もしかしたら俺はロボアニメの主人公かもしれない   作:健康パワフル麦茶

3 / 5
グポォオオオオオオオン(起動音)


黒き閃光
Aパート


────────────────

────────

────

 

 

────────────────────────────────

 ”研究所の一室”

 

 ”白い、白い、その部屋で”

 ”二人の男がコイントスをしている”

 

 ”チィン、とコインが弾かれる”

 ”それを見る前に男が答える”

 

「表」

 

 ”繰り返す”

 ”繰り返している”

 ”また、彼が手を開く”

 ”コインの向きはまた同じ”

 

「表」

 

 ”繰り返す”

 ”繰り返している”

 ”また、彼が手を開く”

 ”コインの向きはまた同じ”

 

「表」

 

 ”繰り返す”

 ”繰り返している”

 ”また、彼が手を開く”

 ”コインの向きはまた同じ”

 

「なぁ、いつまで続けるんだ?」

 

 ”男が呆れたように腕を伸ばした”

 ”それほどの時間、この作業に費やしていた”

 

 ”もう一人の男が呟く”

 ”白衣姿の、冴えない男だった”

 

「……たしかにもう十分でしょう」

 

「信じてくれるか?」

 

「ええ、貴方は……」

 

 ”繰り返す”

 ”繰り返している”

 

「少し先の未来が見えている」

 

 ”コインの向きはまた同じ”

────────────────────────────────

 

 

────

────────

────────────────

 

 

 目が覚めた。

 見知った天井だな。

 

 ここはたしか俺が住んでいる部屋。

 ノイズシティ。その中の一宿舎……の天井だ。

 

 つまり……あれから俺は気絶し──。

 仲間たちによってここまで運ばれてきたようだ。

 

 しかし……変な夢を見てたな。

 病室みたいなところで延々と男がコイントスして。

 もう一人がそれを当てるだけの夢。

 

 あの男の夢、たまに見るんだよな。

 黒髪の白髪混じりな中年男性。少しダンディで細身。

 西洋風の役者さんみたいな男……。

 

 声もナレーターさんに激似なんだよな。

 もしかしてあれ、ナレーターさんなのか?

 

 

────────────────────────────────

 ”さてね”

────────────────────────────────

 

 

 普通に返事しないでください。

 

 ともあれ腹減ったな……。

 いつまでも寝転がってないで、まずは飯でも食べに行くか。

 

 

────────────────────────────────

 ”ミコトはそう考え、立ち上がる”

 ”誰かが着替えさせたのか、服はTシャツ一枚にパンツ”

 

 ”電池人間(ワーカー)特有のチューブが”

 ”少しばかりはみ出ているが”

 

 ”それを気にするものは誰もいなかった”

────────────────────────────────

 

 

 ま、このまま外に出るのはあれだけどな。

 一応着替えておくか。

 

 

────────────────────────────────

 ”そう考え、ミコトは衣装棚から作業服を取り出す”

 ”灰色の迷彩をしたツナギ”

 ”それを着れば否応にも社会の一人として認めれられた”

 

 ”すこしばかり髪の毛を整え”

 ”顔と頭を洗って、歯を磨き──”

 ”そのままミコトは外に出る”

 

 ”向かう先は食堂”

 ”それは宿舎のエントランスにあった”

 

 ”そのまま食券販売機へと向かう”

────────────────────────────────

 

 

 さて、食券の内容が──変わっているわけもなし。

 俺はいつも通り親子丼を購入する。

 

 そのままそれを食堂のおばちゃんへと持っていく。

 すると、おばちゃんが突然手招きしてきた。

 

 恰幅の良い、パンチパーマとエプロン姿のおばちゃんだ。

 

「なんだい、おばちゃん」

 

「アンタ、そこに女の子がいるでしょ?」

 

 

────────────────────────────────

 ”ミコトが視線を映すと、たしかに少女が座っていた”

 ”銀細工のような細い髪をした、薄い印象を与える少女”

 

 ”オーバージャケットをワンピースのように羽織って”

 ”ずっと虚空を眺めている”

────────────────────────────────

 

 

「あの娘がどうかしたのか?」

 

 正直見覚えはない……はず。

 いや最近、どこかで見たような気がするな。

 でも知り合いじゃないのは確かだ。

 

「ああしてもう二時間が経過してるんだよ」

 

「へぇ……それで?」

 

 俺がそう言うと、食堂のおばちゃんは溜息をついた。

 とてもなにか言いたげだ。

 

「わかんない子だねぇ。心配だから声掛けてきな」

 

「なんで俺が……」

 

「歳も近いだろうさ。行っといで。飯は持っていってやるから」

 

 ……と送り出されてしまったので、渋々行くしかなかった。

 

「へぃ、お嬢さん元気?」

 

 俺が声をかけると、反応してじっとこちらを見つめてきた。

 しばらく何を話そうか悩んでいるようにん~~と唸ると……。

 

「待ってるの」

 

「へぇ?」

 

「人間味がないから置いていかれたの」

 

 ……などと妙なことを言う。

 もしかしてこの宿舎の新人だろうか。

 

 別に女性がいないわけではないけれど、あまり推奨するもんじゃないぞ。

 中には乱暴なやつもいるからな……。

 

「迎えには来るのか?」

 

「だから待ってるの」

 

 ……とりあえず向かいに座り、じっと観察する。

 やはりしばらくボーッとしてたが、俺の視線に気づいたらしい。

 少し恥ずかしそうに小首をかしげてきた。

 

「…………なに?」

 

「一応心配してやってるんだよ」

 

「なんで?」

 

「食堂のおばちゃんに言われたから」

 

 ──と言っていると、おばちゃんが親子丼を運んできてくれた。

 しかも二人分。俺と女の子の前に置く。

 

 おっ、嬉しいことに漬物もサービスされている。

 味噌汁もだ。

 

「それ食ったら二人で遊びに行きな」

 

「でもなんか待ってるらしいぞ?」

 

「あたしが伝言しといてやるよ」

 

 そう言って、おばちゃんは去っていた。

 俺は喜び勇んで親子丼を食べる。

 

 うんうん、潮っ気が効いていてほのかに甘い。

 やっぱりこの味だよな。

 

 女の子は親子丼を見て、少しばやり悩んでいたが……。

 くぅ~~~、と腹の虫がなったのが聞こえた。

 

 その白髪を掻き分け、橋でちまちまと親子丼を食べ始める。

 

「コレ美味しいね」

 

「ああ、この食堂の定番メニューさ」

 

「全部食べきれないかもだけど……」

 

「食えよ」

 

「普段はあまり固形の食事はしないの」

 

 妙なことを言う。

 結局半分も食べきらずに、俺の前へと突き出してきた。

 食え、ということだろうか。

 

 関節キスとか俺は気にしない。

 せっかくだから食わせてもらおう。

 

 ムシャムシャと、勢いよく親子丼をかっこむ。

 数分もせずに二杯目の親子丼を食べ終わった。

 

「男の子だね」

 

「関係ねぇよ性別なんざ」

 

「そうかな……」

 

 ちまちまと飲んでいた味噌汁も結局半分ほど残しやがった。

 やはり俺の前に突き出してきたので、一気に飲む。

 それを見て、女の子はくすりと笑った。

 

「ふふ、わたし(くれない)ユキノ」

 

「ん? ああ、よろしく」

 

「そっちは?」

 

「あ?」

 

「名乗られたら、名乗り返さなきゃいけないの」

 

「なんで?」

 

「これ、常識」

 

 じっ、と人差し指を向けてたしなめてくる。

 なんかちょっと年上っぽい感じだ。

 

「………………梓ミコトだ」

 

「ふぅん」

 

 興味が出たのか、オレをジロジロと見始めるユキノとやら。

 さっきまで人形のようだったのは、空腹だったからか。

 

「元気が出たようで何よりだ」

 

「ねね、どっか行かない?」

 

「なんか待ってるんじゃねぇの?」

 

「おばちゃんが伝言してくれるって言うし」

 

 俺は念のため財布の中身を確認する。

 ひとまず、飯を奢ってやる程度の金はあった。

 普段の労働の賜物だな。

 

「…………まぁいいけどよ」

 

「ん」

 

 ……なんか両手を伸ばしてきた。

 さながら抱かれるのを待っているかのような。

 

「なんだよ」

 

「エスコートして」

 

「…………」

 

 仕方なく、手を掴んで引き上げる。

 席から離れたので、離そうとするが──。

 ガッツリ握られてしまった。

 

「ふふ、デートなんて初めて」

 

「馴れ馴れしいな……」

 

「いや、かな?」

 

 嫌というよりは気恥ずかしい。

 まぁこいつは割と可愛いから、悪い気はしないが。

 初対面の相手にちょっと馴れ馴れしすぎる。

 

 世の中にはハニートラップとやらがあるらしいが。

 そういうたぐいでもやってるのか?

 

 ……いや天然なだけかな。

 

「仕方ねぇな。おすすめスポット、案内してやるよ」

 

「ふふ、ありがと」

 

 つーわけで俺とユキノは街へと駆り出した。

 

 

────────────────────────────────

 ”そろそろCM入るよ”

────────────────────────────────

 

 

 なんなんだよ、ナレーターさん。

 てか今までなんで黙ってたの?

 

 

────────────────────────────────

 ”機甲兵ガンヴァルデア”

────────────────────────────────

 

 

 おい!! 完全無視かよ!?

 

 

────────────────────────────────

 ”黒き閃光”

────────────────────────────────

 

 




シュウッ!!(CMに入る音)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。