お前のミスでした―――。 作:責任とれやクソボケ
だから不定期更新になります。なるべく毎日更新を目指したい……!!
「さてさて……一体何が隠されているのかなぁ?」
キヴォトスを訪れてから早くも数週間が経ち、キヴォトスの常識も身に付いてきたムクロ。
そんなある日、とある噂を耳にすることになる。それは、キヴォトスの頂点に立つ超人…連邦生徒会長が失踪した、というものだ。その噂を聞いた後、ブラックマーケットの情報屋や黒服などから情報を集め、その噂が真実であることを知った。また、その連邦生徒会長がD.U.区内に建てられたオフィスに何かを運び込み、それを知った厄災の狐が不良生徒を集めて騒動を起こそうとしていることも知ることとなった。
そんな情報を手に入れたムクロは、興味本位でそのオフィス……シャーレに潜入することにした。
そして現在、不良生徒たちの破壊工作に紛れてシャーレに潜り込み、連邦生徒会長の残した
「それにしても、このオフィスの設備は凄まじいねぇ……違和感を感じる程に」
このオフィスは連邦生徒会のどの組織のものでも無い。治安維持組織が使用している訳でも無い。
一体、何の目的があって作られたんだか……。
そんなことを考えながらオフィスの通路を歩いていると、前方から何者かがやって来る。
「おや、君は…………」
「あら、どなたでしょう?……うふふふ、まあどうでもいいことですね。邪魔をするなら、容赦はしませんよ?」
狐の面を着けた少女……先日、矯正局から脱獄した七囚人の一人、厄災の狐の異名で恐れられる狐坂ワカモ。彼女は、出会い頭にムクロに向かって銃を突き付た。
脅された彼は、恐れることなくワカモのほうに近づいていく。
「知っているよ。君、狐坂ワカモだろう?各地で襲撃事件を起こし、脱獄と投獄を繰り返す凶悪犯だ。……会えて嬉しいよ」
「……?一体何を言って――――――」
そして、ワカモの持つ銃に取り付けられた銃剣が首に当たるほど接近し、会話を続ける。
首に刃が当たり血を流しながらも、世間話でもするかのように、自然に言葉を紡ぐ。
「さぁ、僕を撃ってくれ。君にも伝わることを願うよ、僕の目に宿るこの喜悦が」
動揺したワカモは銃を引き、それに合わせるようにムクロはさらに距離を詰め、ワカモの顔を覗き込む。*1
「え、あ、あの…………は、はわわわわ」
「さぁ、さぁ、さぁ!!もしかすると、君なら私に終わりをもたらしてくれるかもしれない。君のような美しい髪の女性の手で終われるのなら、それは僕にとって望外の喜びだ。さぁ早く!その引き金を引くんだ」
「はわわ、はわわわぁ」
「なぁ、頼むよ。君の手で、永遠に続く僕の悪夢を終わらせてくれ」
そう言って、引き金に添えられたワカモの手を掴む。
「はわわ………し、失礼しましたーーーー!!」
突如、ワカモは背を向けて爆走する。取り残されたムクロは、突然のことに驚きながらも―――
「逃げられてしまった。………残念」
そう呟いた。
狐坂ワカモとの予想外の邂逅の後、ムクロはオフィスの探索を暫く続けた。しかし、外の戦闘音が止んだことに気づき、また誰かと鉢合わせるのは不味いと考えて足早に立ち去った。
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キヴォトスに赴任してから、一週間。
慣れない書類仕事に追われ、不良生徒の鎮圧に協力し、忙しい日々を送っている。
今日も、不良生徒の鎮圧のために出張した。その帰り道を歩きながら、私はため息をつく。
生徒たちのためになるなら、喜んで仕事をこなすが、流石に量が多すぎる。
それに、銃だ。身近に無かった、自分を殺しうる凶器がそこら中にある。アロナのおかげで、流れ弾で傷を負ったりしないことは分かっている。それでも、銃声が、爆発音が、耳を掠める銃弾の音が、精神を削っていく。それでも、私は先生だから頑張らなきゃ。生徒たちに弱みを見せる訳にはいかない。
「よーし!頑張れ、私!!」
ぺちぺちと両手で頬をはたいて気合いを入れ、勢い良く前を向いた。
そして、右手に流れる川その前方から何かが流れてくるのに気づいた。
「ん………?何だろう、アレ?」
だんだんと近づいてくるそれを、よく観察してみる。
靴?いや、足?そう足だ。足だけが水面に浮いている。その姿は、さながらバック・クロージャー*2のよう。そう、食パンの袋を留めるあれみたいだ。最近、あんまりちゃんと朝食を食べれてないからなー。久しぶりにトーストを焼いて、ジャムとか付けて食べたいなぁ~。
「ごぼぼぼ………ごぼ………」
「って違うよ!人、人じゃん!?人が流れてる!?ど、どうしよう、警察に通報?でも、今通報しても間に合わないんじゃ………。ええい!!アロナはここで待ってて!!」
『え!?先生!?』
上着を脱いで、そこにタブレットを置き、川に飛び込んだ。*3
何とか溺れていた人物を川岸まで運んで、自分も倒れ込む。
「はーっ……はーっ…………ひ、久しぶりに泳いだ………げほっ」
大量の職務に追われ、めっきり運動をしなくなった先生にとって、この救出劇は大変な重労働であった。先生まで溺れてしまわなかったのは、ほぼ奇跡である。
「ん………」
むくり、と助け出した少年が起き上がる。
「助かったか」
「げほっ……ごほっ…………君、大丈夫?」
「僕かい?ああ、しっかり生きているとも。というか、君の方が大丈夫かい?」
「うん、私は大丈夫。……ふぅ、それにしても、何で川を流れていたの?」
「入水だよ」
「へー入水……入水!?」
「知らないかい?入水………自殺だよ」
涼しい顔でそう言ってのける少年。
じ、自殺!?と、止めないと!いや、それより先ずは理由を聞かせてもらってからだ!
「なんで、自殺しようと思ったの?」
「ついさっき、カツアゲに遭ってね。気分が落ち込んでいたところに、こんなに綺麗な川が目に映ったものだから、ついね」
「つい、でするものじゃないと思うけどなー」
自殺未遂を行ったとは思えないほど軽い口調で経緯を話す少年に、思わず調子が乱される。
あれ、少年?……男の子じゃん!キヴォトスにもいたんだ!は、初めて見た………。
え、えと、どうしようかな……取り敢えず、家まで送って行く?
「その、君の家はここから近いところにあるのかな?」
「僕の家か………家ねぇ……実は無くなってしまったんだよ」
「家が、無くなった!?」
「そう、これは三日前の話さ――――――――」
何時も以上に上機嫌で家に帰る少年。何故か?それは、所持金の殆どをつぎ込んで購入した高級ワインが少年を家で待っていたからだ。「お酒~♪お酒~♪お酒~を~飲~むと~♪」そんな替え歌まで歌いながら歩く少年の手には、コンビニで買ってきたおつまみの入ったビニール袋が握られていた。そんな浮かれた少年の目の前に写っていた家が――――――――。
ドガン
爆発する。寝床としていた家が、置いてきたスマホが、楽しみにしていたワインが、無惨に散っていく。それを前にした少年は、膝をつき――――――――。
『ぼ、僕のお酒がーーーーッ!!!』
そんな慟哭をあげた。
「――――――ってことがあってね。それからはホームレスさ。手持ちの金で食料とかは何とかなってたんだけど、それも今は………一文無しさ」
突っ込みたいことは色々とあった。未成年であろう少年がアルコールを買ったのか?とか。
でも、ひとまずは家が無いことが問題だ。お金もないようだし、このままじゃこの少年は餓死しかねない。
「家が無いんだよね?……もし良ければ、シャーレに来る?」
「シャーレに?………ということは」
「うん。私がシャーレの先生だよ」
「そうか……貴女が」
「それで、どうかな?」
「うん、是非お言葉に甘えさせて貰いたい。正直、もう腹ペコで限界なんだ」
苦笑しながら答える少年。
「そういえば、君の名前はなんて言うの?」
「おっと、まだ名乗っていなかったね――――――」
少年は立ち上がり、吹きすさぶ風が濡れた少年の髪を揺らす。夕陽が彼の背を照らし、その姿は儚くも神秘的に映った。
彼は微笑を浮かべながら、目を合わせる。
「僕はムクロ。幽玄ムクロだよ」
これが、私と彼の………幽玄ムクロとの出会いだった。
川上から どんぶらこ どんぶらこ と 住所不定無職17歳 が 流れてきました。