仮面ライダーメカニック   作:玲音考人

5 / 13
vol.4「騒音騒ぎ×夜空のビート!」

陽菜美「私、花笠陽菜美は最近仲の良い高校の先輩である才花先輩が悩みを抱えていることを知りましたが、話を聞くことしかできず、力になれずにいました。

そんなある時、喫茶店からくりというお店から才花先輩が出るところを目撃した私は、そのお店の店主である機道さんと知り合うのでした…」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

〜♪

 

「…んん…なんだろう、こんな時間にうるさいなぁ…」

 

 深夜、高校生くらいの少女が騒音で目を覚ますと、音の源を確かめるために窓を開ける。

 

「…一体何の音…って、か、怪物…!?」

 

???「見たなぁ…!」

 

「キャーッ!!」

 

 窓の外にいたのは色とりどりなオウムのような姿をした怪物。

 その怪物は工事現場の音や掃除機の音など様々な騒音をその口から発しており、その様を見た少女が恐怖のあまり声を漏らすと、ギギギ…という擬音がつきそうな動作で少女の方を向き、そして一気に飛びかかるのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

才花「……まさか、ここでもラズマ被害が出るなんて…」

 

明南「そうですね…。実際、第一寮の寮生からは怪物の目撃情報がいくつも上がっていますし…」

 

才花「私は第二寮の方なのでわかりませんでしたが、何人かの第一寮の寮生から同じ話は聞けました」

 

 翌朝、深刻な面持ちで理科準備室にて話し合っていたのは才花と明南だった。

 昨夜に被害に遭ったのは紀佳井高校の寮から通う寮生の一人だったようで、二人はラズマによる仕業と判断する。

 

明南「仕方ありませんね。機道さんに共有をお願いします」

 

才花「……それは」

 

明南「彼を戦いに巻き込みたくない気持ちもわかりますが、現状彼しか対抗ができませんので。申し訳ないですが、お願いします」

 

才花「……わかりました」

 

 才花が裕輝を戦いに巻き込みたくない気持ちを慮りつつも、現状他に方法がないこともあり、明南は裕輝への情報共有を才花に依頼する。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

vol.4「騒音騒ぎ×夜空のビート!」

 

才花「……来たよ。──え?」

 

裕輝「あ、いらっしゃい」

 

陽菜美「あっ、才花先輩…!?」

 

 からくりに入った才花。

 普段は自分以外の客がいない時間だったが、今日は珍しく先客、それもよく知った人物がいたため目を丸くする。

 

才花「どうして陽菜美ちゃんがこの店に…二人って知り合いだったの?」

 

陽菜美「えっと…その…」

 

裕輝「少し前に偶々お店に来てくれてね。それ以来時折来てくれるようになったんだ。それより、二人とも知り合いだったんだ」

 

陽菜美「そ、そうなんです。才花先輩は学校でいつも面倒を見てくれる、優しい先輩なんですよ」

 

裕輝「へえ、才花さんらしいね」

 

才花「ちょ、やめてよ。恥ずかしいじゃん」

 

裕輝「…才花さんも陽菜美ちゃんと同じでちょこちょこお店に来てくれるんだよ」

 

陽菜美「そ、そうだったんですね」

 

 裕輝は陽菜美が才花のことで相談しに来ていることを本人に悟られぬよう機転を効かせて当たり障りのない説明をしつつ、才花と陽菜美の交友関係を今知ったように振る舞うと、陽菜美もそれに乗っかる。

 

陽菜美「…それじゃあ、私はそろそろ帰りますね」

 

裕輝「うん。また来てねー」

 

才花「また明日」

 

陽菜美「はい!」

 

 その場を切り抜けた陽菜美はそそくさとお代を置いて店を後にする。

 

才花「……まさか陽菜美ちゃんがこのお店知ってたなんて…。まあ、学校からそれなりに近いから不思議ではないけど…」

 

裕輝「まあね。ちょっとした相談的な感じで話を聞いてたんだ」

 

才花「……相変わらずお人好しだなぁ」

 

裕輝「そんなんじゃないって。にしても、こんな時間に来るなんて珍しいね」

 

才花「それなんだけど、今日は客ってよりは“協力者”として来てるんだよね」

 

裕輝「!…なるほどね。ちょっと待ってて」

 

 才花の言葉から用件をある程度察した裕輝は一度店の看板を「CLOSE」に変えると、店の奥から出て来たベータと共に改めて話を聞く。

 

裕輝「またラズマの被害が出たんだよね?」

 

才花「うん。今回はウチの学校の第一寮で生徒が一人襲われたんだ」

 

裕輝「紀佳井高校が?……そういえば、確かにさっき陽菜美ちゃんから昨晩不審者が寮に入ってきて学校が騒がしいって言ってたな」

 

才花「表向きはそういうことにしてるみたい。多分、混乱や不安を煽らないよう院部先生が手を回したんだと思う」

 

裕輝「……なるほど」

 

ベータ「妥当な判断だな」

 

 裕輝は才花の話を聞き、先程陽菜美から聞いた話を思い出す。

 

裕輝「取り敢えず偵察に出してみるか」

 

《チャージエナジー!》

《ドローンオン!》

 

裕輝「自動偵察モードにして…と。頼んだよ」

 

才花「……一応、私の方でも偵察は出してあるんだ」

 

裕輝「了解。なんか見つかったら教えて」

 

才花「うん」

 

 裕輝はデジカメドローナーをドローンモードに変えると、そのまま外に出して偵察に向かわせ、才花も既に偵察に出していることを共有する。

 

裕輝「……今回、紀佳井高校の寮が襲われたってことは才花さんを狙ったのかな?」

 

才花「その可能性は低いと思う。調べたところ、既に別の場所で似たやり口の被害が何件か出てるみたいだから」

 

裕輝「やり口って?」

 

才花「夜に騒音を鳴らし、それを不快や不審に思った人が窓を開けて確認する、その瞬間に襲われる…って感じだね」

 

裕輝「……迷惑極まりないな」

 

ベータ「ということは活動時間は夜か…」

 

 紀佳井高校の寮が狙われたことから才花が標的なのかと考えた裕輝だったが、才花からその線は薄いと返される。

 

裕輝「まあ、何にせよ夜に活動するっていうなら、もう夕方だしそろそろ動き出すかもってことか」

 

才花「うん。…今回のラズマが求めてるのは騒音による不快さ、だと思われるから…それが最大限高まる夜間に活動してるんだと思う」

 

裕輝「なるほど…。そういえば、なんでラズマって襲う人を選ぶんだ?人の感情が餌なら無差別に襲ったりしそうなものだけど、好みが分かれてるってこと?」

 

才花「まあ、そういう感じかな。私も詳しいとは言いにくいけど、ラズマは宿主の人間がその時抱えていた強い感情を元にして生み出されるから、例えば美味しいスイーツを食べた喜びから生み出されたラズマは同じ感情…つまり、美味しいスイーツを食べて喜んでる人間ばかりを狙う」

 

ベータ「補足しておくと、ラズマの生態メカニズム上、恐らく生み出された時と同じ感情から作られたメタックスエナジーでなければ吸収がしづらいのだろうと考察されているぞ」

 

裕輝「へー…って、知ってんなら先に教えてくれよ」

 

ベータ「最初に説明しただろ。…ま、あの頃のお前にはあんまり周りが見えてなかったのだろうが…」

 

裕輝「あー、そうだっけ。ごめん」

 

才花(あの頃?…そういえば、結局機道はどうして仮面ライダーに変身する力を持ってるんだろう。……ベータさんと出会った経緯とかも知らないし。そう考えると、私機道のこと全然知らないんだなぁ…)

 

裕輝「……才花さん?」

 

才花「あっ、ごめん。ちょっと考え事してた」

 

裕輝「?…何はともあれ、地道に手がかりを集めるしかないかな…」

 

 ラズマが狙う人間を選ぶ理由について才花とベータから教えてもらう裕輝。

 その会話の中で出てきた言葉から裕輝の過去について何も知らないということを才花は思い知る。

 

〜♪

 

裕輝「!…才花さんのデジカメドローナーから通知…?」

 

才花「……うん。見つかったみたい」

 

裕輝「行こう。道案内お願いできる?」

 

才花「任せて。データは送っておくから、途中からデジカメドローナーに先導してもらおう」

 

 才花のテクニカルフォンに届いたラズマ発見の通知を受けて、裕輝は才花と共にメカニカルダッシャーへと乗り込んで現場へ向かう。

 そして道を進む途中で合流した裕輝のデジカメドローナーの先導で現場へと向かっていく。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

???「さーて…!狩りの時間といくか…!」

 

裕輝「いた!」

 

才花「…オウム、みたいね」

 

 日の沈み始めた公園。

 そこに佇んでいたオウムのような怪人…パロットラズマはそろそろ人間を襲おうと動き出さんとするが、そこにメカニカルダッシャーに乗った裕輝と才花が駆け付ける。

 

パロット「なんだぁ?」

 

裕輝「ここのところ騒音騒ぎを起こして人を襲ってたのはお前だな?」

 

パロット「だったらなんだ!」

 

裕輝「お前を倒──」

 

???「見つけたぞ!!」

 

裕輝「うえっ!?」

 

才花「えっ?」

 

パロット「今度はなんだぁ?」

 

 パロットラズマを倒すためにエナジーテクノドライバーを取り出した裕輝だったが、そこに駆け付けた少年の存在に慌ててドライバーを隠す。

 

才花「あれ、あの人…」

 

裕輝「ちょっ、君、危ないって!」

 

???「あんたたちこそ、誰だよ!俺はこの怪物に用があるんだ!」

 

裕輝「え?」

 

???「おい怪物!俺の弟返せよ…!」

 

パロット「なんだお前…面倒だな。纏めて消え失せろ!!」

 

裕輝「危ない!」

 

《バリアアプリ!》

《シャキーン!》

 

才花「っ…音波を射出しての攻撃…ってところかな。ありがとう、機道」

 

???「な、なんだ今の……」

 

 パロットラズマに敵意を剥き出しにする少年に困惑する裕輝だったが、パロットラズマが仕掛けた音波攻撃からバリアアプリを使って展開したバリアによって才花と少年を守る。

 

裕輝「仕方ない…才花さん!その子頼んだ!」

 

才花「…分かった。こっちに」

 

???「えっ、ちょっ…俺はあいつに用が…」

 

《ホッパー!》

《バイク!》

 

《エナジーオン!》

 

裕輝「変身!」

 

《アクティベート!

 

シナジースピード!ホッパーバイク!》

 

メカニック「ふんっ!」

 

パロット「くっ…お前、仮面ライダーだったのか…!」

 

???「か、仮面ライダー…!」

 

才花「……このことは、内緒でお願いね?」

 

???「は、はい…」

 

 裕輝は少年を才花に任せると、自身は仮面ライダーメカニック ホッパーバイクシナジーに変身してホイールカリバーで斬りかかる。

 

メカニック「はあっ──」

 

パロット「ふん!」

 

メカニック「くっ…厄介だな、この音波攻撃…」

 

 メカニックは追撃を仕掛けようとホイールカリバーを振り上げるも、その隙を突いてパロットラズマの音波攻撃によって退けられてしまう。

 

パロット「ふんっ!」

 

メカニック「っと…音波には音波だ!」

 

《エナジーオン!》

 

メカニック「はあっ!!」

 

《エナジーストライク!》

 

パロット「くっ…ぐあっ!!」

 

 メカニックはバットエナジーデンチをホイールカリバーへと装填すると、音波の斬撃を放つことでパロットラズマの音波攻撃を打ち消しつつダメージを与える。

 

メカニック「追撃だ…!」

 

ギフト「ふん!」

 

メカニック「っ…ギフト…!」

 

ギフト「行け」

 

パロット「恩に着るぜ!」

 

メカニック「待て!」

 

ギフト「お前の相手は私だ。同胞を増やす邪魔をしないでもらおう!」

 

メカニック「くっ…!」

 

 メカニックに斬りかかりつつ現れたのはギフト怪人態だった。

 そしてパロットラズマを逃すと、そのままメカニックと対峙する。

 

メカニック「仕方ないか…はあっ!!」

 

ギフト「ふん。その程度の攻撃で私を倒せると思うなよ?」

 

メカニック「…やっぱり強いな…!」

 

ギフト「ふんっ!」

 

メカニック「うああっ!!」

 

 メカニックは渋々ギフトを相手取ることに決め、ホイールカリバーで突きを放つも、ギフトの剣術によって捌かれ、反撃の一太刀を浴びてしまう。

 

ギフト「ふん。この間はマグレだったようだな」

 

メカニック「くっ…!」(この広さじゃゴリラチェーンソーを使っても避けられるな…。どうすれば…)

 

 ギフトに押し負けつつあるメカニックはより火力の高いゴリラチェーンソーへの切り替えを考えるが、閉所での戦いだった以前と違い、拓けた公園であるこの場所では攻撃を当てられないと判断する。

 

才花「だったら…機道!これ使って!」

 

メカニック「…!分かった。ありがとう!」

 

《コンピューター!》

《エナジーオン!》

 

メカニック「いくぜ!」

 

《アクティベート!

 

ホッパー&コンピューター!》

 

 ギフトに対抗するべく、メカニックは才花が投げ渡した白色のパソコンが描かれたコンピューターエナジーデンチをバイクエナジーデンチと入れ替える。

 そうしてその姿はバイクを模した装甲が白を基調としたコンピューターのパーツを模した装甲に置き換わった、メカニック ホッパーコンピューターへと変わる。

 

《キーボードブレード!》

 

メカニック「いくぜ…!はあっ!」

 

ギフト「サイビアの力か…どこまでできるか見ものだな。ふん!」

 

メカニック「はっ!」

 

ギフト「……!」

 

 メカニックはキーボード型の大剣“キーボードブレード”を構えると、それを振るってギフトに重い斬撃を浴びせようとする。

 その一撃を避けたギフトはメカニックの左肩に刀を振り抜こうとするも、メカニックはその動作を先読みして最小限の動作でキーボードブレードを持ち直して攻撃を防ぐ。

 

メカニック「はあっ!!」

 

ギフト「く…!そうだったな。そんな力だったな…」

 

メカニック「毒…!」

 

ギフト「これで近づけないだろう?」

 

メカニック「それはどう…かな!」

 

ギフト「何…!」

 

 メカニックのキーボードブレードによる斬撃を刀で受け止めたギフトは毒の霧を撒くことでその動きを制限しようとするが、メカニックはバッタの脚力を発揮して毒霧を飛び越え、そのまま斬撃をお見舞いする。

 

メカニック「いくぜ…!」

 

《チャージオン!》

 

ギフト「…!」

 

《エナジーフィニッシュ!》

 

メカニック「だああっ!!」

 

ギフト「ぐ……っ!」

 

 メカニックはドライバーのエナジーアクティベーターを操作すると、0と1のエフェクトを帯びた右脚で跳び回し蹴りを放ち、蠍の尾を巻き付けた刀で受け止めようとしたギフトを押し込む。

 

ギフト「……なるほど、マグレではないようだな。まあいい、最後に勝つのは…私たちだ」

 

 ギフトはメカニックの実力を把握すると、全身を毒霧に包んでそのまま姿を消す。

 

裕輝「……っと、変身が…」

 

才花「シナジーじゃないと長くは持たないみたいだね。…引いてくれて助かったかも」

 

 ギフトがいなくなった直後、変身が保てなくなり、裕輝は元の姿に戻る。

 その様を見てシナジー形態でなければ変身は長持ちしないと語りつつ、才花はコンピューターエナジーデンチを受け取る。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

???「俺、田中(たなか) 貴匡(たかまさ)って言います!」

 

裕輝「俺は機道裕輝。この喫茶店の店主をやってる」

 

才花「私は械条才花…紀佳井高校の三年だよ」

 

 パロットラズマに挑みかかろうとしていた少年…貴匡を連れて、裕輝と才花は一度からくりに戻ってきていた。

 

貴匡「あっ、俺も紀佳井高校の一年です!械条先輩のことも見かけたことありますよ」

 

裕輝「へえ、そうだったんだ。才花さんは見たことある?」

 

才花「……ごめん、あんまり覚えてないかも」

 

貴匡「ガーン」

 

裕輝「……で、結局君はどうしてあんな無茶を?」

 

貴匡「それは…その、実は俺…見たんです」

 

才花「見た?」

 

貴匡「なんか、俺の弟が黒ずくめの服着た奴に話しかけられて、そしたらなんかされたっぽくて…弟からさっきの化け物が出てきたんです」

 

裕輝「……そういうことか」

 

貴匡「そしたらなんか、弟は倒れて目を覚まさなくなっちゃって…」

 

才花「それであの怪物を追ってた、と」

 

裕輝「確かに、アイツを倒せば、多分君の弟君も元に戻るはず。……やるよ、俺がアイツを倒してみせる」

 

貴匡「!…いいんですか?」

 

裕輝「勿論。見過ごすわけにもいかないし…元からラズマがこれ以上の被害者を出す前に倒すつもりだったし。……戦う力を持たない人の代わりにラズマと戦うのだって、仮面ライダーの勤めのはずだからね」

 

才花「!代わりに…戦う……」

 

貴匡「機道さん…ありがとうございます!!」

 

 パロットラズマの宿主にされたのが貴匡の弟であると知った裕輝は自分がパロットラズマを倒してみせると約束する。

 

裕輝「……さて、今日はもう遅いし、貴匡君も帰ったほうがいいよ」

 

貴匡「分かりました…。弟のこと、よろしくお願いします!」

 

裕輝「うん」

 

才花「……」

 

 裕輝は時間が遅いことを考慮し、貴匡に帰るよう促すと、貴匡もそれに素直に従い、弟のことを託すと、からくりを後にする。

 

裕輝「さて、才花さんもそろそろ帰ったほうがいいんじゃない?」

 

才花「…そうだね。その前に、ベータさんに頼みたいことがあって……」

 

裕輝「ベータに?」

 

ベータ「…なんだろうか?」

 

 貴匡が帰ったのを見送った後、才花にも帰るよう促す裕輝だったが、そんな裕輝に才花はベータに用があることを告げる。

 それを聞いて店の奥から出てきたベータに、才花は自身のエナジーテクノドライバーを差し出す。

 

才花「ねえ、ベータさんは私のドライバーを直せない?」

 

ベータ「僕様が?」

 

才花「院部先生でも直せないらしくて。…でも、どういう経緯かは知らないけどあなたたちはドライバーを持ってたわけだし、直せないかなって」

 

裕輝「才花さん…」

 

才花「……ギフトまで動き出してる以上、いい加減に私も復帰しないと思ってね」

 

裕輝「なるほど…ベータ、できそうか?」

 

ベータ「僕様の才能なら可能さ!」

 

才花「本当!?」

 

ベータ「ああ。元々、裕輝も変身できるようになった今ならデータが足りてるし、直せるとは思ってたんだ。そろそろ僕様からも提案しようかと思ってたけれど…そちらから依頼してくれるなら好都合というものさ」

 

才花「ありがとう。…それじゃあ、お願いね」

 

ベータ「任せたまえ!」

 

裕輝「この分なら、才花さんも近いうちに復帰できそうだね」

 

才花「……そうだね」

 

裕輝「才花さんが復帰したら一緒に戦えるようになるのかあ」

 

才花(ごめん、機道。でも…やっぱり、これは私がやるべきこと…私が背負うべきことだから。だから…私が復帰したら……その時は)

 

 才花はベータに自身のエナジーテクノドライバーの修理を依頼すると、ベータもそれを快く引き受ける。

 才花が復帰できそうということを喜ぶ裕輝だったが、その胸中で抱えていた才花の想いには気づけずにいた。

 

裕輝「さて、明日は現場に行ってラズマの痕跡を辿るか」

 

ベータ「そうだな。…そうだ、先に渡しておくけど…これ、新しいエナジーデンチだ」

 

裕輝「これって…スピーカー?」

 

ベータ「ああ。この間テクニカルフォンのお陰でバットデンチのシナジー相手が分かっただろう?だから優先して作ってみたぞ」

 

裕輝「おお〜」

 

ベータ「それに、音を扱うこのシナジーなら、今回の事件を起こしているラズマには相性がよいかもしれんな」

 

裕輝「なるほど…ありがとな!」

 

ベータ「気にするな」

 

 才花も帰った後、ベータは裕輝にエナジーチャージケースにセットしていた桃色のスピーカーが描かれたスピーカーエナジーデンチを取り出して授けると、相性のいいバットエナジーデンチとのシナジー形態であればパロットラズマに有効かもしれないと語る。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

裕輝「……えーっと、この辺かな」

 

貴匡「…これは、何を?」

 

裕輝「このデジカメドローナーにはメタックスエナジー…あの怪物が蓄えてるエネルギーの残滓とかを写真に映せる機能があるんだ。だから何か痕跡がないかなって」

 

貴匡「なるほど」

 

裕輝「これでアイツがどこから来たか追えればいいんだけど…やっぱり鳥だし飛んできてるのか、足跡とかはないね」

 

貴匡「他に何か手掛かりになりそうなのは…。あっ!機道さん!あれ!」

 

裕輝「ん?……これは…羽根か。この色って…もしかして」

 

 デジカメモードのデジカメドローナーを用いてパロットラズマの足跡を辿ろうとする裕輝だったが、相手は飛べることもあり想うような手がかりを得られず苦戦する。

 しかし、そこで貴匡が地面に落ちていた鮮やかな青色の羽根を発見する。

 

裕輝「!メタックスエナジーの反応がある…ということは…やっぱり、間違いない。これはアイツの羽根だ!」

 

貴匡「本当ですか!?」

 

裕輝「お手柄だよ、貴匡君!他にも何枚かあれば…行き先を辿れるかも…!」

 

 デジカメドローナーで調べたところ、メタックスエナジーの反応があったため、パロットラズマの羽根であることを確信した裕輝は、他にもないかと街中を探し始める。

 

裕輝「そういえば、貴匡君の弟君って、倒れる前は騒音かなんかに苦しんでたりしてなかった?」

 

貴匡「えっ?…そういえばここしばらく家の近くで工事してて、あいつうるさいの苦手だから嫌そうにしてました」

 

裕輝「……なるほど。やっぱり、ラズマの行動原理は宿主が抱いていた感情によるってことか…」

 

 探す中、ふと気になった裕輝は貴匡の弟が騒音に苦しんでいなかったかを問う。

 すると、その通りだという回答が来たため、ラズマの行動原理が宿主の感情に則していることを実感する。

 

陽菜美「…あれ、機道さん。こんな所で何してるんです?」

 

裕輝「あっ、陽菜美ちゃん。こんにちは」

 

陽菜美「こんにちは。一緒にいる方は…えっと、確か紀佳井高校の一年の方ですよね?」

 

貴匡「はい!田中貴匡って言います!よろしくっす!二年の先輩ですよね?」

 

陽菜美「はい。花笠陽菜美と申します。よろしくお願いします!」

 

裕輝「そうだ、実は今ちょっと探し物してて…こういうの、この辺で見てないかな?」

 

陽菜美「青色の羽根…ですよね?バードウォッチングか何かですか?」

 

裕輝「まあ、そんなとこ」

 

陽菜美「う〜ん…。あっ!そういえば見ました!」

 

貴匡「ほ、ほんとっすか!?」

 

陽菜美「はい!…えっと、ここからは少し離れた所なのですが……町外れの雑木林の辺りで見かけた気がします!」

 

裕輝「なるほど…。暇だったらでいいんだけど、案内ってできそう?」

 

陽菜美「全然大丈夫ですよ!お任せください!」

 

裕輝「ありがとう!」

 

 パロットラズマの羽根を見て、見覚えがあったという陽菜美の案内で裕輝たちは近くの雑木林へ向かうことに。

 

陽菜美「この辺りだった気がしますが…」

 

裕輝「よし、ちょっと探してみるよ。ありがとね」

 

陽菜美「いえいえ、折角ですし私もお手伝いしますよ!」

 

裕輝「助かるよ」

 

 陽菜美と共に雑木林へとやってきた裕輝と貴匡。

 三人は早速青色の羽根を探し始める。

 

陽菜美「あっ!ありました!」

 

裕輝「本当だ。…うん。間違いなさそうだね」

 

陽菜美「道を歩いてたら目に入って、こんな大きい青色の羽根を落とす鳥なんていたんだ、と思いまして…それで覚えてました」

 

貴匡「あの、こっちにもありました!」

 

裕輝「えっ!?…確かに、これも間違いないな」

 

陽菜美「見た目も似てますね」

 

 陽菜美は自身が見たという道沿いの羽根を見つけ、その珍しさから印象に残っていたという話をしていたが、今度は貴匡が雑木林の奥の方で羽根を見つけてくる。

 

裕輝「…落ちてたのってそこだよね?」

 

貴匡「はい!」

 

裕輝「となると…さっきの公園から考えると…こっちに向かったってことかな?」

 

貴匡「なるほど……」

 

裕輝「後は…才花さんから共有のあった他の現場の位置を重ねると…」

 

陽菜美「えっと、これは一体何を…?」

 

裕輝「え?あー、俺たちが追ってるのって珍しい鳥だからさ。目撃情報と照らし合わせてすみかを追ってる…みたいな感じかな」

 

陽菜美「そうなんですね!才花先輩もお手伝いしてたなんて…」

 

 裕輝は公園から雑木林にあった二枚の羽根までの位置関係をテクニカルフォンの機能でマッピングし、更に才花から共有のあった事件の発生場所との位置関係と比較することですみかを割り出そうとする。

 

裕輝「……多分、ここだな」

 

貴匡「ここって…音慈牧植物園?」

 

裕輝「そんなとこに潜んでたのか…」

 

陽菜美「?」

 

裕輝「じゃあ、俺たちは植物園に向かおうか。…あ、陽菜美ちゃんはもう夕方だし、帰って大丈夫だよ。手伝ってくれてありがとね」

 

陽菜美「そうですね…。私は寮住まいですし、そろそろ帰ることにします…。お二人とも、目当ての鳥さんが見つかるといいですね!」

 

貴匡「ありがとうございました!」

 

裕輝「今日のお礼に今度お店来たら飲み物オマケするから、よかったらまた来てね」

 

陽菜美「ありがとうございます!…では、また」

 

 得られた手がかりをもとにパロットラズマは音慈牧植物園にいるであろうということを突き止めた裕輝は、既に夕暮れということもあり陽菜美を帰らせる。

 

裕輝「さて…俺たちも向かおうか」

 

貴匡「はい!」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

裕輝「……ここは夜もやってて良かった…」

 

貴匡「ライトアップも目玉みたいですね」

 

裕輝「確かに、結構いい景色だよね。…さて、アイツは…あっ!反応あった!」

 

 植物園へとやって来た裕輝と貴匡。

 裕輝はテクニカルフォンを使ってパロットラズマのメタックスエナジーを探知しながら歩いていたところ、その反応を捉える。

 

裕輝「端っこの方にもなると人も少ないし、明かりもない。あの巨体でも見つからないわけだ」

 

貴匡「こんなとこに潜伏してるなんて…」

 

裕輝「…そこか。ここは…!」

 

《ライトアプリ!》

《ピカーン!》

 

パロット「何だ!?」

 

貴匡「いた!」

 

裕輝「よう、昨日ぶりだな…ラズマ」

 

パロット「…仮面ライダー…!何故ここが…!」

 

 植物園の敷地内の端にある木々が植えられているスペースで反応があることを確認した裕輝は人気の少ないこの場所だからこそ潜伏を可能としていたと悟り、とある木に向かってテクニカルフォンで強烈なフラッシュを喰らわせる。

 すると、急に強い光を浴びせられたことで何事かとパロットラズマが飛び出してくる。

 

裕輝「お前はここで倒す」

 

《バット!》

《スピーカー!》

 

《エナジーオン!》

 

 裕輝はパロットラズマと相対すると、エナジーテクノドライバーを身につけ、バットエナジーデンチ、そして桃色のスピーカーエナジーデンチを装填する。

 

裕輝「変身!」

 

《アクティベート!

 

シナジービート!バットスピーカー!》

 

パロット「なんだあの姿は…!?」

 

貴匡「おお…!」

 

メカニック「ヒーローの名にかけて、悲劇はここで終わらせる!」

 

 裕輝はエナジーテクノドライバーを操作すると、黒色のコウモリを模した装甲と桃色のスピーカーを模した装甲を纏った仮面ライダーメカニック バットスピーカーシナジーへと変身を遂げる。

 

パロット「ふん…どんな姿だろうが無駄だ!」

 

メカニック「その攻撃は…通用しない!」

 

パロット「!?」

 

メカニック「はっ!たあっ!!」

 

パロット「くっ…何故俺の音が…」

 

メカニック「お前の放った音を打ち消したんだよ。ノイズキャンセリングの要領ってやつさ。はあっ!」

 

パロット「ぐあっ!」

 

 パロットラズマは音波攻撃を放ってメカニックを狙うも、メカニックは両肩のスピーカーから音波を放ってそれを相殺する。

 そして打撃を浴びせてパロットラズマを打ちのめすと、困惑しているパロットラズマに種明かしをしつつ、音の衝撃波を浴びせる。

 

メカニック「さて、ベータが作った新武器…試すとするか」

 

《ビートスピーカーシューター!》

 

メカニック「俺の魂のビートを聴かせてやるよ。はあっ!」

 

パロット「ふん!…ぐっ…見えない…!?」

 

 メカニックはスピーカーを模し、二口の銃口が特徴的な桃色と黒色を基調とした銃型の武装“ビートスピーカーシューター”を召喚すると、不可視の音の弾丸を放ってパロットラズマを銃撃する。

 

パロット「ならば…逃げるだけだ…!」

 

メカニック「逃がすか…!」

 

パロット「ふん!どんな攻撃も…当たらなければ意味はない!」

 

メカニック「なるほど。…だったら、的を絞るか」

 

《ロウ…!》

 

メカニック「はあっ!ふっ!」

 

パロット「ぐっ!?当てられただと!?」

 

メカニック「範囲を絞って狙い撃ちしたんだ…よ!」

 

パロット「くっ…!小癪な…」

 

 トリボスウィングを広げて飛び立つことでパロットラズマを追いかけるメカニックはビートスピーカーシューターの横にあるツマミ“サウンダーダイヤル”を下に回すことで「M」の目盛りから「L」の目盛りを合わせると、範囲が小さくなり、威力が下がった代わりに狙い撃ちしやすくなった音の弾丸を放ってパロットラズマを連続で撃ち抜く。

 

メカニック「次は…!」

 

《ミドル!》

《ハイ!!》

 

メカニック「今だ!」

 

パロット「うぐっ…!今度は重い…!」

 

 メカニックはパロットラズマの行き先をある程度読んで先回りすると、サウンダーダイヤルを上に二段階回して「H」の目盛りに合わせると、今度は射程が短くなった代わりにより強力で広範囲に広がる音の弾丸をぶつけてパロットラズマを怯ませる。

 

メカニック「これで…」

 

《マックス!!!チャージオン!》

 

パロット「なんだ…!?逃げられねえ…!」

 

メカニック「幕引きだ」

 

《エナジーソニック!》

 

メカニック「はあっ!!」

 

パロット「くっ…うぐああああっ!!」

 

 メカニックはパロットラズマへと一気に近づくと、サウンダーダイヤルを更に上へと一段階回すことで「MAX」の目盛りに合わせる。

 すると、蝙蝠型のエネルギープレートが四つパロットラズマを取り囲むように展開し、メカニックはそこに強力な音の爆弾を撃ち込む。

 蝙蝠型のエネルギープレートによって反響し、増幅した音の爆弾によって四方八方から攻撃を受けたパロットラズマはその威力に耐えきれず爆散するのだった。

 

パキンッ!

 

「うぅ…ん…」

 

 そしてメカニックがパロットラズマを撃破したのと同じ頃、街中の病院にて貴匡の弟が目を覚ましていた。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

裕輝「というわけで、無事に弟君も目を覚ましたって貴匡君から連絡があったよ」

 

才花「そっか。……よかった」

 

裕輝「なんだかんだと心配してたもんね」

 

才花「……ラズマに苦しめられる人なんて、いない方がいいに決まってるからね」

 

裕輝「……だね。よし、俺ももっと頑張るか!」

 

才花「……」

 

 無事に貴匡の弟が目を覚ましたと裕輝から聞いた才花は安心した様子を見せる。

 そんな才花に、これからも仮面ライダーとして頑張るという意思表示をしていた裕輝だったが、才花が複雑そうな視線で見つめていたことに、まだ気づいていなかった…。

 

才花「……私が仮面ライダーに戻ったら、その時は…」

 

裕輝「え?何か言った?」

 

才花「なんでもない」

 

裕輝「?そう…気のせいかな」

 

 ボソリと呟いた才花の言葉を聞き逃した裕輝は、何か言ったかと才花に聞くも、才花は何も言っていないと誤魔化す。

 

才花(機道は…私の代わりに戦ってる)

 

裕輝『戦う力を持たない人の代わりにラズマと戦うのだって、仮面ライダーの勤めのはずだからね』

 

才花(……機道は優しいお人好しだから、今は戦ってくれてるけど、背負わせ続けるわけにはいかない。私が機道を守らないと)

 

裕輝「〜♪」

 

才花(……そうじゃなきゃ、私の存在に意味はない。空っぽな私はせめて…人々を守ることすら誰かに任せっぱなしにするわけにはいかないんだから)

 

 鼻歌を歌いながらコーヒーを淹れている裕輝を横目に、“優しいお人好し”である彼にこれ以上仮面ライダーの責務を背負わせることは自分自身のアイデンティティに関わると考え、才花は密かに決意を固めていたのだった。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

次回、仮面ライダーメカニック!

 

「ここは一つ、俺にお任せを!」

 

愛乃「私たちの敵は愚かな人類…そうでしょう?」

 

新たな幹部の出現──

 

裕輝「あの時の俺とは…違う!」

 

ベータ「……これは、かなりマズいな」

 

才花「もう誰も…犠牲にはさせない」

 

──裕輝のピンチに、仮面ライダーサイビア・復活!

 

才花「あなたたちを…倒させてもらうね」

 

vol.5「変身!×サイビア再臨!」

 

日曜午後9時!




第4話をご覧いただきありがとうございます。

今回は三つ目のシナジー形態としてバットスピーカーが登場しました。
音の力で戦うフォームの登場ということで今回は色々とやってみましたが…何故か今日放送のマイスとはノイズキャンセリングや夜に新フォームでの戦闘シーンだったりと部分部分で要素が被ってしまいましたね。
(これは結構想定外でした笑)

さて、次回は仮面ライダーサイビアの本格参戦。
才花の変身を心待ちにしていた皆様、是非ともお楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。