もしかしたら俺はロボアニメの主人公かもしれない   作:健康パワフル麦茶

1 / 8
グポォオオオオオオオン(起動音)


ガンヴァルデア、大地に立つ
Aパート


────────────────

────────

────

 

 

─────────────────────

 ”崩星歴十四年”

 

 ”隕石由来と思われる強大な爆発と”

 ”人工知能の暴走により、崩壊した世界”

 

 ”そんな中で生体電流を売り払い”

 ”旧文明の遺跡を発掘する”

 ”電池人間(ワーカー)の少年がいた”

────────────────────

 

 

「チッ、今日も始まったよ」

 

 俺ン頭の中に荘厳な男性の声が流れ始める。

 理由はわからない。

 

 班長に聞いたら、え~~~っと。

 ……改造に中古のパーツを

 使ったゆえのノイズだと言われた。

 

 

────────────────────

 ”梓ミコト”

 ”短めの黒髪と”

 ”着崩した作業着が特徴的な少年である”

 

 ”彼は今このときこのように”

 ”頭の中にナレーションが”

 ”流れる特異体質に悩まされている”

────────────────────

 

 

 報告ありがとう。

 おまえのせいだけどな。

 しかしまぁ、活動に支障はない。

 

 物心ついたときからこうだし、

 何より慣れた。

 

「さて、今日も仕事しますか」

 

 

────────────────────

 ”瓦礫が散らばった荒れ地”

 ”そこに昨日置いておいた”

 

 ”ほぼ骨格だけの”

 ”ブロック兵に乗り込むミコト”

 

 ”例えるなら4WDの吹き抜け”

 ”自動車に手足がくっついてるような”

 ”そんな機体がブロック兵である”

────────────────────

 

 

 皆ダサいダサいと言うが、

 俺はかっこいいと思ってるぜ。

 

 こいつのコックピットと、

 

 俺の背中にある

 チューブをつなげると……。

 

 

────────────────────

 ”ブロック兵が動き出す”

 ”これが電池化手術を受けた”

 ”電池人間(ワーカー)の能力である”

 

 ”強化された生体電流を流し込み”

 ”精神ジャックによって機械を操作する”

 

 ”この崩壊した世界にとって”

 ”ほとんど必須の能力だった”

────────────────────

 

 

 ナレーターの言う通り、

 ブロック兵が動き出した。

 

 グオン、グオン、と右腕に

 装備されたドリルを吹かしてみせる。

 

 よし、今日も快調だな。

 

 

────────────────────

 ”装備されたドリルによって”

 ”瓦礫を掘り進め、遺跡を探索する”

 ”これがミコトの仕事だ”

 

 ”さっそく、ミコトは近くにあった”

 ”瓦礫を掘り進め、斜め下へと降りていく”

 

 ”瓦礫を取り払っても取り払っても”

 ”また瓦礫が流れ込んでくる”

────────────────────

 

 

 基本はこの繰り返しで、

 一日が終わるんだよなぁ。

 

 

────────────────────

 ”あ~~もうちょい右”

────────────────────

 

 急にタメ口になるな。

 なんなんだよ、このナレーターは。

 

 ただの機械的なノイズだと

 思ってても気になってしまう。

 

 とはいえ、ブロック兵に搭載された

 センサーはいささか頼りない。

 

 たまには言われた通り、動かしてみるか。

 

 

────────────────────

 ”瓦礫を掘り進め”

 ”ドンドン地下へと向かっていくミコト”

────────────────────

 

 

 おっと……なにやらデカい空間に出た。

 研究室か、なにかか……?

 

 

────────────────────

 ”見つけたのは旧文明の遺産”

 ”と思わしき研究室”

 

 ”そしてその奥には──”

 ”奇妙な機甲兵があった”

────────────────────

 

 

「え?」

 

 言われた通り、奥を見てみる。

 たしかに機体があった。

 今乗っているブロック兵の二倍は大きいな。

 

 

────────────────────

 ”機甲兵”

 ”旧文明において、もっぱら主戦力と”

 ”なっていたアーマノイド”

 

 ”電池人間(ワーカー)が搭乗することで”

 ”動かすことが出来る”

────────────────────

 

 

「うるさいなぁ、知ってるよ」

 

 

────────────────────

 ”機械的なモノアイ”

 ”覆いかぶさるフードのような外装”

 

 ”まだ塗装してないで機体は白く”

 ”主を待っているように”

 ”ポツンと立っている”

────────────────────

 

 

 ふ~~む、なんていうのかな。

 

 フードの付いたコートを

 羽織っている人間に近い。

 

 それがモノアイ付きの

 ガスマスクを着ている──というか。

 

 まぁ、もちろんいたるところが

 機械なんだけど。

 

 

────────────────────

 ”ミコトは思った”

 ”養育院で見たロボットアニメ”

 ”その雑魚敵みたいなフォルムだと──”

────────────────────

 

 

 解説ありがとう。

 誰に解説してんのか知らんけど。

 

 俺のことを俺に解説してる?

 

 ともあれ、これは良いな。

 班長に報告したらボーナスをくれるはずだ。

 

 

────────────────────

 ”ミコトはそう思った”

 ”しかし運命は彼を”

 ”このロボに搭乗させる……”

────────────────────

 

 

 するかどうかは

 班長の決めることだよ!!

 

 さて、一旦戻るか。

 

 

────────────────────

 ”ミコトがブロック兵を翻して”

 ”来た道を戻っていく”

 

 ”荒れ地に出ると”

 ”ブロック兵から降りて”

 

 ”皆が待っている”

 ”集会所へと向かった”

 

 ”数分歩くと”

 ”テントが張られている”

 ”荒れ地に出る”

 

 ”やはり瓦礫が散らばっているのだが”

 ”人間が活動できる程度には片付いている”

────────────────────

 

 

 いわば戦場の休息地、みたいな感じだよな。

 

 

────────────────────

”そこにはミコトと同じように”

”迷彩柄の作業着を着た人達──”

 

電池人間(ワーカー)達がたむろしていた”

 

”その中心にいるのが班長”

”大物のように大股広げて座っている”

────────────────────

 

 

 ああ、いたいた班長。

 

 

────────────────────

 ”岸辺レイナ”

 ”やや癖のある赤毛を”

 ”ポニーテールにまとめた成人女性である”

 

 ”気風の良い態度で荒くれ者である”

 ”電池人間(ワーカー)達をまとめている”

 

 ”ともあれミコトは”

 ”彼女によくしてもらっていた”

────────────────────

 

 

 まぁ、そのとおりだけどね。

 脳内の声だけれどもやや気恥ずかしい。

 休憩しているだけみたいだし、声をかけるか。

 

「班長! 機甲兵を見つけました!!」

 

「なんだってぇ!?」

 

 

────────────────────

 ”班長が立ち上がり”

 ”ミコトの肩を掴んできた”

 

 ”そのまま揺さぶられる”

────────────────────

 

 

 やめてほしいぜ。目が回る。

 

「そりゃあ本当かい!? どこに!?」

 

「ええ、今から案内します。

 ついてきてください」

 

 

────────────────────

 ”ミコトがそう言うと”

 ”班長が虚空に向かって祈り始めた”

 

 ”しかし無理もない”

 

 ”機甲兵はこういう小さな班なら”

 ”一年ちょっとは遊べて暮らせる”

 

 ”そのような掘り出し物だったのだ。

────────────────────

 

 

 へぇ、そうなの?

 

 けっこうな掘り出し物を

 手に入れちゃったな……。

 

「ああ! 運が巡ってきたねぇ!!

 機甲兵──売っぱらってもいいし、

 

 機甲試合に出したって良い。

 夢が広がりまくリングだねぇ!!」

 

「古いっすよ、班長……」

 

 

────────────────────

 ”隣で煙草を吸っていた青年がぼやく”

 

 ”頭にタオルを巻いた”

 ”この班の実質No.2”

 

 ”彼はソルリオと言った”

────────────────────

 

 

 俺、こいつ嫌いなんだよな……。

 俺に対して結構意地悪するし。

 

「そもそも俺らの

 生体電流で動かせるんスカ?」

 

「フン、動かせなきゃ

 大型の輸送車でも

 借りてくりゃいいのさ」

 

「機甲兵を載せられる輸送車ねぇ……

 高く着きますよ」

 

「機甲兵で稼げるだろ」

 

 

────────────────────

”なにやら揉めている”

”ソルリオが、ミコトの功績が気に入らず”

”ケチをつけているのだ”

────────────────────

 

 

 そうなんだ……。

 

 このナレーター、

 俺の知らないことまで話すんだよなぁ。

 

 周りの心情も読み取ってたりするのか?

 

「それより、早く機甲兵を見てくださいよ」

 

 ……と一応言っておくか。

 

 

────────────────────

 ”ミコトがそう言うと”

 ”レイナは笑顔になって”

 ”こちらを振り向いた”

────────────────────

 

 

「そうだねぇ、さっさと確認しちまおう」

 

 

────────────────────

 ”やはり儲け話。ソルリオがいくら”

 ”ケチをつけようがそれは揺るがない”

 ”しかしその時──”

────────────────────

 

 

 しかしその時って何!?

 ……と思ったら、たしかに

 ちょっと遠くから起動音が聞こえるな。

 

 ブロック兵の音じゃない。もっと大きい。

 これは──。

 

「いったいなんだい!?」

 

「高台から確認しましょう!!」

 

 二人が近くの建物へと走っていく。

 俺もついていこう。

 

 勝手口に階段があるから、

 そこから見れそうだな。

 

 

────────────────────

 ”ミコトの予想通り”

 ”勝手口にある非常階段”

 ”から遠方が見えた”

 

 ”瓦礫の山々──”

 ”その少し遠方からやってくる機甲兵”

 

 ”どうみてもこちらへと”

 ”向かってきている”

 

 ”平べったい頭部をした”

 ”ドラム缶に手足がついたような機体”

 ”それが三体ほどである”

────────────────────

 

 

「ありゃあ企業のドラムスだねぇ……」

 

 

────────────────────

 ”レイナが双眼鏡を構えて、それらを見る”

 ”ソルリオ、ミコトと渡され”

 

 ”ミコトも無事、近づいている”

 ”機甲兵を視ることが出来た”

 

 ”もっとも大きさ的に双眼鏡を”

 ”使わなくても視認できる距離だが”

────────────────────

 

 

 つーかおまえが解説してるから、

 見なくてもだいたいわかるんだよな。

 

 どれどれ……なるほど。

 

 平べったい頭部の下に

 モノアイがいくつかあるな。

 

 ちょっと不格好だな……

 俺が見つけたやつよりダサいかも。

 

「この辺りを接収しにきたんすかね?」

 

「今から機甲兵を引きずりだしゃあ、

 確実に戦いになるね」

 

「そもそも逃がしてくれるっすかね……」

 

「戦うしか、ないかもね」

 

 そう言ってレイナさんが俺を見た。

 じーっと見つめてくる……

 俺に戦えってことか?

 

「まさか俺が戦うんですか!?」

 

「アンタが一番

 ブロック兵の扱いが上手いだろう。

 

 機甲兵の扱いだって

 そう変わらないさ」

 

「生体電流も一番多い。

 おまえじゃないと動かないかも」

 

「う~~~ん……」

 

 まさか捨て駒に

 されようとしてないか? これ。

 

 機甲兵なんて見つけるべき

 じゃなかったかもな……。

 

 

────────────────────

 ”しかしそうは言っても”

 ”機甲兵達は近づいてくる”

 

 ”彼らの速度では”

 ”電池人間(ワーカー)たちは”

 ”逃げられないだろう”

 

 ”誰かが、殿になるしかなかった”

────────────────────

 

 

 チッ……わかってるよ。

 

「わかりました、俺、乗ります!!」

 

 そう言って、階段を駆け下りた。

 

「頼んだよ、ミコト!!」

 

「応援してっぞ!!」

 

 

────────────────────

 ”しかし彼らはその実ミコトが”

 ”敵わないだろうと考えていた”

 

 ”走っていくミコトを見送りながら”

 

 ”どう逃げるか”

 ”それしか考えてなかったのである”

────────────────────

 

 

 そこ、うるさいよ!!

 捨て駒だろうと、誰かがやらなきゃな!!

 

 道を戻り、

 再びブロック兵のところまで走るぜ!!

 

 

────────────────────

 ”ミコトはブロック兵に乗って”

 ”そのまま研究室まで奔っていく”

 

 ”ブロック兵の足に”

 ”装着されたキャタピラが回る”

 

 ”研究室に着く頃には機甲兵達が”

 ”走り回る地響きが通じていた”

────────────────────

 

 

 わかってるよ!!

 クソっ、瓦礫が落ちてくるし……。

 え~~っと? どこがコックピットだ?

 

 

────────────────────

 ”胸部部分だよ”

 ”足にちょっとしたハシゴがあるはず”

────────────────────

 

 

 急にタメ口にならないでくれますか?

 おっ、あったあった。ハシゴ。

 ここから胸部まで上がって……と。

 

 あ、開閉ボタンがあるな。ポチッとな。

 おお、縦に開いた。ガチャポンみたいだな。

 

 

────────────────────

 ”ミコトが機甲兵に搭乗する”

 ”しかし電源はつかない”

 ”電気が送られていないからだ”

────────────────────

 

 

 ああ、チューブを刺さないとな。

 どこだ……? この穴か。よいしょっと。

 

 うぉッ、かなりのエネルギーが

 吸われていく感じがあるな。

 

 

────────────────────

 ”電源が点き、コックピットの画面が光る”

 

 ”そこにはガンヴァルデアと”

 ”大きく文字が映っていた”

 

 ”これがこの機体の名前らしい”

 ”次いで、操縦桿がせり上がってきた”

────────────────────

 

 

 ああ、コレね。コレを握れば良いんだな。

 

 操縦自体は精神ジャックで

 出来るから、大した意味はなかろうが。

 

「よし……いくぞ!! GV(ガンヴァルデア)!!」

 

 

────────────────────

 ”コックピットの扉が閉じつつ”

 ” GV(ガンヴァルデア)に瓦礫が降り注ぐ”

 

 ”しかしその程度で潰れる機体ではない”

 ”そのまま、足のブースターが吹き上がる”

 

 ”ミコトの掘り進んできた道を”

 ”滑走路代わりに走り出した”

 

 ”地上へ撃ち出される機体”

 

 ”そのままスライディングするように”

 ”地面を滑走する”

 

 ”目の前にはドラムスと”

 ”呼ばれた機体がちょうど三体”

 

 ”仲間の電池人間(ワーカー)に向かって”

 ”エネルギーガンを撃ち出していた”

────────────────────

 

 

「こいつら……!!」

 

 この機体に武器は残ってなさそうだ。

 なんとなくわかる。

 

 とりあえず殴りかかって、奪うしかない。

 

 しかしなんというか、あれだな。

 

 こういう展開、養育院の

 ロボアニメで見たような気がする。

 

 うむ……ナレーションも聞こえるし……。

 

 

────────────────────

 ”機甲兵ガンヴァルデア”

────────────────────

 

 

 もしかしたら俺は

 ロボアニメの主人公かもしれない。

 

 

────────────────────

 ”ガンヴァルデア、大地に立つ”

────────────────────

 

 




────────────────────
■登場人物■
梓ミコト
黒髪。この物語の主人公。
まだ高校生にも満たない年齢。

岸辺レイナ
赤髪ポニテ。
ミコトの班を纏めている班長。

ソルリオ
タオル巻いてる。班のNo.2
────────────────────
────────────────────
■用  語■
崩星歴        
旧文明が崩壊してからの年数。
まだ十四年ほど。

電池人間(ワーカー) 
生態電流を強化し、
機械に流し込む改造をされている

精神ジャック
↑が使うことが出来る。
機械を操作できる。

ブロック兵      
機甲兵の半分ぐらいの大きさ。作業用

機甲兵
人型兵器。ちょっと独特の形が多い

→ドラムス
ドラム缶に手足を付けたような形状。

→ガンヴァルデア
レインコートを覆った
ガスマスク男みたいな形状。
────────────────────

シュウッ!!(CMに入る音)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。