「う、うーん………へっ?こ、ここは!?私、攫われた!?」
目を覚ますと、そこは見慣れない場所であり…………自分が気絶した後、ヘルメット団に誘拐されたのだと理解した。
「どうしよう、みんな心配しているだろうな…………このまま、何処かに埋められちゃうのかな。誰にも気づかないように………連絡も途絶えて………私も他の子たちみたいに、街を去ったって思われるんだろうな………裏切ったって思われるかな…………」
だんだんと、涙が溢れてくる。
「う……うぐぅ………うっ、ううっ…………」
そんな中、セリカを運んでいたトラックが突如爆発する。
「う、うわああああっ!?………な、何!?爆発!?トラックが爆発した!?」
『セリカちゃんを発見!生存を確認しました!』
「………あっ、アヤネちゃん!?」
「こちらも確認した、半泣きのセリカ発見!」
「なにぃー!?うちの可愛いセリカちゃんが泣いていただと!そんなに寂しかったの?ママが悪かったわ、ごめんねー!!」
「そうよー!ママ、謝るから!もう泣かないでー!」
「う、うわあああ!?う、うるさい!!泣いてないし!!あと、あんたはママって言うよりパパでしょ!?性別的に!!」
「ふふっ……古いね、セリカちゃん。今の時代は、男がママになることだってあるのさ」
「あーもう、うるさい!!」
ツッコミが入れられるくらいには元気そうで、何よりである。
「っていうか、ムクロと……それに先生まで!何でいるの!?どうやってここに来たの!?」
「ふふふっ……それはね――――――――」
ムクロはセリカの後ろについて………セリカの制服の首元についていた小さな機械を取り出す。
「それ、発信器!?いったいいつ…………」
『…………ほら、肩でも揉むから』
「あっ……あの時か!!」
時間は少し前に巻き戻る。
アビドス高等学校校舎にて――――――――。
その部屋には、ホシノと先生……そしてムクロが一堂に会していた。
ホシノが沈痛とした面持ちで、二人を呼んだ事情を話す。
「なるほど………セリカちゃんと連絡がつかない、ねぇ」
「うん、アヤネちゃんが家まで様子を見に行ったみたいだけど、家にもいなかったって」
「もしかして、ヘルメット団が………?」
なるほど………これは、予測が当たったようだね。
ヘルメット団は断続的にアビドスを襲撃することで、アビドスの消耗を図っていた。それが、シャーレの介入によって阻まれた。対策委員会は個々の実力が高く、何より隙の無い連携力こそが強みだ。以前と同じように襲撃を仕掛けても、アビドスを打倒するのは至難。となれば、次にとる作戦は………敵戦力の各個撃破。
対策委員会の最大の弱点は、その数の少なさだ。一人でも倒せれば、大幅に戦力を削ぐことが出来てしまう。それに、誘拐でもしてしまえばチェックメイトだ。
だが、そんな状況だからこそ………次の手が分かりやすい。
ムクロが不気味に笑う。
「大丈夫だよ………セリカちゃんの居場所は、既に分かっている」
「どういうこと?」
「
そう言って、スマホの画面をホシノと先生に見せる。
「これは…………?」
「発信器さ」
「いつそんなの着けたの!?」
「さっきの柴関ラーメンでね。っと、そんなことを話している場合じゃないだろう?ヘルメット団が発信器に気づく可能性もある。早くセリカちゃんを助けに行こう」
と、いうわけでセリカの居場所が分かった訳だ。
居場所が分かってしまえばこちらのもの。いつも通り、先生の指揮の下ヘルメット団を撃破するだけ。そうして、無事にセリカの救出に成功した。
「えっと、ムクロ………その、ありがとね」
「う~~ん?何かな!?ちょっと聞こえなかったー!もう一度言ってくれるかい?」
「あーー!もうっ!うっざい!!二度と言うか!!……あと、発信器って普通にストーカーだからね!!」
「悪かったよ。二度としないさ」
後日、無事にセリカを救出した対策委員会とシャーレは、アビドス復興のため「学校の負債をどう返済するか」という議題の下、会議を行っていた。
発案1 発案者:黒見セリカ
「「ゲルマニウム麦鉱石ブレスレットであなたも一攫千金」これで、ガッポガッポ稼ごうよ!」
判定 却下
以下、一同の反応。
「セリカちゃん………それ、マルチ商法だから」
「ん、儲かるわけない」
「セリカちゃん、騙されちゃいましたね。可愛いです☆」
「セリカちゃんは本当に面白………可愛いねぇ~」
「セリカちゃん、今度先生と詐欺のお勉強しよっか…………」
発案2 発案者:小鳥遊ホシノ
「他校のスクールバスを拉致ればオッケー!」
判定 却下
以下、一同の反応。
「ん、興味深かったのに…………」
「他校の風紀委員が黙ってませんよ…………もっと真面目に会議に臨んでいただかないと」
「先生的には、流石に却下しないといけないかなー」
発案3 発案者:砂狼シロコ
「ん、銀行を襲う」
判定、却下
以下、一同の反応。
「却下!却下ーー!!」
「そ、そうです。犯罪はいけません!!……そんなふくれっ面をしてもダメなものはダメです!」
「銀行強盗だね、僕も同行しよう」*1
「ムクロ、乗っちゃだめだよ?」
発案4 発案者:十六夜ノノミ
「アイドルです!スクールアイドル!」
判定、却下
以下、一同の反応。
「うへーこんな貧相な体が好きとか言っちゃう輩なんて、人間としてダメっしょー。ないわー、ないない」
「僕はみんなのアイドル姿、見てみたいけどなー。先生もそう思うでしょ?」
「え!?……ま、まぁ」
「なんなら、僕もアイドルやっちゃおっかなー!キヴォトス唯一の男性アイドル!これは一世を風靡するね」
「ムクロはそもそもアビドスの人じゃないでしょ!?」
発案5 発案者:幽玄ムクロ
「内臓を売ろう」
判定、却下
以下、一同の反応。
「内臓なんか売れるわけないでしょ!馬鹿ムクロ!!」
「うへー、流石にアウトかなー」
「ムクロ……今度、先生と倫理の勉強しよっか。説教つきで」
「あのう……議論がなかなか進まないんですけど、そろそろ結論を…………」
混沌とした会議の中、アヤネが真面目に結論を出すように言う。流石は、対策委員会随一のツッコミ役。
「それは先生に任せちゃおうー。先生、これまでの意見で、やるならどれがいい?」
「えっ!?これまでの意見の中から選ぶんですか!?」
「まさかアイドルをやれなんて言わないよね?」
「アイドルで☆お願いします♧」
「ん………」*2
さぁ、先生が選ぶのは―――――――!!
「………アイドルで!」
選ばれたのは、アイドルでした。
「ええっ!?本気ですか!?」
「あははー!よし、決まりー!」
「きゃあ~☆楽しそうです!」
「ほ、本当にこれでいいの?」
「うへ~いいんじゃなーい?」
そして、アヤネの溜まりに溜まった怒りが爆発する。
「いいわけないじゃないですかぁ!!」
どんがらがっしゃーん、と机をひっくり返す。
素晴らしい、実に見事なちゃぶ台返し。僕がこの領域に至ったのは二十代後半………。*3
その後めちゃくちゃ説教された。
そして、対策委員会は堪忍袋の緒が切れたアヤネを落ち着かせるため、柴関ラーメンに訪れていた。そんな中、見知らぬ生徒が店に入ってくる。
「あ……あのう…………」
「いらっしゃいませ!何名様ですか?」
「………こ、ここで一番安いメニューって、お、おいくらですか?」
「一番安いのは………580円の柴関ラーメンです!」
「あ、ありがとうございます!」
一度店の外に出た後、3人を連れて戻って来た。
あれは………ブラックマーケットでも有名になっていた、便利屋68かな?
「………なるほど。なるほどね」
「どうしたの?」
「いいや、何でもないよ」
ヘルメット団を撃退した以上、近々次なる刺客が現れる可能性もあると思っていたけど………彼女たちがその刺客か。便利屋68はブラックマーケットでも悪名を轟かせる実力派だ。少々、厄介かもしれないね。
そう考えたムクロは、早々にラーメンを食べ終えて支払いを済ませる。
「ん?アビドスの生徒さんたちの分を入れても、ちょっと多くねぇか?」
「ついでに、今来た彼女たちの分も払っておこうと思ってね。急ぎの用事があるから、お釣りはいらないよ?」
そう言い残して、柴関ラーメンを立ち去った。
毎話、何処かにクスッと笑えるシーンを作ろうと思っているのですが、中々難しい。
小説を書いている方………ホントにすっげぇのな。拙僧も努力致します。
どういう話が見たいですか?今後の参考にしたいです。
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原作ストーリーに介入するムクロ
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最終章後のムクロや先生たちの話
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幽玄ムクロの過去(キヴォトスに来る前)