「…さて、と」
今日も今日とて閑古鳥が鳴いている店主の店…ではなく、本日店主は山に食材を採取しにきていて、その帰り道…
「…ん?」
店主がふと視線に入った家を見ると、玄関が開きっぱなしになっていた
「…いくら柵が閉まってるとはいえ不用心だな…」
そう思いながら過ぎ去ろうとすると…
「…大人しくしろ!」
「…ん?」
その家から、野太い男性の声が聞こえた
店主が立ち止まって聞き耳を立てると何かを殴りつけるような音も続けて聞こえた。そのとき…
「…たす、けて…」
「…!」
店主は考えるより体が反応した。柵を押してみると抵抗なく開いたため、すぐさま荷物を入り口に置いて敷地内に侵入し、そのまま玄関から家の中に入った
〜〜〜
その日は、お母さんが久しぶりに家に帰ってきた…男を連れて
お母さんに言われて奥の部屋に籠っていると、奥の部屋にお母さんが連れてきた男が入ってきた
「へへへ…なんだよ、可愛いのがいるじゃねぇか…」
そう言うと男は私に近づき、体に触れてきた
「ひっ…!」
「おいおい、何も逃げることはねぇだろう?触らせてくれよぉ…」
「いや…いやぁ…!」
私が男に対抗していると、お母さんが部屋に入ってきた
「お、おかぁさん、助け…」
私が言い切る前に、母は口を開いた
「…はぁ?私が連れてきたってのに、あんたに言い寄るの?」
「…ぇ」
「ほんっと可愛くない子ね!なんであんたなんか産んだのかわからないわ…!」
私はお母さんの言った言葉の意味がわからなかった。だが時間が経つに連れてお母さんの言った意味がわかってしまい、私は顔を青ざめた
「お、かぁさん?何を・・・」
「悪いけどよ、こんなかわいい娘を見ちまったら、今日はこいつで満足させてもらうわ。金ならちゃーんと払うからよ」
「・・・はぁ、まぁいいわ。次は私を相手してよね」
そう言っておかあさんは部屋を出て行った
「おかあ、さん…」
「んじゃ、こっちはこっちで楽しもうぜ…大丈夫、痛くはしないからな…」
「い…いやっ!いやっ!やめて!」
私は男に押し倒されながらも抵抗した。両手で握り拳をつくり、男に殴りかかったが…
「大人しくしろ!」
「あぐっ!」
男は私の顔向かって拳を振るい、私は部屋の端に転がった
「う、うぅ・・・」
「はぁ…最初からそれだけ大人しくしてりゃ、素直に可愛がってやれたんだが…ま、いいか」
「・・・」
男に両頬を触られた
「へへへ…青くなったとはいえ、結構綺麗じゃねぇか」
「・・・」
(おかあさん…どうして…?)
(・・・ああ、誰か・・・だれ、か・・・)
「・・・たす、けて・・・」
「・・・ははは、助け?安心しろよ・・・俺が天国に連れてってやるからよ」
そう言って男は顔を近づけてきた・・・その時
「ちょっ、誰!?いきなり家に入ってきて…!」
「・・・あん?」
(・・・?)
男が私から顔を離して、扉の方を見た。
私も視線を扉の方に移すと・・・
バキャッ!!!
ドアが勢いよく吹き飛んだ
「・・・は、はぁ!?」
「…ぇ」
「・・・」
男が部屋に入ってきた。目つきは鋭く、身長は今私に襲いかかっている男より高い。体つきは少し細めだが…服の袖からちらっと見える筋肉は、とてもがっしりとしているのがわかった
〜〜〜
店主が部屋に入ると、その部屋はゴミが散乱していて、部屋の隅では男が少女に密接していた。男は驚いた目でこっちを見ていて、少女は顔面に青あざができていて、怯えたような顔でこちらを見ているのがわかった
「・・・そいつか」
「だ、誰だてめぇ!?いきなり入ってきて、タダで済むと思ってんのか!?」
「…少女に対して暴行を振るっているお前がいえた事じゃ無いと思うがな」
「っ…うるせぇ!」
男が立ち上がり、無理な体制で拳を振りかぶる
店主はその拳を両手で受け止めて横方向に流し、男は受け身を取れず、頭からゴミに突っ込んだ
「っ、ぐぅ…うらぁ!」
「悪いが、さっさと決めさせてもらおうか」
男はゴミから顔を上げて、顔を真っ赤にしながら拳を振りかぶった
店主は男の鳩尾に拳を深く入れ、男は息を吐き出してゴミに埋もれた
「・・・さて」
「ひっ・・・!」
店主は少女に近づいた。少女は痛みを身を屈めるが、店主はその髪を撫でた
「え…」
「…よく頑張ったな。もう大丈夫だ」
「…どう、いう…」
「…青あざができてるな。冷やす必要がある…」
店主が少女の顔を見ながら処置を考えていると、部屋の外から女性の声が聞こえた
「ちょっと!なんの音なの!?」
店主が声が聞こえた方を見ると、薄着の女性が入ってきた
「っ、誰よあんた!?あいつは・・・ひっ!?」
女性はゴミに埋もれた男を見て悲鳴を上げた
「・・・こいつの母親はあんたか」
「そ、それがどうしたのよ!」
「自分の娘が酷い目に遭いそうなのに、今になって気づくようじゃ親失格だな。何をしてたんだ?」
「娘ですって…そいつは娘なんかじゃない!ちょっと私より美人ってだけで、若いってだけでぇぇぇ!!!」
「っ…!」
「…お前は、こいつのことを何度も思っていないのか」
「ええ!そんなできぞこない産まなきゃ」
女の言葉は続かなかった。言い切る前に店主が女の頬に拳を叩き込んだからだ
「…実の娘の前で、そんなことを言うもんじゃない」
女は男の上に仰向けに倒れた。頬は赤く大きく腫れ上がり、歯も数本飛んでいった
「・・・さて」
店主は再度少女に向き直った
「…お前はどうしたい」
「え…?」
「ここに残ってこいつらに搾取されるか。それとも…ここを出て、自分の人生を生きるかだ。ここを出るのなら・・・俺の手を取れ」
店主は少女に目を差し伸べた
「・・・」
少女は呆然とした表情で、目をぱちくりさせて…店主の手を取った
「・・・お前がいらないと言うのならば、俺が連れて行こう」
そう言って店主は少女の手を引き、荷物を背負って店を出た
〜〜〜
「・・・これが、店主さんとの馴れ初めだったわね」
「へぇ〜!そうだったんですか!」
マーゴは牢屋敷の仲間達に、店主との話をしていた
「それでそれで?なんでマーゴっちがあのおっさんに恋してんのか、まだ続きがあんだろ〜?」
「ふふふ♡ココちゃんったら…あとでお話ししましょ?個人的にね」
「げっ、1対1で?それは勘弁…」
「でもでも、今の話だけでは少し弱いと思うんですよねー。もっと何かあったんじゃないでしょうか?」
「まぁまぁ2人とも。マーゴちゃんにも守秘義務があるんだしさ、そのくらいに…」
「ミリアっちは黙ってろし」
「うう…」
「おい沢渡、その辺にしとけよ。あとで宝生に手痛く仕返しされてもしらねぇぞ」
「うふ♡なら、ミリアちゃんの方はどうなのかしら?あなたが大事に思ってるその人のこと、教えてほしいわ」
「え、ええ!?おじさんの話!?」
「あ、確かに気になる〜!何かないの?大人とJKの禁断のあれやこれやとか!」
「な、ないよ〜(汗)」
そう少女達が話していると、談話室の扉が開いた
「・・・ほれ、菓子だ。適当につまむといい」
そう言って店主はバケットを少女達の中央に置いた
「わぁ!これまた美味しそうですね!」
「これは…ポテトチップスね?」
「ああ、芋を薄くスライスして揚げて、軽く塩をふったものだ」
マーゴはポテトチップスを1枚摘んで一口食べた
「…さすがは店主さん。ここまで薄く切るのは至難の業じゃないかしら?」
「慣れだ。…練習すればお前だってできるぞ、マーゴ」
「あら、何年やればいいのかしら?」
「お前なら1ヶ月やればできるだろうさ。3年くらい俺と一緒に料理を作ってきたんだからな」
「え、そうなのマーゴっち!?」
「うふふ♡随分と買ってくれているのね?」
「ああ、一緒にやってきた時間は何よりの信頼だからな。一番近くで見てきたからわかるとも」
「…そ、そう」
マーゴは顔を赤らめた
「あ〜!マーゴっち顔あか〜い!」
「ちょっ、ちがっ、これは…!」
「あー!本当ですね!真っ赤です!」
「・・・どうした、風邪か?」
「…ちが、違うわ。もう…」
「そうか。…頃合い見てまた持ってくる。じゃあな」
そう言って店主は談話室を出て行った
〜〜〜
「…もう、まったく…ココちゃんは困ったものね」
私は談話室の片付けをしながらつぶやいた
「…はぁ」
ある程度片付け終えて、私は椅子に座ってため息をついた
(・・・いつから、かしらね)
(…気がついた頃には、憧れは…恋心に、変わって…いつのまにか、あの人を視線で追うようになった)
(一つ屋根の下、本で読んだ夜這いを仕掛けようとしたけれど…できなかった)
(店主さんが、夜遅くまで料理を作って…私のために作ってくれたり。いずれも、私のことを考えていた。だから…かけられなかった)
(…けど、けれど…私が、一人前になったその時は)
「…私から、あなたに…伝えるわ」
そうして夜がふけていった
どこまで書こうか悩みましたが、一旦ここまで
誕生日に間に合わせようと思ったけど間に合わなかったねちくしょう!
おめでとうマーゴ!