「・・・ごめんなさい。その・・・」
「いや、気にするな。誰だってそう言う時はある」
「そうですわよエマさん。切り替えましょう」
数分後、泣き止んだエマは袖で涙を拭い、少し落ち着いたようだ
「…さて、夕飯まであと3、4時間くらいか」
「ですわね。・・・それで、何を作るのです?」
「ここにくるまでにいろんなものを手に入れたからな…よっと」
店主はバッグの中から、この島に来てから採取したあるものを取り出した
「それって…ここにくるまでに採取してたやつですわよね?」
「さ、お前達にも手伝ってもらうぞ。今から作るものを流石に一から調理するのは少し骨が折れる」
「わかりました!このシェリーちゃんにお任せあれ!」
「…桜羽、お前は座っててもいいぞ」
「…ううん、やります。…やっても、いいですか?」
「…ああ、構わん」
「もちろん、私も手伝いますわ」
「ハンナさんは小鳥遊さんが来るまで元気なかったんですから、ハンナさんこそ座っててください」
「そうだよ。いつ倒れててもおかしくなかったんだよ?」
「し、しかし…」
「…ま、味見くらいはいいだろ。待ってろ」
「…わかりましたわ」
そう言ってハンナは椅子に座り込んだ
「さて、じゃあ始めるぞ」
「はい!」「は、はい!」
〜〜〜
「さて、まずはここで採取したこれを使う」
「そういえば、何か色々なことを言ってましたね?愚民とかゴリランダーとか」
「クミンとコリアンダーな、あとはターメリック、カルダモンあたりを使う。まずはこれらの香辛料をひとつにして器に入れる」
「こうしんりょう?」
「食べ物の香り付けに使われる…って言ってもわからんか。とりあえず、器に入れたこれらをすりつぶして粉状にする。かなり力がいるからな、ここの厨房に固そうな器があってよかった、遠慮なくすり潰せる」
そう言って店主はゴリゴリと香辛料をすりつぶしていった
「それって、力を入れてすりつぶしてるんですか?」
「ああ、できるだけ細かくしたいからな。それがどうした?」
「だったら、シェリーちゃんにお任せあれ!」
シェリーは店主から棒と器を受け取り、構えた
「…ふっ!」
ゴリッ!
「…おお!」
シェリーが香辛料を棒ですり潰すたびに香辛料がとても細かくすり潰されていき、あっという間に粉末状になった
「えっへん!どうですか?これが名探偵シェリーちゃんの底力です!」
「すごいな、本来なら手ですり潰すのに相当な労力をかけるんだが…」
「この程度ならお茶の子さいさいですよ!」
「どれどれ…」
店主はすり潰された香辛料を摘み、試しに舐めてみた
「…んー…もう少しピリッとした感じが欲しいか…?ハンナ」
「はいはい。じゃあ失礼しますの」
ハンナも試しにつまんで一口入れた
「その…僕も、いいですか?」
「構わん」
エマも摘んで口の中に入れた
「「ゔっ・・・!」」
「…思ったより、ピリッと来ますのね…!」
「う、うん。ちょっと舌がヒリヒリする…」
「そうか、ならもうすこしコリアンダーを増やしてみるか…橘」
「お任せあれ!」
シェリーは店主が前もって別の器に取り分けておいたコリアンダーを粉砕して混ぜ、味は整った
「じゃ、次は野菜だ。野菜はこれらを使う」
そう言ってバッグから、にんじん、じゃがいも、玉ねぎを取り出した
「…真っ赤だね、これ。それにこっちはごつごつしてて、こっちは丸い…」
「畑から取ってきたんですの?」
「いや、倉庫で保存してたやつを引っ張ってきた、まずはこれの皮を剥く」
そう言って人参、玉ねぎは皮を剥いた
「ジャガイモは一度全体を観察して…あった。芽だ」
「芽?」
俺は3人に見えるようにジャガイモの芽を見せた
「これを見つけたら削り取ること」
「やらなかったらどうなるんですか?」
「良くて腹痛、悪けりゃ死ぬ」
「「!?」」
「悪けりゃって言うのがこの芽がとても肥大化していた場合だ。この芽はまだ全然小さいだろ?」
「そうですわね。…でも、このサイズでも体内に入れば腹痛を起こしてしまうって考えると恐ろしいですわ」
「だがこの芽のおかげで、また新しいジャガイモがたくさん取れるようになる。何でもかんでも悪いってもんじゃない」
そう言いながら店長は包丁の刃の根元でジャガイモの芽を落とした
「これで良し、橘と桜羽にやってもらうのは、この皮を剥いた具材を切り分けることだ」
「き、切り分ける」
「そう緊張するもんじゃない。…お前達、聞き手はどっちだ」
「右です!」
「僕も右です」
「なら右手で包丁を持って、左手は食材に添えて押さえろ。食材を押さえる方の手は指を切るのを防ぐために、猫の手をしてもらう。こんなふうにな」
そう言って店主は左手の指を手の内側に入れ込んだ手をした
「猫みたいな手ってことですね!」
「考えすぎて両手ですんなよ。ハンナは一度それをやったからな」
「店主さん!?」
「ハンナさんが!?やってみてくださいハンナさん!」
「絶対にやらねぇですわ!」
〜〜〜
「さて、野菜も切り終えたところで…次はこれだ」
そういうと店主は荷物から肉の塊を取り出した
それを見たエマは少し顔を青くし、シェリーは警戒した表情になった
「っ・・・これっ、て」
「肉だ」
「・・・確認ですが、人間の肉ってわけじゃないですよね?」
「当たり前だろう。今回は猪の肉を使う」
「い、猪ですの!?」
「来る直前に狩った、ほぼほぼ新鮮なぼたん肉だ。これも野菜と同じように一口大に切り分ける」
「いやいやいや、いくら罠に嵌めたって言っても手際良すぎではなくて!?」
「何を言ってる。罠にはかけてない」
「・・・は?」
「群れから逸れたのを強襲して仕留めただけだ」
「・・・もう、あなたは・・・はぁ」
店主の言葉にハンナは声も出せなくなり、頭を抱えた
「猪…図書館とかでちらっと図鑑で見たことがありますが、どんなのですか?」
「体長1〜2mの成熟した個体だな。重さも100kgはあった。ちなみにまともに攻撃を喰らうと逆にこっちが死ぬ」
「…ハンナちゃん、その…もしかして小鳥遊さんって、結構とんでもない人?」
「しかも魔法なしでやってるんですのよこれ」
「え″っ」
「何か言ったか?」
「いえ何も!」
「なんでもないですわ」
〜〜〜
「さて、これらを煮ていくんだが…まずは竈に火を起こさないとな」
「ですね!アリサさんがいれば…」
「シェリーさん」
「あっ」
「ん?そいつがいればなんだ?」
「いや、なんでもありませんのよ」
「そうか。まぁここにくるまでに回収した乾いてそうな小枝や木の皮をぶち込んで…ファイヤースターターで、っと」
店長は手際良く火をつけ、丁寧に火を調節した
「よし、こんなもんだな。大鍋の中にまずは油を敷き、切り分けた野菜と肉を入れて炒める」
ジュワッ!ジュワッ!ジュワー…
店主が大鍋に具材を入れると、とてもいい音が鳴り響いた
「おお!いい音が鳴りますね!」
「具材が焦げないように、ある程度かき混ぜながらな。頃合いを見て、香辛料を入れて具材と一緒に炒める」
香辛料を入れて少しすると、煙と共に厨房の中に香辛料の匂いが充満した
「ああ・・・!いい香りがしますね!これを嗅いでるだけでお腹が空いてきそうです!」
「…て言うか、ほんとうにお腹減ってきましたわね…」
ぐぅ〜…
「…エマさん?」
シェリーとハンナがエマの方を見ると、エマはお腹を抑えて顔を赤らめていた
「…全くもう、エマさんったら…」
「お腹が空いたんですね!」
「え、えへへ…その、この匂いを嗅いだだけで…空腹感っていうのかな?よだれがちょっと出てきて…」
「ある程度具材が焼けて来たら、その中に水を入れる。…ハンナ」
店主がハンナに声をかけると、ハンナは立ち上がって店主の元に近寄った
「なんですの?」
「白米炊けるか」
「お安いごようですわ。お米はどちらに?」
「持って来た荷物の中に入ってる。持ってくるのが大変だったからな」
「でしょうね…ありましたわ」
「量は任せる」
「わかりましたわ」
ハンナは米と釜を流しに持って行き、米を研ぎ始めた
「ハンナさんは何をしているんです?」
「米を研いでいる。橘、お前が食ったおにぎりが元々はどんななのかを見るチャンスだぞ」
「!ちょっと見て来ます!」
シェリーはハンナの方に向かった
「…さて、こっちもこっちだ。水を入れて煮込んでる間、肉から灰汁が出てくるからそれを掬って別にのけて・・・ある程度退けたら、あとは完成まで弱火で待つだけだ」
そう言って店主は竈から燃えてる木の枝等をいくつか取り出して、火の量を調節した
「店主さん!できましたわ!」
「持ってこい、そして今取り出した木の枝とかを、別の竈に入れて火力を調整する」
ハンナの代わりにシェリーが釜を持って来て、それを竈に置いた
「んじゃ、あとはゆっくりと待つか」
〜〜〜
その頃、厨房の入り口にて。レイアとヒロが調理をしている店主をみて絶句していた
「…手際がいいな」
「わかるのかい、ヒロくん」
「ああ。…私の家にも料理人がいる。だがあそこまで手際がいいかと言われるとそうではない。あの人みたいに具材をほぼ全て使わず、使わなかった大部分は全て廃棄する。…逆に、あの人は具材を最大限に利用している。素人目から見ても正しい行いだ」
「…その、私にはさっぱり何が何だか・・・ん?」
店主がスパイスを入れた時、その匂いが入り口まで漂って来た
「・・・なんだか、やけにいい匂いがして来たね・・・」
「あ、ああ・・・これは、一体・・・?」
「あれ〜?ヒロちゃんにレイアちゃん、何してるの〜?」
2人が声の方を向くと、そこにはスケッチブックを抱えた少女、夏目アンアンと、赤と黄色のオッドアイの少女、城ヶ崎ノアが立っていた
「2人とも、どうしてここに?」
「吾輩達は、たまたま食堂近くを通っていたらいい匂いがしたから」
「何かな〜って思って見に来たの〜」
「そ、そうか」
「・・・ん〜?」
ノアが厨房の中をちらっと覗いた
「ノアくん!?」
「・・・知らない人がいるけど、誰?」
「何?」
「・・・いま、私たちはそれを図っている。どうやらハンナが呼んだようだが…怪しいのなら即刻叩き出す」
「ふ〜ん…?」
そうしてヒロ、レイア、ノア、アンアンの4人は、厨房の入り口からこっそりと様子を見ていた
〜〜〜
「…ふむ、これくらいでいいだろう。米の方は?」
「まだもう少しかかりますわ…」
「そうか」
そういうと店主は荷物の中から小皿を3つ取り出し、それらにできたものを少し取り分けた
「ハンナ、橘、桜羽。ほれ」
そして取り分けたものを3人にそれぞれ渡した
「・・・?」
「なんです?」
「・・・ああ、味見ですの?」
「ああ。少し水っぽいとか具材が固いとかあれば遠慮なく言え」
「ええ…ですが、その…」
3人は手渡された小皿を凝視した
「…なかなか食べるのに、勇気がいる色ですわね」
「そ、そうだね…」
「…えいっ⭐︎」
「シェリーさん!?」
シェリーが小皿に分けられたものを一口口の中に入れた
「・・・!!!」
その時、シェリーの目が開かれて・・・
「すっっっっっっっごいですねこれ!」
厨房中に響き渡るような声で叫んだ
「なんですかこれ!?おにぎりとは違うこの独特な味は!最初に粉砕したものの味が口の中に広がって、ぴゃーってなりますね!中の具材も柔らかくなってて、これは・・・とてもとてもすごいです!」
「・・・橘」
「なんですか!」
「それを・・・俺とハンナは、『美味しい』って言ってんだよ」
「・・・!なんだか、妙にしっかりきますね!さぁさぁハンナさんもエマさんも食べてみてください!すごくおいしいですよ!」
「わ、わかったから落ち着いてくださいまし!はぁ、もう…いただきますわ」
「う、うん」
ハンナとエマも小皿のものを口に含み・・・
「「・・・っっ!!!!」」
2人も目を見開いた
「…た、確かに…これはシェリーさんがああなるのも、無理はないですわね」
「す、すごい…!どんどん食べたくなるよ!というか、これまでこんなに柔らかいもの、食べたことない!」
「まぁじっくりとよく煮込んだからな。その分具材が柔らかくなってる。それに…」
「…ねぇ」
「ん?」
店主が声のした方を向くと、そこには赤と黄色のオッドアイの少女がいた
「…ノアにもちょうだい?」
「…誰だ?」
「ノア!」
すると、厨房の入り口からスケッチブックを持った少女が走ってきて、店主の前に立ち塞がった
「・・・っ!」
「アンアンちゃんにノアちゃん!?」
「いつからいたんですか!?」
「さっきからかな?アンアンちゃんの食堂を歩いてたらいい匂いがしたから、のぞいてたの。そしたらね?エマちゃんとシェリーちゃんのすごい声が聞こえたから、ノアも気になってね〜」
「ダメだノア、ヒロ達の方に戻るぞ」
「え〜?でも…」
「…おい、ノアと言ったか」
「え?」
店主はノアに目線を合わせるようにしゃがんだ
「悪いが今は食わせることはできない。あと…だいたい30分くらいしたら夕飯の時間だろう。その時間になったら食わせてやる」
「ダメだノア、聞くな!」
「・・・本当に?」
「ノア!!!」
「時間になったら食堂に来い」
「は〜い。じゃ〜ね〜」
そしてノアは引きずられて厨房の入り口に戻って行った
「…なんだか、嵐のようというかミステリアスと言うか…不思議なやつだったな」
「まぁノアさんですからね…あの方を制御できるのは、ヒロさんくらいしかいないですから」
「そうか…ヒロってのは黒髪のあいつか?頭に赤い花の飾り物をつけたあいつ」
「はい!そしてノアさんと一緒にいたのは夏目アンアンさんですね!」
「そうか…」
〜〜〜
食堂の前で、ノアとアンアンは立っていた
「・・・な、なぁノア。本当に、行くのか?」
「え?うん。あんなにいい匂いがして、気にならないはずがないよね?」
「そ、それはそうだが・・・」
「あれ、2人ともどうしたの?」
そこにギャル風の少女、佐伯ミリアが歩いてきた
「み、ミリア…!」
「あれ、ミリアちゃんだ。ミリアちゃんもご飯?」
「うん、そろそろいい時間だしね。…うん?」
「ど、どうしたんだ、ミリア?」
「…なにか、いい匂いがしない?これまでに嗅いだことのない匂い…だけど、不快とかじゃない。これって…?」
「だ、ダメだミリア!それ以上匂いを嗅いじゃ…」
「え、どうしてだいアンアンちゃん?」
「も〜、アンアンちゃんは心配性だなぁ。ほら行こう?」
「う…ゔ〜…」
「…?」
そうして3人は食堂に入って行った
〜〜〜
「・・・あれ、なんだか見覚えのないのがあるね」
3人が食堂に入って最初に目に入ったのは、大きな鍋と釜が奥に並んでいた
「これって…なんだろう?」
「さ、さぁ…」
「あ、来ましたね3人とも!」
3人が考えていると、厨房に繋がる部屋からシェリー、ハンナ、エマ、そして店主が入ってきた
「エマちゃん、シェリーちゃん、ハンナちゃんと・・・その・・・どちら様?」
「・・・初めましてだな。小鳥遊茜だ、ハンナに呼ばれてやってきた」
「あ、ハンナちゃんに…佐伯ミリアです。そういえば、昨日と比べてかなり元気になってるねハンナちゃん。元気になってよかったよ」
「その節は心配をかけましたわ。でももう平気ですわよ!」
「あはは、ならよかった。おじさんも安心だ」
「…」(おじさん?)
「ああ、そう言えば3人はあれについて何か知ってるかい?」
そう言ってミリアは釜と大鍋を指さした
「ああ、あれですね!あれは…」
ガチャッ
シェリーが言葉を続けようとすると、食堂の扉が開いた
「…さぁ、審判の時だ」
食堂に、ヒロ、レイアの他に、オレンジの猫耳をつけた少女、着物風の服を着た少女、背中に銃を背負った少女、フードを被った少女が入ってきた
「全く…ヒロっちがしつこいから来てやったけど…って、なにこれ?なんだかすごいいい匂いするんだけど」
「あら、なんだか興味をそそられる匂いをしてるわね。一体なにかしら?」
「・・・」
「・・・チッ」
「…なんだか、大勢入ってきたな」
「ああ、君をどうするか判断するのに、私だけで判断するのは正しくない。だから、こうして皆を集めたわけだ…それでいいだろう?」
「ああ、構わん。ハンナ」
「了解ですわ」
ハンナが釜と大鍋の蓋を開けると、それぞれの中から蒸気がふわふわと立ち昇った
「橘、桜羽、ハンナ。あとは任せる。俺がやったところで、あいつらを無駄に警戒させることになるからな」
「わ、わかりました!」
「はーい!みなさーん!配るのでこっちに来てくださーい!」
店主は少し離れた場所で様子を見ていると、ヒロが歩いてきた
「…それで、何を作ったんだ?そろそろ教えてくれてもいいだろう?」
「ああ、まぁいいか。あれは・・・」
「スパイスカレーだ」
「スパイス・・・かれー?」
「ここの近辺に自生していた香辛料を使って味を調整して、具材は持ってきた。安心しろ、味見とかはしたしあの3人にさせた。お前も見ていただろう?」
「…まぁ、そうだな。確かに毒は入っていないらしい。それはあの3人が証拠だ」
「ああ。…ほれ、お前も貰ってこい」
「ああ、そうさせてもらおう」
そう言ってヒロも列に並んだ
〜〜〜
全員がカレーを受け取るのを確認して、店主もカレーをよそった
(さて、適当な場所で・・・)
「店主さん、こっちですわ」
店主がそう考えていると、ハンナが店主を呼び止めた
「・・・いいのか?」
「何言ってるんですの、もうみんな食べ始めてますわよ。反応を聞くのに、近くで食べなくてどうするんですの?」
「まぁそうだが・・・」
「小鳥遊さん!これすごいおいしいですね!カレーっていうんでしたっけ!この白いお米と食べると、もっとおいしいです!」
「本当…温かくて、それでいて柔らかい…何度も言いますけど、すごくおいしいです!」
「そうか。そう言ってもらえると嬉しい」
店主も食べながら他のテーブルに耳を傾けると、各テーブルからも様々な反応が聞こえた
〜〜〜
「…は?なにこれ、手が止まらないんだけど?何かやばいの入ってんじゃないの?」
「クソっ!食えば食うほど、腹が減りやがる…!おい沢渡、要らないんならよこせ」
「はー?ヤンキーにあげるわけないじゃん」
〜〜〜
「…これは、今まで食べたことのない味ね。辛いはずなのに、それが心地いいと言えばいいのかしら…刺激的な味ね」
「…確かに、これまで食べてきたものとは格段に違うわ。でも毒とかそう言うのじゃないわね」
〜〜〜
「♪〜」
「の、ノア…大丈夫、なのか?」
「うん、別に平気だよ?ちょっと辛いけど…どんどん食べれる」
「そ、そうか…」
「アンアンちゃんは食べないの?」
「わ、吾輩は…よ、よし」
そう言ってアンアンは一口食べた
「…か、かりゃい…」
「白いのと一緒に食べると、少し大丈夫になるよ?」
「そうか…で、でもすこし辛い…」
「あはは…結構刺激的な味だね。でも、おじさんはこれくらいがちょうどいいかも…」
〜〜〜
「こ、これは…!なかなかいい味じゃないか!いやむしろこれまで食べたものの中で最上位にあたるほどだ!君もそうだろうヒロくん!」
「・・・ああ、そうだな」
「・・・なんだか、反応が薄いね。どうしたんだい?」
「・・・私は、これを食べた上で正しい判断をしなくてはならない。だからちゃんと、食べなくては・・・」
「…手が止まっていないようだけど?」
「そ、それは…!」
「いや、いいんだ。私もこうしている間に感想を言い続けているからね。さぁ、どんどん食べようじゃないか!」
〜〜〜
「…ふむ、まぁこんなものか…」
店主は自身で作ったカレーを食べていた
(こう食べてると、福神漬けが欲しいな…戻ったら色々と試してみるか)
「…もう、ご飯の時くらい料理以外のことを考えてもいいんじゃありませんの?」
「ん、そうか?…顔に出てたか」
「…シェリーちゃん、今のわかった?」
「いえ、全く・・・なんで分かったんですかね?」
「あーっくそっ!」
「ん?」
〜〜〜
「もう終わりかよ…!っ、もっと食いてぇってのに、もう・・・!」
「荒れてんなーヤンキー。…まぁ、気持ちはわからんでも…ん?」
店主が、釜と大鍋の蓋を開けた
「…まだカレーは余ってる。欲しい奴がいたら…せめて自分でよそいに来い」
そう言って店主は自分の分のカレーを再度よそって、先に戻った
「…」「…」
2人は目を合わせて立ち上がり、カレーが置いてある台に向かった
〜〜〜
そして時間は経過して…釜の中のご飯はほぼ無くなり、大鍋の中のカレーもだいぶ減った。少女達はそれぞれ満足した表情で自室に戻り、食堂に残ったのは店主、ハンナ、シェリー、エマ、レイア、そしてヒロの6人となった
「…それで、結果を聞こうか。俺はお眼鏡に適ったのか?」
「…ああ、文句はない。君の滞在を認めよう」
「やりましたわ…!」
「だが、君の居住区はどうするかが問題だな…一番奥の独房にするか?だが…」
「いや、俺は外でいい」
「…何?」
「テント等は持ってきている。野宿も慣れているからな」
「…だが、しかし…」
「あー…ヒロさん?…こうなったら店主さんはテコでも動きませんから、諦めるのが早いですわよ」
「しかし…それは正しくない。あんなに手間暇かけてくれて調理してくれるのに、そんな対応は…」
「ん?わかるのか?」
「…ああ、私の家にも料理人はいたからな。だが、あなたには遠く及ばない」
「…ま、そうだろうな。…俺は、先に失礼するぜ」
「どこに行く?」
「厨房だ。皿洗いと明日の朝の支度をな」
「あ、私も手伝いますの!」
「私も手伝いますー!」
「…ヒロちゃん」
「エマ…君も、行ってくるといい」
「…うん、分かった」
そう言って店主に続いて、ハンナ、シェリー、エマの3人は厨房に入って行った
「…相変わらず、エマ君とは少しそっけなくなるね、君は」
「うるさいな…分かってはいるんだ、わかっては…」
「それは分かってない人のセリフだと思うけど?」
「…はぁ」
ヒロは食堂の外に向かって歩き出した
「どこに行くんだい?」
「…今日は自室に戻る。色々と疲れたからな」
「そうか!よく寝たまえよ!」
「ああ…おやすみ」
ヒロはそのまま食堂を出た
前回→4132文字
今回→8756文字
…どうして倍に増えた?
感想読んでてみんな2周目と思ってるみたいですけど、一応3周目ですからね?
…考えてみれば、最後の裁判の時のミリア(魔女化)の魔法が暴走した時に、1周目と2周目の裁判の内容と被害者・加害者・各々のトラウマの様子が全員に共有されたと思うけど…
あ、あれか。ココ(魔女化)が魔法使ってプレイヤー(俺ら)を通して色々と真相知って、それをミリア(魔女化)の魔法が暴走して全員に共有したのか。
その時にココが知ったのは、プレイヤーが見たストーリー全体を知ったのか、それとも裁判の様子(被害者・加害者・トラウマ)だけ知ったのか…
一応本作では、ココはまのさばのストーリー(1周目エマ目線、2周目ヒロ目線)を通して知っていたこととします。その辺りガバガバで解釈してるので許してください…