学校の玄関にて、白斗は途方に暮れていた。
外は雨。
天気予報を見ていなかったので傘は持ってきていない。
と、そこで良いアイデアを思いついた。
契約の繋がりを利用した思念の伝達。
これを使ってメサニアに連絡すればいい。
『メサニア、聞こえてる?』
『はい、ご主人様』
『悪いけど傘を持って学校まで来てくれないかな。天気予報見てなくてさ』
「お迎えに参りましたわ」
「うわっ!?」
唐突に真横にメサニアが現れた。
おかげで何も無い空間を見ながら驚く人間が出来上がり、近くにいた学生から不審の目で見られた。
帰り道。
「美しい魂の収集ばかりに傾倒してきた
メサニアが持つ、フリルが付いたゴスロリ風の黒い傘に二人で入っている。
どう見ても普段差している日傘だが、どうやら雨傘として使うこともできたらしい。
傍から白斗を見れば、傘も無いのに雨の中濡れずに歩いている奇妙な少年————にはなっていない。
今の白斗は、メサニアと同じように一般人からは視認されない状態にしてもらっている。
こんなことまで出来たのか、と感心する。
「俺も同じだよ。まさか自分が女性と相合傘をするなんて……ん? 美しい魂の、収集?」
嫌な考えが脳裏に浮上する。
「美麗な輝きの魂を持つ者を見かけたら必ず葬るようにしておりますの。それらの魂は、魔界にある
「あの、俺の魂が魅力的だから惚れたって言ってたけど……」
いつか殺す予定ある?
とは流石に言いづらかった。
しかし、それだけでメサニアは察してくれたらしい。
「あら。その心配は不要ですわ。ご主人様の魂は魅力的ですが美しくはないので」
微妙に傷ついた。
だが、魂を取られることは無いようで一安心だ。
とりあえず話題を変えることにする。
「そういえば、俺たちって結婚を前提に付き合ってるんだよね。そのうちメサニアのご両親に挨拶に行きたいんだけど」
「
「え?」
「悪魔はある程度の知識と精神を備えた状態で魔界に自然発生しますの。虚空から突如として湧き出るように誕生するのですわ」
「へぇ……」
「そして、老いという概念が存在しないので、誕生時から姿が変わることは永久にありませんわ」
となると。
メサニアは生まれた時から外見年齢40代前半の中年女性だったということだ。
不老であることは前にも聞いたので知っていたが、ある程度の年齢まで成長してから老いなくなったりするのかな、とぼんやり勝手に想像していた。
しかし実際には、幼女時代も、少女時代も、お姉さん時代も存在しなかった。
過去も未来も変わらない、永久不変の熟女だったのだ。
メサニアと出会って性癖を捻じ曲げられ熟女好きとして目覚めた白斗としては、正直言って大歓喜である。
まあ、若い時代があってこその熟女だろという声もあるかもしれないが。
「……ん? あの、言いにくいんだけど、そうなると子供を作れたりとかは……」
「できますわ」
詳しく聞くと、悪魔同士では無理だが人間と交われば子供を作ることが可能とのことだった。
ただし、子供の種族は悪魔と人間のハーフになるが。
「もちろん
そう言われると何だか興奮してきた。
一万年ものの処女をいただく権利が白斗にはあるのだから。
……とは言っても、段階的に関係を深めていくことをメサニアは希望しているので、そういうことはまだお預け状態なのだが。
とんだ生殺しだった。