もしかしたら俺はロボアニメの主人公かもしれない   作:健康パワフル麦茶

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シュウッ!!(CMが開ける音)


Bパート

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 ”機甲兵ガンヴァルデア”

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 ……というわけで。

 

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 ”黒き閃光”

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 女の子とどう遊べば良いのかなんてわかんない。

 というわけで俺達はまっさきに映画館に向かった。

 

 午前中なら空いているし、今日は有名な過去映画が上映される日なのだ。

 なんだっけ? ほにゃららの休日と有名なロボアニメの劇場版か。

 

 劇場版だけ流されてもどうする、と思うんだが二本上映だから仕方ない。

 

「へぇ、ここは?」

 

 ユキノが興味深そうに映画館の外観を眺める。

 たしかにちょっと見慣れないおしゃれなデザインだ。

 ほとんど壊れていないし、過去のデザイナーが作ったんだとか。

 

 設備もほとんど無事で、近隣の博物館からなんとか機材を持ち出して。

 今も上映しているってわけ。

 

「知らないのか? 映画館だよ」

 

「情報としては知ってる。来たことはない」

 

「まぁ今もまだ上映してるところなんて今日日どれだけあるか」

 

「こんな壊れた世界じゃね」

 

 ふふっ、と笑いながらユキノが入口を進もうとする。

 すると当然のように受付のおばちゃんに止められた。

 

「子供一人二百Eだよ」

 

「わたしはもう大人」

 

「子供にまけといてあげるよ」

 

 ちょっと驚いたように目を丸くするユキノ。

 俺はそれを横のけて、小銭をおばちゃんに渡した。

 

「子供二人、四百Eで」

 

「あいよ。なんか食べるの?」

 

「オレンジジュース二本と、ポップコーン一カップ」

 

「ほらよ。八百Eだ」

 

 いわれて小銭を追加する。

 おばちゃんがトレイを渡してくれた。

 

 その上には注文通りの品物が載っている。

 俺はそれを受け取ると、映画館の奥へと進んでいく。

 

「行こうぜ。今なら空いてるだろうし」

 

「ふぅん? それ、二本も飲むの?」

 

「一本はおまえのだよ……ポップコーンは分けよう」

 

「やったね」

 

 映画館の仄暗い。

 あまり照明にかける電気がないのである。

 基本的に自由性の速いもの勝ちなので、転ばないように──。

 

 中央のいい席を取り、そこに座った。

 ユキノも当然のように隣に座ったので、オレンジジュースを渡す。

 

「映画って初めて見るかも」

 

「そうなのか?」

 

「ていうか、目で見る映像作品は初めてかも」

 

「ああ、精神ジャックを利用したダイブフィルムか」

 

 あれ、結構高いはずなんだけどな。

 割といいところの家の子なのかも。

 

「まぁ娯楽じゃなくて教材だったけど」

 

「へぇ、うちは養育院でいつもロボアニメが流れててさ」

 

「それで上手いの? あんなに」

 

「……? 何が?」

 

「なんでもない」

 

 なんて言っている間に、上映が始まった。

 最初はなんとかの休日。

 たしかお姫様が一日の休日を庶民の男性と過ごす話だっけ。

 

 俺はまともに見たことがなかったりする。

 途中で退屈になって眠ってしまうからだ。

 

 しかし今回はこのあとにロボ映画がある。

 見過ごすわけにはいかない。

 

 そう思い、ぼーっとスクリーンを眺めていた。

 男女が観光地を優雅にデートする。

 

 俺には縁がないと思っていた話だ。

 そういえば、今まさにそんな状況なのかもな。

 

 そう思い、少しばかり隣を見る。

 ユキノは目を輝かせてスクリーンにのめり込んでいた。

 まるで夜空に広がるオーロラを眺めるような。

 

 これだけ楽しんでくれたのなら良かった。

 俺は無言で視線をスクリーンに映した。

 

 次に流れるのはロボ映画。

 ある男が人類への絶望から隕石を落とそうとし。

 それを地球軍が必死になって止めようとする話である。

 

 もっとも俺はこれも何度も見ている。

 いまさら新規のように喜ぶことは出来ないけれど──。

 さて、お隣さんの反応はどうだか。

 

 …………苦虫を噛み潰したような顔をしている。

 あんまり面白くなかったのだろうか。

 

 その割にはやっぱりスクリーンにのめり込んでいるけれど。

 上映が終わり、辺りが暗くなる。

 

 周りの客人が去っていくのを感じて、俺達も明るい方へと歩いていった。

 ちょっとばかり感想が気になって、訪ねてみる。

 

「どうだったよ」

 

「お姫様は自分の思いを伝えればよかったのに」

 

「難しいだろ、姫なんだから」

 

「そう、だね」

 

 残ったポップコーンをカップから一気に口に運ぶ。空になったカップをゴミ箱に捨てて、残ったオレンジジュースで口を一気に洗い流した。

 

 ユキノのオレンジジュースはまだ残っているのか、ずっと啜っている。

 

「ロボの方はどうだった?」

 

「あのツインテールの子に同情しちゃった」

 

「あいつに?」

 

 けっこう身勝手なタイプだと思ったけれどな。

 立場が違うと感想も変わるのかな。

 

「拾われて、おだてられて、最後には使い潰されたの。ひどくない?」

 

「でもあんな男についていかなきゃ良かったんだから」

 

「そしたら彼女はお姫様のままだった?」

 

 一瞬寂しげな顔をしたあと。

 ユキノはいつもどおり俺の手を掴んで歩き出した。

 まだまだ遊び足りないらしい。

 

「次はどこにつれてってくれるの?」

 

「じゃあガラクタ市場でも見に行くか」

 

 基本的に俺達が発掘したようなものはガラクタ市場に流れる。

 どうでもいいパーツや旧文明の娯楽品、壊れたスクラップ。

 実に様々なものが売っている。

 

 しかしよくよく見れば、結構掘り出し物もあって……。

 

「ユキノは何が欲しいよ」

 

「私なんでも良いよ。私物ないし」

 

「おまえ、いつもあんな感じにぼーっとしてんのか?」

 

「仕事ない時はそうかも」

 

「じゃあななんか暇つぶしを買ってやるよ」

 

 …………ふぅむ、どれが良いかな。

 おっ、旧文明の携帯ゲーム器が置いてある。

 一画面で長方形のちょっとスマートなやつ。

 

 充電用のケーブルもセットだな。

 

 カセットも……うん、これなんかいいんじゃないか。

 何度でも繰り返し遊べるローグライフゲーム。

 

 可愛いマスコットたちが徒党を組んで戦うタイプのやつだ。

 俺は似たバージョンを既に持っているので、いらないけれど。

 

「すいません、これください」

 

「あいよ、一万二千Eね」

 

「高いな」

 

「お客さん、コレだけの美品はなかなか置いてないよ?」

 

 …………まぁいいか。

 機甲兵を採掘して、ドラムスも三機手に入れたんだ。

 何らかのボーナスぐらいあるはず。

 

 ここはちょっと無理してでも買ってプレゼントするのが粋だ。

 なんかのアニメでそんなことを言っていた。

 

 俺は札束を渡すと、ゲームとカセットを受け取った。

 それをそのままユキノに渡す。

 

「いいの?」

 

「あんな時間の潰し方してると思うと不安になるからな」

 

「…………肌見放さず持っとく」

 

 そう言うと、ユキノはゲームを受け取り。

 まるで宝石のように青空に掲げた。

 

 使い方がわかるのかなとちょっと心配になったが……。

 まぁ大丈夫だろう。

 

 そのままユキノはそれをジャケットの内ポケットに入れた。

 …………いまコイツなんかぴっちぴちのスーツ着てなかったか?

 

「あんまり買わしちゃ悪いね」

 

「気にすんな。それに見て回るだけでも楽しいさ」

 

 なんて放していると、見知った顔が。

 タオルを巻いた細長い顔付き。ソルリオである。

 そういえばあれからどうなったのか、聞いてなかったな。

 

 俺はソルリオの屋台の前に立ち、話しかける。

 

「よぉ、あれからどうなったんだ?」

 

「あ! ミコト起きたんすね」

 

 いつもは不躾な態度だが、今日はそこそこ機嫌が良さそうだ。

 まぁ、無理もない。昨日あれだけ豊作だったんだから。

 

「おかげさまでな」

 

「あれからてんてこまいっすよ。レイナさんは町長に呼び出されるし」

 

「町長に?」

 

「出土した機甲兵に関して~~らしいっすよ……で、そっちの娘は?」

 

 訝しげに俺のやや左後ろに隠れていたユキノを視るソルリオ。

 若干怯えている風にも見える。

 

「ユキノだ。宿舎にいたから連れ出してきたんだけど知らないか?」

 

「いや……新人が来るという話は……町長の知り合いっすかね?」

 

 ああ、町長が班長と話すために置いていった子だと考えれば辻褄が合う。

 ちょっと実家が太そうなところもなんかそれっぽい。

 

「かもな……そうだ、ソルリオ。ここらへんで良い観光地ない?」

 

「あそこの展望台っすかね~~」

 

 と言って、ソルリオはガラクタ市場の頂上を指さす。

 ここはちょっとずつ斜めになっているのだ。

 そういえば付近に最上階に登るエレベーターもあったはず。

 

 それなら、体力の心配もしなくていいか。

 

「センキュー。意地悪してくるのかと思ったよ」

 

「俺は年上趣味なんすよ」

 

 ……まぁ班長狙ってるもんな、いつも。

 班長ってどれぐらいの歳なんだろ。

 俺より歳上なのは確実だけど。

 

 ひょっとしたら二十代は超えてる?

 

「じゃあユキノ、展望台に行こう」

 

「…………うん」

 

「楽しんでらっしゃいっすー」

 

 再び歩き出す俺達。

 途中、ちょっと気になった出店のガラクタを見たりしつつ・

 坂道をゆっくり登っていく。

 

 やや、ユキノがバテてきたところで、エレベーターを見つけた。

 

「へぇ、へぇ、ここまで歩くのも、けっこう大変だね……」

 

「ああ、エレベーターに乗って最上部に行こう」

 

 ボタンを押すと、エレベーターが降りてくる。

 それに乗り、俺達は最上部へと向かう。

 

「…………」

 

 しばし無言の時間。

 グオン、グオン、とエレベーターの動く音だけが聞こえる。

 ユキノは再びぼーっとした顔をしていたが。

 

 突然、意を決したように呟いた。

 

「私たちはターコイズ・コーポレーション」

 

「は?」

 

「とりわけ、私が所属しているのは人史解放機関って言うの」

 

「………………いや知らんが」

 

「作戦では、採掘現場に集まっている人間は皆殺しにしろと言われていた。それだけの機密事項が、あの時、あの時間帯発生すると」

 

「…………は?」

 

 なんだ?

 

 何を言っている?

 

「そこで貴方が現れたの。当然、所在を調べた」

 

 そうだ。ナレーターさんは

 昨日からずっとなんて言っていたか。

 

 

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 ”機甲兵ガンヴァルデア”

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「私は食堂(あそこ)で────貴方が起きてくるのをずっと待っていたの」

 

 

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 ”黒き閃光”

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 ユキノが、あの時戦ったゴレイアスのパイロットだったんだ。

 がちゃり、とエレベーターの扉が開く。

 

 入ってきたのはちょうど太陽の光。

 ここから見えるノイズシティの全容。

 

 ────そして坂道を駆け上がってきたゴレイアスだった。

 

「少佐、おまたせしました!!」

 

 ゴレイアスからヘルメットをしたパイロットが降りてくる。

 そしてユキノにマスクらしきものを渡した。

 

「ごくろう」

 

 ユキノがマスクを装着する。

 顔の下半分を覆ったその姿はまるで鴉のようだ。

 

「おまえ……何が目的なんだ?」

 

 その時。

 ドゥン、と爆発音が鳴った。

 ずいぶん久しぶりにナレーターさんが語りだす。

 

 

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 ”見ると、襲ってきたのは四足歩行の機械獣ども”

 ”人ではなく、人工知能が動かしている無象のマシーン”

 ”いわば、人類の敵対種であった”

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「機械獣!? なんでこんなところに!!」

 

「そうおかしいことじゃないよ。彼らは文明が一定以上になると襲撃してくる」

 

「……っ!! ユキノ、おまえが仕組んだのか!?」

 

 俺がそう言うと、ユキノはびしりと指を立てチッチッと振った。

 それはまるで否定するかのように。いや、いや実際そうだった。

 

 

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 ”機甲兵ガンヴァルデア”

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「私たちは貴方を助けに来たの」

 

 

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 ”次回、『騎獣、相対す』”

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「はぁ!?」

 

 

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 ”ミコトととともに駆け抜けてもらおう”

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■登場人物■

(くれない)ユキノ 銀髪ロングにオーバージャケット。何者なんだ……
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■用  語■
ダイブフィルム  記憶を追体験させる次世代の映像媒体。
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