メシマズ世界ノ魔女裁判   作:しがなくない

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想起のハーブティー

店主、ハンナ、青髪の少女、白髪の少女は、森の中に入っていた

 

「…おお…!まさか、自生しているとは…!」

 

店主はとある光景を見て驚いた

 

「…何の話です?」

 

「あれだ、あれ」

 

そう言って店主が指差したのは、さまざまな植物が生い茂った茂みだった

 

「…ただの茂み…だよね?」

 

「いや、違う。こいつらは…」

 

店主は茂みの前で座り込んだ。茂みを漁ると、いくつかの植物の種らしきものを取り出し、3人に近づけた

 

「…これはクミン、ターメリック、コリアンダー。ローリエ、シナモン、カルダモン…こんなにまとまって自生してるのを、俺は初めて見た」

 

「…店主さん、その…クミン?とかいうのは、なんなんですの?」

 

「私たちにとっては、ただの雑草に等しいですけどね!」

 

「ああ、ハンナも青髪も知らないか。まぁ無理もないな、売ってるところとか基本見ないからな」

 

(まぁ俺も売ってるとことかは見たことないしな、あったら買い占めてるし、『あるもの』をあいつら(遠野一家)に食わせてる)

 

そう思うとふと店主は顔を上げた

 

「…そういえば、青髪も白髪も名前を知らないな」

 

「そういえばそうですね!私は橘シェリーって言います!」

 

「僕は桜羽エマ」

 

「小鳥遊茜だ、好きに呼べ」

 

「じゃあ小鳥遊さんで!小鳥遊さんって、女性みたいな名前してますね!」

 

「このノンデリゴリラ〜!」

 

そう言いながら、ハンナは腕を使ってシェリーにロックをかけた

 

「ちょっ、ハンナさん!?首っ、首を絞めるのは反則ですよ!?」

 

「やめろハンナ。気にしてないから離してやれ」

 

「…むぅ。店主さんがいうなら、仕方ないですわねね」

 

そう言ってシェリーにかけてるロックを解いた

 

「…」

 

エマはそれぞれの袋に分けている店主を見ていた

 

「どうした桜庭」

 

「ふぇっ!?いや、その…」

 

「なんだ、遠慮せずに言ってみろ」

 

「いや、全然大したことじゃ…その、小鳥遊さんの集めてるそれ…一体、何に使うんだろうって」

 

「…確かに、気になりますわね。何に使うんですの?」

 

「ま、時期が来たら教えてやる。それより、お前達が住んでるとこはまだつかないのか?」

 

「まだつきませんね!小鳥遊さんが色々と寄り道してるせいでもありますが…」

 

「…まぁ、その辺りも悪かった」

 

「シェ〜リ〜さ〜ん〜!!!」

 

「ちょっ!?これは私悪くなくないですかぁ!?」

 

「あ、あははは…」

 

そうして俺たち4人は騒ぎながらも賑やかに森を抜けていった

 

〜〜〜

 

4人は森を抜けて、牢屋敷に到着した

 

「…なるほど、結構大きい屋敷だな」

 

「そうですわね。私も初めて全体を見た時は圧巻されましたわ」

 

「なるほどな。…それで、厨房はどこだ」

 

「案内しますね!」

 

4人は牢屋敷の中に入っていった

 

〜〜〜

 

「む?戻ってきたか3人とも…」

 

ラウンジに入ると、そこには2人の少女がいた。その少女達は店主の姿を見るなり、金髪の少女は腰に携えていたレイピアを構え、黒髪の少女の前に出た

 

「…随分と物騒な出迎えだな」

 

「3人とも、その人から離れたまえ!」

 

「れ、レイアさん!この人は違いますの!」

 

「違う?何が違うのか、説明してもらおうじゃないか」

 

「ヒ、ヒロちゃん…!」

 

「…レイア?…お前、俳優の蓮見レイアか」

 

「おや、私のことを知っているようだね」

 

「まぁな。有名な俳優だと聞いているが…どうしてここに」

 

「その言葉、そっくりそのまま返させてもらうよ。…とりあえず、ここにきた目的を話してもらおうか」

 

レイアの言葉を聞いて、店主は声量を抑えてハンナに話しかけた

 

「…おいハンナ、説明してないのか?」

 

「…ここの食事の拒絶反応を起こしてから、まともに会話した記憶ありませんわ…」

 

「政府のやつから軽く聞いてはいたが、そこまで酷いのかここの食事」

 

「酷いなんてものじゃありませんわ…」

 

「ハンナくん!悪いがその人とヒソヒソ話をするのはやめてもらおうか!…もしかして、その人は君が呼んだわけじゃないだろうね?」

 

レイピアの切先がハンナに向けられた

 

「…ええ、そうですわ。この人は私が呼んだんですの」

 

「理由を説明してもらおうか」

 

「…聞きますが、あなた方はここの食事…というより、これまでの食事についてどう思っていますの?」

 

「…それと今の状況に、何の関係が」

 

「関係ありまくりですわ。で、どうなんですの?」

 

「…食事は食事だ。それ以上もそれ以下もない」

 

「俳優業を務めるにつれて、必要な栄養等はビタミン剤とかのサプリメントで補っていたからね。ただのお腹を満たす行為だよ」

 

「…お二方も、そうですの?」

 

「…そうだね。生きるために必要な行為…かな」

 

「私もエマさんと同じですね、仕方なくに近いです。ですが…小鳥遊さんのおにぎりを口にして、とてもびっくりしました!」

 

「…何?シェリー、それはどういうことだ?」

 

黒髪の少女は怪訝な顔をしてシェリーに問いただした

 

「言葉の通りです!いつも食べてる四角いブロック状の物体は、正直食べてて味気なくて、食べる度に口から水分がだいぶ持っていかれてました。ですが!小鳥遊さんが私の口に放り込んだおにぎりはそれはもうすごかったです!あんなにもちもちした食感は初めての感覚で、しかも中に酸っぱい何かがはいってて!」

 

「…梅干しですの?」

 

「種抜いたやつな」

 

「いやー!私も毎日食べるならおにぎりのようなのがいいです!あれを食べてしまったら、もう今まで食べれたものがもう食べたくなくなってしまいますね!」

 

「…いやシェリー、君は口にしたものを何でもかんでも体内に入れることはやめた方がいいと前に…はぁ、言っても仕方ないか」

 

「懸命な判断だと思いますわよ、ヒロさん」

 

黒髪の少女は頭を抱えた

 

「…それで、結局その人の疑いは晴れていないわけだが…」

 

「…なら、その目で見ているといい」

 

「何?」

 

「ハンナ、厨房はどっちだ」

 

「こっちですわ」

 

店主の言葉にハンナが反応し、食堂に向かった

 

「待ちたまえ!一体何を…!?」

 

「お前達がそこまで疑問に思う気持ちもわかる。わかるが…そこまで疑問に思うなら、何をするのか、何をしているのかをその目で見ているといい」

 

「…仕方ない、か」

 

「ヒロくん…!いいのかい?」

 

「そこまで言うのだ。一度だけ様子を見てみようじゃないか。ただし、少しでも怪しい行動を取るようならば…」

 

「その時は好きにしろ。出て行けと言われたらここら近辺で適当な場所見つけてキャンプでもする」

 

「…何を言っても無駄らしいな」

 

「店主さん、こっちです」

 

「ああ」

 

そうして店主はハンナの案内の元、厨房に向かった

 

「今度は何をするんでしょうかね!エマさん!ちょっとついてって見ましょうか!」

 

「しぇ、シェリーちゃん!?」

 

エマはシェリーに手を引かれ、強引に2人の跡をついていった

 

「…ヒロくん」

 

「ああ、私たちもついていこう。正しいか正しくないか判断するのは、その後でも遅くはない」

 

最後に2人も、厨房に向かった

 

〜〜〜

 

「…酷いな、ここは」

 

ひと足先にハンナと厨房に来ていた店主は、その惨状を見てため息をついた。地面は何かわからない黒ずみだらけ。台には使っていないところには埃が溜まっていて、使用しているところにも、何かをこぼしたような跡が残っている。コンロも酷いものだった、煤だらけになっていて、長い間清掃等が行き渡っていないのが素人までもよくわかった

 

「私も初めて入りましたが…ゔっ、確かに酷いですわね…なんだか、変な匂いがしますわ…」

 

「ハンナ、夕食まで時間は」

 

「だいたい5〜6時間程度ですわね」

 

「簡単な清掃キット持ってきておいて正解だったな・・・ハンナ、お前は休んでていいぞ」

 

「店主さんがやるんですもの、私もやりますわ。それに1人でやるより、2人いた方が早く終わりますでしょう?」

 

「…そうだな」

 

「いいえ、4人です!」

 

店主とハンナが声のした方を向くと、そこにはシェリーとエマが立っていた 

 

「手伝います!ハンナさん!小鳥遊さん!」

 

「シェリーさん…!」

 

「うわぁ…ここ初めて入ったけど、こんなに真っ黒…その、僕も手伝っていいですか?」

 

「ああ、人手は多くて損はないからな」

 

「さぁ!この部屋を綺麗にしますよー!」

 

「「おー!」ですわ!」

 

「…元気だな」

 

「小鳥遊さんも乗ってくださいよー」

 

「早くやるぞ」

 

〜〜〜

 

4人は1時間ほどかけて、なんとか厨房の清掃を終えた

 

「…ま、こんなもんだろ。あとは定期的に清掃しながら綺麗にしていくしかないな」

 

「ですわね…はぁ、お腹空きましたわ…」

 

「慣れないことしたから疲れましたね!」

 

「シェリーちゃん、本当に疲れてる…?」

 

「まだ体力には余裕があります!」

 

「この体力オバケ…はぁ、突っ込む気力もありませんわ」

 

「まぁ一息入れるか。お茶でも淹れるから待ってろ」

 

「お茶も淹れれるんですか!まるでメルルさんみたいですね!」

 

「シェリーさん!」

 

「…あっ、ごめんなさい」

 

「…」

 

その場の空気が、一気に暗いものになった

店主は気にせず準備をし、椅子を適当なところから引っ張ってきて座らせ、3人の前にティーカップを用意して、ハーブティーを注ぎ入れた

 

「…ほれ」

 

「ありがとうございます」

 

「…ありがとう」

 

「ありがとうですわ…」

 

3人は出されたお茶を飲んだ

 

「…これって…!」

 

「ここにくるまでに採取した中に、ハーブティーにぴったりのがあったからな。それを使ったが…おい、どうした?」

 

エマの目から、ポロポロと涙が溢れていた

 

「え…?なんで、どう、して?」

 

「エマさん」

 

「あ、あはは・・・ごめん、なさい。なんだか、ちょっと・・・思い出しちゃって・・・」

 

「エマさん・・・」

 

「・・・思い出しちゃったんだ。みんなで過ごした、あの楽しい思い出・・・みんなで牢屋敷を、探検して。花畑に、ピクニックに、いって。それで、そ、それでぇ・・・!」

 

エマは両手で顔全体を覆った。それを見たハンナとシェリーはエマに抱きついた

 

「…シェリー、ちゃん?ハンナちゃん?」

 

「…大丈夫ですわよ、エマさん。…友達が亡くなって悲しいのは、あなただけではないですもの」

 

「そうですよ!それに…今は私たちがいるじゃないですか!…メルルさんの分まで、長生きしなきゃですね」

 

「うん・・・う、ん・・・!」

 

「ですから・・・今は、思い切り泣いていいんですわよ。私たちしかいないですから」

 

「ですです!」

 

「…うん、ゔん。2人とも、・・・ありがとう・・・!」

 

・・・しばらくの間、厨房にエマの泣き声が響いた




思いついたのが次回になっちゃった・・・
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