裕輝「俺、機道裕輝は才花さんから仮面ライダーをやめるように迫られる。けれど、お互いの過去を明かして仲直りした俺たちは無事にラズマを倒すことに成功したのだった。……そして、戦いを終えた俺たちの前に現れたのはガレージという組織の副長官だという理佐沙知代さんだった……」
⭐︎⭐︎⭐︎
裕輝「うーん……」
ベータ「悩んでるな、裕輝。ガレージの件か?」
裕輝「うん。……信用していいのかなって」
ベータ「…なんとも言えないところではあるが……バックアップをしてくれるというのであれば受けてみてもいいとは思うけどな」
裕輝「…そうか?」
ベータ「ああ。正式に加入する、とかではなくてあくまで外部から協力するくらいの立ち位置でいればいいんじゃないか?」
裕輝「……なるほど…」
からくりにて、客がいないこともあって気を抜いた様子の裕輝はカウンターに寄りかかりつつガレージへの加入について検討するが、ベータは前向きな意見を出す。
沙知代『今すぐ答えを出せ、とは言わないけれど……返事が決まったら教えてちょうだい』
裕輝「……才花さんとも相談して決めるよ…」
ベータ「それがいいな」
沙知代の言葉を思い返しつつ、裕輝は才花にも相談して決めようと考える。
陽菜美「ごめんください」
裕輝「!ベータ」
ベータ「ああ」
裕輝「いらっしゃい、陽菜美ちゃん」
陽菜美「どなたかいらっしゃいました?」
裕輝「…気のせいじゃない?」
陽菜美「?」
陽菜美が店を訪ねてきたため、裕輝はベータを奥に引っ込ませると、出迎える。
その様子に人の気配を感じ取った陽菜美だったが、裕輝は「気のせい」として誤魔化す。
裕輝「今日はどうしたの?」
陽菜美「あ、今日はちょっとしたお礼に来たんです」
裕輝「お礼?」
陽菜美「はい。……最近、才花先輩が明るくなったので、きっと機道さんが何かしてくれたのかなと思いまして」
裕輝「俺なんて別に何もしてないよ。……まあ、ちょっとしたすれ違いがあったってだけ。今はもう解消したし大丈夫」
陽菜美「ありがとうございます!それで、お礼にこれ、よければどうぞ」
裕輝「これは…フクロウのぬいぐるみ?」
陽菜美は先日相談していた才花の悩み事の件が解決したことを察して、お礼としてフクロウのぬいぐるみを裕輝に渡す。
陽菜美「はい!お店に飾るのにいいかな、と思いまして」
裕輝「へえ、いいね。ウチの雰囲気にも合いそうだし、ありがたくいただくよ」
陽菜美「私も初めて見たとき、このお店に似合いそうだな、と思ったんです!気に入っていただけたみたいで嬉しいです」
陽菜美からの贈り物を見た裕輝は店の雰囲気にも合いそうということで気に入った様子を見せると、そのままカウンターへと飾る。
陽菜美「そういえば機道さん、“漁港の宝物”の噂知ってますか?」
裕輝「“漁港の宝物”?初めて聞いたかな」
陽菜美「なんでも最近、音慈牧市の端にある漁港に宝物が埋まっている、なんて噂があるらしいですよ」
裕輝「宝物……ねえ」
陽菜美は雑談として最近噂になっているという“漁港の宝物”について語るが、裕輝は知らない様子を見せる。
陽菜美「……それと、その宝物を手に入れようとした人は呪われてしまう、という噂もあるようです」
裕輝「呪われる?」
陽菜美「はい。なんでも宝物を手に入れようとした人が何人も意識を失って戻らなくなってしまった……という事件が起きているようです。…まあ、あくまで噂ですけど」
裕輝「へえ、それはなんだか不気味だね」
陽菜美「ですよね。…これも最近流行りの怪物の仕業だったりするんでしょうか?」
裕輝「……!まさか、ラズマ…?」
陽菜美「へ?」
裕輝「あ、ううん、なんでもないよ」
“漁港の宝物”に付随する呪いの噂について、陽菜美は最近これまた噂になっている怪物のせいという可能性を疑い、それを聞いた裕輝はラズマの仕業を疑う。
陽菜美「では、私はこれで」
裕輝「うん。またいらっしゃい」
陽菜美「はい!」
無事に目的を達成した陽菜美は裕輝に見送られ上機嫌な様子で店を後にする。
⭐︎⭐︎⭐︎
vol.7「お宝探し×忍び寄る罠!?」
才花「…というわけで、ガレージって組織に協力しようかと思いまして」
明南「ガレージ…まあ、機道さんの言うとおり、正式な加入ではなく外部協力者にとどめるのがよいかと」
才花「はい」
明南「それと…あなたたちをスカウトした理佐沙知代という方もあまり信用しすぎずに最低限の警戒はしておいた方がいいかと」
才花「?…わかりました。気をつけます」
才花は明南にガレージへの協力について話し、明南もそれを一応は許諾しつつ、最低限の警戒はしておくように伝える。
才花「じゃあ、私はこの後裕輝君と返事しに行くので」
明南「ええ、お気をつけて。……沙知代…機道さんもついていますし、滅多なことはないかと思いますが…私の方でも警戒すべきですかね」
才花が出ていくのを見送った明南は才花がガレージと組むこと…ひいては沙知代と組むことに対しどこか複雑そうな様子を見せる。
⭐︎⭐︎⭐︎
裕輝「どうも」
沙知代「答えは決まったのかしら」
数日後、裕輝は才花と共に沙知代に伝えられていたガレージの本部へと訪れていた。
裕輝「はい。理佐さんからの提案についてですが、お受けさせていただこうかなと」
沙知代「いい返事をどうもありがとう」
裕輝「ただ、俺たちにはそれぞれの生活もありますし、正式にガレージに加入する、というよりは外部の協力者という立ち位置でお願いできると」
沙知代「なるほど、それもそうね。分かったわ。それでいきましょう」
才花「ありがとうございます」
裕輝は沙知代の提案に乗る旨を返答しつつ、ガレージに完全に加入するのではなく外部協力者として協力するという形式を取りたいことを告げ、沙知代もその案に乗る。
沙知代「さて…それでは早速情報の共有をしましょうか。現時点でガレージで掴んでいるラズマ情報が一件あるの」
裕輝「これって、音慈牧市の地図ですよね?」
沙知代「ええ、今回はこの漁港にラズマがいる可能性が高いという情報を掴んでいるわ」
才花「漁港…」
陽菜美『最近流行りの怪物の仕業だったりするんでしょうか?』
裕輝「!そういえば、ここって“漁港の宝物”の噂がある場所ですよね?」
才花「“漁港の宝物”?」
沙知代がラズマがいる可能性が高いとして漁港を指し示し、それを見た裕輝は陽菜美から聞いた“漁港の宝物”の噂を思い出す。
裕輝「うん。なんでもこの辺りに宝があるらしいんだけど、それを手に入れようとした人が何人も意識不明になってるから呪われてるなんて噂もあるみたい」
才花「そんな噂が……」
沙知代「知っていたのね。…実はその噂を信じて宝を手に入れようとした何人もの人間が意識不明になっている、というのは事実よ」
裕輝「やっぱり…」
沙知代「恐らくラズマが出した被害が噂と結びつけられて呪いなんて話になったというのが私の見識ね」
裕輝は才花に噂の詳細を語ると、それを聞いていた沙知代は呪いの噂を裏付ける根拠として何人もの被害者が出ていることを明かしつつ、その実情は呪いではなくラズマによるものだと語る。
沙知代「というわけで、二人には本当にラズマがいるかどうかの調査と、もしラズマがいた場合は撃破を依頼したいのだけれど、構わないかしら」
裕輝「俺は大丈夫です!」
才花「私も問題ないです。丁度明日は休日ですし」
沙知代「なら、よろしく頼むわね」
かくして、ガレージとの協力関係を始めて最初の依頼として、裕輝と才花は“漁港の宝物”の噂の裏に潜むラズマについての調査と撃破を請け負うのだった。
沙知代「今のうちに聞きたいことがあったら聞いてちょうだい」
裕輝「あー、それじゃあ一ついいですか?」
沙知代「ええ」
裕輝「今回の件ではないんですけど、メタックスエナジーって一体何なんですか?」
沙知代「……まあ、仮面ライダーとして戦っているあなたたちが気になるのも無理はないわね。……少し長くなるけれど、いいかしら?」
裕輝「はい」
才花「私も大丈夫です」
沙知代「なら、そこに座ってちょうだい」
裕輝の質問を受けた沙知代は一瞬だけ考え込む様子を見せると、その頼みを快諾し、二人を応接用の椅子に座らせる。
⭐︎⭐︎⭐︎
沙知代「メタックスエナジーというのは“超越的未知性エネルギー”とも呼ばれているわ」
裕輝「超越…えっ?」
沙知代「これはあなたたちも知っていると思うけれど、メタックスエナジーは人の感情からメタクリスタルによって生み出される。…それはつまり、たったそれだけの原料でこれまで人類が発見してきたあらゆるエネルギーを超えるだけの力を発揮してしまう、未知のエネルギーということになるわ」
才花「だから“超越的未知性エネルギー”……」
沙知代「ええ」
沙知代はメタックスエナジーの持つ特異な特性について教えつつ、その本質が“超越的未知性エネルギー”なのだと語る。
沙知代「そして、このエネルギーは元々の地球には存在し得ないもの」
裕輝「……つまり?」
沙知代「より正確に言えば、メタクリスタルは地球の外からやってきたもの、ということよ」
才花「宇宙から来た…ってことですか?」
沙知代「そう。……私の知る限り、この世界にメタクリスタルが…メタックスエナジーがやってきたのは二回」
裕輝「宇宙からってことは隕石とかですかね?」
沙知代「その通りね。一回目は今からおおよそ八千年前と見られていて、二回目は二十年前」
沙知代はメタックスエナジー及びメタクリスタルは宇宙から隕石に乗ってやってきたものであると語り、過去二回にわたってこの地球にメタクリスタルを含んだ隕石が衝突しているということを教える。
裕輝「二十年前…もしかしてそのとき隕石が落ちたのって……」
沙知代「……ええ、ここ音慈牧市の北部にある音慈牧山の麓ね」
才花「……そういえば、二十年前にあそこに隕石が落ちたことあるって聞いたことあるかも…」
裕輝「ずっと気になってたんです、どうしてラズマがこの街の周辺にだけ現れるのか。その隕石がこの街に落ちたから、産業革命軍はこの街で活動している、ってことなんですか?」
沙知代「ご名答ね。彼らはどうやら、この街を“聖地”としているみたい。それに、この街は隕石の影響でメタックスエナジーが若干空気中にも含まれているから、ラズマたちが姿を保ちやすいのだと思うわ」
才花「それでこの街でばかりラズマが…」
沙知代は二十年前に隕石が落ちたのは音慈牧市であるということを明かすと、それこそがラズマたちがこの街にのみ現れる原因なのだと考える裕輝と才花の考えを肯定する。
才花「そういえば、八千年前の方ってどうなったんですか?その頃って日本は縄文時代だと思うのですが」
沙知代「……少し話が飛躍するけれど、あなたたちは超古代文明、というものを信じる?」
裕輝「それって、たまにテレビとかでやってる、凄い技術力を持った古代のなんとか文明〜みたいなやつですか?」
沙知代「おおよそその認識で合っているわ。……これは私の持論に近い、一部で提唱されている説なのだけれど、八千年前…隕石がもたらしたメタックスエナジーによって人類は現代のそれを上回るほどの技術力を手にしたのではないかと考えているわ」
沙知代はメタックスエナジーによってかつて八千年前に人類は現代以上の技術力を持った超古代文明を栄えさせていたのではないかという自説を語る。
裕輝「古代に、そんな文明が?」
沙知代「これでも単なる荒唐無稽な戯言ではないわ。メタックスエナジーというのはそれほどまでに破格のエネルギーなの。メタックスエナジーを浴びた金属類を変質させてメタクリスタルを生み出す特性を持ち、そしてそのメタクリスタルが人間の感情エネルギーという、本来取り出すことのできないエネルギーを変換して大きな力を発揮する…これは現代基準で見てもあまりに革新的すぎるわ」
才花「確かに、磁石と鉄のようにエネルギーを浴びた物質が、浴びせられたエネルギーを発するようになるってことはありますけど…それにしたって異常ですもんね……」
沙知代「そういうことね。……それに実際、世界各国には今の技術でも再現できないような物品が幾つか見つかっていたりするのよ」
裕輝「……それだけの文明が仮にあったとして、どうして滅びたんだろう」
才花「確かに…不思議だよね」
沙知代「……それについては私たちもわかっていない…というよりはそもそも超古代文明の存在自体が立証できていないわ。…けれど、もし本当にあったとしたら…その文明が滅んだ理由にはメタックスエナジーやラズマが絡んでいる可能性が高い。そう私は考えているわ」
メタックスエナジーは超古代文明なんて途方もないものを実現しうるだけの力を持っていることを語りつつ、最後にその説が合っていた場合、その滅亡にもメタックスエナジー、ひいてはラズマが関わっているだろうという見解を示す。
裕輝「今日はありがとうございました」
才花「依頼の件は私たちに任せてください」
沙知代「ええ、よろしく。そういえば、可能であれば戦闘時のデータを提供してもらえると助かるわ」
裕輝「戦闘時のデータを?」
沙知代「ええ、バックアップの一環として、あなたたちの戦闘データを解析して新戦力になるような装備を開発してみようと思っているの」
裕輝「なるほど、考えておきます」
話のお礼を告げて立ち去ろうとしたところ、沙知代にバックアップのために戦闘データの提供を求められた裕輝と才花は一考することを伝えると、部屋を後にする。
沙知代「……さて、後は彼が帰ってくれば盤石なのだけれど…あっちはまだかかりそうね。どうやら連中に“ハンター”のデータを盗まれたようだし、懸念事項は尽きないわね…」
部屋に一人残された沙知代はここにはいない「誰か」を思いつつ独り言ちる。
⭐︎⭐︎⭐︎
シルト「シーアーチンの件、俺がついていながら申し訳ない!」
ギフト「……フン」
愛乃「頭を上げてください。……シーアーチンのことは残念でしたが…サイビアが復帰したわけですし、無理はないでしょう」
産業革命軍のアジトにて、シルトはシーアーチンラズマが倒されてしまったことを愛乃に詫びるが、サイビアが復帰したという状況も鑑みて愛乃はシルトを許す。
ギフト「しかしサイビアまで復帰となると…どういたしましょうか。やはり始末を……」
愛乃「ギフト、以前にも言いましたが彼らは普通の人間ではないのです。……今は道を違えていますが、きっと私たちとも分かり合えるはず。そうなれば善き理解者となってくれる存在です」
ギフト「……それは…承知しました。無礼をお許しください」
愛乃「いいのです。あなたの想いもわかりますから。……仮面ライダーに関しては一つ策を打っておりますので、まずは様子を見ましょう」
シルト「策?」
愛乃「はい。私の頼れる“同胞”に依頼しておりましてね」
邪魔者となっている仮面ライダーたちを始末しようと気持ちを逸らせるギフトだったが、愛乃はそれを制止し、自身が張り巡らせている策について触れると、悪巧みをしている者の顔とは思えぬほどの綺麗な笑顔を浮かべる。
愛乃「さて、いずれにせよ…今は“オクトパス”を守ることを考えましょう」
シルト「それについては俺にお任せを」
愛乃「ええ、お願いしますね。ああ、それと…シュネルがガレージから素敵なお土産を持ってきてくれていますから、是非使ってください」
シルト「了解」
ギフト「精々励むんだな」
シルト「はいはい。…ギフト君も、俺に負けないように頑張れよー?」
愛乃から“オクトパス”なる個体のことを任されたシルトはギフトと軽く煽り合いつつも動き出す。
⭐︎⭐︎⭐︎
才花「この辺りだよね、噂になってるのは」
裕輝「そうだね。ラズマの痕跡を探すんなら、やっぱりこの辺りに住んでる人とか、同じく宝探しをしている人に声をかけた方がいいかな?」
翌日、早速噂の漁港を訪れた裕輝と才花はまずは情報収集を始める。
才花「私もそう思う。……あ、裕輝君、あそこに人いるよ」
裕輝「え?あ、本当だ。声を掛けてみようか」
「お前ら!何やってんだ!!」
裕輝「!?」
「いや、その…」
「こんな所に宝なんかない!さっさと帰れ!」
「でも、噂じゃここにはお宝があるって」
「ないって言ってんだろ!仕事の邪魔だ。さっさと消えろ!」
「す、すみません!」
裕輝「いなくなっちゃった…」
才花「あの人…この辺の人なのかな?」
海辺にて何かしていた二人組の男性に話を聞こうとしていた裕輝と才花だったが、そこに現れた謎の青年の怒声を浴びせられた二人組がそそくさと逃げていったことで困惑する。
裕輝「……あんまり気は乗らないけど、話聞いてみるか」
才花「そうだね」
裕輝「あの、お仕事中にすみません」
「……なんですか?宝ならありませんよ」
才花「私たち、宝を探しにきたんじゃないんです」
「?……なら、俺なんかになんの用ですか?」
裕輝「あ、申し遅れました。僕は機道裕輝と申します」
才花「私は械条才花です」
「……三浦湊だ」
二人組を追い返していた謎の青年は裕輝と才花が宝探しに来たわけではないことを知ると、三浦湊と名乗る。
裕輝「まあ、宝探しの噂と全く関係ないというわけではないのですが……実は僕たち、この辺りで続出してる意識不明者について調べてるんです」
湊「……あんたらも、呪いだとかいうのか?」
才花「いえ、私たちは呪いとは考えていません。……信じていただけるかはわかりませんが、この事件の裏には“怪物”が絡んでいると見ています」
湊「!怪物を知っているのか!?」
裕輝と才花が意識不明になった人の調査をしており、その裏に怪物がいると考えていることを知った湊は血相を変える。
裕輝「ええ、まあ…」
才花「私たち、色々あって怪物に関して調べてまして」
裕輝「三浦さんは何かご存知なんですか?」
湊「…あんたらになら、話してもいいかもな。……着いてきてくれ」
裕輝「…わかりました」
裕輝と才花が怪物を追っていることを知った湊は二人を信用することを決め、どこかへと案内する。
裕輝「ここは…」
湊「俺の家だ、遠慮せず上がってくれ」
裕輝「お邪魔します」
才花「お邪魔しまーす…」
湊「粗茶だけど、どうぞ」
裕輝「ありがとうございます」
才花「いただきますね」
湊に案内されて彼の自宅までやってきた裕輝と才花はお茶を出されつつ本題に入る。
湊「…誰も信じちゃくれなかったんだが……俺の親父は怪物のせいで意識を失っちまったんだ」
裕輝「……なるほど、差し支えなければその時の状況をお伺いしても?」
湊「ああ、しばらく前の夜のことだった。……親父は昔からこの辺りには宝があるって言っててな。周りは誰も本気にしちゃいなかったけど…親父はいつもある場所に通い詰めてた」
才花「そこに宝があるから、ということですか?」
湊「ああ。…その割には何も持ち帰ったりはしてこないから、近所では出鱈目話として有名だったんだ」
裕輝「そうだったんですね」
湊「そんなある日、親父は俺にも宝を見せてやるって言い出して、二人で宝を見に行こうとしたんだ」
以前から湊の父はこの辺りに宝があるという風に語っており、ある時湊にもその宝を見せようとした際に起こった出来事を湊は苦々しげな表情で語る。
湊「そしたら出航のタイミングでいきなり変な金髪の男が現れたんだ」
シルト『あんたのその感情、使わせてもらうぜ!』
湊父『うあああっ!!』
湊『親父!!』
湊「……あの男が親父になんかしたと思ったら、親父の体から変な化け物が出てきて、それ以来親父は目を覚まさない」
裕輝「……そうだったんですね」
湊「その件が段々と噂として広まるうちに宝物が実在するからその呪いでこんなことになった、みたいな噂に変わり、しまいには宝物が実在するという部分だけ切り取られて鵜呑みにする奴が現れるようになった」
才花「それで宝を探しにくる人が出てきたということですね」
湊「……ああ」
裕輝「話してくれてありがとうございます」
謎の男…シルトによって蛸のような姿の“オクトパスラズマ”が湊の父から生み出される様を思い出した湊は、その時の出来事が噂として広まったことで宝物の実在を信じてやってくる人間が増えたことを語る。
才花「ラズマの宿主は三浦さんのお父さんみたいだね」
裕輝「ああ。襲われた人たちのことも考えると、恐らくラズマが狙うのは“宝物を探す楽しさ”とかかな」
才花「私もそう思う」
裕輝「……三浦さん、すみません。ちょっと頼み事があるのですが…」
湊「?」
裕輝は才花と共に今回のラズマが狙っているのは“宝物を探す楽しさ”だと推測し、その裏付けのために湊にとある頼み事をする。
⭐︎⭐︎⭐︎
湊「人が襲われた現場に案内するのは構わないが…大丈夫なのか?」
裕輝「はい。俺たち一応自衛の手段はありますし…多分、俺たちの推測が正しければいきなり襲ったりはしないはずなので」
湊「ならいいけど…大体襲われた人たちはこの辺りで襲われてる。俺の親父もここの辺りで…」
裕輝「なるほど…となると、この周辺に怪物が潜んでる可能性が高そうですね」
ラズマによって人が襲われた現場までやってきた裕輝と才花はデジカメモードのデジカメドローナーを取り出す。
裕輝「確かにラズマの痕跡があるな。地面にメタックスエナジーを帯びた何かが付着してる」
才花「多分…粘液とかの類じゃないかな?」
裕輝「なるほど…」
デジカメドローナーで撮影した写真をテクニカルフォンで分析することで、裕輝と才花はラズマのものと思われる粘液を発見する。
裕輝「……引きずり出すしかないか」
才花「だね。…三浦さん、今から怪物を退治するので、安全な所まで避難してもらえますか?」
湊「た、退治!?…できるのか?」
裕輝「大丈夫です。三浦さんのお父さんも必ず助けてみせます」
湊「そうか……」
才花「私たちを信じてくれませんか?」
湊「……わかった。策があるって言ってたもんな…信じるよ」
裕輝はラズマの討伐のために引き摺り出すことを決めると、才花と共に湊を説得する。
裕輝「ああ、それと…ここで見たことは内密にお願いします」
湊「わかった。親父を助けてくれるなら、なんでもいい!」
裕輝「ありがとうございます。…よし、才花さん」
才花「うん。…そういえば、相手は多分海の中にいるけど、どうするの?」
裕輝「問題ないよ。これがあるからね」
才花「これは…新しいエナジーデンチ?」
裕輝「うん。出発前にベータがアクティベートして渡してくれたんだよね。水中なら、この力で…!」
なんとか湊を納得させ、近くの物陰に隠れてもらった裕輝と才花。
海の中の敵への対抗手段として裕輝は出発前にベータから受け取っていた紺色のサメが描かれた“シャークエナジーデンチ”と濃灰色の潜水艦が描かれた“サブマリンエナジーデンチ”を取り出す。
《シャーク!》
《サブマリン!》
《エナジーオン!》
裕輝「変身!」
《アクティベート!
シナジーダイブ!シャークサブマリン!》
湊「!あれはまさか…彼が仮面ライダー…!?」
メカニック「じゃ、行ってくる」
才花「了解。地上まで引っ張り出してきたら私も加勢するね」
メカニック「よろしく。…とうっ!」
裕輝は紺色のサメを模した装甲と濃灰色の潜水艦を模した装甲を纏った仮面ライダーメカニック シャークサブマリンシナジーへと変身を遂げると、海の中へと飛び込む。
メカニック「よーし…!」
《エナジーオン!》
メカニック「ソナー代わり、頼むぞ!」
《エナジースピニング!》
メカニック「はあっ!!」
水中へ潜ったメカニックはホイールモードのホイールカリバーにバットエナジーデンチを装填すると、そのまま掲げてトリガーを引くことで周囲に超音波を放つ。
メカニック「そこか!」
「ぐああっ!!」
メカニック「出てきたな、ラズマ!」
オクトパス「貴様…仮面ライダーか…!」
音波を利用して位置を割り出したメカニックはそのまま一点に集中させた音波を発射してオクトパスラズマを引きずり出す。
メカニック「その通り!…さあ、覚悟しろ!」
オクトパス「ふん!折角獲物が来そうだったというのに邪魔してくれやがって…!返り討ちにしてくれる…!」
メカニック「っとと…負けるかよ!」
オクトパス「くっ…!」
オクトパスラズマはメカニックに向けて触手を伸ばすが、メカニックはそれを水中を素早く移動することで回避し、そのまま全身から魚雷を発射することでオクトパスラズマを攻撃する。
メカニック「地上に引っ張り出してやる!」
オクトパス「くっ…!やめろ!離せ…!」
メカニック「そう言われて、離す奴がいるかよ!はあっ!」
オクトパス「うぐっ!」
メカニック(ん?……今のは…いや、今は戦いに集中しよう)
オクトパスラズマが伸ばした触手をサメの胸鰭を模した“スクアーロカッター”で斬り刻みつつ組み付くと、メカニックはそのままオクトパスラズマもろとも水面へと上がっていく。
その刹那、メカニックの目に一瞬だけ緑の光が映るが、すぐに気を取り直して戦いに戻る。
メカニック「はああっ!!」
オクトパス「くっ!この!うぐあっ!!」
才花「おっ、やっと来たね。もう日が暮れちゃったし、さっさと決着つけさせてもらうよ!」
《スパイダー!》
《コンピューター!》
《エナジーオン!》
沖の方からなんとか港の方までオクトパスラズマを連行すると、そのまま地上に打ち上げる。
そしてそれを見た才花は自身も加勢するべくエナジーテクノドライバーへとスパイダーエナジーテクノドライバーとコンピューターエナジーデンチを装填する。
才花「変身!」
《アクティベート!
シナジーブレイン!スパイダーコンピューター!》
湊「!あの子も仮面ライダーだったのか…」
オクトパス「触手で締め上げてやる!」
メカニック「おっと…!」
サイビア「はあっ!!」
オクトパス「何ッ!?…くそ、仮面ライダーが二人…!」
才花は仮面ライダーサイビア スパイダーコンピューターシナジーへと変身すると、キーボードブレードの一撃でメカニックの首に巻きつけられたオクトパスラズマの触手を断ち切りつつ参戦する。
メカニック「才花さんナイス!」
サイビア「ふふ、でしょ?さ、第二ラウンドといこうか!裕輝君!」
メカニック「ああ!はっ!」
サイビア「ふっ!」
オクトパス「くっ…ぐあっ!」
メカニックに褒められたサイビアは自慢げな様子を見せる。そしてそのまま二人はオクトパスラズマの触手をホイールカリバーとキーボードブレードの斬撃で対処しつつ着実に追い詰める。
シルト「おっと!そいつはまだ倒させないぜ?」
メカニック「うああっ!」
サイビア「きゃっ!」
オクトパス「シルト様!」
シルト「よう、助太刀してやるよ」
メカニック「シルト…!厄介な奴が来たな」
サイビア「後ろにいるのは…ロボット…?」
順調かに思われていたものの、そこに甲羅型のエネルギー弾を連射して二人を弾き飛ばしつつ参戦したのは既に怪人態になったシルトだった。
そしてその背後には五体の猟犬のような意匠の頭部ユニットが特徴的な黒色の人型ロボットが立ち並んでいた……。
⭐︎⭐︎⭐︎
次回、仮面ライダーメカニック!
湊「頼む!一刻も早くあいつを倒して親父を目覚めさせてくれないか?」
裕輝「宝物に関して何か知ってることってあります?」
才花「宝の正体ってなんなんだろ?」
ラズマと宝物の関係とは──
ベータ「運命の歯車は既に回り出している」
裕輝「作戦開始といきますか」
才花「私の新しい力、試させてもらうよ!」
サイビアのシャークサブマリン、登場!
vol.8「越えろ荒波!×親子の絆!」
日曜午後9時!
第7話をご覧いただきありがとうございます!
今回からはガレージとの協力体制も築かれて、話に大きく参入することとなります!
沙知代たちガレージの活躍も是非ともお楽しみに!
そして、今回はちょっとした謎解き要素を入れてみました。
三浦の父親が言う“宝物”がなんなのか、ヒントも散りばめておりますので、是非とも考えてみていただけると嬉しいです!
今回登場したシャークサブマリンシナジー、メカニックに続いて次回はサイビア版も登場します!
その活躍もお楽しみに!