを頼む」
「…ばたー?」
「ああ、あれですのね…どうやってもってきたんですの?」
「保冷バッグの中にドライアイスを突っ込んだ。政府に頼んでちょっと色々と作ってもらったんだ」
「ちょっとまって。その…ばたーって?」
「牛の乳を振って固めたものだ。牛の乳はちょっとしたツテで手に入れた」
「牛!?」
「牛から食べ物が取れるんですか!?」
「ああ、牛なんて食べれる場所ばかりだぞ。全身食べることができる」
「全身って、骨とかもですか?」
「骨はスープの材料に使うことができる」
「まぁ、私もそれに限っては半信半疑ですのよ。店主さん、バターですわ」
「おう。んで、屋敷の周りでとれたきのこのかさの部分を逆さにして網に乗せて少し待つ」
「ああ、傘みたいな見た目だからかさっていうんですね!」
「きのこの形がまさにそれだからな。…よし、焼き上がったな」
「お!食べれます!?」
「待て。…いただきます」
店主は焼き上がったきのこを一口齧った
「ふむ…ん…」
「て、店主さん?」
「…うん、問題ないな」
「ど、毒味!?」
「ああ、食べさせる立場だからな、先陣きって食わなきゃならん。まぁ毒ではないな」
「だ、大丈夫なの…?」
「心配ないですわ、店主さんはこう言ったことに関しては右に出る人はいませんのよ。…まぁ、他にそんなことする人は見たことないですけれど」
「ほれ、できたぞ。かさの部分にバターと醤油を垂らしたものだ、美味いぞ」
「わーい!いただきまーす!」
「いましたわ近くに。警戒心とかありませんの?」
「…ハンナちゃん、小鳥遊さんとシェリーちゃんのことになると途端に口が悪くなるよね…」
「ま、それだけ信頼してくれていると考えよう。桜羽、ほれ」
「あ、ありがとうございます」
「ウマー!手が止まりません!」
「…シェリーちゃんも食べてるし、大丈夫だよね…いただきます!」
そう言ってエマは焼き上がったきのこに齧り付いた
「…ん!美味しい…!なんだろう、噛んでる感覚が面白い!」
「食感がぷりぷりしてるな。萎びてないから噛み答えがある」
「それに、なんだろう…味が濃い。けど今まで食べてた食用固形栄養剤と比べると、しつこい濃さじゃない!」
「バターはコクがあるからな、ほとんど味がないきのことは相性がいい。醤油と合わせるとベストマッチだ」
「う〜ん美味しい!もう一ついいですか?」
「構わん、とりあえず適当に焼いていくから食ってけ」
「ああほらシェリーさん、口周りがバターの油とかで汚れてますわよ。ちょっとこっち向いてくださいまし」
シェリーの口をハンナはハンカチで拭った
「んむ…ハンナさん、何するんですか…」
「はいはい…」
「…本当に仲がいいな」
「ハンナちゃんとシェリーちゃん、ずっと一緒にいたんですよ。…まぁよくハンナちゃんが振り回されてるけど…」
「ま、橘がそういうやつなのは見てればわかる。…そういや、料理が作れるようになってからは俺はその食用固形栄養剤とかは食べてないんだが…今はどんなのになってんだ?」
「…その、昔のものについては知らないんですけど、今のは…いろんな味があるんですけど、どれも味が濃くて口の中の水分が全部なくなっちゃうから、その分水も飲まなくちゃいけなくて…なんていうか、食べてる気がしないんですよね」
「そうか…俺が子供の時とあまり変わらないな」
「あはは…」
「店主さーん!おかわりー!」
「はいよー。…桜羽もまだ食うだろ?」
「あ、はい。お願いします」
「ハンナ、お前も食えよ」
「分かってますのよ」
そうして俺たちは取れたての山菜で昼食をすました
この世界での家畜(牛、豚、鶏)について
→現代みたいに繁殖等はされていなく、動物園で見かける動物として一般的に知られている
もちろんメシマズ世界線では誰もそれらを食用としてみることは決してないが、店主が牢屋敷に行く前に政府(の胃袋)に命令(脅迫)してようやく繁殖させはじめた
バター?廃棄される牛の生乳を拝借しました。店主は動物園にも伝手があります。美味いものを食べるには手段は選びません