仮面ライダーメカニック   作:玲音考人

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vol.9「謎の迷宮×はぐれた二人!?」

陽菜美「私、花笠陽菜美は最近知り合った喫茶店の店主である機道さんに相談事のお礼にとお店に飾るぬいぐるみを贈り、ついでに“漁港の宝物”の噂について話したのですが…どうやらその噂の裏には怪物がいたようです。

ですが、どうやら仮面ライダーが怪物を倒してくれて、無事に解決したらしく…」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

沙知代「ふむ…この分ならあと一ヶ月もあれば完成できそうね」

 

 モニターに映るのは何やらエナジーデンチの設計図らしきもの。

 それを眺め、沙知代は一人その完成までの期間を呟く。

 丁度そのとき、ノックの音が部屋へと響く。

 

沙知代「どうぞ」

 

裕輝「失礼します」

 

沙知代「いらっしゃい。機道君」

 

裕輝「どうも。またラズマの情報が出たんですよね?」

 

沙知代「ええ。この街の外れにある廃墟で行方不明者が出ているようなの」

 

裕輝「行方不明者…」

 

 部屋へとやってきたのは裕輝。

 ラズマ情報の共有のために沙知代に呼ばれたらしい裕輝は沙知代から町外れの廃墟にて発生している行方不明事件について語る。

 

沙知代「それだけならラズマの仕業とは言い難いのだけれど、極秘に入手した情報によると警察が調査を行なっても手がかりが見つからなかったそうよ」

 

裕輝「つまり、その廃墟に行った人たちが忽然と姿を消している…と」

 

沙知代「そういうことね」

 

 沙知代からとある廃墟に向かった人たちが行方不明になっており、警察も調査を行ったが手がかりを得られなかったことを聞いた裕輝はそれらが指し示す事実として廃墟で人が忽然と消えているのだということに思い当たる。

 

裕輝「確かに…そうなってくるとラズマが一枚噛んでる可能性もありそうですね」

 

沙知代「被害はここ数週間で発生しているようだから、もしラズマの仕業だとするのなら早めに解決しないと囚われた人たちの命に関わりかねないわね」

 

裕輝「なるほど…」

 

沙知代「というわけで調査をお願いするわね」

 

裕輝「わかりました。俺たちの方で調べてみます」

 

 沙知代から事情を聞いた裕輝は廃墟についての調査を請け負い、副理事長室を出ていく。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

vol.9「謎の迷宮×はぐれた二人!?」

 

才花「今のところ、ガレージも変な動きは見せてないです。普通に協力するに留まってますね」

 

明南「そう……ですか。何もなければ問題ないです」

 

才花「その、聞いていいのかわからないですけど、先生はガレージのことを何か知っているのですか?」

 

明南「ガレージという組織そのものは知りませんが……あなたたちをスカウトした理佐沙知代のことなら知っています」

 

才花「そうなんですか!?」

 

明南「……彼女は優れた研究者です。そして…かなりの合理主義者でもある。今はラズマ撃破にあなたたちの力が有用だから協力していますが、もし利用価値がない…どころか自分たちにとって危険だと判断すれば迷わず牙を剥くでしょう」

 

才花「……そう、なんですか」

 

明南「まあ、現時点ではこちらにも得のある状況なので普通に接していればいいとは思いますが、最低限警戒はしておいてください」

 

才花「…そうですね。わかりました」

 

明南「ああ、それと…この話は他言無用でお願いしますね」

 

才花「勿論です」

 

 明南は沙知代のことを知っていると明かすと、その危険性について説明することで才花に警戒を促す。

 

才花「ふう…」

 

陽菜美「あ、才花先輩」

 

才花「陽菜美ちゃん。こんな所でどうしたの?」

 

陽菜美「あはは…実は現国の田淵先生に資料を運ぶのを手伝ってほしいと頼まれてしまいまして…」

 

才花「ああ、それでその紙束を…。半分持つよ」

 

陽菜美「ええっ!?だ、大丈夫ですよ!こんなことで才花先輩の手を煩わせるわけにはいかないです!」

 

才花「大袈裟だなぁ。このくらいなんてことないよ。ほら、ちょうだい?」

 

陽菜美「うぅ…あ、ありがとうございます…」

 

 理科準備室から出てきた才花の前に現れたのは何やら紙束を抱えた陽菜美だった。

 現代国語の教師から荷物を運ぶのを頼まれていたらしい陽菜美を見た才花はその荷物を運ぶのを手伝うことを決める。

 

才花「陽菜美ちゃんってお人好しだよね…」

 

陽菜美「えっ!?そ、そうですかね…?」

 

才花「だって陽菜美ちゃん、いつも先生にお手伝い頼まれたり、他の子から相談事受けたりしてるでしょ?」

 

陽菜美「あー…。別にこんなの、お人好しのうちには入らないですよ。せっかく私を頼ってくれたんですから、少しでも助けになりたいじゃないですか」

 

才花「それをお人好しと呼ぶような気もするけど、そういう優しいとこが陽菜美ちゃんらしいか」

 

陽菜美「……私、決めてるんです。昔私が辛かったときに助けてくれた人がいるから、そのお陰で沢山救われたから…もし同じように誰かに頼られたなら、私が力になろうって」

 

才花「それって初恋の彼のこと〜?」

 

陽菜美「ふぇっ!?ま、まあ…そう…ですけど……」

 

 陽菜美をお人好しと言いつつも、その優しさこそが陽菜美らしさだと評する才花。

 そして陽菜美がかつて自分が助けられた経験があったから他者の力になりたいのだと語ると、才花はそれが以前話してくれた初恋の人である“年上の男の子”を指しているのだと察し、陽菜美も照れつつそれを認める。

 

才花「陽菜美ちゃんは可愛いなぁ」

 

陽菜美「そ、そんなことないですよぉ…!……そういえば生物の坂野先生に聞いたのですが…アリは一部のイモムシを巣に連れ帰ってお世話したりする習性があるそうですよ」

 

才花「へえ、面白い習性だね」

 

陽菜美「なんでもそのイモムシが発する甘い蜜を貰う代わりに、イモムシに餌を与えてお世話して守ってあげるみたいです」

 

才花「共生ってやつかな」

 

 話題を逸らすために陽菜美が選んだのは生物の教師から教わったというアリと一部のイモムシの関係性についての話題。

 才花の食いつきがよかったため、話題はそちらへと変わる。

 

陽菜美「らしいです。ですが、そういったイモムシの中の更に一部にはアリの仲間のふりをしてアリの幼虫なんかを捕食したり、アリを操って自分を守らせる種類もいたりするみたいですよ」

 

才花「ええ…自然界も大変だね……」

 

陽菜美「ですよね…。ですが、なんだかそういう行動は人間にも通じる気はしますよね」

 

才花「確かに。味方のふりをして敵のところに潜り込んでくるような人もいるだろうし、目的のために周りの人間を都合よく操るような人もいるだろうし……どっちにしてもあんまり褒められたものじゃないけど」

 

陽菜美「……そうですね。あ、国語準備室につきましたね。手伝ってくれてありがとうございます!」

 

才花「これくらい気にしなくてもいいよ。興味深い話も聞けたしね」

 

 イモムシの中には一見してアリの味方と見せかけてその実敵対的だったり、あるいはアリを操ってしまうような種類もいると話す陽菜美だったが、それを聞いた才花はその話が人間にも通じる部分があるという感想を抱く。

 そんな話をしている間に国語準備室へと到着したため、陽菜美は才花に手伝いの礼を告げる。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

才花「行方不明者ねえ…確かに、ラズマが絡んでる可能性はあるかも」

 

裕輝「場所も教えてもらったから、お店を臨時休業にして調査に行こうかなって」

 

才花「なるほど。そういうことなら私も行くよ。……で、何やってるの?」

 

裕輝「ん?この間お客さんに頼まれてたラジコンの修理。もしかしたら調査に時間かかるかもしれないし、先にやっておこうと思って」

 

才花「マメだねえ」

 

裕輝「まあ、機械いじりは好きだしね。そういえば、才花さんは学校とか大丈夫なの?」

 

才花「院部先生に連絡しておくから、多少時間かかってもなんとかなるとは思うよ。成績は問題ないし」

 

裕輝「それならまあ、大丈夫か」

 

 からくりにていつものようにパンケーキとコーヒーに舌鼓を打っている才花は、その横でラジコンを修理している裕輝から事件について知ると、調査に同行することを決める。

 

才花「そういえばベータさんはどうかしたの?最近見かけないけど」

 

裕輝「ああ、あいつならなんか最近部屋に篭りきりで何か作業してるっぽいんだよな」

 

才花「ふーん?新しい武器でも作ってるのかな」

 

裕輝「なんかそんな雰囲気でもなさそうなんだけど…何にしてもあまり費用がかからないと嬉しいなぁ」

 

才花「切実だね…」

 

 最近ベータを見ないことを不思議に思った才花の質問に、裕輝は最近ベータは何かの作業にかかりきりなのだと返しつつ、なんの作業にしても費用がかかりすぎないことを祈る。

 

才花「ごちそうさま。……裕輝君も作業終わったみたいだね」

 

裕輝「ああ。……よし、それじゃあ早速出発しようか」

 

才花「だね。囚われた人の命に関わるし、なるべく早く助けないと」

 

裕輝「はい」

 

才花「ありがと」

 

裕輝「ちゃんと掴まっといてね」

 

才花「わかってるって」

 

 裕輝はラジコンの修理を終え、才花はコーヒーを飲み干すと、店の前に停めていたメカニカルダッシャーへと乗り、ヘルメットを被る。

 才花がヘルメットを被り、自分の腰にしっかりと掴まったことを確認した裕輝はメカニカルダッシャーのエンジンを入れて発進させる。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

愛乃「まさかオクトパスまでも倒してしまうとは…仮面ライダーも強くなっているようですね」

 

シルト「すみません…俺がついていながら」

 

ギフト「全くだな」

 

シルト「……」

 

ギフト「次は俺が行く。いいな?」

 

シルト「!…まだ、まだ俺はやれる!」

 

愛乃「落ち着いてください、シルト。焦る必要はないのです。ここはギフトに任せて、あなたは少し休みましょう?」

 

シルト「……わかりました」

 

 オクトパスラズマまでもが仮面ライダーに撃破されたことを受け、落ち込んだ様子を見せるシルトだったが、そんなシルトを愛乃がフォローし、再度ギフトが動き出すこととなる。

 

ギフト「では、私は失礼します。丁度今、中々面白い習性を持った奴が動いてまして」

 

愛乃「よろしくお願いしますね」

 

シルト「……もっと…強い力が必要だ…!愛乃様の悲願を達成するために…!」

 

 ギフトは“面白い習性”を持ったラズマの存在を仄めかすと、そのまま部屋を去っていく。

 そしてその姿を愛乃と共に見送っていたシルトは更なる力を手に入れることを望む。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

裕輝「ここか」

 

才花「ここって…旅館、だよね?」

 

裕輝「何年か前に廃業した旅館みたい。まだ取り壊しとかはされてなくてそのままだけど…」

 

才花「なるほど…手入れとかもされてないし、肝試しスポットみたいに扱われてた、と」

 

裕輝「みたいだね。そうして集まった人たちが次々と姿を消して、それを聞きつけた人たちが興味本位で向かって、また姿を消す…そんなことがここ数日で繰り返されてるみたい」

 

 目的地へと到着した裕輝はメカニカルダッシャーを停め、才花と共に降りる。

 到着したのは廃れた旅館。

 見るからにオンボロな雰囲気を漂わせた場所であることもあり、肝試しを試みた人たちが次々に姿を消しているのだと裕輝は語る。

 

裕輝「さて…入り口は…あそこか。開いてるな」

 

才花「前に入った人たちの痕跡かな」

 

裕輝「かもね。……突入しよう。どこから襲われるかわからないし、十分に注意していこう」

 

《ライトアプリ!》

《ピカーン!》

 

才花「オッケー」

 

 警戒のために灯りをつけたテクニカルフォンを手に持ちつつ、二人は開いていた入り口から建物へと入っていく。

 

夏芽「うう…やっぱり帰ろうよ…… 皐月(さつき)」

 

皐月「何言ってんだ夏芽(なつめ)、ここからが本番だっつの」

 

夏芽「ええ…」

 

才花「人…?」

 

夏芽「うわあっ!?出た!?」

 

皐月「落ち着けって。人間だろ、どう見ても」

 

裕輝「どうも。お化けとかじゃないから安心して。それで君たちは…肝試しにでも来たのかな?」

 

 建物に入ってすぐ、フロントの辺りにいたのは二人組の男女だった。

 中学生くらいの男子は皐月と呼ばれ、同じく中学生くらいの女子は夏芽と呼ばれる。

 裕輝と才花に気づいた夏芽は怯えるが、それを皐月が冷静に人間だと答え、裕輝も誤解を解くように声をかける。

 

皐月「まあな。あんたらも同じだろ?」

 

裕輝「いや、俺たちは調査しに来たんだ」

 

夏芽「調査…もしかして、警察の方ですか!?勝手に入ってまずかったですよね!すみません!!」

 

才花「いや、別に私たち警察とかじゃないよー。あ、名乗るの遅れてたね。私は械条才花。高校生だよ」

 

裕輝「俺は機道裕輝、街の片隅で喫茶店やってるんだ。……まあ、勝手に入ったのはあまり褒められることじゃないけど…とはいえ、俺たちに謝っても仕方ないことだし…」

 

 肝試しに来たという皐月と夏芽。

 裕輝たちの目的が肝試しではなく調査と知り、夏芽は警察かと思ったものの、才花がそれを否定する。

 

皐月「うっ…それは……まあ」

 

夏芽「だからやめようって言ったんだよ…。あ、私は姫路(ひめじ)夏芽っていいます。今は中学二年生です」

 

皐月「俺は岸本(きしもと)皐月……夏芽と同じく中二っす。…ところで、調査って…もしかしてここで行方不明の人が出てるって本当なんすか?」

 

裕輝「ああ」

 

夏芽「ええっ!?そんな噂あったの!?なんで言ってくれなかったの!」

 

皐月「だ、だって…言ったら着いてきてくれねーだろうし、なんなら止めるだろ」

 

夏芽「当たり前でしょ!お化けが本当にいるのかもしれないし…」

 

裕輝「お化け…ならまだ可愛い方だろうね」

 

「「……え?」」

 

 流石に無断で立ち入ったことを指摘されたことでバツの悪そうな様子を見せる皐月。

 そしてその会話の流れで行方不明者が出ているということを知った夏芽は更に怯えた様子を見せる。

 

裕輝「……こういう廃墟は人目に付きづらいから、人目を避けたい人が集まりやすいと聞いたことがあるよ」

 

才花「つまり…犯罪者が寄り付いてたり、不法な取引に使われたりすることもある…ってことだね」

 

裕輝「ああ。面白半分で入ったりしたら思わぬ犯罪に巻き込まれるリスクもあるんだ」

 

夏芽「ひぇぇ…」

 

皐月「…そう、だったんだ……」

 

裕輝「…まあ、この場所で起きている行方不明事件に関しては…正直犯罪者よりも危険な相手が潜んでいるかもしれないけど」

 

皐月「ど、どういうことすか…?」

 

 廃墟はその特性上、犯罪の温床となりやすいことを説明し、そこに行くということは実在するかもわからない心霊現象どころではなく、現実的な犯罪に巻き込まれるリスクが付きまとうということを裕輝は教える。

 

裕輝「ここにはお化け…とは違うけど、人を襲う怪物が現れる可能性がある。だから、その怪物が本当にこの場所に潜んでいるのか、れを確かめに来たんだ」

 

皐月「怪物……」

 

夏芽「そ、それって最近噂聞くやつだよ…。ほら、仮面ライダーの噂と一緒に流れてるやつ」

 

皐月「ああ…そういやそんな噂も──」

 

ゴゴゴゴゴ…!

 

裕輝「!……なんだ…?」

 

才花「何かが来る…!」

 

 裕輝が自身が調査しに来たのは怪物についてだと明かすと、突如として地響きの音と共に四人の足元が揺れだす。

 そして次の瞬間、四人が立っていた床に大きな穴が空く。

 

裕輝「何!?」

 

才花「わっ!」

 

夏芽「ひぇぇ…!」

 

皐月「っ…夏芽!」

 

 突如として四人の足元に空いた穴へと吸い込まれていく裕輝たち。

 そうして四人は穴の向こうへと消えていく…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

裕輝「っつつ…みんな大丈夫?」

 

才花「私はなんとか…夏芽ちゃんと岸本君は?」

 

夏芽「私は…皐月が咄嗟に抱えてくれたので」

 

皐月「てて…まあ、俺も大丈夫っす」

 

裕輝「大きな怪我とかはなさそうだね。落ちたのもそこの天井からの高さと考えると…二メートルちょっとってところか」

 

 落ちた先に続いていたのは絨毯張りの床と土壁で構成された和風の談話室のような場所だった。

 裕輝は三人に怪我はないことを確認し、状況を整理する。

 

裕輝「ここは…旅館の中、に見えるけど……」

 

才花「ただの地下室、って感じじゃなさそうだね」

 

夏芽「あ、あれ…あれって、怪物じゃ……」

 

皐月「ま、マジかよ…」

 

裕輝「やっぱりラズマの仕業か。仕方ない、二人とも下がってて」

 

才花「ここは私たちがなんとかするよ」

 

 裕輝たちの目の前に現れたのは何体もの蟻のような姿の“アントラズマ”だった。

 初めて見る怪物に完全に気圧されていた皐月と夏芽だったが、そんな二人を下がらせて、裕輝と才花はエナジーテクノドライバーを装着する。

 

アント「仮面ライダーか…」

 

アント「ここで消えてもらおう…!」

 

アント「そして、その餌は貰っていくぞ」

 

裕輝「お断りだな」

 

才花「ここであなたたちを倒させてもらうよ!」

 

アント「ふん!」

 

裕輝「!なんだ…ってうわっ!壁!?」

 

才花「しまっ…!」

 

皐月「夏芽ッ!」

 

夏芽「さ、皐月…!」

 

 アントラズマと向き合う裕輝と才花はそれぞれエナジーデンチを取り出して変身しようとするが、突如として裕輝と才花との間に壁が生じて裕輝と皐月、才花と夏芽に分かれて分断されてしまう。

 

裕輝「分断された…!…ってあれ、エナジーデンチを落としてたか。……!これって…!」

 

才花「分断されたね…!あ、エナジーデンチ落としてるじゃん。…ん?これは…!」

 

裕輝「才花さんのエナジーデンチ!?」

 

才花「裕輝君のエナジーデンチじゃん!?」

 

 分断された際の衝撃でエナジーデンチを取り落としてしまった裕輝と才花。

 それに気づいて近くに落ちていたエナジーデンチを拾おうとするが、二人ともすぐにそれがお互いのものであることに気づく。

 

アント「ふん…一人ずつ始末してくれる」

 

裕輝「……仕方ない、ここは」

 

《スパイダー!》

《コンピューター!》

 

裕輝「使わせてもらうよ、才花さん」

 

《エナジーオン!》

 

裕輝「変身!」

 

《アクティベート!

 

シナジーブレイン!スパイダーコンピューター!》

 

 アントラズマが迫っていたことを考慮し、裕輝はやむなく才花のエナジーデンチを使って戦うことを選ぶと、仮面ライダーメカニック スパイダーコンピューターシナジーへと変身する。

 

皐月「機道さんが…仮面ライダー…!?」

 

メカニック「皐月君、ちょっと下がっててね!はあっ!」

 

アント「ぐっ…!」

 

アント「ふん!」

 

メカニック「おっと…そのくらいお見通しだ!」

 

 裕輝が仮面ライダーであるということに驚愕する皐月。

 そんな皐月を下がらせつつ、メカニックはキーボードブレードでアントラズマの一体を斬り裂きく。

 そして他のアントラズマが仕掛けた攻撃の軌道を予測し、的確にキーボードブレードで弾き返す。

 

アント「ふん…」

 

アント「ここで我らの養分となれ…!」

 

夏芽「ヒッ…」

 

才花「大丈夫だよ、夏芽ちゃん。私が守るから」

 

《ホッパー!》

 

《バイク!》

 

才花「借りるね、裕輝君」

 

《エナジーオン!》

 

才花「変身!」

 

《アクティベート!

 

シナジースピード!ホッパーバイク!》

 

 にじり寄るアントラズマを完全に恐れている夏芽を安心させるように声をかけると、才花は一歩前へと進み出る。

 そして裕輝のエナジーデンチを使うことを決め、仮面ライダーサイビア ホッパーバイクシナジーへと変身する。

 

夏芽「仮面…ライダー…!?」

 

サイビア「そういうこと。さ、夏芽ちゃんには手を出させないよ!」

 

アント「くっ…!」

 

アント「よくも!」

 

サイビア「遅いよ。そんな攻撃、今の私には当たらない!」

 

 サイビアへと変身した才花に驚く夏芽に優しく声をかけつつ、サイビアはカリバーモードのホイールカリバーを構えてアントラズマのうちの一体を素早く斬りつけ、別の一体による反撃を軽やかなステップで回避する。

 

メカニック「こいつら…一体一体はそんなに強くないな。さっさと倒そう」

 

《エナジーオン!》

 

《3!》

《エンター!チャージング!3!》

 

メカニック「これで決める!」

 

アント「何…!?」

 

《エナジーインパクト!》

 

メカニック「だあああっ!!」

 

「「うぐあああっ!!」」

 

 メカニックはキーボードブレードにドリルエナジーデンチを装填して操作すると、巨大なドリル状の刀身を展開し、その巨大なドリルでアントラズマたちを纏めて撃ち砕く。

 

サイビア「あんまり強くない…なら、これ以上時間をかける意味もないね」

 

《エナジーオン!》

 

サイビア「じゃあね」

 

《エナジーストライク!》

 

サイビア「やあっ!!」

 

「「ぐああああっ!!」」

 

 サイビアはアントラズマたちからの攻撃を受け流すと、ホイールカリバーにシャークエナジーデンチを装填し、サメが噛みつくようなエフェクトを発生させつつアントラズマたちを斬り裂く。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

裕輝「電波は届かないか…。さて、とりあえず出口がないか探してみようか」

 

皐月「その前に壁を壊して二人を助けに行きましょうよ!」

 

裕輝「いや、それはやめた方がいいと思う」

 

皐月「えっ?な、なんでっすか?」

 

裕輝「ここは地下だし、恐らくさっきの怪物…ラズマが作り出した迷宮みたいなもの。確かに仮面ライダーの力でなら壁を破れるかもしれないけど、下手したら崩落して生き埋めになっちゃう危険がある」

 

皐月「…!」

 

裕輝「だから極力破壊は避けた方がいいんだ」

 

皐月「夏芽…」

 

 アントラズマを撃破たため、変身を解いて才花と連絡が取れないかテクニカルフォンを操作して確認していた裕輝に、皐月は壁を壊して夏芽たちを助けに行こうと提案するが、裕輝は崩落して生き埋めになってしまう可能性を考慮してそれを却下する。

 

裕輝「夏芽ちゃんのこと、心配?」

 

皐月「べ、別に…そういうわけじゃ……」

 

裕輝「彼女…って感じではなさそうだよね。お友達?」

 

皐月「……幼馴染っす」

 

裕輝「幼馴染…か。そっか」

 

皐月「?」

 

 夏芽を心配そうにしている皐月に夏芽との関係性を聞いた裕輝は、二人が幼馴染であると知り、かつての自分を思い出して懐かしむ。

 

裕輝「まあ、夏芽ちゃんなら大丈夫だとは思うよ。才花さんがついてるから。才花さんも俺と同じく仮面ライダーだからね」

 

皐月「あの人も…仮面ライダー…」

 

裕輝「……肝試しに来たんだっけ?怖いもの見たさってやつ?」

 

皐月「まあ…そんなとこっす。俺、昔から怪談とかそういうのが好きで…心霊スポットとか行ってみたいなって…」

 

裕輝「まあ、何が好きかは人それぞれだけどさ、それで他の人に迷惑をかけるようなことはしちゃいけないよね」

 

皐月「うっ…そ、それは…」

 

 裕輝は皐月たちがこの場所に来た理由が怖いもの見たさによる好奇心によるものと知ると、その興味関心自体は肯定しつつ、勝手に旅館に侵入したことについては優しく咎める。

 

裕輝「それに…幼馴染は大切にした方がいいよ。この先も一緒にいたいと思うのなら、なおのこと」

 

皐月「機道さん……?」

 

裕輝「いつまでも当たり前にそこにいてくれるわけじゃない。ふとした時に、思いもよらない形で別れることになるかもしれない。そうなったときに…後悔はしたくないでしょ?」

 

皐月「そう…っすね。…俺、ちゃんと夏芽に謝りたいっす!」

 

裕輝「それがいいよ。そのためにも…まずはここを抜けないとだな。一体どこに繋がってるんだ…?」

 

 裕輝から夏芽と一緒にいたいのなら、ちゃんと大事にするべきだと教わった皐月はこんな所に連れてきて巻き込んでしまったことを夏芽に謝ることを決め、そのためにも脱出することを決める。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

才花「……うーん…とりあえずラズマが来た方とは逆に来たけど、行き止まりかあ」

 

夏芽「…私たち、出られるんですかね…?」

 

才花「絶対に脱出させてみせるよ。私だってこんなとこに閉じ込められるのはごめんだしね」

 

夏芽「才花さん…ありがとうございます」

 

才花「気にしない気にしない」

 

夏芽「……皐月は逃げれたかな」

 

才花「岸本君ならきっと、裕輝君が守ってくれてるよ。彼も仮面ライダーだから」

 

夏芽「!そうなんですね……それなら安心です…」

 

 こちらもアントラズマたちを退けた才花と夏芽はアントラズマの来た方とは逆に進んで脱出の糸口を探すが、中々手がかりを得られずにいた。

 

才花「それにしても…今回のラズマは妙に手の込んだことをするね」

 

夏芽「どうかされましたか?」

 

才花「ん?ああ、ちょっと行き詰まっちゃったし、あの怪物…ラズマの狙いを考えててね」

 

夏芽「ラズマ…って一体なんなんですか?」

 

才花「ラズマは人間の感情を喰らう怪物っていったところかな」

 

夏芽「に、人間の感情を…?」

 

才花「そう。ラズマに襲われた人は感情の力…要は気力を奪われて意識を失った状態で発見される」

 

夏芽「ひっ…」

 

才花「勿論、夏芽ちゃんがそんな目に遭ったりしないよう私が守るけど…ここで行方を晦ました人たちは間違いなくラズマの餌食になってるだろうね」

 

 アントラズマに違和感を覚えつつ、その正体を探る才花は、夏芽に自分たちを襲うラズマという存在がどのようなものかを教える。

 

才花「……ただ、今回のラズマは何かがおかしいんだよね」

 

夏芽「?」

 

才花「普通、ラズマは一人の人間を宿主として一体が出現する。その一体を倒したら宿主は元に戻る…そんな風にできてる」

 

夏芽「さっきは同じラズマ?がいっぱいいましたよね?」

 

才花「うん。それに…こうやって巣を作って待ち伏せして、閉じ込めるようなやり方をするラズマも初めて。もしかすると、かなり厄介なラズマなのかも」

 

 才花は本来一人から一体しか出てこないはずのラズマが複数個体同時に存在したこと、そして自分たちのテリトリーを作り出してそこに獲物を誘い込むようなやり口がこれまでのラズマと逸脱していることから、かなり特殊かつ厄介なラズマである可能性を考える。

 

才花「それにしても…あれが仮に本体が生み出す分身のようなものだとして…それを維持するにも相応にエネルギーを使うはず…。それに、ここで捕まった人たちはどうなってるんだろう。そこそこ歩いてるのに倒れてるところも見当たらないし…」

 

夏芽「確かに、私たち以外に人がいる感じはしませんね…」

 

才花「もしかするとこの事件、急がないとマズいかな……。奥へと向かった方がいいかも」

 

 アントラズマの特殊性について考える中で囚われた人たちを見かけないことや、そもそも分身を生み出し、維持するのにも相応のコストが必要になることに思い当たった才花は事態が想定しているよりも悪い方向に向かっているのではないかと考える。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

ギフト「……仮面ライダーも嗅ぎつけたか。丁度いい、この迷宮で叩きのめして生け取りにしてくれる。愛乃様へのいい手土産になるな…!」

 

 裕輝と才花がアントラズマの巣にやって来たことを知ったギフトは一人不敵に笑い、二人を捕らえて愛乃に献上しようと企む。

 ……そして、その眼前には幾人もの人々が下半身を埋め込まれて苦しげに呻き声を上げて囚われる巨大な土塊が鎮座していた。

 

「助け…て…」

 

「苦しい…」

 

「うう…」

 

ギフト「くく、中々いい光景だ。アント…安定態に至るまでのコストはかかるが、それを補うほどの特殊性…その力を愛乃様のために役立ててみせろ…!」

 

 苦しむ人々の姿を見て愉しげに笑みを浮かべたギフトはアントラズマに期待しているような様子を見せる。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

次回、仮面ライダーメカニック!

 

裕輝「奥に向かうしかない」

 

才花「さっさと倒して切り抜けさせてもらおうかな」

 

ゴールを目指して突き進め!

 

陽菜美「才花先輩たち、大丈夫でしょうか…」

 

裕輝「俺にもいたんだ、二人の幼馴染が」

 

ギフト「仮面ライダーを二人まとめて捕えるチャンスだな」

 

裕輝「悲劇はこれで終わりだ!」

 

才花「クレバーに決めるよ!!」

 

メカニックとサイビアが力を合わせる!そして──

 

裕輝「ベータが…大砲に…!?」

 

新装備・メカニカルバスターβで敵を撃ち抜く!

 

vol.10「紡いだ絆×更なる跳躍!」

 

日曜午後9時!




第9話をご覧いただきありがとうございます!

今回は迷宮を作り出すラズマということで、アリのラズマが登場です!
今までとは毛色の異なる、複数個体が現れる特殊なラズマを前にはぐれてしまった裕輝と才花の二人がどのように立ち向かうのか、是非ともお楽しみに!

そして、久々になってしまい申し訳ありませんが、仮面ライダーメカニック番外編「Hero's Intermission!」の第2話を同時に公開しておりますので、よろしければ是非ともご覧ください!
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