裕輝「俺、機道裕輝は喫茶店からくりを営みながら仮面ライダーとしてラズマと戦っていた。
騒音騒動を起こしていたラズマを無事に倒すことに成功したものの、その裏で才花さんが思い詰めていることには気づけなくて…」
⭐︎⭐︎⭐︎
「ふふ…」
裕輝「見つけたぞ…ラズマ」
「あら?」
裕輝「…ここのところ人を襲ってるのはお前だな?」
「そうだと言ったら…どうするのかしら?」
裕輝「…お前を倒す」
路地裏にて、ウニの姿をしたシーアーチンラズマが不敵な笑い声をあげているところに駆けつけた裕輝は、真剣な表情でエナジーテクノドライバーを装着する。
シーアーチン「まさかあなた…仮面ライダー…!?」
《ホッパー!》
《バイク!》
裕輝「…そういうことだ!」
《エナジーオン!》
裕輝「変身!」
《アクティベート!
シナジースピード!ホッパーバイク!》
メカニック「はあっ!!」
シーアーチンラズマを倒すべく、裕輝は仮面ライダーメカニック ホッパーバイクシナジーへと変身し、ホイールカリバーを振り上げる。
シーアーチン「やるじゃない…なら、こういうのはどうかしら?」
メカニック「棘が折れた…!?攻撃が受け流されるけど…だったらそこを突けば!」
シーアーチン「ふっ!」
メカニック「!?うわっ!!」
メカニックの斬撃によってシーアーチンラズマの棘が折れるが、それによってメカニックの攻撃を受け流す。
しかし、棘の折れた部分なら攻撃も届くはずと考えたメカニックはホイールカリバーで突きを放とうとするが、折れて地面に散らばっていたシーアーチンラズマの棘が爆竹のように爆発し、メカニックを牽制する。
シーアーチン「折れたからと…油断しないことね。はあっ!!」
メカニック「やばっ…うあああっ!!」
シーアーチン「バイバーイ、坊や」
メカニック「……逃げられたか」
シーアーチンラズマは全身から棘のミサイルを発射すると、メカニックに撃ち込んでダメージを与え、更に生じた煙幕に紛れて逃走する。
⭐︎⭐︎⭐︎
vol.5「変身!×サイビア再臨!」
愛乃「……メカニックが現れてから再びラズマ様がのびのびと活躍できなくなっていますね…」
ギフト「申し訳ございません。私がついていながら…」
「ホントだぜ。頼りねーなぁ?ギ・フ・ト・君?」
ギフト「愛乃様の前だ。新入りは言葉を慎め…シルト」
シルト「ふん、相変わらずお堅いねえ!…愛乃様。ここは一つ、俺にお任せを!」
ギフト「…何?」
メカニックの活躍により次々にラズマが倒されていることを受け、愛乃は困ったように眉を下げる。
そこにギフトを煽りながらやってきたのは金色の短髪に緑色のアロハシャツを羽織っているといういかにもチャラ男な風貌で、ギフトよりも一回り大きい大柄な体つきの青年だった。
青年をシルトと呼ぶと、ギフトは不愉快そうに言葉を返す。
愛乃「そうですね…。ここのところギフトは働き詰めでしたし、シルトにお願いしましょうか」
ギフト「愛乃様、私はまだやれます!…大体、半年前にサイビアに追い払われておめおめ逃げ帰った挙句、そこからずっとコソコソ潜伏して安定態に進化した程度の奴など…信頼できません」
シルト「随分な言いようじゃねえか。お前だってラウァンがサイビアのドライバーを破損させるまで散々苦戦させられてたくせに」
ギフト「なんだと?」
シルト「安定態となって俺は強くなったからなあ、あの時のようなヘマはしねえよ」
愛乃「……そこまでです」
ギフト「愛乃様…」
愛乃「シルト、ギフトはとても頑張ってくれています。何よりラズマ同士が争う必要などないではありませんか。私たちの敵は愚かな人類…そうでしょう?」
シルト「まあ、そうだな…」
愛乃「ギフトも、無理をしてはいけませんよ。まだ四人しかいない安定態の中でも、今動けるのはあなたとシルトの二人だけ。…ラウァンはサイビアとの戦いの傷を癒していますし、シュネルはガレージの動向を探る役目を担ってくれています」
ギフト「……」
愛乃「あなたはよく頑張っていますが…一人だけでは限界もあります。ここは一度、シルトに任せてみませんか?」
ギフト「……愛乃様がそうおっしゃるのであれば、仰せのままに」
言い争うギフトとシルトだったが、愛乃の仲裁によってシルトが出撃するということでその場を収める。
愛乃「“シーアーチン”が仮面ライダーに目をつけられたようです。サポートをお願いしますね」
シルト「おう!任せとけ!」
タブレットを操作してシーアーチンラズマの姿を映し出した愛乃は画面を見せつつ、シルトにそのサポートを依頼するのだった…。
⭐︎⭐︎⭐︎
裕輝「ただいま…」
ベータ「よし…あと少しだな。お帰り、そっちはどうだった?」
裕輝「逃げられた。…折角尻尾を掴めたと思ったんだけどな……」
ベータ「そうか…。中々手強い相手だな」
裕輝「せめて襲ってる相手の特徴がわかればいいんだけど…年齢も性別も立場もバラバラなんだよなぁ。時間とか場所も一貫性がないし…」
やや疲れた様子で帰ってきた裕輝に対し、作業しながらラズマとの戦いの結果を聞くベータ。
そんなベータに逃げられたと返しつつ、裕輝はシーアーチンラズマが襲う相手の特徴さえわかればと歯噛みする。
裕輝「そういえば、そっちは才花さんのドライバー直りそう?」
ベータ「ああ、問題ない!今のところ順調だ」
裕輝「そっか。それは何より」
ベータ「なあ……裕輝」
裕輝「どうした?」
ベータ「……そろそろ才花君と明南に、君の戦う理由を教えてもいいんじゃないか?」
裕輝「!……それは…」
才花から頼まれていたエナジーテクノドライバーの修理の方は順調に進んでいると聞いて安心した様子を見せていたものの、不意にベータが裕輝の戦う理由について才花と明南に教えてもいいのではないかと切り出したことで動揺する。
ベータ「君が躊躇う気持ちはわかる。そもそも、あの時君は信用しきれていないことを理由に力を得た経緯を濁していたけれど…本当はそれが理由じゃない」
裕輝「……」
ベータ「……本当は、怖かったんだろう?才花君に知られるのが」
裕輝「……お見通しか。…そうだよ。俺は才花さんに…失望されるのが怖いんだ。俺は才花さんみたいな根っからのヒーローじゃない。復讐のために力を欲した人間なんだって…知られるのが……怖いんだ」
ベータは裕輝が本当は明南を信用できていないから伝えていないのではなく、自分の過去や、戦う動機を才花に知られることを恐れているのではないかと指摘し、裕輝もそれを肯定する。
ベータ「彼女はきっと受け止めてくれると思うがな…と言っても、そんなことは君もわかっているんだろうな」
裕輝「……才花さんは、優しいから」
ベータ「憧れのヒーロー…か。難儀なものだな」
裕輝「…そうだね」
ベータは才花ならきっと受け止めてくれると言いつつも、それくらいは裕輝自身もわかっているのだろうと判断し、根底にある裕輝の才花への憧れについて“難儀”と評する。
ベータ「そうだ、息抜きに新しいエナジーデンチを用意した、持っていくといい」
裕輝「これは…」
ベータ「新武器もセットだ。…まあ、お陰で他のデンチはアクティベートが遅れてるんだが…」
裕輝「ありがとな」
《ドリル!》
《エナジーマッチング!ライノセラス!》
ベータ「ふむ、こいつはライノセラスエナジーデンチが好相性なのか。なら、そいつを優先して作るとしよう。……まさか、シナジーまで解析してみせるとは、明南の分析力には目を光るものがあるなぁ」
ベータの手渡した茶色のドリルが描かれたドリルエナジーデンチを受け取った裕輝はテクニカルフォンに装填し、そのシナジー相手がライノセラスエナジーデンチであることを知ると、それを横で聞いていたベータは明南の分析力を褒めつつ優先してライノセラスエナジーデンチを用意しようと決める。
⭐︎⭐︎⭐︎
才花「既に被害者が六人…かなりペースが早いなぁ。機道も逃げられたって言ってたし……早めに阻止しないとまずいかも」
陽菜美「あ、才花先輩!お疲れ様です!」
才花「陽菜美ちゃん。お疲れ」
陽菜美「なんだか難しい顔してましたが…何かありましたか?」
才花「ちょっと調べ物をね。……陽菜美ちゃんはなんだかご機嫌だね」
陽菜美「はい!実は…ちょっと懐かしい夢を見まして」
才花「夢?」
テクニカルフォンにまとめたシーアーチンラズマによるものと思われる被害の状況を見ていた才花はそのペースの早さに顔をしかめる。
するとそこに陽菜美が通りがかり、話題は陽菜美の機嫌がいいように見える理由についてに移る。
陽菜美「実は私…小学生くらいの頃は色々あってお友達が少なかったんです」
才花「へえ、意外だね。陽菜美ちゃん、人当たりよくて可愛いからみんなに好かれてるのに」
陽菜美「えへへ、褒めすぎですよ。私はそんな大層な人間じゃないです。……それで、いつか誰かと遊びたい、一緒にいたいと思っていつも一人で公園にいたんですけど…中々上手くいかなくて。そんなある日、とある人と出会ったんです」
才花「とある人…」
陽菜美はかつて友人が少なかったことを明かし、そんなカミングアウトを受けた才花は今の陽菜美のイメージとは違ったため、意外だと返す。
陽菜美「私より年上の男の子だったのですが…一人でいた私に声をかけてくれたんです。……どうやらその男の子も色々と辛いことがあったみたいで、それ以来私たちは意気投合しまして」
才花「ふ〜ん。つまり陽菜美ちゃんの初恋の人ってわけだ!」
陽菜美「……まあ、そう…ともいえますね」
才花「それで、その人とはどうなったの!?」
陽菜美「急に食いつきいいですね!?」
陽菜美にとっての思い出の相手である“年上の男の子”は、同時に彼女の初恋相手と悟った才花は楽しそうに話の続きを求める。
才花「それはまあ…私だってそういう話には人並みに興味あるし…」
陽菜美「……しばらく一緒に過ごしてたのですが、私の家の都合で引っ越すことになりまして…それで離れ離れになったんです」
才花「そうなんだ…」
陽菜美「けど、あの人がいてくれたから、私は一人で寂しい思いをしなくて済みました。……私に大切なことをたくさん教えてくれた人なんです」
結局、思い出の男の子とは引っ越しがきっかけで離れ離れになったという陽菜美。
しかし、その時の思い出を今でも大事に思っていることを窺わせる表情で微笑む。
才花「そっか。陽菜美ちゃんは昔はどこに住んでたの?」
陽菜美「それが、実は音慈牧市なんです」
才花「?…一度離れて戻ってきたってこと?」
陽菜美「そうですね。なので…もしかしたらまた会えるかも…なんて考えたり……」
才花「なるほど…いつか会えるといいね」
陽菜美「…はい!ありがとうございます!」
才花「それは?」
才花は陽菜美がどこに住んでいたのか気になり尋ねると、実は一度音慈牧市を離れて戻ってきたのだと知り、いつか思い出の男の子と会えることを願う。
そんな才花の言葉に嬉しそうにしていた陽菜美はやや古びた鴨のようなキャラクターのストラップを取り出してみせる。
陽菜美「これは…あの人との思い出の品なんです」
才花「そうなんだ!このキャラって?」
陽菜美「当時好きだったアニメのキャラなんです。結構人気だった気がしますけど」
才花「あー、私そういうの疎くってさ!」
陽菜美「そうなんですね…意外です」
才花「そっか。思い出のストラップなんだね」
陽菜美「えへへ、あの人がガチャガチャで取ってくれた物で…お揃いなんです。これを持ってればまたいつか会えるかなって…そんな気がしてて」
ストラップは思い出の品であり、お揃いのものだと語る陽菜美の様子を才花は楽しげに眺めるが、やがて話も終わり、二人は解散する。
才花「陽菜美ちゃんにあんな思い出があったなんて…。思い出の初恋相手かあ。そういうの憧れちゃうなぁ」
明南「おや、械条さん。上機嫌ですね」
才花「ええ、ちょっと陽菜美ちゃんとお話ししてて」
明南「ああ。…楽しい気分に水を差すようで申し訳ありませんが、ラズマの方はどうです?」
才花「それが難航してて…中々手がかりが掴めないんですよね…。せめてラズマが狙っている相手の条件がわかれば……」
陽菜美との会話を思い返して楽しげにしつつ理科準備室へと入る才花。
そんな才花の様子に明南は水を差してしまうことを申し訳なさそうにしつつ、ラズマの手がかりは掴めたか問うも、返ってきた答えは芳しいものではないため、困ったように眉尻を下げる。
明南「確かに、かなり条件が見づらくはありますね」
才花「そうなんですよね…。ん?」
陽菜美『あの人がいてくれたから、私は一人で寂しい思いをしなくて済みました』
才花「……まさか」
明南「どうかしましたか?」
才花「もしかしたら…わかったかもしれないです」
明南「…というと?」
明南はシーアーチンラズマによるものと思われる被害について、明確な繋がりは見出せないため、特定が難しいことに同意する。
しかし、そんな中陽菜美との会話を思い出して、才花はとあることに思い至る。
才花「もしかすると、一人でいる時に寂しいと思った人を襲った…のではないかなと」
明南「なるほど…。確かに、事件が起きたのはいずれも人気の少ない場所……状況を考えると十分にあり得ますね。私たちにとってはラズマがそもそも人目につくところで堂々と人を襲ったりしない、というのはある種の前提だったので気づきにくくなっていましたね…」
才花「まだ確定ではないですけど、この線で探ってみます!」
明南「わかりました。申し訳ないですが、よろしくお願いしますね」
これまでラズマはそもそもが人気の多い所で積極的に人を襲うことがなかったために半ば盲点となりつつあった、「人がいないことによる寂しさ」が目当てではないかと考えた才花。
説明を聞いた明南も納得したため、ひとまずその可能性を探ることを決める。
⭐︎⭐︎⭐︎
裕輝「なるほど、一人でいる寂しさ……」
才花『その可能性が高いかなって』
裕輝「わかった。俺も人気のないところとかを探してみるよ」
才花『うん。……無理はしないでよ』
裕輝「大丈夫だって!どうしたのさ急に」
才花『…別に、なんでもないよ』
裕輝「?そう…。また何かわかったら教えて」
才花『うん。じゃ、また』
裕輝「また。ありがとね」
電話にて才花から情報共有を受けた裕輝は、自身も才花の推測どおり人気の少ない場所を探すことを決める。
そして通話を切ろうとするが才花に心配するようなことを言われたため珍しげに反応する。
裕輝「ま、それじゃあ張り切っていきますか!」
ベータ「手がかりは掴めそうか?」
裕輝「ああ。才花さんが人の寂しいと思う感情を狙ってるんじゃないかって」
ベータ「ふむ…確かにありえるな。普段は一人でいたとしても寂しい以上に何か強い感情がある人間を襲うようなラズマばかりだったから忘れがちだが、一人でいたら寂しくなるのはおかしな話じゃない」
裕輝「そうそう。だから俺も人気のない場所を重点的に探ろうかと思って」
ベータ「了解。留守番は任せておけ」
裕輝「……勝手に外で歩くなよ?」
ベータ「わかってるって。さ、行ってきたまえ」
裕輝「…おう」
裕輝は留守をベータに任せると、自身はからくりを出る。
⭐︎⭐︎⭐︎
《チャージエナジー!》
《ドローンオン!》
裕輝「じゃ、あっちをよろしく。…よし、俺も」
デジカメドローナーをドローンモードにして探索に行かせると、裕輝はそのままメカニカルダッシャーを駆ってデジカメドローナーとは反対方向へ向かう。
「……」
シーアーチン「ご機嫌よう」
「!?か、怪物……!」
シーアーチン「ふふっ…一人で寂しいのよね?アタシと一つになれば…そんな苦しみはなくなるわ…!」
「ヒッ……こ、来ないで…!」
音慈牧市の片隅にある人通りの少ない裏通りにて、どこか不安げな様子で一人歩いていた中学生の少女の前に現れたシーアーチンラズマは、あまりの恐怖に叫ぶことすらできずに尻もちをついてしまった少女ににじり寄る。
裕輝「させるか!」
シーアーチン「……またあなた?」
裕輝「今のうちに逃げて」
「は、はい…!」
声が鋭く響くと同時、駆動音を鳴らしながらメカニカルダッシャーに乗った裕輝がデジカメドローナーと共に突撃し、シーアーチンラズマを退ける。
シーアーチン「このアタシをまた見つけられるとは、運がいいようね」
裕輝「お前の狙いはもうお見通しってことだ。…ここで倒す!」
《ゴリラ!》
《チェーンソー!》
《エナジーオン!》
裕輝「変身!」
《アクティベート!
シナジーパワー!ゴリラチェーンソー!》
メカニック「はああっ!!」
突撃によって生じた隙の間に少女が逃げたことを確認すると、シーアーチンラズマの行く手を阻みつつ、裕輝は仮面ライダーメカニック ゴリラチェーンソーシナジーへ変身、パワーチェーンソースラッシャーを振りかぶって攻撃を仕掛ける。
シーアーチン「ふふ、今回は助っ人を呼んでいるのよ」
「ふんっ!」
メカニック「く……あんたは、誰だ?」
シルト「俺はシルト!なんだよ、俺のこと忘れちまったのか?」
メカニック「は?」
シルト「ああ、こっちの姿じゃねえと…わかんねえか」
メカニック「……!」
シーアーチンラズマへ斬りかかるメカニックに蹴りを叩き込みつつ現れたのはシルト。
メカニックに馴れ馴れしく話しかけつつ、真の姿を明かす。
亀のような姿をした怪人態へと変貌すると、その姿に見覚えのあったメカニックは驚きを露わにする。
メカニック「お前……半年前の…!」
シルト「ふ、思い出したか!まさかあの時の坊主が仮面ライダーになるとはなぁ!ふんっ!」
メカニック「くっ…!あの時の俺とは…違う!はあっ!!」
シルト「どうした?その程度か?」
メカニック「…!硬い…それに攻撃が弾かれるな…!」
シルトの正体が半年前に裕輝を襲い、才花と出会うきっかけになった亀のラズマと知ったメカニックはただ襲われるだけだったかつての自分とは違うと宣言しつつパワーチェーンソースラッシャーを叩き込もうとするが、シルトの頑健な甲羅に弾かれてしまう。
シルト「あの時と違うのは俺も同じでね!安定態となった俺は…強い!」
メカニック「ぐあっ!」
シーアーチン「私も忘れてもらっちゃ困るわね!」
メカニック「うあっ!!……同時に相手取るのは厳しいな…!」
シルトとシーアーチンラズマの猛攻によってメカニックは追い詰められていく。
そして、その様子をメカニカルダッシャーを通じて見ていたベータも焦りを覚える。
ベータ「……これは、かなりマズいな。仕方ない、ここは…」
メカニック「くっ…!」
シルト「どうした?そんなものか?」
ベータ『裕輝!デジカメドローナーを借りるぞ!』
メカニック「…わかった!」
シルト「ふん、何を企もうが無駄だぜ?」
メカニック「それは…どうかな?」
ベータはデジカメドローナーとメカニカルダッシャーを遠隔操作してどこかへと向かわせると、それを見たシルトは軽く嘲笑いつつメカニックに追撃を仕掛ける。
⭐︎⭐︎⭐︎
才花「……機道、大丈夫かなぁ」
明南「今は彼を信じるしかありませんね…」
コンコン
才花「ん?これって…機道のデジカメドローナー?あれって……」
明南「機道さんのバイク…荷物もありますね」
才花「見に行きましょう」
明南「ええ」
紀佳井高校の理科準備室にて待機していた才花と明南。
窓をコツコツと叩く音を聞いた才花が窓を開けると、裕輝のデジカメドローナーが入り、外に停まっているメカニカルダッシャーの存在を教える。
明南「中身はエナジーテクノドライバー…修理が完了したようですね」
ベータ『その通り』
才花「ベータさん、どうかしたの?」
ベータ『実はマズいことになっていてな。新しい安定態のラズマが現れて、裕輝がピンチなんだ』
才花「!すぐ向かうよ」
ベータ『すまない…頼んだ』
明南「事態を急を要するようですし、急いで向かいましょう。運転は私がしますね」
才花「…はい!」
ベータ『すまんが頼んだ。案内は僕に任せてくれ』
メカニカルダッシャーを通じてベータからメカニックが追い詰められていることを知った才花は助けに向かうべく明南と共にメカニカルダッシャーに乗る。
その頭の中では焦りに支配されつつも、頭の片隅で己の過去を思い返していた。
才花「機道…」
才花『……』
『今日も検査だ』
『順調に数値が伸びているな』
才花『…そう』
幼い才花は入院着のような簡素な服を着た姿で、感情の色が見えない表情で周囲の研究者と思わしき大人たちの言葉に従う。
才花(私はずっと一人だった。それでいいと思っていた。それが当たり前だった。……あの日、自由を得た後も踏み込まれるのが怖かった。また失うんじゃないかって。だから私を助けてくれる院部先生と、偶然仲良くなった陽菜美ちゃんくらいしか関わる人がいなくても、それでよかった。仮面ライダーとして戦うのだって義務感だった。私しかできないから、仕方なく。そう思ってた。……機道と出会うまでは)
裕輝『械条さんみたいな人は凄いなって』
才花(機道はこんな私をずっと“ヒーロー”だと呼んでくれた。私は別に、そんな大層な存在なんかになれやしないと思うけど、それでも…機道がそう呼んで信じてくれたから、私は“仮面ライダー”であれたんだ。……仮面ライダーは私なんだから…絶対に機道を助けてみせる)
風を受けながら、才花はこれまでの自分を鑑みる。
特殊な生い立ちらしいこともあって孤独を当然のものとして生きてきて、自身の力も好きになれずにいた才花だったが、裕輝がまっすぐに“ヒーロー”として慕ってくれたからこそ、自分は仮面ライダーであれたのだと再確認すると、裕輝を救おうと決意を固める。
⭐︎⭐︎⭐︎
《ホッパー&チェーンソー!》
メカニック「はああっ!!」
シーアーチン「ふふ、攻撃を制御できていないようね?」
シルト「そんなんじゃ俺たちには…勝てねえ!」
メカニック「くっ…チェーンソーのパワーにホッパーが振り回されるか…!」
形勢の立て直しを図ってチェーンソーホッパーへと姿を変えたメカニックだったが、ホッパーでは力が足りず、パワーチェーンソースラッシャーに振り回されてしまう。
メカニック「なら…!」
シーアーチン「おっと…野蛮ねぇ……」
《ホッパーバイク!》
メカニック「はあっ!」
シルト「チッ…身軽になりやがって」
メカニックはパワーチェーンソースラッシャーを投げつけてシーアーチンラズマを怯ませると、その隙にチェーンソーエナジーデンチをバイクエナジーデンチに交換することでホッパーバイクシナジーへと姿を変え、持ち前の脚力を活かした跳び蹴りをシルトへと叩き込む。
シーアーチン「その程度で…勝てるなんて思わないことね…!」
メカニック「ぐっ…!」
シルト「そらよっ!」
メカニック「うああっ!!」
なんとかして抗い続けるメカニックだったが、シーアーチンラズマが全身から射出した棘による爆撃、そして殻に篭って高速回転したシルトの突進による連続攻撃を受けて吹き飛ばされてしまう。
メカニック「っ…!」
シルト「少しは粘ったみてえだが…終わりだ」
才花「そこまでだよ」
メカニック「!才花さん……」
シルト「お前は…サイビアか…!」
追い詰められるメカニック。そこに駆け付けたのは明南の運転するメカニカルダッシャーをひと足先に降り、エナジーテクノドライバーを片手に構えた才花だった。
才花「半年前の…やっぱり潜伏して安定態になってたんだ」
シルト「おお、そうだぜ?お前は守れなかったんだよ。残念だったなぁ!」
才花「もう誰も…犠牲にはさせない。勿論、機道も」
メカニック「…!」
明南「械条さん…」
才花はシルトを前に啖呵を切ると、自身はエナジーテクノドライバーを装着し、紫色のクモが描かれたスパイダーエナジーデンチと白色のコンピューターが描かれたコンピューターエナジーデンチを取り出す。
才花「あなたたちを…倒させてもらうね」
《スパイダー!》
シルト「マジか…!」
《コンピューター!》
《エナジーオン!》
才花はスパイダーエナジーデンチを右側のスロットへ、続けてコンピューターエナジーデンチを 左側のスロットへと装填する。
すると、紫色のクモの絵柄が刻まれた電子的な基盤のような模様が才花の右横に、更には白色のパソコンの絵柄が刻まれた電子的な基盤のような模様が才花の左横に出現する。
才花「変身!」
《アクティベート!
シナジーブレイン!スパイダーコンピューター!》
シーアーチン「もう一人の仮面ライダー…!」
サイビア「私は仮面ライダーサイビア。……いくよ」
才花がエナジーアクティベーターを左側から右側へ動かして操作すると、次の瞬間二つの模様が才花の前にスライドしてきて重なり合い、才花の身体を通過する。
そうしてその身体をクモの要素が入った装甲とコンピューターの要素が入った装甲が各所に追加された姿に、腰にはたなびく白色の蜘蛛の巣を模したローブ、そしてオレンジに輝く複眼を持つ戦士へと変えていく。
⭐︎⭐︎⭐︎
サイビア「私は仮面ライダーサイビア。……いくよ」
《キーボードブレード!》
サイビア「はあっ!!」
シーアーチン「一撃が重い…!」
シルト「っと…やるじゃねえか」
サイビア「まだまだ…こんなものじゃないよ」
再び姿を現した戦士…仮面ライダーサイビア スパイダーコンピューターシナジーはキーボードブレードを取り出すと、横薙ぎに振るうことでシーアーチンラズマとシルトを跳ね除ける。
シーアーチン「ならば…!」
サイビア「…なるほど。けど、もう通用しないよ」
シーアーチン「…!」
メカニック「流石才花さん…強いな……」
シーアーチンラズマが放った棘のミサイルに対し、サイビアは最初の三発をキーボードブレードを構えて凌ぐと、残りは全て見切ることで回避やキーボードブレードによる叩き落としを駆使して一撃も喰らわずに乗り切る。
サイビア「いくよ」
《
シルト「なんだ…?」
《エンター!コーリング!3!》
「……」
シーアーチン「手下を呼んだのかしら…!」
サイビアがキーボードブレードの「3」キーを押し、そして続けて「Enter」キーを押すと、キーボードブレードから光が放たれ、クモのように見える仮面を身につけた人間型の機械兵“サーバント・ヒューマノイドタイプ”を三体召喚する。
サイビア「いって」
サーバント「……」
サーバント「……」
シルト「なんだコイツら…!」
サーバント「……」
シーアーチン「はっ!…ううっ!」
サイビア「隙だらけだよ」
サイビアがキーボードブレードを用いて指し示すと同時、サーバント二体がマウス型の機関銃“マウスマシンガン”を連射してシルトを牽制し、その隙に残るサーバント一体がマウスマシンガンでシーアーチンラズマを的確に銃撃し、怯んだところにキーボードブレードによる斬撃が叩き込まれる。
シルト「面倒な…!」
メカニック「はあっ!!」
シルト「くっ…」
メカニック「お前の相手は俺だ!」
サイビアの参戦によって生じた隙を突いて復帰したメカニックがシルトに一太刀浴びせつつ、シーアーチンラズマから引き離して相手取る。
《
シーアーチン「ふ…っ!」
《エンター!コーリング!2!》
シーアーチン「消えた…!?…けど、数が減ったようねえ…!」
サイビア「油断してると痛い目見るかもよ?」
シルトがサーバントの一体を狙って攻撃を仕掛けたタイミングに合わせて今度は「2」のキーを利用してサーバントを召喚し直し、シルトの攻撃を透かしたサイビアは数が減ったからと余裕ぶるシーアーチンラズマに警告する。
シーアーチン「ふっ!!……!?」
サーバント「……」
シーアーチン「うああっ!!…攻撃力が上がった…!?」
サイビア「数が減る分、一人当たりのリソースが増えてるからね」
シーアーチンラズマの一撃に対し、ディスプレイ型のライオットシールド“ディスプレイシールド”を構えたサーバントの一体がその攻撃を防ぎ、もう一体のサーバントがディスプレイシールドで強烈な殴打を喰らわせる。
サーバント「……」
シーアーチン「ふっ!」
サイビア「さて…」
《エナジーオン!》
《デリート!》
シーアーチン「!?また…」
サーバントと交戦していたシーアーチンラズマが反撃に棘付きの拳を叩き込もうとした瞬間、サイビアがコンピューターエナジーデンチをスロットに装填しつつ、キーボードブレードの「Delete」キーを叩くとサーバントたちが消え、シーアーチンラズマは困惑する。
《2!》
《エンター!チャージング!2!》
サイビア「はあっ!!」
《エナジーカッター!》
シーアーチン「うああっ!!」
サーバントが消えてシーアーチンラズマが困惑している隙に「2」と「エンター」のキーを連続で押していくことでキーボードブレードの刀身に白いエネルギーを集めると、そのまま白いエネルギーの刃を飛ばしてシーアーチンラズマを吹き飛ばす。
シーアーチン「くっ…でも、残念だったわね…まだ私は倒せていないわ…!」
サイビア「これはただの布石…」
《チャージオン!》
サイビア「…そろそろ終わらせようか」
シーアーチン「隙だらけね!……なっ!?」
身体の棘を折られつつも、なんとかサイビアの一撃を耐え抜いたことで勝ち誇るシーアーチンラズマだったが、それも勝利のための布石に過ぎないと答えたサイビアはエナジーアクティベーターを操作する。
すると、サイビアはローブを翻して軽く跳躍し、同時に自身を電子化することで投げつけられた棘をすり抜ける。
《ブレインエナジーフィニッシュ!》
サイビア「ふ…やああっ!!」
シーアーチン「何っ…!?くっ…うあああっ!!」
サイビアは動揺するシーアーチンラズマ目掛けて白いエネルギーと「0」「1」の羅列で構成されたエフェクトを纏わせた跳び蹴りを叩き込むと、その威力を逃さぬよう蜘蛛の巣型のエネルギーフィールドを展開してシーアーチンラズマを捕らえつつ、自身は再度データ化することで蜘蛛の巣を通り抜けつつ蹴り貫く。
⭐︎⭐︎⭐︎
メカニック「俺も才花さんに負けてられない…!」
《ドリル!》
《エナジーオン!》
《アクティベート!
ホッパー&ドリル!》
《スラストドリルランサー!》
メカニック「はあっ!!」
シルト「チッ…!」
メカニックはドリルエナジーデンチを用いてホッパードリルへと姿を変えると、ドリルを模した茶色と水色を基調とした騎槍状の武装“スラストドリルランサー”を召喚し、バッタの脚力を活かしてジャンプで突撃しつつスラストドリルランサーによる刺突を浴びせる。
メカニック「悪くないな…!」
シルト「ならば…こうするまで!」
メカニック「おわっ!?……狙いが定めにくいな…ここは」
《バット!》
《エナジーオン!》
《アクティベート!
バット&ドリル!》
メカニック「こっちも飛んでやる!」
シルトは甲羅の中に籠ると、そのまま高速回転しながら空中を縦横無尽に駆け巡り、メカニックに体当たりを仕掛けるが、メカニックも負けじとバットドリルへと姿を変えて飛行しながらぶつかり合う。
シルト「ふんっ!!」
メカニック「うああっ!!」
シルト「ふん!これで終わりだ!」
《アクティベート!
シナジービート!バットスピーカー!》
《マックス!!!チャージオン!》
メカニック「かかったな」
シルト「何…!?」
シルトが高速回転しながら背中に追突することでメカニックは墜落させられてしまう。
そこでシルトはトドメを刺そうとメカニックに接近するが、メカニックはやられたフリをして油断を誘いつつ、バットスピーカーシナジーへと姿を変えると、そのまま蝙蝠状のエネルギープレートをシルトが挟み込まれるように展開する。
メカニック「喰らえっ!」
《エナジーソニック!》
シルト「ぐあっ!!」
メカニック「くっ…!」
シルト「……やるじゃねえか…!シーアーチンの奴はやられたみたいだし、ここは退かせてもらうぜ」
シルトが身動きを封じられたその隙にメカニックは至近距離から強烈な音のエネルギー弾を発射し、シルトを吹き飛ばす。
自身も反動で吹き飛ばされつつも、メカニックはなんとかシルトを撤退に追い込むことに成功する。
メカニック「…流石に少し無茶だったかな」
サイビア「お疲れ、機道」
メカニック「才花さん。そっちも終わったみたいだね」
サイビア「うん」
身体への負担が大きい戦術だったこともあり、流石に多少よろめきつつ立ち上がるメカニック。
そこにシーアーチンラズマを撃破したサイビアが合流する。
メカニック「流石才花さん。…これからは一緒に戦えるし…改めてよろしくな」
サイビア「……悪いけど、私は機道と一緒に戦うつもりはないよ」
メカニック「……えっ?」
サイビア「……機道」
シーアーチンラズマを見事撃破してみせたサイビアに感心した様子を見せるメカニックは、これから共に戦えることを喜ぶ。
しかし、そんなメカニックに帰ってきた答えは意外にも共闘を拒否するものだった。
そして、サイビアはメカニックにキーボードブレードの鋒を向ける。
メカニック「才花さん…何のつもり?」
サイビア「簡単だよ。これからは私一人で戦う。だから、機道のドライバーとエナジーデンチを私によこして」
メカニック「!……なんでそんなこと…。いきなりどうしたんだよ、才花さん!」
サイビアの行動の真意を問いただすメカニック。
そんなメカニックに対し、サイビアは戦う力を放棄して自身に渡すよう迫る。
⭐︎⭐︎⭐︎
次回、仮面ライダーメカニック!
才花「ずっと考えてた。機道が仮面ライダーになったあの日から」
裕輝「え…?」
才花「“代わり”はもう必要ない」
裕輝「ちゃんと話すよ。俺の戦う理由を」
すれ違う裕輝と才花──
裕輝「俺と一緒に来てくれないか?」
ベータ「僕様も、全力を尽くして君の力になるよ」
才花「聞いてほしい話があるんだ」
互いの過去、そして新しい力!ライノセラスドリル!
裕輝「この力で貫いてやる!」
vol.6「二人の始まり×貫く想い!」
日曜午後9時!
第5話をご覧いただきありがとうございます!
今回はいよいよ2号ライダー・サイビアの本格参戦となりましたが…ラストではなんだか不穏な空気が漂っていましたね。
次週、メカニックとサイビアはどうなるのか、お見逃しなく!
さて、新ライダーの登場ということで、サイビアの変身手順紹介のコーナーとなります。
①アニマルカテゴリのエナジーデンチを右手に、マシンカテゴリのエナジーデンチを左手に持って、胸の高さくらいのところで構える。
② アニマルカテゴリのエナジーデンチをドライバーの右側のスロットに、マシンカテゴリのエナジーデンチをドライバーの左側のスロットにセットする。
③両手を一度広げ、左手でドライバーのレバーに触れつつ、右手は手の甲を前に向けた状態で天に掲げてゆっくりと下ろし、喉ほどの高さで止める。
④「変身!」の掛け声と共に右腕を左に倒して右手を左肩の前ほどに動かす。
⑤ドライバーのレバーを左手で四割ほど動かし、一拍置いてから動かしきる。
⑥左腕を右腕の前を通るように動かしつつ、左手を顔の左横で止める。
⑦両手を下ろしつつ広げて変身完了。