仮面ライダーメカニック   作:玲音考人

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vol.3「守れ笑顔!×猛毒ハンター!」

才花「私、械条才花はひょんなことから知り合った喫茶店の店主である機道が仮面ライダーとなったことでどう接するべきか迷ってしまう。

協力者である院部先生や後輩の陽菜美ちゃんに話を聞いてもらいつつも、答えを出せずにいた…」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

裕輝「……へえ、お遊戯会ですか。そういえば笹木さん、保育士さんでしたっけ」

 

「ええ、それでこの間機械を直すのなら機道さんに依頼するといいって聞きまして…」

 

裕輝「なるほど…。確かにラジカセが壊れちゃってたら困りますもんね。…そういうことなら良いですよ」

 

「良かったです…。あ、お代はしっかり払いますから」

 

裕輝「いえいえ、修理は趣味でやってることですし…」

 

「ですが…」

 

裕輝「あー…なら、お遊戯会に提供するお菓子を俺が作るってことでどうですかね?」

 

「えっと…良いんですか?」

 

裕輝「はい。お代はそっちで貰うので、機械修理の方は払わなくて良いですよ」

 

「その…何から何までありがとうございます…」

 

裕輝「いえいえ、お気になさらず」

 

 からくりにて、笹木という保育士の女性から何やら機械修理の依頼を受ける裕輝。

 すると、丁度そこに才花が来店する。

 

才花「来たよ。…あれ、取り込み中?」

 

裕輝「あ、才花さん。いらっしゃい」

 

「…申し訳ありませんが、よろしくお願いします」

 

裕輝「はい!直ったら連絡しますね」

 

「では…」

 

裕輝「またのご来店お待ちしております!」

 

 笹木は話を終えると、一礼して店を出る。

 

才花「今の人は?」

 

裕輝「笹木美冬さん。近くの保育園で保育士をしてる人で、ちょいちょいウチの店に来てくれるんだよね」

 

才花「ふーん?あ、いつもの」

 

裕輝「はいはい。…それで、今度働いてる保育園でお遊戯会をやるんだけど、ラジカセが壊れちゃったから直してほしいって依頼があったんだ」

 

才花「それで…」

 

 普段通りの注文をしながら、先客について尋ねる才花。

 裕輝はそんな才花に慣れた様子で受け答えつつ、店の札を「CLOSE」に変えると、注文を受ける。

 

裕輝「はい」

 

才花「ありがと」

 

裕輝「…まあ、修理だけじゃなくて、お菓子の提供も引き受けたから…珍しく喫茶店らしい頼まれごとだけど…忙しくなりそうだなぁ」

 

才花「…そうなの?」

 

裕輝「まあ、結構な量のお菓子を作らないといけないし…修理も同時並行にやんなきゃだからね。…修理の方で代金を貰うのも気が引けるし」

 

才花「相変わらずお人好しだねぇ」

 

裕輝「そんなんじゃないって」

 

才花「…そうだ。そのお遊戯会っていつ?」

 

裕輝「え?今度の土曜って言ってたけど」

 

才花「…じゃあ、その日空いてるし、私も手伝うよ」

 

裕輝「えっ。…え?良いの?」

 

才花「なんでそんなに驚くのさ」

 

裕輝「いや、珍しいなって」

 

才花「…まあ、珍しくたっていいじゃん」

 

裕輝「…よくわからないけど…ありがとう。助かるよ」

 

 今回の頼まれごとによって多忙になりそうだと考えた裕輝。

 それを聞いた才花はパンケーキを切り分け、口に運びながら自分も手伝うと名乗り出る。

 

才花「…そういえば最近暗躍してたカニ人間って呼ばれてたラズマを倒したんでしょ?」

 

裕輝「ああ、こないだね。…よく知ってるね」

 

才花「…ラズマ情報は仕入れるようにしてたから。…やっぱり仮面ライダー、続けていくの?」

 

裕輝「…そのつもりだよ。…ほら!今は才花さんだって戦えないし…」

 

才花「…それは…そうだね。…ご馳走様」

 

裕輝「お粗末さまでした」

 

才花「これ、お代。それと…院部先生からこれを渡してって」

 

裕輝「これは…才花さんが持ってるのと同じ…」

 

才花「サポートアイテム。…こっちがテクニカルフォン。で、これがデジカメドローナー。使い方は…まあ、わかるよね」

 

裕輝「見てたからね。取り敢えず、院部さんにはお礼伝えといてもらえると」

 

才花「…わかった。それじゃ、また」

 

裕輝「うん。また」

 

 パンケーキを食べ終えた才花は食器を下げると、明南からの預かり物だというテクニカルフォンとデジカメドローナーを手渡すと、裕輝からの礼を受け取り、店を去る。

 

才花「…やっぱり、少しでも早く私が仮面ライダーに復帰すれば…機道が戦う理由はなくなるはず。……戦うのなんて、私だけでいい」

 

 店を後にする才花の心に秘められた決意に、今はまだ、誰も気付いていなかった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

vol.3「守れ笑顔!×猛毒ハンター!」

 

裕輝「ふむふむ…このテクニカルフォンはバリアを発生させたり、周囲にラズマがいるかサーチ出来る…と。で、こっちのデジカメドローナーはカメラとドローンの二つの機能を兼ね備えている…」

 

ベータ「…この二つをあの明南とやらが開発したのか。…中々優れた技術者のようだな。ま、僕様には及ばないけど!」

 

裕輝「大した成果物もないのに何言ってんだか」

 

ベータ「失礼な!ホイールカリバーとかメカニカルダッシャーとか、パワーチェーンソースラッシャーとか、あるだろ!?」

 

裕輝「…でもお前、その開発費をウチの売り上げから使ってるじゃん」

 

ベータ「まだ気にしてたのか!?…戦力増強のためだし…ほら、有効活用してるじゃん?」

 

裕輝「ま、ありがたく使わせてもらうけどさー」

 

ベータ「そうだろうそうだろう。崇め奉ってもいいんだぞ?」

 

裕輝「…次から開発費は自費ってことで…」

 

ベータ「ごめんって!」

 

 受け取ったテクニカルフォンやデジカメドローナーの使い方を確かめていた裕輝とベータ。

 そんな中、ベータのナルシスト発言に裕輝は呆れながらツッコミを入れ、じゃれ合うような会話を続ける。

 

裕輝「そういやどっちもエナジーデンチ挿せそうだな」

 

ベータ「そうだな」

 

裕輝「えっと…デジカメドローナーは…ブランクのエナジーデンチが付いてきてるから、こうすればいいのか」

 

《チャージエナジー!》

《ドローンオン!》

 

裕輝「おお…!すげー!飛んでる!!」

 

ベータ「索敵に便利そうだな」

 

 裕輝はデジカメドローナーに付属していたブランクエナジーデンチを装填し、前面のファンを展開してドローンモードに変える。

 すると、デジカメドローナーは浮き上がり、裕輝の周りをフヨフヨと浮く。

 

裕輝「だな。…で、テクニカルフォンはなんでも良さそうだし…例えばこれとか」

 

《ホッパーエナジー!》

《シナジーマッチング!バイク!》

 

裕輝「おおっ…これ、エナジーデンチ同士のシナジーのある組み合わせを教えてくれんのか!」

 

ベータ「便利だな…」

 

裕輝「じゃあこれは…」

 

《バット!》

《エナジーマッチング!スピーカー!》

 

裕輝「…スピーカーなんてエナジーデンチあったっけ?」

 

ベータ「えっと…うん。確かにあるな。まだ有効化出来てないけど」

 

 テクニカルフォンの機能で、セットしたエナジーデンチのシナジーを発揮する組み合わせを教えてくれることを知った裕輝は、手元にあった黒色のコウモリが描かれたバットエナジーデンチを装填すると、まだ使えないスピーカーエナジーデンチと回答が出る。

 

裕輝「…そういえば、エナジーデンチって種類数決まってるんだっけ」

 

ベータ「ああ。予めデータが作られている40種が存在している。僕様のアーカイブにも一覧が入ってるが、恐らく明南も同じように一覧を持っているのだろう」

 

裕輝「なるほど。…確か、機械の力を持つマシンカテゴリと生物の力を持つアニマルカテゴリがそれぞれ20種類ずつの計40種…だっけ」

 

ベータ「そうなるな。…で、今手元にあるのはそのうちの12種類」

 

裕輝「残りは組織から持ち出せなかったんだよな」

 

ベータ「そうだな。そもそもあの組織に全部あるのかもわかんないしな…。回収したやつだって、起動用のメタックスエナジーも入ってなかったから、こうしてラズマを倒した時に出るメタックスエナジーを回収して有効化してるわけだ」

 

裕輝「…ってことは俺たちの手元にないエナジーデンチが28個か…」

 

ベータ「サイビアの持ってる2種を加えても26種は足りないからな…」

 

 手元にあるアクティベート済みの5種と、残る黒ずんだ7種のエナジーデンチが仕舞われた三つのエナジーチャージケースを見つつ、残る手元にないエナジーデンチへ思いを馳せる。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

才花「……」

 

陽菜美「あれは…才花先輩?…なんだかこの前よりも深刻そうな表情ですね…。あの喫茶店で何かあったんでしょうか…?」

 

 街中にて、才花が以前より深刻な表情でからくりから出ていく様子を見た陽菜美は店に何かがあるのではと考える。

 

陽菜美「…行くべきでしょうか…。いや…ですが…う〜ん…」

 

裕輝「えっと…ウチに何か用…?」

 

陽菜美「ひゃあっ!?」

 

裕輝「あ、ごめん。驚かせるつもりはなかったんだけど…」

 

陽菜美「えっ、あっ…その…ごめんなさい」

 

裕輝「?…よくわからないけど…よかったらコーヒー一杯いかが?味には自信あるし…折角だからサービスしてあげるよ」

 

陽菜美「えっ!?お、お願いします…?」

 

裕輝「まいどあり」

 

 店の前で入るべきか迷っていた陽菜美に話しかけたのは裕輝。

 自身の店の前で何やら暫くウロウロしている様子を不思議に思い声をかけたものの、当の陽菜美は声をかけられることを想定していなかったため、狼狽える。

 そんな陽菜美の様子を見た裕輝は柔らかい笑みを浮かべ、コーヒーを勧める。

 

裕輝「…どうぞ」

 

陽菜美「ありがとうございます…。あ、美味しい…!」

 

裕輝「なら良かった。…落ち着いたかな?」

 

陽菜美「その、ごめんなさい。実は知り合いがこのお店から出るところを見かけて…」

 

裕輝「知り合い?」(そういえば、この制服…紀佳井高校のか。ってことは…)

 

 裕輝の出したコーヒーを一口啜り、陽菜美は落ち着きを取り戻す。

 そして事情を説明し始めた陽菜美の服装から、陽菜美のいう知人の正体に勘づく。

 

裕輝「その知り合いって、もしかして械条才花さんのこと?」

 

陽菜美「はい…」

 

裕輝「そっか。才花さんのお友達だったんだ」

 

陽菜美「その…店主さんは…才花先輩とお知り合いなのですか?」

 

裕輝「…まあ、そんなとこ。才花さん、ウチのお店の常連さんなんだよ」

 

陽菜美「あっ、そうだったんですね。…それなら…その…何か知りませんか?才花先輩のこと」

 

裕輝「何かって?」

 

陽菜美「…言葉足らずでした。ごめんなさい。…最近、才花先輩が何か迷ってるような、悩んでるような感じで。…さっきお店から出た時もちょっと深刻そうな様子だったので…」

 

裕輝「ああ、それで気になってウチに」

 

陽菜美「はい…」

 

 陽菜美から話を聞いて、裕輝はおおよその状況を掴む。

 

裕輝「うーん。正直、さっき来た時は普通そうな感じだったし、特に相談を受けたわけでもないから、ちょっとわからないかも」(もしかしたら…仮面ライダーになれなくなってることに負い目を感じてる、とか?…可能性はあるけど、断言は出来ないし…仮にそうだったとして、この子に伝えるわけにもいかないよね)

 

陽菜美「そう…ですよね」

 

裕輝「あっ、けど、今度また会う予定あるし、その時聞いてみるよ」

 

陽菜美「いいんですか?」

 

裕輝「ま、才花さんは常連さんだしね。そのくらいお安い御用だよ」

 

陽菜美「ありがとうございます!その…店主さん!」

 

裕輝「ああ、俺は機道裕輝。よろしくね」

 

陽菜美「えっと、私は花笠陽菜美といいます。…その、才花先輩のこと、よろしくお願いします」

 

裕輝「よっぽど才花さんのことを心配してるんだね」

 

陽菜美「…才花先輩は前に私を助けてくれたことがあって…それから仲良くなった、大切なお友達なので…力になりたくて」

 

裕輝「そっか。…なら、尚更ちゃんとやらないとだね」

 

 互いに自己紹介しつつ、裕輝は陽菜美から才花に話を聞くと約束する。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

ギフト「…仮面ライダーを潰すにあたって…同胞を増やすとしよう」

 

〜♪

 

「ふっ…!」

 

ギフト「…あいつにしよう。…いい感情を持ってる」

 

 街中を歩いていたギフト。

 鈍色を基調とし、中にノイズの走ったフラミンゴの絵柄が刻まれた電池…フラミンゴラズマデンチを手で弄びながら、街の一角にあるガラスの前で楽しげにダンスの練習をしている女性に目をつける。

 

ギフト「……」

 

「?…えっと、何か…?」

 

ギフト「…お前のその感情…使わせてもらうぞ。ふん」

 

「うっ…!うああ…ああああっ!!」

 

 突然目の前に現れたギフトに困惑しつつも話しかけた女性だったが、そんな女性にギフトはフラミンゴラズマデンチを埋め込む。

 すると、女性の身体から白色のエネルギーが放出され、やがて放出されたエネルギーが集まり、フラミンゴのような姿の怪人…フラミンゴラズマが生み出される。

 

「うぅ…」

 

フラミンゴ「フッ…!」

 

ギフト「我々の計画のためにも…人間どもの感情を喰らい、成長しろ」

 

フラミンゴ「承知いたしました…フゥッ!」

 

才花「!…あれは…」

 

 フラミンゴラズマが生み出されると同時に、宿主となった女性は倒れ伏す。

 そしてギフトから受けた命令を聞いたフラミンゴラズマはいちいちわざとらしい動作で承り、飛び去っていくが、その様を通りがかった才花が目撃する。

 

才花「ギフト…!何を企んでるの…!」

 

ギフト「ああ、お前は…サイビアか。何しに来た?もはやお前は変身すら出来ない…この私に勝つことは…不可能だ」

 

才花「っ…!」

 

ギフト「…生憎私は忙しい。もう一人の仮面ライダーを始末したら…次はお前の番だ」

 

才花「!…待ちなさい…っ!」

 

 大剣を構えた才花は敵意を剥き出しにしてギフトと対峙するが、今は変身出来ないことを指摘され、そのまま姿を眩まされてしまう。

 そんな有様故か、才花は自身の不甲斐なさを噛み締め、悔しげな表情を浮かべる。

 

才花「……今やるべきことを、出来ることをやらないと」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

──翌日

 

裕輝「…新しいラズマが出てきた?」

 

才花「…うん。今私の方でも捜索してる」

 

裕輝「…そっか」

 

才花「宿主にされた人も、取り敢えず病院に入院してる」

 

裕輝「確か、早く助けないと…手遅れになるんだよな」

 

才花「…うん。ラズマを早めに倒さないと、被害者は増えるし…宿主になった人間も侵食され続ける」

 

裕輝「伝えてくれてありがとう。なんとかするよ」

 

才花「……申し訳ないけど、よろしくお願い」

 

裕輝「気にしなくていいって!俺だって仮面ライダーなんだから」

 

 保育園でのお遊戯会に備えて準備をしつつ、才花は昨日の出来事を共有する。

 

裕輝「よし、準備はこんなところかな。ラジカセも無事に直せたし…後は明日を迎えるのみ!」

 

才花「…そうだね」

 

裕輝「ありがとね。味見とか仕込みとか手伝ってもらって」

 

才花「…それこそ気にしなくていいよ。私がやりたくてやってるだけだし」

 

裕輝「そう?ならいいけど…」

 

 目の前に数種のクッキー等のお菓子を並べ、裕輝と才花は準備を終える。

 

裕輝(…結局才花さんの悩みってなんだろう…。さっきも謝ってたし、やっぱり仮面ライダーになれないから俺一人に負担がいってることを気にしてるのかな…)

 

才花「…どうかした?」

 

裕輝「ん?あー、いや、何でもないよ。後は明日クッキーとかを焼いて持っていけば準備は終わりだなって思ってただけ」

 

才花「あんまりこういうお菓子作りとかやったことなかったし、新鮮で楽しかったよ。ありがとー」

 

裕輝「それは何より。…あ、そうだ。そういえば才花さんって学校では仲の良いお友達とかいるの?」

 

才花「えっ?急に何を……まさか、私に友達いないと思ってたりする?」

 

裕輝「ああいや、そう意味じゃないんだけどね!ほら、雑談だよ雑談。学校での才花さんの話、あんまり聞かないからさ!」

 

 才花の本心を図るべく、裕輝は陽菜美と関連があるだろう学校での話題を出すが、そのせいで才花からは友達がいないと思ってるのではとジト目で疑念をぶつけられ、慌てて釈明する。

 

才花「ふーん?…まあ、確かに普段はラズマの話ばっかりだしね。…いるよ、数は多くないけど、一人大切な友達が」

 

裕輝「…その友達について詳しく聞いてもいい?」

 

才花「急にどうしたのさー。…まあ、いいけどさ。…その子は私の後輩なんだけど…優しくて、友達想いないい子なんだ。…私が大変なときとか、いつも感じ取って相談に乗ってくれる…私には勿体無いくらいの友達だよ」

 

裕輝「才花さん、なんか悩みあるの?」

 

才花「えっ!?いや…別にないよー」

 

裕輝「…そっか。ま、なんかあったら言ってよ。俺も才花さんの力になりたいし!」

 

才花「…ホント、機道って物好きだよねー。……まあでも、ありがと」

 

裕輝「え?なんか言った?」

 

才花「な、なんでもないよー!」

 

裕輝「そ、そう…?」

 

 才花が小さく漏らした感謝の言葉を聞き逃した裕輝は聞き返すも、途端に羞恥を覚えた才花はなんでもないと誤魔化す。

 

才花(ごめん、機道。気持ちは嬉しいけど…まだ機道には明かせない。……今のままじゃ、ただのわがままだから。…けど、私が仮面ライダーに復帰さえできれば…)

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

裕輝「はい、喫茶からくりお手製のお菓子だよ〜」

 

「わーい!」

 

「クッキーだ!!」

 

美冬「みんな、ちゃんと並んで順番にねー」

 

「はーい!」

 

才花「…はい、どうぞ」

 

「ありがとー!」

 

 お遊戯会当日、裕輝と才花は用意してきたお菓子を入れたバスケットから一つ一つお菓子を配っていく。

 

美冬「修理だけじゃなくて色々お手伝いしてもらっちゃって、ありがとうございます。械条さんも…ありがとうね」

 

裕輝「いえ、こうして俺のお菓子を美味しそうに食べてくれるのは嬉しいですし。折角の楽しいお遊戯会ですからね」

 

才花「私も…まあ、いい経験になりました」

 

美冬「そうでしたか?…そう言っていただけたならよかったです」

 

 ラジオカセットとお菓子を届けに行ったついでにお遊戯会の手伝いを行った裕輝と才花。

 お菓子を美味しそうに食べる子供たちの姿を横目に、美冬からの感謝を伝えられる。

 

美冬「はい皆ー、次はダンスの時間ですよー」

 

「わーい!」

 

「ダンスだあ!」

 

裕輝「……」

 

才花「…微笑ましいね」

 

裕輝「うん」

 

 お菓子を食べ終えると、園児たちは美冬がラジオカセットから流した音楽に合わせて楽しそうにダンスを披露する。

 

裕輝「ん?…これは…」

 

才花「何かあったの?」

 

裕輝「デジカメドローナーに見回りをさせてたんだけど…。どうやらラズマがこっちに向かってるみたい」

 

才花「!…なんでラズマが…」

 

裕輝「わからない。こっちを狙ってる…のか偶然なのか…なんにせよ、放置は出来ない」

 

才花「…そう…だね。…なら、私も行くよ」

 

裕輝「…わかった。すみません、笹木さん」

 

美冬「どうされました?」

 

裕輝「ちょっと急用が出来ちゃったので、俺たち少し抜けますね」

 

 テクニカルフォンの通知を見てラズマの接近を察知した裕輝と才花は迎撃するべく動き出す。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

フラミンゴ「いい感情の気配…テンションが上がるぜ!フゥッ!」

 

《カメラオン!》

 

裕輝「ここ先へは行かせないぞ」

 

フラミンゴ「ん?…ああ、お前が仮面ライダーとやらか」

 

裕輝「…そうだ。俺が仮面ライダー…メカニック…!」

 

《ホッパー!》

《バイク!》

 

《エナジーオン!》

 

裕輝「変身!」

 

《アクティベート!

 

シナジースピード!ホッパーバイク!》

 

 索敵を行なっていたデジカメドローナーを回収し、カメラモードに戻して懐にしまいつつ、裕輝はフラミンゴラズマの前に立ち塞がると、仮面ライダーメカニック ホッパーバイクシナジーへと変身する。

 

メカニック「はあっ!」

 

フラミンゴ「フゥッ!」

 

メカニック「くっ…何だこの動き…やりづらい!」

 

 フラミンゴラズマは踊るような身のこなしでメカニックの蹴りを避けつつ、鋭い羽根の生えた翼を振るって斬撃を浴びせる。

 

フラミンゴ「さーて、空から失礼!」

 

メカニック「鳥だし飛べるってわけか…!だったらコイツを試してやる!」

 

《バット!》

《エナジーオン!》

 

《アクティベート!

 

バット&バイク!》

 

メカニック「ほっ…はああっ!!」

 

フラミンゴ「何っ!?」

 

 メカニックはバットエナジーデンチをホッパーエナジーデンチと交換すると、バッタを模した装甲部がコウモリを模したものに変化したメカニック バットバイクに姿を変え、背中に備わったコウモリの翼“トリボスウィング”を広げて飛行し、フラミンゴラズマに組み付く。

 

フラミンゴ「このっ!離せ…!」

 

メカニック「離すか…!」

 

フラミンゴ「くっ…!」

 

メカニック「うわっ!」

 

才花「機道…!」

 

 メカニックとフラミンゴラズマは互いに揉み合いながら近くの建物の吹き抜けからどこかの階層へと落ちていく。

 そしてその様を見た才花も慌てて後を追いかける。

 

フラミンゴ「よくもやってくれたな〜!お前を消して〜先へ進ませてもらうぜ〜!フッ!」

 

メカニック「どうして子供たちを狙う…!」

 

フラミンゴ「俺は踊る楽しさを求める!子供の純粋なダンスを楽しむ感情こそ…至高だ!」

 

メカニック「っ…そういう…ことかよ!はあっ!」

 

フラミンゴ「くっ…」

 

 フラミンゴラズマと肉弾戦を繰り広げながら、メカニックは保育園を狙った理由を問う。

 すると、フラミンゴラズマは子供のダンスを楽しむ感情が目当てだったと語り、それを聞いたメカニックは怒りを露わにしながら渾身のストレートパンチをフラミンゴラズマの横っ面に叩き込む。

 

《カリバーオン!》

 

メカニック「子供の感情を食い物になんて…させるか!はあっ!」

 

フラミンゴ「くっ…中々やるなボーイ…!」

 

メカニック「はああっ!」

 

ギフト「…ふん」

 

メカニック「ん?うわああっ!」

 

 カリバーモードのホイールカリバーを取り出して斬りかかって圧倒するメカニックだったが、背後から現れたギフトが手のひらから紫色の光弾を放ったことで不意打ちを受けてしまう。

 

メカニック「なんだ…!?」

 

ギフト「新たな仮面ライダーよ。お前の力…どれほどのものか試させてもらうぞ。ふんっ…!」

 

メカニック「ラズマになった…!?」

 

ギフト「私はギフト…ラズマを導く存在だ」

 

 突如現れたギフトに困惑するメカニックだったが、そんなメカニックに対し宣戦布告しつつギフトは蠍の姿をした怪人態へと変貌する。

 

メカニック「何だかよくわからないけど…要は敵ってわけだ!はあっ!」

 

ギフト「ふん。二対一の状態でどこまで抗えるかな?」

 

フラミンゴ「余所見してる場合かよ!フゥッ!」

 

ギフト「ふんっ!」

 

メカニック「くっ…ぐあっ!……負けるか!はあっ!!」

 

ギフト「…チッ」

 

フラミンゴ「なぬぅっ!?」

 

 ギフトは徒手空拳で、フラミンゴラズマは羽根を飛ばして次々に攻撃を仕掛けるが、それを受けてなお、メカニックは負けじとホイールカリバーによる斬撃を駆使して二人を退ける。

 

メカニック「ここは…」

 

《ホッパー!》

 

《エナジーオン!》

 

メカニック「シナジーで勝負だ!」

 

《アクティベート!

 

シナジースピード!ホッパーバイク!》

 

メカニック「はああっ!!」

 

ギフト「ほう…!」

 

フラミンゴ「ぐあっ…!危ないぜ〜!?」

 

 メカニックはホッパーバイクに戻ると、バッタの脚力で二人との距離を一気に詰め、ホイールカリバーでの斬撃を叩き込む。

 

才花「いた…けど、まさかギフトまで来てるなんて…」

 

メカニック「はあっ!だあっ!!」

 

ギフト「ならば…もう少し本気で行かせてもらおうか…!」

 

メカニック「刀…!」

 

フラミンゴ「フゥ!」

 

メカニック「ぐっ…」

 

ギフト「ぬるいな…!」

 

メカニック「うあああっ!!」

 

才花「機道!!」

 

 メカニックはなんとかホイールカリバーでフラミンゴラズマとギフトの攻撃を捌いていき、蹴りや斬撃で反撃するも、本気と称して刀を取り出したギフトに斬り上げられ、吹き抜けへと叩き落とされてしまう。

 

ギフト「フッ…大したことのない奴だったな」

 

《チャージオン!》

 

ギフト「……む?」

 

《スピードエナジーフィニッシュ!》

 

才花「え…?」

 

メカニック「うおおお…っ!はあーっ!!」

 

ギフト「何っ…!ぐあっ!!」

 

フラミンゴ「うぎゃあっ!?」

 

 メカニックを叩き落とし、勝ち誇ったように鼻を鳴らすギフト。

 しかし次の瞬間、吹き抜けの壁に螺旋を描くように光の道が形成され、そこを猛スピードでメカニックが駆け抜けることで復帰すると、その勢いのままギフトに跳び蹴りを浴びせて後退させ、その後ろにいたフラミンゴラズマもろとも蹴り飛ばす。

 

メカニック「そう簡単に負けるかよ…!」

 

ギフト「ほう…思ったよりはやるようだな…」

 

メカニック「こいつで…!」

 

《ゴリラ!》

《チェーンソー!》

 

《エナジーオン!》

 

メカニック「いくぜ!」

 

《アクティベート!

 

シナジーパワー!ゴリラチェーンソー!》

 

メカニック「うおりゃあっ!!」

 

 着地して体勢を立て直したメカニックはギフトとフラミンゴラズマの二人と相対しつつ、仮面ライダーメカニック ゴリラチェーンソーシナジーへと姿を変え、パワーチェーンソースラッシャーで斬りかかる。

 

フラミンゴ「ぐああっ!?い、いてええっ!?」

 

ギフト「くっ…その程度で騒ぐな…!」

 

メカニック「次のはもっと痛いぜ?」

 

《ギューン!》

《ギュギューン!》

 

メカニック「だああっ!!」

 

ギフト「くっ…ぐあっ!!」

 

フラミンゴ「うぎゃっ!!」

 

 メカニックの斬撃を受けたフラミンゴラズマは地面に転がされつつその痛みを訴えかけ、同じく斬撃を浴びて後退させられたギフトから苦言を呈される。

 しかし、そんな二人の隙を突いたメカニックは丸鋸状の斬撃を飛ばすことで追撃を仕掛ける。

 

メカニック「ヒーローの名にかけて…悲劇はここで終わらせる!」

 

《ギュイギュイギュイーン!》

 

メカニック「はああーっ!!」

 

《エナジーカッティング!》

 

ギフト「くっ…!」

 

フラミンゴ「うぐ…うぎゃあああああっ!!」

 

 メカニックは手早くパワーチェーンソースラッシャーのストロングスレバーを4度引いて刀身に橙色のエネルギーを纏わせると、それを横薙ぎに振るうことで二人に攻撃を仕掛ける。

 ギフトは咄嗟に自身の身を蠍の尾を伸ばして巻き付けることで防御し、吹き飛ばされるだけで抑えるが、フラミンゴラズマはモロにその斬撃を受けたことで爆散する。

 

「う…っ…」

 

パキャンッ!

 

 時を同じくして、才花によって病院に搬送されていた宿主の女性から、取り込まれていたフラミンゴラズマデンチが排出され、砕け散る。

 

ギフト「なるほど…これが新たな仮面ライダーの力か…」

 

メカニック「覚悟しろ…!」

 

ギフト「貴様、メカニックとか言ったな。…あまり調子に乗らないことだ」

 

メカニック「!逃げたか…忍者みたいな逃げ方だな…」

 

 防御姿勢を解いたギフトは捨て台詞を吐くと同時に毒霧を自身の周りに放って姿を眩ますのだった…。

 

裕輝「才花さん、アイツは?なんで人間の姿を持ってるんだ…?」

 

才花「……ギフト、産業革命軍の幹部で…安定態のラズマだよ」

 

裕輝「安定態…ってことは…まさか」

 

才花「そう、アイツは宿主の人間の命を吸い尽くして、乗っ取ってるってこと」

 

裕輝「そうだったんだ…」

 

才花「…他にも安定態のラズマは何体かいるんだよね。……私がもっとしっかりしてれば防げたかもしれないのに…」

 

裕輝「才花さんが悪いなんてことないよ。…とにかく、アイツには要注意だな」

 

才花「…そうだね」

 

 変身を解き、才花からギフトが人の命を犠牲にして安定態になったラズマだと知った裕輝は警戒を強めるのだった…。

 

裕輝「よし、じゃあ戻ろっか」

 

才花「…うん」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

裕輝「子供たちも喜んでくれてたし、良かった良かった。…ラズマにされてた人も無事に意識を取り戻したらしいし」

 

ベータ「そうだな。それにしても、安定態のラズマか…厄介な奴がいるもんだな」

 

裕輝「今のままじゃアイツには勝てない…もっと強くならないと」

 

ベータ「よし、それなら僕様も新しい武装の開発に着手するとしよう!」

 

裕輝「……あんまり費用かけないでくれよ」

 

ベータ「わかってるって!」

 

 安定態のラズマという強敵に対抗するべく新たなアイテムを開発しようとするベータに、裕輝はここのところベータの発明によって売上の一部が消し飛んでいたことからお金を使いすぎないよう、軽く頼むのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

才花「……院部先生、ドライバーの修理はどうですか?」

 

明南「順調、と言いたいところですが…ダメですね。元々製作者でもないですし、あなたが持ってきた物なので、私の頭脳をもってしても、このドライバーの修理は相当難易度が高いです。できてメンテナンスくらいですかね」

 

才花「そう…ですか」

 

明南「……ただ、元々ドライバーを持っていた機道さんと共にいたベータさん。彼なら或いは…」

 

才花「確かに一理ありますね。…なら、ベータさんにも声を掛けてみます」

 

明南「ええ、よろしくお願いします。…彼の腕前も知りたいですし」

 

 エナジーテクノドライバーの修理は上手くいっていないと告げる明南に焦った様子を見せる才花。

 しかし、そんな才花に元からエナジーテクノドライバーを所持していた裕輝と共にいるベータならもしかしたら修理できるかもしれないと聞いた才花はベータに頼むことを決める。

 

明南「何にせよ、あまり思い詰めない方がいいですよ。花笠さんも心配そうでしたし」

 

才花「…はい。……そっか、陽菜美ちゃんにも心配かけちゃってたか…」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

???「……仮面ライダー…その存在を見極めるためにも、ガレージに引き入れる方策を考える必要がありそうね」

 

 椅子に腰掛け、デスクの上に置かれたモニターに映るメカニックの戦いぶりを確認していたのは、長い黒髪と切長の目が特徴的で、理知的な印象を受ける美女だった。

 利用しているデスクの大きさや高級感、そしてデスクの上に置かれたネームプレートに刻まれた「ガレージ本部 副長官」の文字がその立場を示す。

 そのネームプレートに刻まれた彼女の名は「理佐(りさ)  沙知代(さちよ)

 

沙知代「…それに、彼らの下に入られると厄介でもある。それだけは避けなければ…」

 

 沙知代は仮面ライダーを自身の元に引き入れるべく、思案を巡らせるのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

次回、仮面ライダーメカニック!

 

「見たなぁ…!」

 

才花「夜に騒音を鳴らし、それを不快や不審に思った人が窓を開けて確認する、その瞬間に襲われる…」

 

「おい怪物!俺の弟返せよ…!」

 

──騒音を起こして人を襲うラズマに立ち向かえ

 

裕輝「戦う力を持たない人の代わりにラズマと戦うのだって、仮面ライダーの勤めのはずだからね」

 

才花「ベータさんは私のドライバーを直せない?」

 

ベータ「音を扱うこのシナジーなら、今回の事件を起こしているラズマには相性がよいかもしれんな」

 

──バットスピーカーで撃ち鳴らせ!

 

裕輝「俺の魂のビートを聴かせてやるよ」

 

vol.4「騒音騒ぎ×夜空のビート!」

 

日曜午後9時!




第3話をご覧いただきありがとうございます。

今回はいよいよ敵幹部・ギフトの本格参戦ということで、その活躍にも是非ともご期待ください!

そして、メカニック本編の裏側を描くスピンオフ「仮面ライダーメカニック Hero's Intermission!」第1話が同時公開となりますので、そちらも是非よろしくお願いいたします!
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